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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (222)

  • 人喰いの大鷲トリコ - 空中キャンプ

  • 『服従』/ミシェル・ウェルベック(河出書房新社) - 空中キャンプ

    あの書店ってやつはふしぎなもので、一度店内に入り、書架にずらっと並んだを眺めていると、いくらでもを読めるかのような錯覚におちいり、目についたを次々に買い求めるという愚挙に出てしまう。そして大量のを抱えて家に着き、冷静さを取り戻して気がつくのは、こんなにを買っても読む時間がないという当たり前の事実である。そろそろ「を読むには一定の時間が必要である」と気づくべきなのだが、書店に入るたびにそのことをすっかり忘却してしまう。理由は判然としないのだが、「読める」とおもってしまうのだ。わかっていても、同じ間違いを繰りかえしてしまう。 したがって読書家の夢とは、将来に渡って金銭的な心配をいっさいせずに済む状態になった上で、仕事を辞めて、家でひたすら読書をすることとなる。私もそうであった。そして、ミシェル・ウェルベック新刊『服従』には、期せずしてその夢を叶えた読書家が登場するのである。舞台は2

  • 2013年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。ついにこの企画も10年め。考えてみればわれわれは10年もの長きに渡って、その年どの映画おもしろいのかを問いつづけ、集計しつづけたわけです。それはさておき、年の瀬ですがお元気ですか。今年もたのしい映画がたくさんあったとおもいます。映画に順位をつけることの理不尽さをかみしめつつ、あえてランキングという非情な行為を行っていきたいとおもいます。毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果の発表です。さすがに投票で上位に挙げられる人気作品となると、クオリティの高い映画ばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2013年に劇場公開さ

    2013年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
  • 『風立ちぬ』 - 空中キャンプ

  • 2013-03-17 - 空中キャンプ

    友だちが「ゾンビが出てくる夢を見た」という。ロケットランチャーでゾンビを倒そうとするけど、組み立てに時間がかかって、その間にもゾンビがどんどん迫ってきたりと、見せ場たっぷりのアクション映画みたいに痛快な夢らしいのだ。僕だってゾンビ好きなのに、そういうたのしい夢を一度も見たことがない。他にも友だちは暗黒舞踏の劇団に所属する夢なども見るらしく、そこでは「インカかアステカ風の劇を装い、活動資金を得るための株式相場に使うらしい謎の計算を行うために、野生の能力が発現するまで追い込まれ(そうすると巨額の計算が瞬時に出来るらしい)たものの全然計算法がわからないので、逃げるため懸命に気がふれたふりする夢」(人記述)が展開されるらしい。どうすればそんなオリジナリティあふれる夢が見れるのだろうか。だいたい野性の能力って何だ。もし夢のクオリティで対決があったなら、僕の完敗である。 僕の夢には、フィクションの世

    2013-03-17 - 空中キャンプ
  • 2012年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。すっかり寒くなってきましたがお元気ですか。おもえば人生つらいことばかりですが、マヤ文明の予言によれば今年の12月21日で地球は滅亡すると言われており、この予告された死、ディザスターの危機をかろうじてくぐり抜けた私たちが生きているのは、おまけの時間、いわば余生です。誰もが12月21日に一度死んでいるのですから、ここはひとつ開き直って、今後は適当かつ雑に、リラックスしながら生きていきたいものですネ。 えーと、何の前置きが自分でもよくわかりませんでしたが、毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果を発表します。いい映画ばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURL

    2012年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
  • 『なんらかの事情』/岸本佐知子(筑摩書房) - 空中キャンプ

    このを通して描かれる、ぼんやりしてひたすらにあてのない思考を読みながら、しかし、岸佐知子というひとは、単にだらしなく虚空を眺めつつぽかんとしているのではなく、むしろきわめてシャープにぼんやりを研ぎすませながら、その形容しがたい感情を表現するのにもっとも適した言葉をつかまえる能力を、日々確実に高めているのだと気がつく。つまりは彼女は日にふたりといない、ぼんやりの専門家でありエキスパートだ。だからこそ、このはある種の読者を強く共感させるが、そもそも、そのようなジャンルを専門とする者が他にいないため、誰ひとりとして彼女と同じ文章を書くことはできないのである。 それはたぶんビタミンCの「C」のあたりが何となく酸っぱそうだからで、だからレモンはすごくビタミンっぽい。(「レモンの気持ち」) このテキストでわたしがもっともおののいたフレーズである。「ビタミンCの『C』のあたりが何となく酸っぱそう

