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本と歴史に関するshichiminのブックマーク (26)

  • 2000年前のキケロ「老年論」に驚かされるばかりだった。

    ある日おれは、図書館でキェルケゴールとキケロのを借りた。なんの意図もない。なんとなく「き」が気になったからだ。そういう日もある。 キケロの名前は聞いたことがあるだけで、何時代の何人かも知らなかった。 マルクス・トゥッリウス・キケロ – Wikipedia マルクス・トゥッリウス・キケロ(ラテン語: Marcus Tullius Cicero, 紀元前106年1月3日- 紀元前43年12月7日)は、共和政ローマ末期の政治家、弁護士、文筆家、哲学者である。 そうか、そんな時代の人だったか。おれは大学受験のために中学から世界史を優先して学ばされていたが(公立校の人は日史に時間をとっているため、受験のときにライバルが少ないはず、という学校の方針)、なるほど三十年も経つとなにも覚えていない。 いずれにせよ、紀元前の人物だ。そのころ、日人はなにをしていたのだろうか。こういう疑問をいだいたとき、お

    2000年前のキケロ「老年論」に驚かされるばかりだった。
  • 「日本語は非論理的」「英語は論理的」みたいな主張ってよく聞くけど、すごい角度からそれを否定する本を読んだ→論理性とか合理性は、実は歴史教育と作文によって作られているらしい

    みずの@ゆる言語学ラジオ @yuru_mizuno 日語は非論理的」「英語は論理的」みたいな主張ってよく聞くけど、すごい角度からそれを否定するを読んだ。 いわく、論理性とか合理性は、実は歴史教育と作文によって作られているらしい。 なので「論理的な思考」や「合理的な判断」は国ごとに違い、↓の4タイプがあるという。おどろきの観点だ。 みずの@ゆる言語学ラジオ @yuru_mizuno 例えばフランスの作文では、ある問いについて考える際、自分が考えた論点と同じくらいの分量で、それを否定する材料について書くそうだ。そして最後に、それらを統合してまとめると。 フランスにおいてはこうした型が「論理的な構成」とされ、社会でも浸透している。 みずの@ゆる言語学ラジオ @yuru_mizuno ……みたいな話が日アメリカ、イランも出てきて、作文の型でさえ国によってここまで差があるのかと驚く。 また、

    「日本語は非論理的」「英語は論理的」みたいな主張ってよく聞くけど、すごい角度からそれを否定する本を読んだ→論理性とか合理性は、実は歴史教育と作文によって作られているらしい
  • 今もいる。見えてない。隠されている。――『ひとり暮しの戦後史』重版に寄せて

    書『ひとり暮しの戦後史』に書かれた女性の人生は多様だ。彼女たちの人生を通じて、まさしく戦後史のB面にふれることができる。その多様な人生において、悲しいかな、経済的に豊かではないということは共通していた。 私の祖母は、私の母を生んでから数年後に寡婦となった。続いて舅も亡くなり、農家は男手を失った。一家の大黒柱として、祖母は外で働き始めた。それから50年以上働き続けた祖母が、私の高齢女性のモデルであった。 一家7人を養うため、生活のために働いていた祖母は、職歴や学歴があったキャリア女性というわけではない。祖母が落ち着いた職業は保険外交員。職歴や学歴を問わずとも女性が働ける職場であった。自分の夫が亡くなったときいかに苦労をしたか、と保険の大切さを説いていた(それはつまり、いかに公的扶助が足りなかったか、ということである)。そして、寡婦・母子家庭子供会で、福祉活動をしていた(そう、これも、いかに

    今もいる。見えてない。隠されている。――『ひとり暮しの戦後史』重版に寄せて
  • 『ホモ・デウス』は現代人に生の意味を与える「宗教書」かもしれない(藤田 直哉) @gendai_biz

