電気設備工事大手「九電工」(福岡市)の社員だった福岡県内の男性(当時30)の自殺は過労が原因だとして、妻(34)や両親が同社に損害賠償など計約1億1900万円の支払いを求めた訴訟は9日、福岡高裁(古賀寛裁判長)で和解が成立した。九電工側が労働時間の管理の問題などが死亡の原因と認め、解決金約8千万円を遺族側に支払う。 遺族側の代理人で、過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士によると、過労自殺をめぐる訴訟の解決金としては高額という。 一審・福岡地裁は自殺と過労の因果関係を認め、約9900万円の支払いを同社に命じていた。和解条項には、九電工側が「同種の事件が再発しないよう最大限努力する」ことも盛り込まれた。 男性の妻は会見し「和解はできたが、主人は帰ってこない。同じ遺族が増えないことを祈ります」と語った。 九電工は「あらためて哀悼の意を表する。今後、再発防止に向けて取り組む」との