国税庁が2022年8月に、サラリーマンの副業について「収入金額300万円以下」の場合を原則として事業所得と認めず雑所得と扱うという通達改定案を示していた問題で、意見公募手続の結果、国税庁は10月7日、改定案を撤回し、「帳簿の有無」を重要な判断基準とすると表明しました。国税庁がここまでの譲歩を行うのは異例です。その背景に何があるのか、新しい基準の内容はどんなものか、問題はないのか、解説します。 「収入金額300万円以下」の基準を国税庁が撤回せざるをえなかった理由編集部では2022年9月16日の記事「 恐るべきサラリーマンいじめ!? 副業への増税方針を打ち出した国税庁のねらいと問題点 」で、税法理論の見地から、通達改定案の問題点を指摘しました。 問題点は以下の3つです。簡単に振り返っておきます。 1.税法の趣旨に反する可能性がある 2.副業に対する過度の萎縮効果を生じさせる 3.資産家ほど得を