    『ホモ・デウス』はSFに似ている 歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの世界的ベストセラー『ホモ・デウス』を読んで、不思議な既視感に襲われた。似たような内容を、SF小説で何度も読んできたような気がするのだ。しかし、「荒唐無稽」なフィクションであるSFと違い、書は歴史学者の書いた人文書であるということになっている。この類似点と違いはどういうことなのか、眩暈のような感覚に襲われたのだ。 人類のこれまでの歴史の進歩と、現在の科学や価値観を根拠にし、近い未来にはどのようなことが起こるのかを語ったのが書である。 そこで語られている内容を紹介すると、人類は「死」を克服し「不死」に至る、科学技術によって自身の心身を改造して「超人」に至る、意志や意識に価値の重きを置く「人間至上主義」の時代が終わりビッグデータを基にしたAIによる判断により高きを置く「データ至上主義」の時代になる、人類がエリート層とそうでな

    『ホモ・デウス』は現代人に生の意味を与える「宗教書」かもしれない(藤田 直哉) @gendai_biz
  • 『戦争の世界史 大図鑑』はスゴ本

    さらに、年代も場所も広範囲にわたって概説しているため、どんどんページをめくっていくことで、「いつ」「どこで」を取っ払って、「どのように」人は争ったのかに着目することができる。そして、時代を超えた視点から、全く別の時代の戦闘どうしの類似点やアイデアが浮き彫りになり、見るたびに発見がある。 たとえば、優れた将軍は、時代を超えた特質を備えていると指摘されている。チンギス・ハン率いるモンゴル騎馬軍と、1940年春にフランスに侵攻した装甲師団との間に類似性を見出し、機動力が戦闘と決する事例として紹介されている。 あるいは、敵軍包囲という古来の戦法は、古代ローマの世界でも第2次世界大戦でも等しく奏功しているが、5千年分の戦略図を眺めていると、戦いとは畢竟「どのように敵を包むか」のせめぎあいであり騙し合いであることが見えてくる。 テクノロジー戦争を変える テクノロジーが変えた戦争も興味深い(ここが一番

    『戦争の世界史 大図鑑』はスゴ本
  • ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章について

    ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章 ジャレド・ダイアモンド著、山形浩生訳 目次 日人とは何者だろう? 2003年版エピローグ 訳者コメント 概要 日人の起原については、議論がわかれる。遺伝的な証拠と言語学的な証拠が一致しないのが大きな難点だし、また縄文の狩猟採集社会がちょっと特殊で、やたらに長く続いたことも理由。だが、その展開もおそらく『銃、病原菌、鉄』の環境要因重視でかなり説明ができそうだ。日人の特殊性は、日があまりに地理・気候的に恵まれすぎていたこと。定住した狩猟採集社会でかなりの豊かさを実現できてしまい、初期のヘナチョコ農業などとても太刀打ちできなかった。それが BC400 あたり、中国や朝鮮半島で農業が格的な優位性を獲得した時点で、朝鮮半島から人が稲作などの技術とともに渡来した。その人々やその子孫が縄文人(後のアイヌ)を駆逐して弥生文化をつくり、古墳文化へと

  • 『醜の歴史』はスゴ本

    「美は文化なり」これは知ってた。さもなくば、美は歴史でもある。あるプロポーションとか、あるハーモニーが「美しい」とされるのは、それぞれの文化でもって定義され、歴史の中で再定義をくりかえす。だから、ボニータは「分かる」が、「小町」を美人とするには抵抗がある。 さらに、同じプロポーションやハーモニーといっても、「どの」プロポーションとハーモニーに着目するかは、文化や時代によって違う。ある世紀に『プロポーションがとれている』と見なされたものが、他の世紀ではそう扱われないことがある。 たとえば、中世の哲学者はゴシックの大聖堂について語っているのに、ルネサンスの理論家は黄金分割に基づいた16世紀の神殿のことを考えているという。ルネサンス人にとっては、大聖堂のプロポーションは蛮族の、文字通り「ゴシック(ゴート族の)」のものに見なされる。黄金比や白銀比は美を再構成する基準として有名だが、どこにその比を見

