寺山修司が塚本邦雄に歌集の題名決定を依頼した書簡。八つの案を記した右に、「この中から決めて下さい」と走り書きがある=2012年10月31日、大井浩一撮影 歌人で劇作家の寺山修司(1935〜83年)が歌集「田園に死す」(65年)の題名を、先輩歌人の塚本邦雄(1920〜2005年)に決めてくれるよう依頼した手紙が見つかった。自らの監督・脚本で映画化した「田園に死す」は寺山芸術の頂点を成す代表作。「天井桟敷」のアングラ劇などでカリスマ的人気があった寺山の新たな秘話を示す手紙に、関係者は「第一級の資料だ」と驚いている。 手紙は7月、塚本の遺族から日本現代詩歌文学館(岩手県北上市)に寄贈された寺山の塚本宛て書簡27通(封書9、はがき18)の中に含まれていた。寺山の名が入った専用の原稿用紙3枚に鉛筆で書いたもの。緑色の大判封筒に、昭和39(1964)年11月12日の消印が残っていた。 1枚目に「田園に