ロシアの恐怖政治の闇を想起させるような「事件」がドイツと米国で起きた。10日から世界的な国際映画祭が開催されるベルリンでは先週、ウラジーミル・プーチン露首相(58)の政敵で、横領などの罪で追起訴されて刑期が延長された元石油王(服役中)の裁判に関するドキュメンタリー映画(映画祭で上映予定)のフィルムが盗まれた。ワシントンでは、富豪として知られるロシアの下院議員が米国への亡命を求めていることが分かった。不動産ビジネスをめぐり、プーチン首相に近い人物らとの間で裁判沙汰となり、「帰国したら暗殺される」というのが理由だ。 ■盗まれた映画 盗まれた映画は、ドイツの気鋭の映画監督、シリル・ツッヒ氏(42)が制作した「ホドルコフスキー」。ベルリン国際映画祭期間中の14日にプレミア上映される予定だったが、3日夜にツッヒ氏の事務所から完成版が盗まれた。未完成版フィルムのコピーがあるため、これに手を加えて上映に