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ブックマーク / www.sakuranbo.co.jp (15)

  • 英国の女性冒険家とともに突入する未体験ゾーン。リアル日本再発見の旅「ふしぎの国のバード」 深町秋生のコミックストリート

    私が高校生のときぐらいにできた施設だ。バブル末期のころ、官民一体の第三セクターによる運営でスタートした。当時は南陽にかぎらずこういう箱ものがボコボコできたのである。当初の入場料は映画観賞できるほどの値段。七つの温泉と大ホール、お土産コーナーやレストランもあるという……言ってしまえばスーパー銭湯のハシリみたいな施設だ。強気すぎる価格が災いしたのか、厳しい経営がずっと続きっぱなしで、最近になって行ったら入場料が300円にまで下がっていた。ぴかぴかだった施設も二十数年も経過し、ロッカーのドアが錆びついてなかなか開かなかったり、冬だと洗い場が寒かったりと、日の不景気と衰退とともに歩んできた建物だ。 このハイジアパークであるが、やはり役人が関わっていたせいか、不思議な一角があった。「イザベラ・バード記念コーナー」である。明治初期に横浜から蝦夷まで旅した英国の著名な女性冒険家だ。南陽市を含む置賜

    英国の女性冒険家とともに突入する未体験ゾーン。リアル日本再発見の旅「ふしぎの国のバード」 深町秋生のコミックストリート
    shaw
    shaw 2015/09/15
    この連載で「ふしぎの国のバード」が取り上げられるとはちょっと意外w
  • アクション、グルメ、民俗学に狩猟。欲張りエンターテインメント『ゴールデンカムイ』 深町秋生のコミックストリート

    政府の圧政に耐えかねた一部のアイヌたちが、金塊約75キロを軍資金としてひそかに貯めこんでいたが、ひとりの男がアイヌたちを皆殺しにし、北海道のどこかに隠したという。虐殺した男“のっぺらぼう”は死刑囚として捕まり、網走監獄にぶち込まれるが、決して金塊の在り処を喋ろうとしなかった。しかし、同じ死刑囚たちに在り処を記した暗号を刻みこみ、集団脱走させたという。単なる与太話かと思いきや、金塊の話は真実味を帯びていく。金塊を見つけようと決意する杉元の前に、狼を従えたアイヌの美少女アシリパが現れる。

    アクション、グルメ、民俗学に狩猟。欲張りエンターテインメント『ゴールデンカムイ』 深町秋生のコミックストリート
    shaw
    shaw 2015/08/18
  • まるで現代社会のような。西洋中世残酷物語「乙女戦争」の普遍性 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 毎日暑いうえに仕事が忙しい。終わらない。死にそう。  せめてマンガぐらいは穏当なものを読んで、心を癒したいと思っていたのだが、手に取ったのはブラッディかつ残酷物語の職人・大西巷一のベストセラー『乙女戦争』(双葉社)だった。  表紙には、ドーンと画に描いたような(画に描いてるのだが)美少女。そんでもって乙女戦争というタイトル。話題にもなっているし、ちょっとは穏当な物語なのかなと思って、手に取ったのだが、まったくそんなことはなくハードコアな戦争&虐殺&無慈悲な物語だった。  時は15世紀初め。舞台はプラハ。神学者ヤン・フスが教会の腐敗を批判し、異端者として火あぶりにされた。それでもフスの教えは浸透し、信者の平等を説く「フス派」と、教会の権威を重んじる(調

    まるで現代社会のような。西洋中世残酷物語「乙女戦争」の普遍性 深町秋生のコミックストリート
    shaw
    shaw 2015/07/07
  • "生活保護"という最前線に送られた新兵たちの苦闘。柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 昔、どんづまりの人を見たことがある。  私は三十代半ばまでサラリーマン生活をしていた。富山の置き薬みたいなルート販売をやっている製薬会社に勤務していた。ドラッグストアが乱立している今、若い人にはなじみがないかもしれない。「薬箱を家に置かせてもらって、使った分だけお代をいただく仕組みです。いざとなったら役に立ちますよ。なかには風邪薬も鎮痛剤も入ってます」などと、二十代のころは新聞の拡張団のように一軒一軒飛びこんでは、関東や九州に行って開拓に励んだ。  拡張したあとは契約社員の仕事だ。約4~5か月に一度は巡回して、お代の回収&薬の売りこみといったルートセールスをする。彼ら契約社員の動向をチェックするのも私の仕事だった。訪問件数はどうか、売上金はどうなって

