@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(2) 『格差と希望』を読む @IT自分戦略研究所 書評チーム 2008/7/15 ■経済学と脳科学の接近 ニューロエコノミクス(神経経済学)という学際的な分野が急速に発達している。ニューロエコノミクスとは「人間の行動だけからは分からない意思決定の仕組みを脳科学の手法を用いて明らかにする研究領域」(『格差と希望』p.35)である。 伝統的な経済学において、人間というのは合理的な行動をするものだとされてきた。さまざまな経済モデルは人間の意思決定における合理性に基づいて構築されてきた。しかし、人間が必ずしも合理的に行動するわけではないのは、自分のことを考えてみればよく分かる。人間の(意思決定における)不合理性を織り込んだうえで、経済学を見直そうとする動きが、つまり、ニューロエコノミクス発達の動機である。 人間の合理性と感情との関係を明らかにした有名な実験がある