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ノーベル賞
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2024年10月1日から特別な理由もなく、先発品を希望する場合、後発品との差額の4分の1に当たる料金を別途徴収されるルールに変更されている。これは十分に周知されておらず、急に院外薬局で別料金を請求された時、びっくりする人もいるのではないかと思う。以下、その簡単な説明が記載されている。これはペナルティのごとき料金なので更に消費税も徴収されるようである。 以下は上記内容が記載された厚生労働省のホームページ。 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養 について後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養に関するページです。関係通知や対象医薬品等、必要な情報を掲載します。www.mhlw.go.jp この差額が生じる条件だが、医師が必要と認める場合は徴収されない。例えばてんかんの患者さんでジェネリックに変更した場合、血中濃度が変化して発作が起こるようなケースである。 てんかんの患
最近、診察時に、タイトルのような質問が出た。よく考えると、このような質問を滅多に受けたことがないことに気付いた。 身体科の場合、例えば癌の治療では、手術をするか、化学療法をするか、ホルモン療法をするか、あるいは放射線治療をするかなど選択肢があり、いくつかは重複することもある。また全く何もしないと言う選択肢もなくはない。 精神科の薬物療法の場合、レセプターに関わる薬の選択が主なので、身体科の高血圧治療に似ている。しかし高血圧治療は血圧を下げるほぼ一方向であるのに比べ、精神科の治療はやや複雑である。統合失調症の処方に限っても、少なくともレセプター遮断一辺倒ではない。昔の抗精神病薬は薬理作用がD2遮断が主体だったため、薬剤性の陰性症状に似た副作用も発生していた歴史がある また高血圧治療の場合、効かない、あるいは効果が乏しいなどの反応はあると思うが、統合失調症、うつ病、躁うつ病の場合、薬のためにか
SNSとは、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)のことであるが、近年、SNSを使った詐欺被害が日本国内だけでもかなりの件数になっている。 最近話題になったものとしては、有名人を騙った詐欺である。つまり有名人になりすまし、大金を奪う犯罪。例えば、池上さん、森本さん、ホリエモンなどになりすましていたが、うっかり信用してしまう方も反省すべき点があると思う。 ホリエモンが自分のなりすまし詐欺に言及しYouTubeで強い口調で言っていたが、 自分の電話番号を知らない奴に教えるわけないだろう! と語っていた。全くその通りだと思う。このタイプの詐欺には、話の流れに違和感というか、「これはおかしいのでは?」と気付くチャンスが必ずある。 このような詐欺的事案は、お金を振り込む前に、「自らの個人情報を晒してまで、儲け話を教えてくれる人などいない」と奇妙さに気
この記事の重要部分は、以下の通りである。 初期の治療が不調だったり、数軒、病院を廻って良くならなかった時、うつ状態はこの辺りまでしか治らないと錯覚してしまうのは良くないと思う。つまりうつ状態の不調に自分が慣れてしまう感じになる。 その点で「うつ状態」は、目標とする改善のイメージが曖昧になりやすい疾患だと思う。 さて、近年、うつ状態を診たら単極性なのか、あるいは躁うつ病のうつ状態なのか、精神科医は十分に注意を払うようになった。その理由は、処方すべき向精神薬に相違があるからである。 簡単に言うと、単極性うつ病のうつ状態はSSRIやSNRI、あるいはトリンテリックス、リフレックスなどの抗うつ剤治療で問題がないことが多いが、躁うつ病のうつ状態であれば、これら一般的な抗うつ剤は好ましくないケースがある。躁うつ病のうつ状態は、可能なら気分安定化薬でコントロールするのが望ましい。 注意点は、必ずしも抗う
