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「初めて恐竜化石を見たのは小学校4年生、遠足で〈大阪市立自然史博物館〉を訪れた時です。ティラノサウルスの骨格標本があって、当時の自分の体も小さかったぶん、その迫力に圧倒されました。首を曲げてずっと見上げていたのを覚えています。もっとじっくり見たいと思って、遠足の後にも家族に連れていってもらったんです」 と、日向坂46の小坂菜緒さん。過去に『恐竜科学博』のアンバサダーを務め、冠番組『日向坂で会いましょう』でも恐竜の授業を行ったことのある大の恐竜フリーク。「人生で一度は訪れてみたかった」と熱望していた〈福井県立恐竜博物館〉を初訪問した。 2023年増設の新館を象徴する、福井で発見された新種を配した13mの恐竜タワー。「福井の恐竜たちを一番に楽しみにして来ました」 シューズ173,800円*予定価格、ドレス参考商品(共にプラダ/プラダ クライアントサービス TEL:0120-45-1913) 「
「奇跡は起きる。だから人生は捨てたもんじゃない」 90年以上前の古典から、黒沢清監督作の『トウキョウソナタ』など近年の作品まで揃う「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」。選定の軸となった「家族」と「喜劇」は、監督にとってどういう存在なのだろう。尋ねると、この2つの言葉を鉛筆で紙に書き、それを見つめながら考えた後、こう語ってくれた。 「寅さんというのは家族の喜劇だよね。例えば、僕らは忌野清志郎の歌や声、ライブを通して“彼はこういうことを言いたかったんだな”と感じる。文学者も画家も同じで、表現したいことは作品そのものにしかない。僕も、スクリーンを観て笑ったり、涙ぐんだりしてもらえるような映画を作りたかった。それだけなんだよ。 だから“何を言いたかったんですか?”と聞かれても、“寅さんということを言いたかった”としか言えない。清志郎が歌い、大セザンヌが絵を描くように、僕は映画を作ってきた。集
これを誰が書いたのか、 あなたも私も ずっと分からないまま 「イーちゃんはハスッパだ。私なんかもよくハスッパだという言葉をあずかる場面があるが、私なんかよりもっと今の時代らしい、現代的なハスッパなのである。 イーちゃんは私よりも3つ年下であり、あまり頭が良いほうではなさそうな空気を確実に醸し出しているが、酒は百薬の長という言葉を多用、否、乱用してはそれを免罪符として大酒を呷る。それも酔いが回ってくるとハブ酒とかテキーラとか小さいタイプの酒を飲みたがるので、小さい酒を好まぬ私に『私とおる時に小さい酒を飲めると思わんといてくれ』と頑なに制されることとなる。その際イーちゃんは、ヒャア、と叫ぶみたいにして笑う。イーちゃんはタバコは吸わず、その理由は『タバコなんか吸ったら男にモテないじゃないですか』と、愛煙家の私を前にしてはっきりと言いきる。私はそれがやかましくて、おい、わしがいかにモテてきて大変や
サイズが無限大の行列の集合の性質とは? 大学構内のベンチに座り、中空を見つめる河東泰之先生。こうしてじっくり考え続けることこそ、先生の研究の要だ。 「私が取り組んでいる数学は“この問いを解く”というスタイルではありません。大きな枠組みの中にある、ぼんやりした全体を明らかにしたい。そういう研究です」 専門は作用素環論。量子力学の誕生とともに発生した、理論物理学との関連が深い分野だ。誕生からひと世紀近く経つが、その全貌は1%もわかっていないという。 「作用素環というのは、サイズが無限大の行列の集合です。その性質を研究することが私の仕事。作用素環がいくつあるのか、どのような種類に分類できるのか、そのほとんどがわかっていないんです」 研究室のデスクには大量の大学ノートが並ぶ。基本の研究ツールは紙と鉛筆なのだ。考えては適当な白紙に書きつけ、ある程度考えがまとまったらノートに整理していく。一人で考え続
