危険ドラッグを吸引したドライバーによる交通事故が社会問題化する中、被害者に対する自動車保険(任意保険)の保険金の支払いが大幅に遅れる事態が出始めている。通常の事故なら1カ月程度で支払われるケースが多いが、昨年2月に福岡市・天神で起きた暴走事故では、10カ月以上過ぎても支払われない被害者がいる。新しい形態の事故で、損害保険会社の支払い基準が定まっていないことが背景にあり、専門家は同様の事例が今後増えると指摘している。 損保各社は任意保険の保険金支払期限を保険法に基づき、請求日から30日、特別な調査が必要な場合で最大180日と定めている。飲酒運転についても同様で、ある損保会社関係者は「酒気帯び運転容疑で契約者が逮捕されたとしても、事故から1カ月以内に支払い手続きに入る」と語る。 ところが、昨年2月4日に天神で発生した危険ドラッグを吸引したとみられる男による事故では、巻き添えでけがをした人た