『オルタ』7・8月号の特集、「北欧神話?―グローバリゼーションと福祉国家」の冒頭に置かれた、市野川容孝と小川有美による対談から抜粋。 http://www.parc-jp.org/alter/2009/alter_2009_07-08.html 北欧と日本の「ソーシャルなもの」 北欧研究者である小川は、北欧諸国が19世紀以来置かれてきた条件のなかで「社会的(ソーシャル)であること」と「経済的な生き残り」を両立させる「社会的合理性」を追求してきたことを、まず強調している。 この「ソーシャルなもの(こと)」という表現は、この対談のなかでたびたび出てくるが、平等や福祉の精神、社会的連帯の実現といった意味ではないかと思う。 そのソーシャルなものに関して言うと、ナショナルな枠組みのもとで国民的な同一性を前提として平等と高福祉を実現してきた北欧諸国のあり方が、「社会に近い国家」(小川)という語で特徴づ