定年後も雇用延長で働いている63歳のA氏は、今後に期待を込めてこう話す。 「4月から、希望する社員は70歳まで働けるようになると聞きました。まだ家のローンがありますし、働けるうちはこれまでと変わらず働きたい」 今年4月、通称「70歳就業法」(改正高年齢者雇用安定法)が施行される。これにより、希望する社員が70歳まで働けるようにする“努力義務”が企業に課せられる。 この改正法施行によって、日本のサラリーマン社会における定年制度は消滅するといってよい。社会保険労務士の稲毛由佳氏が指摘する。 「注意してほしいのは、この法律が“70歳まで会社員でいられること”を保証するものではないという点です。むしろ、多くの中高年は働き方の大転換を求められます」 これまでの「高年齢者雇用安定法」では、企業は「【1】定年を65歳まで延長」「【2】定年廃止」「【3】契約社員などで再雇用」という3通りで希望する社員の6