統合失調症の治療における抗パーキンソン薬については過去ログのアキネトンのテーマに記載している。以下に1つだけリンクを挙げている。 今回は統合失調症の人に抗パーキンソン薬を併用すると言う趣旨とは異なり、治療にどのように生かしていくか、あるいはその考え方など、ちょっと風変わりな記事である。 統合失調症は子供や高齢者にはほぼ発症しない精神疾患である。例えば70歳の人に統合失調症に類似する精神病が発症したとしたら、ほぼ間違いなく統合失調症とは異なる精神疾患である。 しかし50歳くらいに初めて精神科病院に初診し、間違いなく統合失調症と診断される人がいる。これはたいてい40歳以前に既に発病しており、ひきこもりの状態で家族が精神科病院に連れていけなかったか、家族が敢えてそうしなかった事例が多い。 男性の場合、経過中、例えば警察沙汰などで警察官同伴で精神科病院に受診するケースが見られるが、女性の場合、そう
ベンゾジアゼピンは抗不安薬や睡眠薬として処方されてきた歴史がある。年配の精神科医はベンゾジアゼピンの処方経験の多さと副作用で困った経験が稀なためか、ベンゾジアゼピン処方に対し若い精神科医より抵抗がない。 ここで言う若い精神科医とは40歳代以下くらいであろうか? 近年は不安障害に対し、安易にベンゾジアゼピンは処方しない方針で治療が行われることが多い。ベンゾジアゼピンではなく、SSRIが主流になっているからである。 このブログでは、不安障害に対してベンゾジアゼピンを全面的に否定しないポジションで記載している。僕があまりベンゾジアゼピンを不安障害に使いたくないのは、次第に処方錠数が多くなりかねないという気持ち的な部分が大きい。処方はシンプルな方が良い。また全面的に否定しない別の理由として、日本人はSSRIを副作用的に服薬できない人が少なからずいることも関係している。 また、SSRIは服用し続けて
フルニトラゼパムの錠剤にビニール片などの異物が混入し現在出荷停止になっている。これは原材料を扱う辰巳化学に起因するため、どのジェネリックメーカーなら大丈夫と言うのがない。 しかし先発品のサイレースは購入できるので、全く同じものがなくなるわけではないようである。 今回驚いたのは、ロヒプノールが発売中止になっていたこと。 エーザイがロシュのロヒプノールを吸収し、それまでエーザイが発売していたサイレースに一本化したようなのである。 ロヒプノールとサイレースのように併売されている先発品の一方が発売されなくなることはたまにある。例えばセパゾンとエナデールのようなケースである。これはエナデールがなくなりセパゾンが残った。またコントミンとウィンタミンもそうである。これはウインタミンが発売中止になりコントミンが継続して発売されていた(現在出荷停止)。 よく考えると、ロヒプノールは海外では麻薬扱いとなってい
後発医薬品大手、日医工は不適正製造発覚受け2021年業務停止処分。その後、第三者割当増資などを株主総会で決定し、2023年年3月29日上場廃止となる。日医工の上場は1980年だったので、40年以上経って上場廃止に至った。以下は日医工の株価の月足である。 日医工は今後、200品目以上の医薬品を発売中止すると言う。少し心配して調べたところ、うちの病院の患者さんにはほとんど影響がなかった。(営業自体は続けられる)。 上の写真は日医工によるバルプロ酸Naシロップ4mlの写真である。過去ログでは病棟ではミスが起こりかねないので使わないと記載しているが、今は職員が慣れてきているので病棟でも使っている。この剤型はちょうど4mlが200mg相当なのが良くできていると思う。良いアイデアである。こういう製剤がなくなってしまうのは非常に困る。 ジェネリックメーカーは禄に利益が出ない薬剤ものもあると思うので、今回
患者さんの精神疾患が重く就労ができない場合、比較的生活保護は受給しやすい。しかしその患者さんの資産の状況によるので、精神疾患単一の要件で決まるものではない。 バブル当時、夫婦で精神疾患で働けないが、5000万の価値がある自宅がある夫婦でさえ生活保護を受給できていた。その理由は、その田舎で広大な自宅をすぐに売却できるものではないからである。他の理由もあったかもしれないが、おそらくすぐに使えるような現金に近い資産がなかったからと思われる。ここで現金に近い資産とは生命保険や車などである。 例えば農業をしている人が統合失調症になり長く療養するようなケースでは、役場はすぐに農地を売れとは言わない。その理由は農地を売ってしまったら、農業を生業とする本人が復帰できないからである。このようなこともあり、当時、生活保護の受給要件は全く資産がないことが必須ではないようであった。 今回の話は、ずっと自営業で生活