    『醜の歴史』はスゴ本
  • 『一〇〇年前の女の子』船曳由美(講談社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「少女の目で描いた一〇〇年前の村落共同体の暮らし」 こののことはある編集者の方から贈っていただいて知った。著者・船曳由美さんは自分の先輩格に当たる方でその仕事ぶりを常日ごろ尊敬している、その彼女がこのたびこのようなを出した、自分の母の時代と思い合わせて興味深く読んだのでお送りした、という私信が添えられていた。ふだんわたしが手にとるとは少し雰囲気がちがうので、贈られなければ気づかなかったかもしれない。 一読していいに出会えたことを感謝した。と同時にこれをだれかに読んでもらいたくなって年長の友人に推薦した。読書好きの彼女は即座に読み終え、亡くなった母とこのの話しをしたかった、まわりにもこののことを触れまわった、と伝えてきた。心強くなってつぎはうちの母に勧めてみた。歳とってなかなか読書が思うように進まないと日頃嘆いているので、負担を増やしてはと躊躇していたのだが

    『一〇〇年前の女の子』船曳由美(講談社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 『気候と人間の歴史・入門 ― 中世から現代まで』ル-ロワ-ラデュリ,エマニュエル(藤原書店 ) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「スパンの長い歴史研究」 二〇一〇年の四月の半ばに、アイスランドの氷河の下の火山が噴火し、空に噴煙を吹き上げた。航空機が飛行する高さまで吹き上がったので、ヨーロッパの空からはほぼ一週間にわたって航空機が姿を消すことになった。ほとんどすべての欧州便が飛行を停止したために、映画『ターミナル』のような空港暮らしを強いられた人々もいたと聞く。 これと同じような噴火が一八世紀末に起きている。一七八三年六月八日のアイスランドのラキガール山の噴火であり、島民の二〇%近くが死亡した。同じ年に日では浅間山が噴火し、農民に大被害を与え、「日人の住む土地に大飢饉を引き起こした」(p.97)。 今回の噴火の際の新聞報道では、この「ラキ事件」があたかもフランス革命の遠因となったというような記事が書かれていたが、著者はこの噴火は「フランス革命の原因」とは少しも関係しない(同)と断定している。

    『気候と人間の歴史・入門 ― 中世から現代まで』ル-ロワ-ラデュリ,エマニュエル(藤原書店 ) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
  • 「土の文明史」はスゴ本

    土壌の肥沃さと土壌浸から歴史をとらえなおす快著。文明の発展は土壌の搾取と放棄のくり返しによるものだということが分かる。 ■ 結論 書のシンプルな結論を図で説明する(p.17より引用)。「土」はもっとも正当に評価されていない、かつ、もっとも軽んじられた、それでいて欠くことのできない天然資源である。肥沃な土壌は、地下からの岩石の風化と地表での侵、およびその間の微生物・昆虫・ミミズなどの生物と植物類の生態系のバランスの上に成り立っている。あらゆる文明の興亡は、「いつこの土壌を使い尽くすか」「肥沃度をどのように保(も)たせるか」に依拠する。土壌の生成を上回るペースで浸を加速させる農業慣行により、肥沃な土壌を失ったときが、文明の滅ぶときである。つまり、土の寿命こそ文明の寿命なのだ。 ■ 超広角で大深度で人類史的な視座 環境破壊が歴史を変えた着眼点に「土」をもってくるところがユニークだ。しかも

    「土の文明史」はスゴ本
  • マクニール「世界史」はスゴ本

    800ページで世界史を概観できる名著。 「シヴィライゼーション」という文明のシミュレーションゲームがある。暇つぶしのつもりで始めたのに、暇じゃない時間まで潰されてしまう危険なゲームだ。マクニール「世界史」もそう。それからどうなる?なんでそうなる?に次々と答えてくれる書は中毒性が高く、読むシヴィライゼーションといってもいい。 ゲームのように面白がれないが、ゲームのように熱中して、マクニール「世界史」の最新完訳版を読む。世界で40年以上にわたって読み続けられており、blog/twitter/tumblr でスゴいスゴいと噂には聞いていたが、たしかに素晴らしい。何が良いかっていうと、「眠くならない歴史」であるところ。 話は少しさかのぼる。流行に乗っかって教科書開いたはいいが、あれだね、睡眠導入剤として最適だね、山川世界史。パブロフのなんちゃらのように、開いた途端、急速に眠くなる。「メソポタミア

