自動運転の車が高齢者の〝足〟となり、交通状況はデジタルツインで分析され、信号待ちも渋滞も発生しない。風邪をひいても自宅からオンラインで受診でき、医薬品はタクシーで自動配送される。そして、行政手続きは全て手のひらのうえで完結する──。 そんな夢のようなまちに住んでみたいと思う読者は多いだろう。 今、最新のテクノロジーを活用し都市機能の高度化と地域課題の解決を図る「スマートシティ」の実装に向けた取り組みが本格的に始まっている。 日本のスマートシティの端緒は2009年、経済産業省が旗を振り始まった次世代送電網(スマートグリッド)である。当初、ITを活用した電力の需給調整が目的だったが、次第に集めたデータの利活用が始まる。ICTの進展も相まって、11年頃から都市管理の中にテクノロジーを導入し、住民の生活の質を高めようという文脈の中で語られるようになった。今では、明確に定義することが難しいほどにスマ