効率重視の世の中で、大学が人文知を守るには? 國分功一郎 哲学の研究というものは説明がしづらいんですが、私の場合は、論文や本、発表原稿を書きながら考えるということが多いです。例えば最近は、自分と「似てる」他者について考えている。「似てる」というのは、「同じ」でも「違う」でもない。それは、私が取り組むASD(自閉スペクトラム症)研究を進めるためのヒントになる。 斎藤幸平 私の場合はマルクスの思想を研究するという軸があります。マルクスの考え方で現代の問題を捉えるとどうなのか。当然、マルクス本人は答えを出していないので、マルクスだったらどう考えるかという仮定を出すことになる。これは今のところAIには代替できません。 國分 AIについて私が気になるのは「身体」ということ。AIが入っているサーバーをAIの身体だとは誰も考えない。では、人間が身体を持つとはどういうことなのか。それは人間が有限であるとい
ロックが流行らなくなった。そんな身も蓋もない話から、この対談は始まる。 かつてロックは、若者の音楽であり、バンドの音楽であり、衝動やロマンや思想を映し出す音楽だった。ギターを持つこと、バンドを組むこと、レコードを買うこと。そのひとつひとつが、音楽を聴くこと以上の意味を持っていた時代がある。 いまはどうだろう。さまざまな表現方法を選べ、より細かいジャンルがあり、サブスクでなんでも聴けて、トラックはひとりで作れる。若者たちにとって、バンドを組むことは必ずしも有力な選択肢ではなくなっている。チャートの中心にロック・バンドはいない。フェスの風景も変わった。ロックは本当に流行らなくなったのか。そもそも、ロックとはなんだったのか。 この連載では、長年ロックを聴き、書き、語ってきた松永良平と安田謙一が、いま改めてロックについて話してゆく。名盤ガイドでも、正史の講義でもない。ロックを知らない人にも、昔は聴
きみしま・おおぞら/1995年東京都生まれ。弾き語りの「独奏」、石若駿、新井和輝、西田修大との「合奏形態」など、複数の編成を駆使し、様々なジャンルを融合させるシンガーソングライター、ギタリスト。NHKドラマ『火星の女王』の主題歌「記憶と引力」を手がけた。 君島大空はかなり熱心なジュリアン・ラージのファンだ。彼は2025年のジュリアンの来日にも足を運んでいた。君島と彼の友人でギタリストの西田修大はこのとき、ジュリアンと初対面した。若い才能との出会いをジュリアンは喜んでいて、そこでふたりは連絡先を交換し、君島はジュリアンに自身の音源を送った。その後、この対談が決まった。 この対談は清々しいほどに気持ちがいいものになった。君島がジュリアンに向かって真っすぐに自分の疑問を投げかける。君島からの問いにジュリアンは優しく丁寧に答えを返す。この日のジュリアンは君島の質問に答える中で自分の心の内をさらけ出
「私もアイドルの概念をももクロに壊された一人」 「アイドルは20代のうちに卒業」。今もなお女性アイドル界に漂うそんなムードを、最前線で打破してしまったグループがいる。2008年の結成当初から、“らしくないアイドル”の道を邁進(まいしん)してきたももいろクローバーZだ。 12歳でグループに加入した“あーりん”こと佐々木彩夏さんは「私もアイドルの概念をももクロに壊された一人」と笑う。 「当時の私は、恋愛禁止でプライベートが見えない普通のアイドルに憧れていたんです。だけど、マネージャーの方針でアイドルらしくない活動をする中、だからこそ応援してくれるファンがいることに気づいて。そういう経験を積み上げるうちに、ファンの方々と一緒に作り上げてきた“あーりんらしさ”を楽しめるようにもなり、今は“職業:プロ・アイドル”って感じですかね。 だから最近はオフの自分を隠そうとも思わなくなりました。そもそもSNS
お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第50回。「今月のヒコロヒー」も要チェック! 前回の「机上でコントを作り、少し稽古をして、舞台に立つ」も読む。 どういうわけか、 私はその店を買った 一年前の今頃、たまに飲む仲である「新宿のマキさん(50歳くらい)」ら数人と共に、飲み屋から飲み屋へとひらひらと浮遊しながら酒を呷っていた日のことである。 時間が深まると共に一人、二人と帰っていき、明け方の頃には妙にアルコール強度が高いマキさんと私だけが残されており、帰ろうかと店を出たはずなのにマキさんは当然のように次の店へと向かっていくので、酔っているわりに歩くのは異常に速いその背中に向かって、もう四時ですよと、往年の毎日放送の番組名を言っているみたいになりながらも小走りで追う他なくなっていた。しばらくすると歌舞伎町のど真ん中の雑居ビルのエレベーターの中にマキさんが吸い込まれていくので、慌てて私もエレベータ
