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先月、ご近所(2軒隣り)に泥棒が入りました。この日は、県知事選の投票日で留守宅を狙っていたのでしょうかね。 その数日後には、私の家の隣家(被害にあった家の隣り)にパトカーが来て、盗聴されていたとか何だとか。 ほんと物騒な世の中です。戸締りはしっかりせねばと思っていたところに、先週我が家にも。 私が仕事から帰宅すると、ご近所さんから「勝手口の網戸、切られてませんか」と言われ、確認するとやられていました。 私の住む隣組は9軒なのですが、4軒が同様の手口でやられていたのです。 勝手口からの出入りをあまりしないため、気付きませんでした。 網戸が横10cmほど溶かされています 翌日、警察に連絡し被害届を提出。警察官の話によると、勝手口の扉のガラスは上下にスライドするので、網戸を破って、鍵がかかっていないとスライドさせ、そこから手を入れ扉の鍵を開け侵入する手口だそう。 我が家は、ガラスの施錠がされてい
【あらすじ&ひとりごと】 横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞した原浩(はら こう)さんのデビュー作『火喰鳥を、喰う』。 章立てが「始まる日」から「一日目」「二日目」・・・・「八日目」「最期の日」までの全10日間のストーリー構成になっています。 ミステリ&ホラー大賞だけあって、どちらの要素が強いのかは、とても気になるところ。 冒頭からミステリとしての異変が振りまかれ、そこにホラーが上塗りされるような、この先には見てはいけない、触れてはいけないような何かがある。そんな感覚が展開を追うごとに読み手を刺激して、追い詰められていくような気分を味合わせてくれます。 「私」・久喜雄司は、妻・夕里子と一年前に結婚し、母、祖父とともに信州の中南部で暮らしていた。 そこに二つの異変から始まる。 一つは、祖父には太平洋戦争の南方戦線で戦死した兄・貞市がいたが、何者かの手によって久喜家の墓の棹石側面から貞市の名と
『完訳グリム童話集(二)金田鬼一訳』その38 『おくさま狐の御婚礼〈KHM38〉』 【あらすじ(要約)】 一番目の話 昔、尻尾の九本ある古狐がいました。 古狐は妻が心変わりしたのではと疑い、試してみることにしました。 古狐は、まるで殺された鼠のように死んだふりをしていました。 奥様狐は自分の部屋に閉じこもり、女中の嬢さん猫は煮物をしていました。 やがて、古狐が死んだと知れると、大勢の求婚者たちが現れました。 女中は誰かが戸を叩いているのを聞きつけ、戸を開けてみると、若い狐がいて「何をしているの?嬢さん猫ちゃん。寝てるの?」と言いました。 「寝てないわ。ビールを煮えたてて、バターを中へ入れてるの。あたしの客になって?」 「いや、ありがとう、お嬢さん。奥様狐は何してますか?」と狐が言いました。 女中は「奥様は部屋にいて、悲し悲しと泣きはらす。かわいいお目目は紅絹のように紅い、お狐の古殿様がお隠
【あらすじ&ひとりごと】 呉勝浩さんの『爆弾』を読みました。2023年の「このミス」、「ミステリが読みたい」第1位の作品、直木賞の候補にも上がっていましたね。 皆さんのブログでも記事にされていて、気になっていたのでやっと読むことができました。 冴えない中年男・自称スズキタゴサクは、酒屋の自販機を蹴りつけ、止めに入った店員を殴り、警察へ連行された。 ドラゴンズが負け、むしゃくしゃし、さらに酒を飲むため買いに行ったが、財布に金がなく自販機にあたったという。 ここから謎の男・スズキタゴサクの饒舌が始まり、事件が急転していく。 自分は霊感があり、10時ぴったりに秋葉原のほうで何かあるという。そしてそのとおり、10時に秋葉原で爆発事件が発生する。 しかし、スズキは自分は霊感で伝えているだけで、犯人ではないという。自分の霊感では、爆弾はここからあと三度、次は一時間後に爆発すると言い、警察とスズキの攻防
