新宿歌舞伎町の通称“ヤクザマンション”に事務所、そして大阪府西成に居を構え、東西のヤクザと向き合ってきたからこそ書ける「暴力団の実像」とは――著作『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文春新書)から一部を抜粋する。 ◇◇◇ 「完全に同化してますねぇ」 暴力団との距離のとり方はことほどさように難しい。 〈ヤクザっぽくならないように……〉 私はいつもそう意識している。外見も内面も、彼らと同化してはまずい。マル暴の刑事が本物以上にヤクザっぽい雰囲気を纏っているように、ヤクザ記者がヤクザのような風貌になってはシャレにならない。 同業者にはヤクザっぽい人が多いように感じる。外見はそうでなくても、話し方が尊大になったりする。暴力という力を持ったヤクザと付き合っているうち、自分が強くなったような錯覚に陥るのだろう。最初は真面目そうだった編集者が、アウトロー雑誌を作っているうち、段々とそれっぽくなってきた実例はた