2014年秋、横浜市歴史博物館でしずる感あふれる企画展が行われた。その名も「大おにぎり展」。 「おにぎりっていつからあるの?」「日本全国にはどんなご当地おにぎりがあるの?」…などなど、学芸員の皆さんがおにぎりの歴史や文化をアカデミックに掘り下げていく展示はテレビやSNSで話題となり連日大盛況に。横浜市歴史博物館のいつもの来場者は7割がシニア層の渋めの男性だが、この会期中は女性の来場者が半分以上を占め、40歳以下の年齢層も多く訪れたという。そんな伝説の企画展を書籍化したのが『おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語』(河出書房新社)である。 特に注目すべきは考古学パート。弥生時代から戦国時代まで全国各地で出土した「おにぎり」を解析し、日本人がおにぎりをいつの時代からどのように食べていたかを検証している。 このおにぎり。どんな見た目かと言うと、炭化して真っ黒の状態で発掘される。しかし、その黒焦げ