La Clave『La Clave』(1973年) アパートの窓の中を凝視すると、ジャングルに生きる動物たちが!ラテンバンド、ラ・クラーベのメンバーたちは南米出身。故郷への思いが詰め込まれている。 Boogie Down Productions『By All Means Necessary』(1988年) ラップ界の“先生”ことKRS・ワン。言論弾圧と闘っていた時期の作品で、窓から外を覗き込むマルコムXの写真をサンプリング。
トラックメーカーのSTUTSがホストの番組『STUTS JAZZ JOURNEY』とコラボレーション。トラックメーカーDJ Mitsu the Beatsを招き、エポックメイキングな作品を通してヒップホップとジャズの歴史を振り返る。 初出:BRUTUS No.1002「JAZZ is POP!!」(2024年2月15日発売)
中華のテーブルに汁モノの麺は欠かせない。マイルドで優しい、〆にほっとする一杯を。あるいは具だくさんでスパイスたっぷりな、がっつり満腹になれる一杯を。食通たちが厳選する最高の中華麺。 中目黒〈中華美食 トミーズキッチン〉 特製白湯鶏煮込みそば 1,300円 ・富谷宗久シェフの修業先、六本木〈香妃園〉のスペシャリテをそのまま引き継いだ一杯。 ・丸鶏をじっくりゼリー状になるまで煮込んだ白湯がスープのベースで、コラーゲンも豊富。 ・まろやかな味わいゆえに、胃にも優しい。 牛込神楽坂〈梅香(メイシャン)〉 担担麺 1,100円 ・スープは醤油をベースに、唐辛子が効いた自家製ラー油が香る。青菜の芽の部分を醤油で漬けた、ヤーツァイも味わいのアクセントに。 ・伊藤光恵シェフは四川料理の名人・趙楊さんに師事して独立。またソムリエの資格も持つ。 錦糸町〈栄福〉 韮溜湯麺(ひりゅうたんめん) 1,045円 ・豚
「蒲田という街は、なんというか“肩の力の抜けた東京”だと思う。オシャレや流行とは無縁だけど、だからこそ妙に居心地がいい。駅前に立つだけで、昼から飲んでいる人、職業不明の風変わりな人たちが行き交っている。昭和で時間が止まったような喫茶店や定食屋、そして居酒屋。そんな街にいると、気づけば自分の肩の力まで抜けて、素の顔になっている。なぜなら周りには自分以上に肩の力の抜けた、超「素」の人ばかりだから。そのゆるさと包容力が、もはや東京では稀少である。 それに何より、飯がうまくて酒がうまい店が多い。しかも安い。混沌とした街並みの中で一杯ひっかけ、ほろ酔いで夜風にあたると、不思議と心がほぐれていく。『今日も生きててよかった』『明日も生きてていいんだな』と思えてくる。僕にとって蒲田は、治療とかリハビリに近い、“飲酒OKの総合病院”みたいな場所です。これからも、あまり変わらないでいてほしい」 上海わんたん
【訊いた人】 坂上陽子(『文藝』編集長) 戸井武史(『群像』編集長) 浅井茉莉子(『文學界』編集長) 杉山達哉(『新潮』編集長) Q1.文芸が好きになったきっかけの一作は? 文藝(坂上) 金井美恵子『小春日和』。 群像(戸井) 大江健三郎『個人的な体験』。1994年のノーベル文学賞受賞時に手に取り、「こんなふうに日本語を使う人がいるのか」と驚き、夢中で過去の作品を読み始めました。 文學界(浅井) 河野多惠子『みいら採り猟奇譚』。 新潮(杉山) 町田康『くっすん大黒』。中学生の頃なにげなく手に取り、小説、そして日本語はこんなにも自由でいいんだと衝撃を受けました。「文体」というものを初めて意識したのも、この作品。 Q2.毎号どのように特集や一号の構成を考えていますか? 文藝(坂上) 編集部の雑談。面白半分マインド。 群像(戸井) 連載がしっかりボディを担保してくれているので、巻頭近くになるであ
──『ばけばけ』の主題歌を制作するにあたり、どんなリクエストがありましたか? 佐藤良成 制作側から言われたのは、ドラマのモデルになった小泉節子(セツ)さんの書籍『思い出の記』を読んでおくこと。そして、ドラマ自体が夫婦の物語なので、歌は私たち2人の掛け合い。声が重なったり、また離れてったりするように歌うイメージをとのことでした。それ以外の注文は、まったくありませんでした。 佐野遊穂 大きな仕事なのに、あまりにリクエストがなさすぎて驚きましたね。 佐藤 注文が多い方が、イメージがはっきりする場合も多い。私たちの楽曲は、決して派手な曲はありません。その旨、プロデューサーさんや演出家へ伝えたところ「ハンバートらしい曲が欲しいです」と返事があり。とにかく、好きに作ってくださいと。 佐野 こちらから「ほかに、なにかありますか?」とか、少し粘ったりして(笑)。 佐藤 自分たちで、最初から規制しても面白く