精神科病院で新型コロナ感染者が出ると、精神科疾患の特性により病棟内でクラスターになりやすい。 その疾患特性とは感染予防のルールが理解できない、十分に守れないなどが挙げられる。例えばマスクを正しく付けられないとかマスクをすぐに外してしまうなどである。また、精神科病棟内のゾーニングが難しいこともある。4人部屋を感染症だけの患者さんにまとめても、すぐに出てきてしまうなどである。精神科病院での新型コロナ流行時の難しさは以下のTwitterなどにも詳しい。 感染症、感染防御専門のEARLさんのtweet 精神病院のコロナ対策がいかに困難か一度介入に入ってみたら分かりますよ。人員の少なさ、患者の特殊性等、通常の医療機関での感染対策は通用しない世界です。現場を知らない方はずいぶんと気楽ですね https://t.co/WYTGOEwmpF — EARLのコロナツイート (@EARL_COVID19_tw
今回はアモキサン中止の感想などをアップしたい。 アモキサン自主回収にあたり半年ほど猶予期間が設けられたため、最初頃はあまり処方は変更しなかったが、11月頃から順次、漸減中止していった。アモキサンを処方している患者さんは自分のデータベースによると8人ほどおり、極端に大量を使っている人はいなかった。 アモキサンを処方するからにはそれなりの理由があるため、単剤でアモキサンを処方している人は少ないのではないかと思った。併用だったとしても精神症状が軽快後、処方をスリムにする際にどちらかを減量中止の際にアモキサンが残るケースはある。 実際、8人の処方内容を調べると、5人がアモキサン含め2剤併用であった。3剤併用の人はいなかった。3人がアモキサン単剤処方だったのである。 5人の併用されていた抗うつ剤は全て異なっていた。これは非常に興味深い。 一応、読者の方には知っておいてほしいが、精神科薬物治療の場合、
精神科医はカルテに主に日本語で記載している。もし100%、英語やドイツ語とか、稀にフランス語で記載しているとしたら、真にリアルには記載していないと言える。なぜなら翻訳しているわけで。 そもそも患者さんの話す内容をカルテに「てにをは」を含め100%正確に一字一句間違えずに記載せねばならないらしい。当時、スマホもない時代で録音もできるウォークマンがないと無理な話であった。 僕は、そのようなことは研修医の頃から意味がないと気づいていたので、もちろん正確には記載していなかった。(できなかったと言うのが正しい) ただし、精神科医が患者さん(およびカルテと言う作品)にかける時間と、精神症状の改善の規模は比例しない(←重要) カルテと言う作品と言うと大げさになるが、確かに価値があると思えるカルテが書ける精神科医がいる。それは文学的と言うのはニュアンスが違う。精神症状を正しく相応しい日本語(もちろん語彙が
ビペリデン(先発品:アキネトン)は主に抗精神病薬の副作用止めとして併用処方されてきた歴史がある。しかし、ここ20年くらいで非定型抗精神病薬が主流になり、あまり処方されなくなった向精神薬の1つだと思う。ビペリデンの詳細は以下の過去ログを参照してほしい。 ここ2年くらいの製薬会社の不祥事を契機に、各製薬会社はジェネリックを安定して供給できなくなっている。これは過去ログに数回記事をアップしている。それに加え、原薬を製造する製薬会社は新型コロナの治療薬を優先したいようで、これまで供給に問題がなかった薬まで不足する事態になった。 今回、抗精神病薬の副作用止めの定番、ビペリデンが来年1~2月頃から供給できなくなると言われている。しかも原薬がなくなるので、製造する全ての製薬会社で供給できない事態になった。しかも1年以上、再発売の目途が立たないらしい。 ビペリデンは今は非常に使われているわけではなく、おそ
昔テレビで、校則守らないと言う理由で高校の担任にさんざん叱責され、退学した高校生のドラマが放映された。このドラマは実話だったと言う。今の中学校や高校の校則はかなり緩やかになっているが、昔は意味不明で不条理な校則が多く存在していた。 例えば、僕の中学校は男子生徒は丸坊主必須で全員が短く刈り上げられていた。丸坊主の理由を教師に尋ねた友人によれば、非行の防止だったらしい。つまり周囲からすぐに中学生とわかるようにマークしておくのである。またクラブ活動を原則全員参加せねばならない理由も同様に非行防止だったようである。 お前らは、暇だとロクなことせん。 などと、授業中に担任が言っていた。当時のゲーセンはまだテレビゲームがなく、メダルゲームが主だった。中学生がゲーセンに行くのはもちろん補導案件である。 丸坊主について医学的なことを言えば、自転車の転倒や車にはねられたなどの事故では、丸坊主だと頭部へのダメ