  • 病院の人すごいがんばってる - 空中キャンプ

    まず最初に症状があったのは10/20(土)の朝で、仕事へ出かけようと電車に乗ったあたりで強めの腹痛がきた。前日夜にカレーべてからビールを飲んだので、胃がもたれたのだろうとおもったが、あまり経験したことのないもたれ感で非常にだるく、仕事先でもほとんど机につっぷしながら作業するという状態だった。実はこのときすでに虫垂炎(=盲腸)だったのだが、社畜らしくソルマックなど飲みながら、どうにか終業まで働いたのであった。その後、体調はすぐれないながらも、渋谷の映画館で『エクスペンダブルズ2』を見たりしており、自分の鈍感さにはあきれるばかりだ。最強の傭兵軍団の映画を見つつも、自分は虫垂炎で完全に弱り切っており、子犬とたたかっても負けるであろう最弱のコンディションであった。 10/21(日)、朝から腹痛は続いているにもかかわらず、薬局で胃腸薬を買って飲んでから、近所の大学で行われていた海外文学関連の講演

    病院の人すごいがんばってる - 空中キャンプ
  • 『エコー・メイカー』/リチャード・パワーズ(新潮社) - 空中キャンプ

    スコット・フィッツジェラルドが『夜はやさし』を発表したのは一九三四年で、そのとき彼は三十八歳だった。死の六年前に書かれた『夜はやさし』を特徴づけているのは、深い喪失の感覚である。もはや自分に残された選択肢はわずかであり、人生の新局面を切り開いていく可能性は少なくなり、人を愛する情熱は弱まっていき──。二十代で人生の輝きのほとんどを消費しつくした彼自身の経験が色濃く反映された『夜はやさし』は、ゆえに重く暗い小説だ。敗戦が濃厚になった老齢のボクサーが、殴られながらもかろうじて倒れずにリングに立ち、クリンチでどうにか凌いでいるといった小説のようでもある。 「なぜ今でも希望を持ちつづけられるのか、ウェーバーには想像もつかない。太古からなぜ希望が選択されてきたのか、それもさっぱりわからない」とパワーズは書く。作の登場人物たち──キャリアアップを目指しながらも失職してしまう女性や、失われつつある鶴の

  • 『アベンジャーズ』を見たゼ! - 空中キャンプ

    歌舞伎町にて。マーベルヒーローが大集合するお祭り映画として、ちょっと考えられないほどのクオリティに達したゴージャスな一でした。たのしかった! 各キャラクター作品のエンドクレジット後、ニック・フューリーがスカウトしにくるおなじみのくだりを何年もかけて見せていくことで、観客は「どんな映画になるだろう」と期待がどんどんふくらんでいったわけですが、その過大な期待へパーフェクトに応えた点が感動的です。むろん作りは緻密ですが、エンターテインメント作品のため、あまり分析的になってもしかたがないので、個人的に感じたことをいくつか書きます。 何より、画面全体を覆いつくす想像力の跋扈に圧倒される。カッコよくて、怖くて、近寄りがたく、奇妙なフォルムをした、わけのわからない異形の者たち(実際に劇中、彼らは “freaks” <奇形>と呼ばれもする)。彼らスーパーヒーローが画面をかけまわるたびに、観客は「いま、と

    『アベンジャーズ』を見たゼ! - 空中キャンプ
  • 2012-07-29 - 空中キャンプ 『メリダとおそろしの森』を見たゼ!

  • 2012-05-15 - 空中キャンプ

    渋谷にて。トム・ハンクスが主演、脚、監督をつとめた作品。学歴を理由に勤務先を解雇されてしまった主人公が、大学へ入り直し、そこで出会った人たちと交流する、というあらすじ。 主人公が量販店の仕事解雇される冒頭のシーンから、その非現実的な描写に戸惑ってしまう。ここまで露悪的かつ無神経に、あえて従業員に不満や遺恨の残るような、いいかげんな解雇のしかたをする会社があるだろうか。物語のリアリティラインをどこに設定すればいいのかよくわからないまま見始めるのだが、主人公が大学へ通い始めてからの描写にも戸惑ってばかりだ。なぜならもっとも重要であるはずの、ヒロインの役割を担うスピーチクラスの教師から何を学んだのかがほとんど描かれていないのだ。スピーチクラスの教師が、生徒たちにどんな有用な授業をしたのかがわからない。特別に印象的なレッスンをしたわけでもなければ、主人公がそこで学んだスピーチの技術をどこかで役

    shadow-toon
    shadow-toon 2012/05/15
    日常系?
  • 『あの川のほとりで』/ジョン・アーヴィング(新潮社) - 空中キャンプ

