共訳書であるヨハン・ノルベリ『OPEN(オープン)』(NewsPicksパブリッシング)が発売目前の山形浩生さんによる書評連載「新・山形月報!」。今回は、ウクライナ侵攻を踏まえて、イワン・クラステフらの『模倣の罠』やティモシー・スナイダーの『自由なき世界』という大著2冊を皮切りに、小泉悠の話題作やスティーブ・クーニン『気候変動の真実』などを論じます。 2月末からずっと、ぼくと同じようにウクライナ侵攻の様子をツイッターなどで、ほとんどリアルタイムで日々追い続けている人は多いと思う。戦闘自体の惨状もさることながら、その背後から出てくる、ロシアの本当に得体の知れない考え方——自分たちは不当に奪われた大ロシアの一体性を当然の権利として奪還しているだけで、ウクライナを助けてやっているのであり、侵攻も虐殺も一切していないという、目の前の現実すら否定する発想——が明らかになるにつれて、過去100年ほどの