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その36 『おぜんと驢馬とこん棒』 【あらすじ(要約)】 仕立屋さんに息子三人がいて、順番に世間に送り出し、誠実な仕事を習わせようとしました。 手ぶらでは困るので、それぞれが卵焼きのお菓子と五厘銅貨を一つもらい旅に出ました。 まず長男が小びとのところへ来ました。小びとはクルミの殻の中に住んでいましたが、大金持ちでした。 小びとは「私の羊たちの番をして、山の麓で草を食べさせてくれるならいいものをあげる。でも、山の裾野の家は賑やかなので、もしその家に踏み込んだら縁切りだよ」と言いました。 長男は承知し羊の番をしますが、その家からは遠ざかっていました。 ところがある日曜日、その家から賑やかなのが聞こえ、一度くらいは数に入らないと考え、家に入り込み遊びました。 やがて外に出てみると、闇夜で羊たちはいなくなっていました。 小びとに自分のしたことを隠さずに話しました
【あらすじ&ひとりごと】 森山東さんの京都を舞台に繰り広げられる、祇園の芸舞妓をめぐる雅びなホラー作品です。読み進めていくうちに、実はミステリでもありました。 怪異の正体とは、、、徐々に明かされていく驚愕の真実。 『お見世出し』で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞され、その後に『デスネイル』、そして三作目が本作品です。三作品の中でこの作品が一番おもしろかったです。 舞妓を志す恵里花は、祇園南一である老舗のお茶屋「夕月」を訪れる。女将の月春は恵里花の才能を直感し、夕月に置くことを認めるが、恵里花の周囲では不可解な霊現象が起き続ける。 それは夕月に伝わる伝説・梅姫の呪いによるものなのか、華やかな祇園の世界に巻き起こる悪夢と悲劇を描く連作短編集です。 これは祟りというよりも生きた人間の怖さですね。やはり何よりも怖いのは、生きている人間の執念なのかもしれません。 芸舞妓として生きる華やかな世界の裏には
【あらすじ&ひとりごと】 町田そのこさんの『星を掬う』を読みました。 家族、親子って、どうあるべきなのか。分かり合える正しい繋がり方って何だろう。そんなことを考えさせられる作品でした。 芳野千鶴は、小学1年の夏休みに出掛けた母親との二人旅の直後に捨てられ、父と祖母に育てられるが、二人の肉親も亡くし、ひとりとなる。 高校卒業後就職し、同じ会社の男性と結婚するが、DVで離婚。その後も元夫からは逃げられず、暴力を振るわれ続け、金を取られるという不幸な生活が続く。 しかし、賞金欲しさに「夏の思い出」をラジオ番組に投稿したことで、千鶴の人生が変化していく。 その投稿は母親との夏の旅の思い出。それを聞いて、連絡してきたのは千鶴を捨てた母の娘だと名乗る恵真だった。 そして、千鶴は母の暮らす「さざめきハイツ」を訪れ、母・聖子と再会する。 そこには、恵真のほか、娘に捨てられた彩子、それぞれ理由を抱えた人たち
【あらすじ&ひとりごと】 高校時代のスクールカーストの「いじめ」に関わった生徒たちそれぞれの思いの葛藤、苦悩を描いた小説です。 北海道の高校を卒業した3年6組のクラスメートたちに、10年前の卒業時、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて、同窓会の開催案内が届いた。 同窓会のSNSが立ち上がり、高校生活を懐かしむコメントに盛り上がる中、「例のタイムカプセルに遺言墨で書いたメッセージを入れた人がいますが、知っていますか」と発信元不明の書き込みがされる。 さらに「岸本李矢さんを憶えていますか」と。 そこに関わる生徒それぞれの視点で現在と過去が語られ、ある事実が明らかになっていく。そして同窓会当日を迎え、タイムカプセルを開封する。 「遺言墨」とは、書けば必ず相手に内容と真意を伝えることができるけど、それが最後のメッセージになるという都市伝説らしい。 私たちが子どもの頃は、「スクールカースト」なん