  • 2012-01-27 - 空中キャンプ

    映画『リトル・ミス・サンシャイン』(’06)におけるスティーブ・カレルの役柄は<プルースト研究者>であり、劇中、アメリカのプルースト研究者は全員ゲイという突拍子もない設定であった。さすがにそれは冗談だとしても、かかる設定がひとまずスティーブ・カレルという人物の説明として成立していたのは、ある種の文学作品の愛好者が特定の傾向を持ち、研究者たちの顔ぶれが濃くなっていくという世界共通の傾向があるためだとおもう。とっさに浮かぶのはピンチョンであり、海外のピンチョン研究サイトの充実などを見るにつけ、ピンチョン研究者はよほどの強者が揃っているのだろうなと想像するが、世界中のナボコフ研究者から提出された論文が掲載された書を読んでみて、ナボコフ研究者もかなり濃い顔ぶれが揃っているのではないか……と想像がふくらんだ。 このテキストは、国際ナボコフ学会に集まった論文をもとに構成された一冊だが、まずはその論文

  • 2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果を発表します。今年は社会的に重大な事件も多発し、生活していくことの意味あいが激変した一年でもあり、みなさんのアンケート結果を読んでいると、映画を見るという行為の文脈も変わってきたような印象を受けました。今年の一月とか、なんかもうすごい昔という感じですが……。なにかと重い気分になりがちな年ですが、今回選ばれた十作品はどれもエンターテインメントとしてすぐれたものばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2011年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画

    2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
  • ■[映画]『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』を見たゼ! - 2011-12-04 - 空中キャンプ

    渋谷にて。3D、字幕。原作まんがは全く知らない状態でしたが、なにより映像のクオリティにびっくりしました。3Dで見るべきと感じる立体感があり、アクションの緻密さも含めて驚きました。主人公タンタンが手に入れた船の模型がきっかけで始まる、ユニコーン号と呼ばれる船にまつわる謎がテーマ。 もはやCGアニメで表現できない映像はほぼなくなったのではないか、ということを考えながら作品を見た。かつては技術が表現に追いつかない部分があったが(いま見れば『トイ・ストーリー』(’95)に出てくる犬の毛並みにはあまり動物らしさが感じられないが、それは当時のテクノロジーで可能な描写に限界があったためだ)、現在ではそうした技術的な問題もおおむね解決しているように見える。作における人間の顔のリアリティにはほんとうに驚いた。少年らしい顔の赤み、皮膚のつやや太陽に反射するうぶ毛など、実写と言われても信じてしまいそうなほど

  • 『世界侵略 ロサンゼルス決戦』を見たゼ! - 2011-09-19 - 空中キャンプ

  • The Last Supper - 空中キャンプ

    その日、お父さんが潜んでいた場所はアポッターバードだとニュースは伝えていたが、それは真実ではない。私たちが住んでいたのは世田谷区の小さな一軒家だったし、彼は四月二十九日の午後六時、下北沢駅の西口にあるオリジン弁当の前で拉致されたのだった。チキン南蛮弁当と、小松菜と舞茸のおひたしを買って出てきたお父さんは、店の前に絶妙のタイミングですべり込んできた作業用バンにほんの数秒で手際よく押し込まれ、車内で待ちかまえる五人の特殊部隊に両手両足をぐるぐる巻きにされると、甲州街道を経由して横田飛行場まで連れていかれた。その後のことはよくわかっていない。ことによると、生きたまま飛行機でアポッターバードへ連れていかれたのかもしれないし、横田へ着く前に死んでしまったのかもしれない。 私はそんなあれこれを、日にいるお父さんの友だちを通して知ることになる。「横田に着いてからのことは調べようがないし、ほとんど情報は

  • 『監督失格』を見たゼ! - 空中キャンプ

    木にて。初日。公開前からいろいろと話題になっており、先行して試写を見終えた人たちからは「完全に打ちのめされた」「衝撃的なものを見たことは事実だが、二度と見たくない」といった感想が連続、個人的にもひさしぶりに見るのが怖い種類の映画でした。初日の劇場には舞台挨拶で平野監督が来ており、作品を見終えた後、出口で観客を待っている監督と握手をしたのですが、監督の顔を見たとたん声がかすれてでなくなってしまいました。亡くなってしまった女優・林由美香と、監督・平野勝之の関係性を描くドキュメンタリー。 林という女性は、平野にとって創造性の触媒のような役割を果たしており、彼女の存在が作品を生むきっかけとなる。ドキュメンタリーは、林と平野の自転車旅行や、その後の交流の描写を中心に進んでいくが、そこで描かれるのは林と平野の関係性であり、平野の周囲にいる何人かの人物(林の母親を含む)についてであり、ひいては「なぜ

  • 『ナッシュビル』を見たゼ! - 空中キャンプ

    shadow-toon
    shadow-toon 2011/08/17
    断絶する都市のリアリティ