    マクニール「世界史」はスゴ本
  • 僕は今まで世界史を全く勉強せずに生きてきました.大学受験時代は,ただの丸暗記教科と見ないしていて興味がわからなかったのです. しかし,今は,現代という…

    僕は今まで世界史を全く勉強せずに生きてきました.大学受験時代は,ただの丸暗記教科と見ないしていて興味がわからなかったのです. しかし,今は,現代というものがどういうコンテキストの中に埋め込まれているかを知るための知識であると認識するに至りました.未来の予測は各人が頭を絞っていくしかないと思うのですが,今と過去の把握は勉強である程度どうにかなるものです.そして,過去と今を知ることは,未来を予測する助けとなると考えるに至りました. そのような問題意識を踏まえて,教科書にあるような過去から時系列順に学んでいくスタイルではなくて現状を分析するための知として世界史に興味を持っています. こういった僕の興味を含めて,民族紛争や政治経済の問題に関してコンテキストを含めて理解できるようになるを紹介していただきたいと思います. あと,細かい条件を述べておきます. -知識がなくても読めるが好ましいです.

  • 第1回 日本のそれぞれの町に、それぞれの「坂の上の雲」がある:日経ビジネスオンライン

    「普通のよき日人が、世界最高の頭脳たちが 『もう戦争しかない』と思ったのはなぜか?」 2009年7月に出版され、15万部越えの大ヒットとなった 『それでも、日人は「戦争」を選んだ』。カバーの惹句に激しく引きつけられ、興味を抱いて早々に購入はしたものの、実は最初は棚に置きっぱなしでした。なんだか、お説教っぽいじゃないんだろうか。そもそも、戦争のことで、今更教えてもらうようなことが(しかも、女性にだ!)あるんだろうか。こちとら小学生から『坂の上の雲』を読んで、佐藤大輔の架空戦記に耽溺した「マニア」だぞ!? と。 そのひどい偏見を破ったのは、やはり女性でした。いつのまにかが通勤途中で読み始め、「ねえ、これ、ものすごく面白くて分かりやすいね」と話しかけてきたのです。しまった、とから取り上げ、読み出したらもう驚きの連続でした。 「戦争」とは具体的には何を目的とする行為なのか、朝鮮半島が勃

    第1回 日本のそれぞれの町に、それぞれの「坂の上の雲」がある:日経ビジネスオンライン
    shichimin
    shichimin 2010/01/18
    歴史を見る目のつくりかた【年始特番・教えて下さい、加藤先生! 編】第1回
  • 第2回 勉強すべき総量とは、人々が未来に備えるために必要な総量だ:日経ビジネスオンライン

    山岡 こののスタイル、「大学の先生が中高生に近代史を授業として語る」という形がとても効果的でしたね。 加藤 ありがとうございます。 山岡 暗記ものではない歴史の面白さがあふれていますよね。自分の中学、高校の歴史の授業がもしこんなふうだったら…。 加藤 「日史を大学で教えるのは遅いんじゃないか」と、実は常々思っていたんですよね。といいますか、近現代については、地理、世界史、日史はもう、ごたまぜで学んだ方が面白いのではないかと。 歴史は「ごたまぜ」で面白く教えよう 山岡 ごたまぜに。 加藤 はい。例えば、前回もお話ししましたが、先日、新潟県の高田というところにお邪魔しまして、ここは1910(明治43)年に、蒋介石が来た場所です。彼は高田野砲第19連隊に入隊し、近年明らかになった日記に拠れば、そこでの経験は生涯にわたる影響を与えたとされています。 辛亥革命が起こる前年に日に来た蒋介石は、

