2019年12月11日。イチョウが舞う東京駅前の行幸通りの一角で、性暴力の撲滅を訴える「フラワーデモ」が行われた。この日、花を持った人々の前に立ち、初めて自らの経験を語り始めた女性がいた。 「こんばんは。私は、性暴力被害者です。この一言をいうのにとても勇気がいります。言うとどんな冷たい反応が返ってくるかわからないからです」 そう切り出すと、職場の上司から強制わいせつを受けたこと、警察から「成人した男女が二人きりになれば好意があるとみなされても仕方ない」と言われたこと、被害後PTSDに苦しんでいることを打ち明けた。 どんな思いで、あの場に立ったのか。女性に後日尋ねると、「このままじゃいけない、これ以上同じ思いをする人を生み出したくない」と話すことを決めたという。 ●警察に相談するも「事件にするのは難しい」 佐藤ゆいさん(仮名・30代)が被害にあったのは約3年前。会社の飲み会終わりに、上司から