日本は原子力エネルギーと「複雑な関係」にある。まず、日本は核兵器による唯一の被爆国として、原子力との関わりでこのうえなく暗い過去を背負っている。 だがその一方で、日本はエネルギー需要の約30%を原子力に依存している(電源別の発電電力量の割合による)。気候変動やピークオイル問題への懸念が高まる中、日本は持続可能な将来に向けてどのような選択肢があるのかについて考える必要がある。 映画監督の鎌仲ひとみ氏は一連のドキュメンタリー映画でこの問題を追究してきた。最新作『ミツバチの羽音と地球の回転』は彼女の旅がどこまで来たかを伝えるものだ。 増え続ける原子力発電所の数 第二次世界大戦を終結させた広島と長崎の原爆投下の記憶が生々しく残る当時、日本人は当然のことながら原子力の急速な利用拡大に抵抗感を抱いた(この感情は今日でもなお根強い)。 しかしながら、国を建て直すと共に、人口増加に伴って高まるエネルギー需