    第2回 勉強すべき総量とは、人々が未来に備えるために必要な総量だ:日経ビジネスオンライン
    shichimin
    shichimin 2010/01/18
    歴史を見る目のつくりかた【年始特番・教えて下さい、加藤先生! 編】第2回
  • 江戸は文化都市か北朝鮮か~『江戸「粋」の系譜』奥野 卓司著、『本当は恐ろしい江戸時代』八幡 和郎著(評:近藤 正高):日経ビジネスオンライン

    朝鮮半島や中国では現在でも犬をべる風習がある。それを野蛮だと思う日人はけっして少なくないはずだ。だが、同じ東アジアに属する日でも、かつては犬がべられていた。その事実を伝える文献は少ないものの、江戸時代の武家屋敷など中世から近世にかけての遺跡からは、刃物の傷のついた犬の骨が数多く出土し、人間がべたものと考えられているという(松井章「日文化」『週刊朝日百科 動物たちの地球128』)。 そうした風習がなくなってしまったのはなぜか。どうやらそれには、江戸幕府5代将軍・徳川綱吉のあの有名な「生類憐みの令」が大きく影響しているらしい。 もっともこれは、そうした名前のまとまった幕令があったわけではなく、1685(貞享2)年以来、元禄年間を通じて綱吉が出した一連の「お触れ」をのちに総じて名づけたものだ。歴史学者・塚学の『生類をめぐる政治』によれば、こうした政策には、下級武士たちによる

    江戸は文化都市か北朝鮮か~『江戸「粋」の系譜』奥野 卓司著、『本当は恐ろしい江戸時代』八幡 和郎著(評:近藤 正高):日経ビジネスオンライン
  • 右とか左とかそういうのでなくて~『対論・異色昭和史』 鶴見 俊輔・上坂 冬子著(評者:山岡 淳一郎):日経ビジネスオンライン

    主義や立場が異なる対談者が、互いを認めながら、ここまであけっぴろげに現代史の核心に触れる「昭和」を語り合ったは少ないだろう。 対談者のひとり、鶴見俊輔氏は1922年、政治家・鶴見祐輔の長男として生まれた(祖父は後藤新平)。劣等生の不良少年時代を送るが、15歳で渡米。ハーバード大学を卒業し、日米開戦後、「交換船」で帰国。海軍軍属(ドイツ語通訳)に志願し、ジャワ島へ。戦後は、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。60年安保改定に反対し、「ベトナムに平和を!市民連合(べ平連)」の設立に参加。「九条の会」の呼びかけ人で、護憲の論陣を張っている。 一方の上坂冬子氏は1930年、東京に生まれた。父は特別高等警察に勤務。愛知県の高校を卒業後、トヨタ自動車に就職する。「思想の科学」への投稿がきっかけで鶴見氏との交流が始まる。59年、労働争議を題材にした『職場の群像』で第1回中央公論思想の科学賞を受賞。ノンフ

    右とか左とかそういうのでなくて~『対論・異色昭和史』 鶴見 俊輔・上坂 冬子著(評者:山岡 淳一郎):日経ビジネスオンライン
  • 不平等の中で、玉砕まで戦ったのはなぜか~『皇軍兵士の日常生活』 一ノ瀬 俊也著(評者:尹 雄大):日経ビジネスオンライン

    小津安二郎監督の「お茶漬の味」で、笠智衆演じるパチンコ店店主が、佐分利信演じる貿易会社部長と酒を飲み交わすシーンがある。佐分利は笠のかつての上官という設定である。 「あの頃はよかったですな。シンガポールは」と笠が軍隊時代の話をすると、佐分利は「ああ、そうだな。だけど戦争はごめんだね」と返す。 すると笠は「そうですな。ですが、シンガポールはよかったですな。南十字星が」と言い、ひとくさり歌を歌う。敗戦からわずか7年後の描写だ。 小津の作品には、戦友会の宴席で、元軍人たちが小皿を叩き、放歌しているようなシーンがいくつか登場する。小津も中国戦線に従軍したが、フィルムに表れたノスタルジーは、兵役を経験した一定数の男たちの共有するリアルな気分だったのかもしれない。書の著者もこういう。 〈戦後にいたってなお、人びとの心のなかに軍隊あるいは徴兵の存在を是認する、ある種のプラスのイメージが残っていたことも