最近、クリニックに行くような新患が、単科精神科病院に来るようになった。これは色々な意味で興味深い。 患者さんがクリニックに初診しようとすると、予約になりしばらく待たされることが多い。「来月の〇日に来てください」くらいならまだ良い。先日初診した婦人は、「年内は予約が難しい」と言われたそうである。 うちの病院は数年前は、病院に来た日に初診で見ていたが、今は収拾がつかないとか、医師により新患患者数に偏りが出るなど不公平になるため予約制にしている。基本、電話で予約受付をするが、運が良いならその日の午後に初診できる。待っても1週間以内である。 どうしてもその日に診てもらいたい、という希望があれば、僕はなんとかその日に診るが、その希望は受けいれられない病院の方が多い。なぜ、その人を診るかと言うと、そこまで言うからにはかなり悪いかもしれないと思うから。実際には、しばらく休みが取れないなど普通の理由のこと
精神疾患によりアルバイトも向き不向きがある。僕はコンビニのアルバイトができる人はポイントが高いと思う。これは、コンビニでアルバイトができる人は他のアルバイトも広くこなせそうと言う意味である。ここでは、ミスが多く店長に叱られてばかりの人はできるとは言わない。 ある日の診察中、コンビニは色々なことを覚えねばならず、同時にしないといけない業務も多いので大変と言う話が出た。 現代のコンビニはキャッシュカードや交通系パスモなど様々な支払い方法があるし(チャージも含め)、税金の支払いや住民票も取れるようになり、レジ打ちだけできるのでは到底務まらない。 ADHDの患者さんで、コンビニよりもう少し易しそうにみえる居酒屋のアルバイトで、大学生なのにミスがあまりにも多く、店長から高校生やフリーターより遥かに仕事ができないと言われショックを受け、精神科に初診した人がいる。 これは障害に由来するミスの多さと仕事の
精神科に限らず、どの診療科でもどこの病院やクリニックが良いか意外にわからないものだ。 僕も困ることがよくある。なお、過去にどこに行くか最も悩んだ診療科は整形外科であった。歯科もわからない科で、友人の間で評判の良い歯科に行くようにしていた。 今はインターネットに口コミなるものがあるが、あれはアテにならないので、信用できない。 そもそも僕が15年くらい通院した歯科は口コミは酷いものだった。その歯科医は僕が生まれて以来最も上手いと思ったが、口コミはほとんど技術的なものには触れていなかった。なお、今はその歯科医には通っていない。その理由は自費医療費が不明瞭だからであった。たぶんその歯科医は東京だと今よりずっと成功すると思う。 嫁さんはとっくにその歯科に見切りをつけたが、その理由は痛いからであった。よく、歯科医の良し悪しを痛い・痛くないで評価する傾向があるが、あれって関係なくないか? 僕は精神科医な
トリンテリックスも発売されて数年経ち、初診時にトリンテリックスが選択されることも増えていると思う。 僕はトリンテリックスは5㎎から開始することが多いが、既に他の病院で抗うつ剤の服用歴がある人は10㎎から始めることもある。基本、添付文書的には10㎎からである。 トリンテリックスとレクサプロは開始用量、最高用量も偶然同じ用量になっている。つまり10㎎から開始し最高用量は20㎎である。 この2剤の特徴は、最初の用量が既に治療用量に達していること(少なすぎないと言う意味)。従って初診時に10㎎投与されて継続し続け、一度も20㎎を服用したことがない人がけっこういる。僕の患者さんの中に限れば、20㎎まで処方したことがない人がたぶん半分くらいいる。 これは抗うつ剤に限らず、新しい非定型抗精神病薬もその傾向があり、ラツーダの添付文書には統合失調症の治療に対し、 〈統合失調症〉 通常、成人にはルラシドン塩酸
ファイザーは2022年8月、アモキサンカプセル及び細粒に発癌リスクのあるノトロソアミン化合物が検出されたことを受け、他の抗うつ剤への切り替えを要請している。この対象となる薬物は、アモキサンカプセル(10㎎、25㎎、50㎎)及び同細粒の10%である。 https://www.pmda.go.jp/files/000248054.pdf ファイザーによれば、このニトロソアミン検出の原因はアモキサンと添加物による反応と言う。しかしながら、急激な中止は精神症状不安定や離脱症状を来すため、しばらく出荷を継続するらしい。しかし2023年2月から自主回収が開始され、それまでにアモキサンを他の抗うつ剤に変更しなくてはならない。猶予期間は約6カ月である。 ニトロソアミンについてはアモキサンに限らず薬物に混入していることがあるため、数年前からいくつかの処方薬が自主回収になっている。
