地震・火山・台風などの自然災害と各地の紛争・戦乱とは密接な関係があった。中世の災害・戦乱に対する危機管理を通し、民衆史の視点からその実態に迫る。中世社会史の新たな側面を探り、現代の危機管理に課題を示す。 1 自然災害と中世の人びと(自然災害と歴史;自然環境と生産力からみた中世史の時期区分;浅間山の爆発と荘園の形成;中世後期の二つの歴史像—飢饉と農業の発展;災異と元号と天皇) 2 災害・戦乱と危機管理(網野善彦氏『無縁・公界・楽』を読む;戦国時代の制札とその機能;制札と東国戦国社会;軍事的境界領域の村—「半手」を中心に;秀吉軍関東襲来時の戦場のなかの文書;戦乱の中の財産管理—中世の「埋蔵銭」について)