はじめまして。岩波書店編集部におります吉田と申します。 編集者というのは黒子ですので、こういう会で話すことはほとんどありません。何を話していいか分からなくて困ったな――というのが正直なところです。この4、5年、力を注いできた講座がやっと完結した時に、それを取りあげて下さるというせっかくの機会をいただきましたので、少しでも講座の趣旨や目指したことをお伝えできればと思い、お引き受けした次第です。 自己紹介から始めさせていただきますと、私は1970年生まれで、今年36歳になりました。自分自身の意識の中では、括弧つきではありますけれども、「戦後民主主義」の中で育ってきた、育ててもらったという思いがあります。岩波書店では、最初は宣伝部や辞典部にいました。編集部に異動してまだ7年ほどですので、言ってみれば、駆け出しに毛が生えた程度です。 編集者としてとくに決まったジャンルがあるわけではなくて、なんでも