大正時代の恋愛をコメディータッチに描いた「はいからさんが通る」、源氏物語が原作の「あさきゆめみし」などで知られる漫画家の大和和紀(やまとわき)さん(68)が今夏、デビュー50周年を迎える。歴史を舞台に魅力あふれる人物を描いたストーリーの数々は、どのようにして生まれたのか。創作の軌跡を聞いた。 織豊期から江戸初期にかけて実在した書家の女性が主人公の「イシュタルの娘――小野於通伝」(女性向け漫画誌「BE・LOVE」で連載中)には、真田信之、信繁(幸村)兄弟も重要な役で登場する。連載が決まったとき「幸村が描ける」と喜んだ。「生涯、武将であり続け、最後に潔く散った姿がいい。もっとも好きな武将です」 幸村との出会いは、幼少期に読んだ杉浦茂の漫画「猿飛佐助」。兄の影響で幼稚園児の頃から少年漫画を読みふけり、「鉄腕アトム」「ちかいの魔球」「紫電改のタカ」「伊賀の影丸」などのヒーローたちに夢中になった。