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その27 『黄金の毛が三ぼんはえてる鬼〈KHM29〉』 【あらすじ(要約)】 昔、貧しい女が男の子を生みました。頭に福ずきんを被っていたので、14歳になるとお姫様を嫁にするという予言がありました。 王様がこの村に来て、何か変わったことはないかと村人に訊ねると、「福ずきんを被った子が生まれたので、14歳になるとお姫様を嫁にもらうだろうと予言する者もいます」と言いました。 王様は腹黒い人でその子の親のところへ行き、親切なふりをして「貧しいようだが、その子を私が面倒を見よう」と言いました。 両親は断りますが、金貨をたくさんくれると言うし運のいい子だと考え、子を王様に渡しました。 王様は子を箱に入れ、川に放り込み、思いもよらないやつに娘をやるところだったと思いました。 ところが箱は沈まず流れていき、都から離れた水車場に引っ掛かりました。 粉ひきの小僧が見つけて、
【あらすじ&ひとりごと】 人類滅亡まで五日間のカウントダウンミステリーです。 残された数日間のパニックを描いた作品は他作でもいくつかありますね。 小惑星「ダイス」が地球に接近し、衝突するかもしれないという「裁きの刻」までの残り五日間、女子大生・漆原圭子が殺された。 人類が終わりを迎えるかもしれないという恐怖に混乱する中、被害者の弟・亮(高校生)は地球が消滅する前に唯一の肉親である姉を殺した犯人を見つけ出し、復讐を決意する。 本作は医療ミステリーではありませんが、やはり作者が医師ならでは、肉親との依存関係や疾病、薬が事件の真相へと繋がっていきます。 犯人を追い詰めながらも真相は二転三転しますが、行き着くところは何となく予想した結末。 地球が滅亡するときは、亮は誰と一緒にいたいのか。圭子は誰と一緒にいたかったのか。 行き過ぎた姉弟愛、この姉弟の関係とその周囲を取り巻く人たちの異常性が事件を招い
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その25 『死神とがちょうの番人』 【あらすじ(要約)】 不幸ながちょう飼いが、白いがちょうの番をしながら大きな川の岸を歩いていました。 そのとき、死神が川を渡ってきたので、どこから来たのか、どちらにおいでなのか、がちょう飼いが聞きました。 死神は、この世の中から立ち去るものだと答えます。 がちょう飼いは、どうしたらこの世の中から立ち去ることができるのかと死神に聞くと、この川を越えて向こう岸にある新しい世の中へ行くだけだと答えました。 がちょう飼いは、この世の生活が嫌になったので、自分を川向こうへ連れて行ってほしいと頼みました。 死神は、まだそのときが来ない、今は他にしなければならない仕事があると言いました。 そこから遠くないところにケチんぼうの欲張りがいました。 この男は毎晩寝床に入ってからも、お宝をもっとたくさん集めることばかりを考えていました。 死
【あらすじ&ひとりごと】 砥上裕將さんの作品といえばデビュー作の『線は、僕を描く』。横浜流星さんの主演で映画化もされましたね。 水墨画の「線」を描くことで、悲しみを秘めて生きる主人公の「僕」が、失ったものを埋めながら救われていく。繊細な描写がとても印象的でした。 今回は『7.5グラムの奇跡』を読みました。視能訓練士の若者の物語です。 視能訓練士の資格を取ったが、なかなか就職先が決まらない大学卒業間近の野宮恭一。後がない中、面接を受けたのは北見眼科医院というまちの医院。 おおらかな院長は、恭一のしっかりとした思いを感じ取り、即採用することにする。恭一は、失敗を繰り返しながらも先輩たちに見守られ、そして患者と向き合い、ともに自らも視能訓練士として成長していきます。 5話からなる連作短編集で、繊細な器官である「目」をめぐり、どの短編もとても心温まるきれいな物語でした。 タイトルにある「7.5グラ