お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第49回。「今月のヒコロヒー」も要チェック! 前回の「あなたになら話したい。」も読む。 机上でコントを作り、 少し稽古をして、 舞台に立つ 一杯200円のコーヒーで朝まで粘りながら机上でコントを作り、少し稽古をして、舞台に立つ。 松竹芸能が私に初めて単独公演をやらせてくれたのは13年前、私が芸歴3年目の頃だった。当時、大阪には道頓堀角座という松竹芸能が満を持して設立した劇場ができたばかりであり、こけら落としには名だたる師匠方が集結し、東京から売れっ子のキンタロー。が来たり、それをチョップリンさんが見守っていたりしていた。その後キンタロー。もチョップリンさんも脱竹に大成功するとは露とも思っていなかった頃である。 芸能事務所には多かれ少なかれ「おされる」というものがある。所属タレントを事務所が「おす」という行為だ。大手プロダクションであれば事務所がタレントを
『テーブルテニスのゲームのレフィル』って、なに? ──今回のアルバムをトータルで聴いてみると、すごく一貫性があって音楽的なコンセプトみたいなものを整えてつくられた印象があったんです。インストのアルバムを作ってみようと思ったきっかけはどんなところだったんですか。 実は、普段音楽を作っている中で自然と「インストみたいなもの」ができることはちらほらあったんです。今回のアルバム1曲目の『不注意を払う』も、歌を載せる感じでもないかもなと思って置いておいた曲で。 もともと歌うことが好きなので、私の曲は歌があって成り立つと思っていたんですが、インストを作る仕事をしたときに単純に楽しくて、満足できるものが作れた。それで今回、新たにインストアルバムを作ってみようと思ったんです。 たとえば、「gym」は4つ打ちの電子寄りの曲を作りたいという動機から生まれたし、「As a friend」はピアノを弾いたときのミ
私たちに元気をくれるアイドルたちにも、かつて憧れ、日々の支えになっている自分だけのアイドルがいる。BRUTUS「アイドルって?」(2025年12月1日発売)で、現役アイドル18人に作ってもらった「マイアイドルソング☆プレイリスト」をWebにて特別公開中!本誌ではさらに、選んだ曲への思いについても語ってもらっています。特集の詳細はこちら。 ※配信状況により、一部楽曲が含まれない場合があります。 text: Sho Kasahara, Kazuaki Asato, Minori Okajima / illustration: DENQ / photo: Jun Nakagawa, Keita Sugeno / styling: Saori Katayama / special thanks: sinot.clothing 連載一覧へ
今年大ヒットしたあの曲の生みの親から、ワールドグループを手がける日本を代表する作曲家、さらに音好きも唸る楽曲派アイドルの音楽プロデューサーまで。現代のヒットメーカーたちが、そのこだわりとノウハウを語る。今回は、ミュージシャン・玉屋2060%に聞いた、アイドルソングの作りかた。 本記事は、BRUTUS「アイドルって?」(2025年12月1日発売)から特別公開中。詳しくはこちら。 「倍倍FIGHT!」もファストコアの影響⁉ 最初にアイドルに作曲したのは、でんぱ組.incの「でんぱれーどJAPAN」(2012年)でした。当時はアイドルについて何も知りませんでしたが、リクエストが「Wiennersみたいな曲」ということだったので、友達に曲を書くようにして作りました。それが気に入られて楽曲提供を続け、「サクラあっぱれーしょん」(14年)を制作した時、彼女たちの次のライブ会場が武道館だと知り、ようやく