    "生活保護"という最前線に送られた新兵たちの苦闘。柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」 深町秋生のコミックストリート
    shaw
    shaw 2014/11/04
  • 2013年極私的ランキング・ベスト5 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! さて、年末であります。今年も恒例の極私的ランキングといきたいところ。  とはいえ、このランキングもいいかげんなもので、「自分が今年読んだ作品」を対象としているので、今年刊行されたものでもなんでもない作品も、ふつうにランクインさせていたのだった。  というわけで、今年は2013年に刊行されたもの限定で、ひとまずやってみたいと思う。それだけでも、心を揺さぶられる作品にいっぱい出会えました。 ●1位『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(渋谷直角 扶桑社) このコーナーの第86回で取り上げているわけですが、やはり何度読み返しても「ひえっ……」と声を漏らしてしまう。「毒にも薬にもなる」傑作と書いたが、毒になるか薬になるかは読者

    2013年極私的ランキング・ベスト5 深町秋生のコミックストリート
    shaw
    shaw 2013/12/18
    ボサノヴァは、自分には全然あわなかったなぁ…。
  • 老婆の背後に流れる人生大河。「ペコロスの母に会いに行く」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 結論から先に言えば、今年のベスト3に入れたい傑作だと思った……去年、刊行されたコミックだし、すごい作品なのはもうみんな知っているのかもしれないけれど。  いやあ、もっと早く読んでいればよかった。今月11月に映画も公開されるベストセラーで、日漫画家協会優秀賞も受賞した。「それでは、とりあえず……」と重い腰をあげて手にしたのだった。  腰が重かったのも理由がある。帯には「62歳の漫画家が描く、認知症の母との可笑しくも切ない日々」とあり、車椅子に乗った老婆が、初老の息子の禿げた頭をなでている表紙。もうそれだけで読了したような気分になったというか……そうした「ご長寿系なほのぼの話の悲喜こもごも」というジャンルも、コミックにかぎらず小説映画、あらゆるメディ

    shaw
    shaw 2013/11/19
    この漫画のことを知らなかった。これは読まねば。
  • 毒にも薬にもなるキラーな傑作「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! おそらく今年のコミックランキングの上位に入るだろう話題の短篇集『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(渋谷直角 扶桑社)を取り上げる。もうすでに、さまざまなメディアやネットでも取り上げられているのだが。すばらしい傑作だった。  そもそもタイトルからして、ただ事ではない。表題作の「カフェで~」も相当なものだが、「ダウンタウン以外の芸人を基認めていないお笑いマニアの楽園」「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」と、いちいちぎょっとさせる。さらに帯には「自意識の不良債権を背負ったすべての男女に贈るサブカルクソ野郎狂想曲!!」と、むやみにキラー全開である。  「カフェで~」の主人公カーミィは、ピチカー

    shaw
    shaw 2013/10/15
  • 不思議で不穏な異人バトル・ファンタジー「宝石の国」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! ついに市川春子の長編作品が発刊された。『宝石の国』(講談社)である。  デビュー作の『虫と歌』で手塚治虫文化賞新生賞を受賞し、2作目の『25時のバカンス』では「マンガ大賞2012」で5位に入るなど、評論家やマンガ読みから高い評価を受けている。じっさい、私も息を呑むほど感動したクチで、このコミック評でも取り上げている。じつを言えば……SFにはまったく詳しくないが、独特の“異人”たちがつむぐ物語が新鮮だった。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2011/10/post-34.html(異人たちとの季節。市川春子「虫と歌」「25時のバカンス」)  『虫と歌』では、いわば植物人間や昆虫人間と化した生物を。『25時のバカ

    shaw
    shaw 2013/08/20
  • 愛に疲れ果てながらも、求め合わざるを得ない男女の叫び。「失恋日記」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 毎日のように山形県内を徘徊している。  家にこもっていては原稿がはかどらないため、PCをよっこら担いでショッピングセンターのフードコートやコーヒーショップ、ファストフード店を転々としているのだった。執筆そのものがとことん嫌になって、とくに意味もなくドライブをえんえん続けていたりする。  ある日、国道13号線沿いのレストランの前を通りがかったとき、ちくっと胸に痛みが走った。べつに病というわけではない。「あ、ここ……あいつと来たところじゃないか」と、記憶が蘇ったりするのだった。別れた女のことを急に思い出してしまう。  徘徊なんかしてると、こういうのがたびたび起こる。それはレストランだったり、カラオケ店だったり、ショッピングセンターそのものだったり。忘却の

    shaw
    shaw 2013/07/16
  • 三世代にわたる始まりの物語。「チェルノブイリ 家族の帰る場所」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! さて3月。  この時期がやって来るたびに、ぎゅっと胸が締めつけられる。この重苦しい感覚は、おそらく死ぬまで消えないだろう。  3月はとくべつな時期になった。まだ寒さが幅を利かせる東北のしぶとい冬。2011年3月11日に起きた出来事は、今でも悪い夢ではないかと思うときがある。  あの長い長い大揺れ。いつまでも震えている電線。電気を失った街と大渋滞。商品が消えたショッピングセンター。ガソリンスタンドの殺気に満ちた大行列。つながる気配を見せない携帯電話。ハリウッドのパニック映画みたいな大津波の映像が次々に目に飛びこみ、そして原発が大爆発を起こす……。  あれから2年。マンガに限らず、ルポや映画など、原発に関する作品をいろいろ見たり読んだりしたが、もっとも心

