ミニシアターとして知られた東京・渋谷のライズ。いまはライブハウスになっていますが、大きく変容を続ける街のなかで、巨大な金属の衣をまとった個性の強い建築は40年近く鎮座しています。設計した建築家の北川原温さんにうかがうと、カルチャー最先端の地でも廃れることのない独創的なメッセージが込められていました。 (聞き手・深山亜耶) ライズ外観 ――スペイン坂で初めて出会った10年ほど前に衝撃を受け、ずっと気になっていました。完成は1986年ときいています 東京って新宿、丸の内、銀座とそれぞれの地域に特徴があり、渋谷は非常にカオティックな街です。当時はすごいエネルギーが充満していました。初めは所有者の頼(らい)光裕さんから商業施設を依頼されたのですが、イメージがわかず、「敷地にステンレスを敷き詰めて1年続ければ発見できるかもしれない」と本気で相談したんです。ピカピカの敷地に空や建物が映り、雨が流れれば