特別な衣装を着てステージに立ち、ひたむきに歌い、踊るアイドルたち。その姿は、美しくも、強くも、時に儚くもあります。彼ら、彼女らの存在に、どれだけ多くの元気と勇気をもらったのでしょうか。昭和から平成、そして令和になっても、アイドルは多くの人たちの心の支えになっています。そんなアイドルの姿も、社会や時代の変化とともに変わりつつあります。多様化するアイドルという存在について、プロデューサーや作曲家、作詞家にコレオグラファー、衣装デザイナー、ボーカル講師まで、彼らを支えるクリエイターたちと考えました。何をもって、誰のためのアイドルなのか?あのグループはなぜ人気なのか?アーティストとアイドルの違いって?2025年、ブルータスのアイドル論をお届けします。
独立系書店が年々増えているという。古本屋を舞台にした話題の漫画『本なら売るほど』のように、偶然の出会いを楽しめる書店はサードプレイスのよう。イベントや読書会など集まる機会を積極的に作る“居場所”のような独立系書店を紹介する。 人が集まるきっかけを作る本屋 東京・東中野の〈platform3〉は、〈loneliness books〉を主宰する潟見陽さんと、出版ユニット〈(TT)press〉が共同運営。クィアやジェンダーをテーマにしたイベントを積極的に行う。東京・幡ヶ谷の〈OH! MY BOOKS〉は店主・福永紋那さんが選んだ、社会や暮らしについての本が並ぶ。まずはリーディングパーティから参加するのも手。 長野・松本の〈栞日〉はまさにサードプレイスを目指し、喫茶や宿、銭湯など暮らしと共存する本屋だ。詩歌のセレクトが豊富な福岡・天神の〈本のあるところ ajiro〉では、詩の朗読や歌会をすることも
年間4〜5冊ものペースで本を出版し続け、2024年の年末で著作が45冊になるという坂口恭平のアトリエには、立派な書棚が1台あり、哲学書や全集が並ぶ。しかし、彼は開口一番「読書ができない」と言う。本は作りたい、だけど読めない、坂口流の読書とは。 「書く」ために「読む」読書とは 「読書に関しては、昔からコンプレックスがあった。本が読めないんだけど、本を書きたい、作りたいという気持ちは強い、という不思議な感じだった」 坂口は幼い頃から何かを「作る」ことに興味があった。そして、本という紙が綴られた束にも憧れと興味を持ち続けていた。本が好きで手には取るのだが、神経の過敏さゆえ集中して読み続けることができない。すぐに本を読むのをやめて、紙を前に書き始めてしまう。現在編集者をしているという本好きな弟が本の世界に没頭する様子を、すごいなあと思いながら見ていた。 本棚は熊本にある〈長崎次郎書店〉のものを譲り
お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第48回。「今月のヒコロヒー」も要チェック! 前回の「その人らしさは、本物でなければならない。」も読む。 あなたになら話したい。 仕事の合間に少し空き時間ができたため、銀座にボールペンを買いに行った。涼しい秋晴れの真昼間で、こんな時間に外を自由に出歩くなんてすごく久しぶりのことで、街をのんびりと歩けることが嬉しくて少し泣きそうにさえなっていた。 自分のことはあまり人に話したくない。生活の忙しさを語ろうとしてもそれは私が「売れている」ことを語ることと同義になりかねず、仕事のことを語ろうともそれは私が「テレビや芸能界」を語ることと同義になりかねない。それってなんだか、アレな感じがしてしまう。 交友関係のことを語りたくともそれは私が「人脈」を語ることと同義になりかねず、好きなウイスキーの銘柄を語ることさえ私の「経済事情」を語ることと同義になりかねない気がしてし
著書『AMETORA 日本がアメリカンスタイルを救った物語』をはじめ、歴史から若者文化を考察する書き手であるデーヴィッド・マークスさん。その文章は膨大な参考文献から情報を拾い集め、それらをつなぎ、新しい解釈をもたらす。そんな彼の本棚と整理術は、情報を集めて要約するという執筆哲学を表している。 “書く”ために効率化された本棚と、稀少な古雑誌と古書たち デーヴィッドさんの自宅は井の頭公園程近くの、閑静な住宅街にある。土地探しからすべてお願いしたのが建築家の手嶋保さん。リビングと書斎にある本棚は、木工職人が手がけたオーダーメイドだ。 「細かい注文はしていませんが、古い雑誌や大型本が多いのでそれらが入るように、ということだけは伝えました。リビングの本棚の中にはエアコンが入るようにしていたり、もともとはアンプもこの中に収納しようとしていたりと、空間をすっきりと見せるために家電を隠す狙いもある。書斎の
