愛媛と高知の県境近く、谷を挟んで四国カルストの山々を望む深い山奥。普段は高齢者数人がひっそりと暮らす愛媛県久万高原町西谷の中久保集落が7月29日、にぎやかな声に満ちていた。「腰が痛うなってきた」「もうちょっとで休憩や。やりきってしまおうや」。集落に通じる1本の山道を守るため、松山市などに住む出身者が年1回帰って来る共同清掃の日だ。今年は50~70代の7人が参加し、通行の邪魔になる落ち葉や小石を取り除いた。 標高850メートル、山の頂上付近にあり交通が不便な集落は一見、消滅の危機にひんしている。しかし長年「限界集落」と呼ばれながらも、住民と出身者が協力して集落を守り続けてきた。共同清掃参加者には集落に移住する決意を固めている出身者もおり、まだまだ歴史が続いていく可能性もある。集落存続のキーワードは「共同性」と「関係人口」だ。(今西晋) 常時いる人口が数人に減っている久万高原町西谷の中久保集落