このタイトルはうまく伝わらないと思う。少し言い換えると背景にADHDまたはそのグレーゾーンがあり、それに由来する困惑状態。 どのような事態になるかと言えば、「会話の際に反応が悪くうまく返事ができない」という昏迷に近い病態から、会話ができるが日常生活で多くの場面で何も決められない、何もできないなど、もう少し動ける軽い病態までの範囲にある。後者がタイトルのADHD的困惑状態に近い。 この病態に至ると、やたら音が響いてストレスがかかるとか、いつも不安感に襲われるなどの非常に情緒不安定になる。 女性だと今日の夕食をどのような料理にするか決められない。家事全般に時間がかかる。しかし、例えば肉じゃがを作りなさいと食材を渡すと料理はできたりする。 余談だが、かなり重い統合失調症の女性も料理はできる人が多いので、おそらく料理を作ることは自転車に乗ることに似た自然にできることなのでは?と想像している。 困惑
不足している向精神薬は納入業者と連絡を取り合ってなんとかやっているのが現状である。薬剤師と問屋の人的なネットワークは非常に重要で、うちの病院はそのために真に枯渇しないところがかなりある。(頑張って融通してもらう) 困るのは安定供給が難しい点。突然、1箱入ってきて、次はいつかわからないなどである。 最近、驚いたのは、院内薬局でリスペリドンが不足し始めたこと。ジェネリックの1㎎、2㎎錠が全くなく、先発品のリスパダールに変更せざるを得なかった。しかも入ってくるのリスパダール1㎎錠が普通錠で、2㎎はOD錠のみである。しかし、0.5㎎錠はジェネリックのリスペリドンがあるという歪な状況である。 処方箋を変更する医師の身にもなってくれと言いたい(処方変更の手間が増える)。 ところで僕の入院の受け持ち患者の処方を検索したところ、リスペリドンを投与している人がたった1名。それも0.5㎎錠を1錠だけであった。
数か月前から、先発品、後発品のいずれも不足し始めたという記事をアップしている。最近、クエチアピン、セロクエルまで不足し始めている。今のところ小さい用量の剤型(12.5mg、25㎎)が不足しており、大きな剤型(200㎎錠)を分割して処方する状況である。 クエチアピンは統合失調症だけでなく双極性障害、うつ病、神経症、認知症にも適応外処方されるので影響はかなり大きい。 最近、医薬品不足になり始めて思ったことは、なんだかんだ言って向精神薬は代替しにくいこと。内科では例えば降圧剤などでほとんど効果や副作用の差異がない異なる薬が併売されているが、精神科薬の中でもとりわけ非定型抗精神病薬はそんな風ではないのである。 過去ログで向精神薬に関してはMRさんの営業はあまり意味がないと言う記事をアップしているが、向精神薬は個性がありすぎて営業に意味がなくなっている。大キャンペーンしても売れないものは売れない。
去年からジェネリックメーカーの不祥事が相次ぎ、現在ジェネリック医薬品が正常に供給できない状況である。 上の記事から抜粋(小林化工の不祥事) 問題の薬は「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。市販薬ではなく、医師の処方箋がなければ購入できない薬だ。今年9月~12月に出荷した9万錠に1錠あたり5ミリグラムの睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」が混入していた。1回あたりの最大投与量の2.5倍になり、意識がもうろうとする危険性が高い。 製造工程の失敗の中でもスケール的に極端なものだと思う。イトラコナゾールは経口抗真菌剤(白癬症など)の薬だが、なんとリスミー(リルマザホン塩酸塩水和物)が混入してしまったのである。その量も1錠あたり5㎎という大量である。リスミーはあまり効果が強くない眠剤で、剤型は1㎎錠と2㎎錠があり最高量で4㎎までとされている。さほど強くない眠剤とはいえ、普段眠剤を服用したこと
ファイザー製新型コロナワクチン(コミナティ)は2回目接種の際に発熱、倦怠感などの副反応が出やすい。僕の病院では看護師は最初に接種した人の様子を見て2回目接種の翌日は休日を入れるなどして対応していた。発熱の際はたいていの人はカロナールを服薬していたようであった。(300㎎錠) 副反応は接種部位の筋肉痛以外に何もなかった人も結構いたが、発熱した人もそこそこいる。熱の上がり方はさまざまだが40℃近い発熱をした人もいた。小脳出血を起こした人は一時めまいなどが出て歩くのも大変だったが、大学病院の診断後も入院せず、今は後遺症もなく職場復帰している。なぜ入院しなかったかと言うと、子供の世話が大変だったためと言う話。コロナワクチンの副反応の治療は、基本、強制はない。 このように新型コロナワクチンはそこそこ体に侵襲性があるので、このワクチン接種の機会に向精神薬が中止できるのではないかと思った。 疼痛のために