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その23 『赤ずきん』<KHM26> 【あらすじ(要約)】 昔、小さな愛くるしい女の子がいました。この子を一番かわいがっていたのは、お祖母さんでした。 あるとき、お祖母さんは赤いビロードの頭巾をあげました。これがこの子にとてもよく似合って、他のものをかぶろうとしなくなったので、皆がこの子を赤ずきんと言うようになりました。 ある日、お母さんが「お菓子とぶどう酒をお祖母さんのところへ持って行ってちょうだい。病気で弱っているから、これを食べると体にいいのよ。それから外へ出たらおてんばしないで歩くこと、脇道へ入っちゃダメ。転んで瓶を割ったら、お祖母さんにあげるものがなくなるからね。部屋に入ったらあいさつをして、その前にきょろきょろ見回したりしないでね」と赤ずきんに言いました。 お祖母さんは村から30分くらいかかる森に住んでいて、赤ずきんが森にさしかかったとき、狼
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その22 『七羽のからす』<KHM25> 【あらすじ(要約)】 昔、ある男に息子が七人いましたが、娘は一人もいないため、娘をとても欲しがっていました。 そのうちに、おかみさんに子どもが生まれると待ちに待っていた女の子でした。 男はとても喜びました。けれども、子どもは小さく、痩せこけて体が弱いため、すぐに洗礼を受けさせなければなりませんでした。 父親は、男の子の一人を泉にやって、洗礼の水を持って来させようとしました。 すると、他の子どもたちも一緒にかけていき、競争で水を汲もうとしたので、壺が泉の中に落ちてしまいました。 皆どうしていいかわからず、帰ろうとしませんでした。 父親は、いつまでも帰ってこないので、いらいらして、「また遊びに夢中になって、用事を忘れてしまったんだな」と言いました。 ぐずぐずしていると、女の子が洗礼を受けないうちに死んでしまわないかと
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その21 『ホレのおばさん』<KHM24> 【あらすじ(要約)】 ある寡婦(ごけ)さんに二人の娘がいました。 その一人は美しくて働き者で、もう一人は器量が悪く怠け者でした。 けれども、母親は器量が悪い怠け者の娘が本当の娘なのでずっとかわいがり、もう一人の娘は、家中の仕事を一人で引き受け、灰だらけになって働かなければなりませんでした。 かわいそうにこの娘は、井戸のそばに座らせられて、指から血が出るほどたくさんの糸を紡がなければなりませんでした。 ある時、糸巻きが血だらけになったので、井戸にかがみ、糸巻きを洗おうとしたら、井戸の中に落としてしまいました。 娘は泣きながら継母に話すと、継母は叱りつけ、糸巻きを拾ってくるように言いました。 娘は井戸端へ引き返し、どうしていいのかわからず、井戸の中へ飛び込みました。娘は気を失いましたが、気が付くときれいな草原にいま
鳴子ホテル 6月30日(金)、7月1日(土)で宮城県大崎市にある名湯鳴子温泉に行ってきました。湯色がさまざまな色に変化するという鳴子温泉。 そして、「こけし」が伝統工芸品として有名ですね。温泉街のお店にはかわいらしいこけしがたくさんありました。 以前から一度訪れてみたい温泉地でしたので、少し遠かったですが泉質、宿とも大満足でした。 「回転鮨 清次郎(仙台泉店)」で昼食 「バナナマンのせっかくグルメ」で日村さんが訪れていたとは知りませんでした 宿泊先に向かいながら、まずはお目当ての「回転鮨 清次郎」にて昼食。 ネタが新鮮だと、こうも味が違うとは。魚の臭みがなく甘味がすごい。北関東の海なし県では考えられないですね。 ランチ鮨11貫が2,200円(税別)なんて安い。あら汁も別注(鮭、鱈) 宿泊先の「鳴子ホテル」に到着! お風呂と食事会場(HPからお借りしました) 到着してまず感じるのが硫黄の香り
