ダニエル・デイ=ルイスは先ごろ、米第16代大統領エイブラハム・リンカーンを見事に演じて3度目のアカデミー賞を受賞した。デイ=ルイスは英国の桂冠詩人の息子でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのメンバーだ。私は歴代大統領の中でも最も米国人らしい大統領を英国人が演じることについて深くは考えなかった。デイ=ルイス氏はこれまで既にモヒカン族やニューヨークのギャング団のリーダー、カリフォルニアで油田を掘り当てた男の役を演じてきたからだ。 しかし、映画「リンカーン」でユリシーズ・グラント将軍が登場したときにははっとした。グラント将軍を演じたジャレッド・ハリスはテレビシリーズ「マッドメン」でお高くとまった英国人のレーン・プライスを演じていた。誤解しないでほしい。ハリスは素晴らしい(父親の故リチャード・ハリスなら、役柄のダンブルドア教授のように「brilliant」と言ったことだろう)。だが、米国で最も