先日アップしたダヤン似のネコにはお友達がいる。それが上のネコだが、ダヤンの方が太っていて、白い毛の部分が汚れている。このネコは白が綺麗だと思う。 ダヤン似ネコは図々しほど人を気にしないが、このネコは少しシャイで少し人を避けるように見える。 上から見ると区別がつきにくいくらいキジネコ部分は似ている。 これはダヤン。ネコは良く見ると、けっこう顔が違う。 これは何でしょう? 上の2匹がネコ鍋のように寝ていた跡。草むらに跡が残っている。撮影しようとしたら2匹ともすぐに立ち上がったのでした。
このブログではたまにナショナルジオグラフィックチャンネルについて触れている。今回は、ナチスに残る都市伝説の真相「超人的軍隊と危険薬物」について。興味がない人は面白くないと思う。 第二次世界大戦の初期にナチスドイツが電撃戦という戦術を採用し大戦果を収めた。これはドイツ語でBlitzkrieg(ブリッツクリーク)と呼ばれる。例えば数日間休むことなく戦闘を続けるが、これは生理的な点で通常のヒトには難しいように思われる。 電撃戦として最も有名なものは1940年5月10日、ナチスドイツがフランスとベネルクス3国に侵攻した戦いが挙げられる。その初期に僅か86人のドイツ兵が難攻不落と言われていたエバン・エマール要塞を制圧している。以下はウィキペディアから。 エバン・エマール要塞は最大1200名の兵員収容することができた。戦闘開始時の要塞のベルギー兵は750名もいたのである。要塞は陥落などありえないと思わ
ある時期、次第に眠くなる経過がある人は、いかなる診断であれ双極性障害的な要素を持つ人だと思う。この時期、本人や家族は薬が多すぎるのではないかと思う人が多い。また精神科医はそう思わないが、薬が体に蓄積してそうなったと思う人もいるようである。 たいていの人は何も処方変更せず毎日眠い日が続くわけで、処方薬の悪影響はないか、ほとんどないと言わざるを得ない。しかしながら、処方の整理がついていない人は、この時期に多剤併用を整理することは可能だと思われる。 毎日、眠くて困るという病態は、副交感神経優位な時期だと思われる。精神疾患に限らず、ほとんどの疾患は交感神経優位より副交感神経優位の方が治癒あるいは快方に向かいやすい。温泉では神経痛や慢性疾患などの効能効果が挙げられているのを見てもわかる。 非常に眠がる時期は、激うつであることは滅多にない。眠さと激うつは対称的な病態ではないが、少なくとも近縁には位置し
今日は令和2年7月6日に発売されたデエビゴ(レンボレキサント)という眠剤の話。エーザイが創薬したオレキシン受容体拮抗薬である。基本的にベルソムラに似た作用機序を持つが、様々な点でより優れており次第に処方数が伸びていくと思われる。なお、アメリカでは昨年(令和元年)12月に承認されている。今回の記事はスボレキサントやベルソムラ(スボレキサント)のパンフレットなどの過去ログを読むとわかりやすいと思う。 エーザイはベルソムラの構造式からヒントを得て創薬したわけではなく、独自に開発している。そのため構造式も全く異なっている。剤型は2.5㎎、5㎎、10㎎の3種類で、最初5㎎服用し10㎎を超えない範囲で適宜増減できる。エーザイはこの辺りは細かいと思う。ちょうどルネスタの剤型のようである。 デエビゴの特徴としてベルソムラよりオレキシン2受容体への選択性が高いことが挙げられる。オレキシン受容体は1と2がある
時々、病棟や外来の看護師さんから紹介状の文章が上手いと言われる。「なぜあんな風に書けるんですか?」とか。これはたぶん医学的内容ではなく、診ていただく医師への配慮などを指しているのではないかと。その理由は専門ではない医師への紹介状も上手いと言われることがあるからである。 ある時、鹿児島に転居する患者さんの紹介状を書いた。転居する病院はわからないので紹介病院は無記名にした。その患者さんは診断に迷う患者さんだったこともあり、診断理由まで記載したため3ページ半ほどになった。 なんと、その患者さんは神田橋先生にかかったと言うのである。当時、神田橋先生が鹿児島の病院で診療していることなど知らなかった。神田橋先生の診察には大勢のギャラリーがおり、彼らの前で紹介状の内容が素晴らしいととても誉めてくれたと言う。「こんな医師は鹿児島にはいないと」(鹿児島の精神科医の方には失礼な内容ですいません。) しかし、そ
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