それはなぜか。「検査数が増えると感染者が膨大な数に上ることがわかり、政府がこれまで対策の中核に据えてきた『クラスター対策』『積極的疫学調査』の意義が問われるのを恐れているのではないか」。医療施策に詳しい大学教授の医師は読み解く。 政府が対策の柱とする積極的疫学調査とは、感染者が見つかるとその行動を調査して、濃厚接触者を検査していくというものだ。この調査によってクラスター(感染者集団)を見つけ出す。 この作業を現場で担っているのが、全国各地の保健所だ。手薄な陣容の中、相談センターの運営や、接触者外来からの検体回収などPCR検査の要の業務を行いつつ、「まるで昭和の刑事のような仕事」(先の医師)であるこうした調査まで担えば、パンクするのはむしろ当然だ。しかも感染者が行動歴を明かさねばそれまでだ。 クラスター対策は「竹やり」 政府は今も感染経路の追跡調査を重視する戦略を維持している。だがこの日本独