『風の谷のナウシカ』に表れる宮崎駿の“矛盾”とは? 『ミヤザキワールド』と『ナウシカ考』、2冊の書籍から考察 昨年末、宮崎駿に関連する書籍が相次いで2冊発売された。スーザン・ネイピア著『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』と赤坂憲雄著『ナウシカ考 風の谷の黙示録』だ。スーザン・ネイピアはアメリカにおける日本文化と日本アニメ研究の第一人者で、赤坂憲雄は『岡本太郎の見た日本』などの著作で知られる民俗学者である。 宮崎氏については、これまでも数多くの論考が送り出され、本人のインタビューも豊富だ。日本アニメのみならず、現代日本文化を代表する存在と言ってもよい同氏の存在は、いくらでも語りがいのある題材であろう。この2冊は、民俗学者と海外のアニメ研究家という、全く異なる視点から宮崎駿の実像と思想を見つめている。 ネイピア氏の『ミヤザキワールド』は、宮崎氏の初期の作品から最終作『風立ちぬ』まで、その創作の