マイナスの意味しかなさない経験はない 実は研修医1年目,私はC型肝炎に感染しています。特にハードな数日が続き,フラフラの状態で患者さんの採血をしていた最中のこと。検体の入ったガラスの試験管を手の中で割り,破片でざっくりと手を切ってしまったのです。運悪く,それがウイルス量の多い肝がんの患者さんの血液だった。数日後,急性肝炎を発症して入院,そのまましばらく一線から離れることを余儀なくされました。 インターフェロン治療でも寛解しにくいタイプだったので,「治癒しない疾患にかかってしまった」と,当時は気落ちしましたね。外科に進むことも視野に入れていましたが,「この疾患を抱えては難しい」と進路変更せざるを得ませんでしたから。しかし,それからだいぶ後にはなりますが,HIVを専門に診るようになって,「治癒しない疾患を抱えていること」がプラスに働くようにも感じ始めました。「青木先生も同じように治癒せぬ疾患と