たとえば。このギターリフ、かっこいい。このドラムのリズムもかっこいい。この単純なコード進行にたまにフックが入る感じ、すごくかっこいい。でもその三者だけで押し通す、1曲もたせるというのは、日本の音楽風土においては無理がある。というか、退屈がられる。かといって、カラフルなコード進行に変えて、そこにのっかるメロディがおいしくなるように加工すると、最初の「このギターリフ、このコード進行、かっこいい」という衝動とつながらない音楽になる。 あと、あんまり派手なメロディって、恥ずかしい。抑揚がないことはないんだけど、「ドラマチック」という言葉が当てはまるほどは大きくない、ぶっきらぼうだし無愛想だけどちゃんと歌になっている──それくらいの温度のメロディを、前述の、自分がかっこいいと思うシンプルなコードにのっけたい。派手なメロディはかつてさんざん作ったので、もうそういうんじゃない、自分の中で新しいことをやり