    shaw
    shaw 2013/03/05
  • 浮かれる日本を憂える、情けなくも高潔な騎士「事件屋稼業」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! イオン山形南店の屋をブラブラしてたら、なぜか新刊コーナーに『事件屋稼業』(関川夏央作 谷口ジロー画 双葉社)があった。  名作として知られるロングセラー作品だが、売っていた『事件屋稼業Revised Edition』が発売されたのは90年代後半。マンガ専門店の棚で見かけることはあっても、ふつうの書店に置いてあるのは珍しい。しかも新刊コーナーに。不思議に思って手に取ったら驚いた。帯にはなぜかグラサンをかけた寺尾聰。フジテレビテレビドラマ化されるという。それに合わせて、装いを新たに発売されたのだった。  ちなみに山形では12月6日金曜21時に放送される。ぜひご覧ください。(さくらんぼテレビはフジテレビ系列。堂々と宣伝させていただく) http://w

    shaw
    shaw 2012/12/06
  • 無垢なる動物たちの大残酷。壮絶な傑作『WE3』 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! なんちゅう物語を作ってくれるんや……。  思わずを持つ手が震えた。いや、すばらしい。今年のベスト級のおもしろさだ。海外グラフィック・ノベル『WE3(ウィースリー)』(グラント・モリソン作 フランク・クワイトリー画 堺三保訳 小学館集英社プロダクション)である。  原書は、アメリカのコミック出版社DCコミックス内の成人向けレーベル「バーディゴ」から発売された。『ウォッチメン』や『Vフォー・ヴェンデッタ』など、アダルティかつ残酷な作品を発表しているところ。『WE3』も、手加減なしの暴力描写が特盛り。血と銃弾が飛び散る物騒な内容だ。  だが主人公は、アメコミ風のコワモテなスーパーヒーローではない。愛らしいラブラドール犬・茶トラ・白ウサギの3匹だ。それぞ

    shaw
    shaw 2012/07/10
    なにこれ面白そう。今度読んでみようっと。
  • ひりつくような青春の悶絶「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 中学2年生のとき、性格がすっかり暗くなった。  そもそも私が過ごした山形県のH中学校がじつにやばいところだった。当時は、野蛮かつ粗暴な空気に満ちあふれ、教師はそんな事態を見て見ぬフリ。完全に学級崩壊を起こしていた。野球部の練習についていけず、ドロップアウトした私はクラスのハミダシ者で、残忍なヤンキーの暴力や、優等生ぶったクラスメイトが唱える正論に、いつも震え上がっていた。そしてなにかと理由をつけて、学校を休むようになった。  とはいっても、学校がすべて悪かったわけではない。最大の原因はやはり私にある。あのわけのわからない思春期という季節に陥り、自分自身がコントロールできなくなった。意味もなく自意識過剰で、根拠のない自信に満ち、自分中心に世界が回らない

    shaw
    shaw 2012/06/19
  • 撃ち殺された! 三位一体の燃えるアクション「ヨルムンガンド」深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! ごく個人的な話だけれど、「強い女」にめっぽう弱い。  たまにインタビューされると、「あなたの作品は、強い女性がいっぱい出てきますねえ」と尋ねられる。あまり意識したつもりはないが、自分の作品を読み返すと、たしかに腕自慢な女丈夫や、鋼のような精神の女傑を、いっぱい登場させている。こういうところで、書き手の内面、好み、性癖がバレるものだなあと思った。  ちなみにハリウッドの巨匠ジェームズ・キャメロンも、かなりこの「強い女」フェチで有名だった。シュワルツェネッガーが演じた殺人マシーンで有名な『ターミネーター』『ターミネーター2』では、その殺人マシーンから逃れるヒロインが、やがてめきめきとタフな女戦士に成長。『2』で息子とともに、新たな刺客と壮絶なバトルを繰り

    shaw
    shaw 2012/02/07
  • 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、気になる漫画、お勧めのコミック を、時に辛口、時に鋭く紹介します! さて、あなたはおしぼりのビニール袋をどうしているだろうか。 居酒屋なんかで出てくる業務用のおしぼり。叩くとポンと音がするアレである。あのビニール袋はけっこうわせものだ。単にテーブルへ置いたままにしておくと、空調の風にあおられてツツーっと滑っていき、そのうち隣のテーブルにまで飛んでいったりするちょっと目障りな存在だ。 目障りといってもあくまでちょっとだけだから、クシャクシャに丸めて灰皿なんかに放りこんでおく。もしくはおしぼりの下に敷く。見た目は美しくないものの、そのうちビールや突き出しなんかが運ばれてきて、グビグビやっているうちにどうでもよくなってくる・・・・・・。あまりにささやかな問題だから、いつも気になりながらもすぐに忘れてしまう。 今回は

    shaw
    shaw 2011/11/15
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