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  • 世界恐慌からいち早く立ち直ったのはナチスだった!~『ヒトラーの経済政策』 武田 知弘著(評者:栗原 裕一郎):日経ビジネスオンライン

    第一次世界大戦での敗戦により支払不能なほどの賠償金を負わされたドイツは、ハイパーインフレーションに見舞われ経済がほとんど崩壊しかけていた。一時、持ち直しかけたりしたものの、息つく間もなく今度は世界恐慌に襲われ壊滅的な打撃を受けてしまう。そんな大不況のなか、生活が破綻した中産階級や労働者、農民らの怒りを吸収して支持を伸ばしたヒトラーが政権を取る。 ナチスは、ドイツ経済に驚異的とも奇跡的ともいいうる復興をもたらす。失業問題をわずか数年で解決し、経済を安定させ、世界恐慌からいち早く抜け出すことに成功したのである。 ナチスというと暗黒の支配といったイメージが強いが、一方で、大胆な政策によって国を立て直し、国民を厚くケアした福祉国家という別の顔も持っていた。だからこそヒトラーは熱狂的な支持を集め続けたわけだ。 いったいどんなマジカルな政策をヒトラーは繰り出しのか? 書は、経済政策という側面から、ヒ

    世界恐慌からいち早く立ち直ったのはナチスだった!~『ヒトラーの経済政策』 武田 知弘著(評者:栗原 裕一郎):日経ビジネスオンライン
  • 江戸の力を見せつける:日経ビジネスオンライン

    徳川幕府成立からほぼ100年が経とうとするとき、時の七代将軍吉宗は大規模な構造改革に乗り出した。幕府の主な財政源だった金銀の鉱脈が途絶え、さらに打ち続く凶作や、歴代の放漫財政がたたって、幕府財政が逼迫し始めていた。振興著しい商人たちに大きな借財をして、かろうじて、幕府は維持されているというのが実状だった。 吉宗は徳川御三家の1つ、紀州藩の藩主の四男として生まれた。しかも嫡出ではなかった。ほとんど、捨て去られても仕方のない境遇だった。 ところが、兄弟が夭折し、将軍も早死にし、運命の巡り合わせで、吉宗は紀州藩主になってしまった。藩主になった吉宗は、厳しく倹約を説き、多額の借財を返済し、藩の財政復活を成し遂げた。 吉宗の財政手腕に目を付けた幕府は、七代将軍に推挙した。将軍職に就いた吉宗はその後改革派の将軍として、29年に渡って幕政を司った。 吉宗は、サブタイトルにもあるように「長耳の人」と言われ

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  • 『豚と真珠湾 幻の八重山共和国』斎藤憐(而立書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 舞台は、1945年11月の沖縄の石垣港近くの料亭で始まる。登場人物は、「サカナヤー(料理屋)「オモト」の主人」「武部隊。海南新報記者」「小学校教師」「中学校の歴史の教師」「密貿易業者」「台湾人の元暁部隊隊員」「日系二世の兵士・通訳」「戦災孤児」「海人」「予科練あがりの特攻隊員」「警察官」「戦災孤老」などで、これらの人びとの口を通して、沖縄の歴史、沖縄と土の関係、沖縄島と八重山諸島の関係、八重山諸島の歴史文化が語られる。多少八重山諸島のことを知っている者なら、よくぞここまで凝縮して語ることができるものだと感心してしまう。しかし、知らない者には、ちんぷんかんぷんの別世界のお話だろう。 主題の「豚と真珠湾」は、ハワイに移住した沖縄人が、豚を飼う野蛮人だといわれてバカにされたところからきている。副題の「八重山共和国」は、終戦後マラリアが蔓延するなか無政府状態に陥った八重

    『豚と真珠湾 幻の八重山共和国』斎藤憐(而立書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG