このように、職場を腐らせる人を変えるのは至難の業であり、しかもその背景に潜む構造的要因が拍車をかけている。だから、自分が他人を傷つけたり、周囲に迷惑をかけたりしているという自覚が本人にないこともままある。 私がメンタルヘルスの相談に乗っている企業では、だいたい全員と面談するのだが、周囲から「あの人のことで困っているんです」「あの人どうにかできないでしょうか」といった相談を持ちかけられる人に限って、当の本人は「何にも問題はありません」「悩んでいることはありません」などと答えることが多く、唖然とする。 そもそも、「三つ子の魂百まで」ということわざもあるように、人間の性格は遅くとも18歳を過ぎると本質的には変わらない。精神科医としての長年の臨床経験から私は、17世紀のフランスの名門貴族、ラ・ロシュフコーの「狂気を癒す方法は見つかるが、根性曲がりを矯正する方法はまったく見つからない」という言葉を座