朝井リョウの新作『イン・ザ・メガチャーチ』が完成。オタクとファンダムと小説の力を社会学者・田中東子と語り合う 『イン・ザ・メガチャーチ』の副読本!と朝井リョウさんが太鼓判を押す『オタク文化とフェミニズム』。その著者である社会学者の田中東子さんとの対談が実現した。
ちゅ・ひちょる/1985年大阪府生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。大阪大学社会技術共創研究センター招へい准教授。専門はプラグマティズム言語哲学とその思想史。著書に『人類の会話のための哲学』『〈公正〉を乗りこなす』『バザールとクラブ』『100分de名著 ローティ「偶然性・アイロニー・連帯」』などがある。 パブリックとプライベートが曖昧な家で、身につけたふるまい 親が客商売をやっている家で育ったひとには、独特の感じがある。 あ、このひとはきっとそうだ、と思う。 なにを隠そう、わたし自身がそうだから、似たものの気配はけっこうわかる。とくに、そのひとがひとりっ子か長子であれば、ちょっとつきあえばけっこうな確度で見抜くことができるはずだ。なんというか、ひとをみる目が独特なのだ。 ある種の警戒心と緊張感に根ざした、しかし同時にどうしてもいだいてしまう新しいひとへの関心と期
まさしくこの時代のアイコンである2人だが、かたや、マリアンヌ・フェイスフルは、1946年ロンドン生まれのイギリス人で、1964年に「涙あふれて」でデビューした歌手。かたや、アニタ・パレンバーグは、1944年にローマで生まれたドイツ系のイタリア人で、60年代の前半、ニューヨークでアンディ・ウォーホルらと親交を深めたあと、ヨーロッパに戻りモデルとして活躍していた。 このように出自の異なる2人が出会うきっかけとなったのが、ローリング・ストーンズだ。 実は、マリアンヌのデビュー曲「涙あふれて」は、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの書き下ろし曲で、彼女はストーンズのファミリーと言ってもいい存在。そんな近しい間柄だったこともあり、マリアンヌは1965年に他の男性と結婚していたものの、その翌年ミック・ジャガーと恋に落ち、彼のもとに走る。 「涙あふれて」マリアンヌ・フェイスフル 一方、アニタは、ストー
カズオ・イシグロは映画の感想を聞かれると、満足げに答えた。「本当に興奮しました」。そしてこう続けた。「同時に、奇妙な感覚を抱きました」 ある日本人女性のひと夏の記憶を辿る、彼の初長編小説が映画化 彼がインタビューに応じたのは今年5月、第78回カンヌ国際映画祭の会期中のこと。1982年に発表した初の長編小説『遠い山なみの光』が石川慶監督の手で映画化され、「ある視点」部門に出品されたのだ。 「奇妙な感覚を抱いたのは、映画が私の小説に近かっただけではなく、私の子供の頃の記憶に近かったからです。監督の慶さんは優れた仕事ぶりで、過去を見事に再現していた。とても美しい映画だと思いました」 1954年に長崎で生まれ、5歳で渡英した彼は、幼少期を過ごした50年代の長崎をデビュー作の主な舞台にした。映画は幼い日の街の記憶を鮮やかに再現しているというのだ。 一般的に言って、長編小説を2時間前後の映画にするのは
古着屋さんで見つけた〈Columbia〉のショルダーバッグ 古着屋さんで見つけた〈Columbia〉のショルダーバッグ。ミリタリー調の落ち着いたカラーに、ほんのりストリート感のあるデザインがツボでした。ガバッと開いて荷物の出し入れもしやすく、気取らず使えるラフさも魅力。 通勤や休日のアクティビティなど、気づけばいつもこれを手に取っています。普段から古着屋さんで〈Columbia〉のアイテムには目を光らせて、良いアイテムがあれば買うようにしています。 〈BLUE LUG〉マイクロウォレット サイクルショップ〈BLUE LUG〉のマイクロウォレット。この小さいサイズでカード、お札、コインまでしっかり収納。海外の友人がミニマルな財布を持っていたのに憧れて、使い始めました。 日常から旅先まで、シーンによって財布を使い分ける必要がなくなり、アウトドアでもそのまま持っていけるのがうれしいポイントです。
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