【あらすじ&ひとりごと】 『クスノキの番人』を読みました。 いつもの東野さんらしいミステリーではなく、むしろファンタジーというか、スピリチュアルでとても神秘的な物語でした。 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のようなやさしく、人が生きて行くことに希望を持てる物語。 不当に職場を解雇され、その腹いせに会社に忍び込み、窃盗未遂で逮捕された直井玲斗のもとに突然弁護士が現れた。 依頼人は明かされず、心当たりもないが、その依頼人の「命令」を聞くなら釈放されるよう動くと言う弁護士に、今後に考えをめぐらすが玲斗は従うことにする。 釈放され、依頼人の待つ場所へ行くと、柳澤千舟と名乗る年配の女性は、それは伯母であった。玲斗は早くに親を亡くし、祖母に育てられるが、千舟は玲斗の母親の腹違いの姉という。 そして、その「命令」とは、「クスノキの番人」になること。祈れば願いが叶うというクスノキを訪れ祈念する人々と、番人を任された
【あらすじ&ひとりごと】 ストーリーの続編ではないですけど、『ひと』『まち』『いえ』の3シリーズとなっている『まち』を読みました。 『ひと』も自分の心の中にするっと入ってくるような、淡々としていてやさしい雰囲気が伝わる作品でしたが、今作も同様の気持ちになりました。 尾瀬ヶ原の広がる群馬県片品村で歩荷(ぼっか)をする祖父に育てられた江藤瞬一。 歩荷とは、食料や燃料などを麓から山小屋へと運ぶ仕事のこと。数十キロもの荷物を背負い、十数キロの山道を登り、ときには二往復することもあるという。この「歩荷」という言葉を私は知りませんでした。 瞬一は、高校卒業後、祖父の勧めで上京し一人暮らしを始める。祖父から、「人に頼られるような人間、人を守れる人間になれ」との教えを胸に都会へ出ていき、人と交わりながら、強くやさしく成長していく若者の物語です。 小野寺さんの作品は、『ひと』、『まち』、『ライフ』、『縁』な
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その20 『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』〈KHM23〉 【あらすじ(要約)】 昔、はつかねずみ、小鳥、腸づめが友達になって所帯をもち、仲良く豊かに暮らしていました。 小鳥の仕事は、毎日森で薪を取ってくること。はつかねずみは水を汲み火をおこしてお膳立て、腸づめは料理をする役でした。 幸せ過ぎる者は、何か違ったことをしてみたいと思うものです。 ある日、小鳥は別の鳥に会い、「 おまえが骨折って働いてる間に、あとの二人は楽をしているぞ 」と言われます。 確かに、はつかねずみは火をおこし、水を汲んでしまえば自分の部屋に引っ込んで、お膳立てまで休んでいられるし、腸づめは鍋のそばにいて料理をするだけでいい。ご飯どきになると、腸づめは野菜シチューの中に自分をすべりこませ、脂肪を加え、塩味を付け出来上がり。 そこへ小鳥が重たい木を運んでくると、皆で食事をし、それから朝
【あらすじ&ひとりごと】 初めて読んだ伊与原 新さんの作品が『八月の銀の雪』。一話一話の短編集がどれも心地よくて、今回も期待して『月まで三キロ』を読みました。 本作品は、同様に六篇からなる短編集で、伊与原さんが大学で専攻されていた地球惑星科学の知識を織り交ぜながら、人との触れ合いをさらりと描いた、心の奥の琴線に触れる優しい物語でした。 どれも一話が40頁程度なので空いた時間に一編を読むことができます。 『八月の銀の雪』も短編ゆえのさらっと心を流れていく切なさや暖かさが短く綴られていたのですが、本作も気持ちが穏やかになる素敵な物語でした。 六遍の中の表題作『月まで三キロ』では、死に場所を探してタクシーに乗る男性と、その運転手とのエピソード。 運転手は、「月に一番近い場所」へと誘い、「月は一年に3.8センチずつ、地球から離れていってるんですよ」と男性に話します。 各編に織り交ぜられた、そんな科
とても暑くなってきましたね。私は毎朝90分ほど散歩していますが、朝とはいえ気温は上がっていてそろそろ暑さがしんどくなってきました。 いつも河川敷の土手沿いを橋から橋へ一周してくるのですが、最近よく鳴き声や姿を見かけるのがキジです。 私が住んでいるところは田舎なので、カラス(都会でもいるかな)やサギ(シロ、アオ)、カワウの群れはふつうによく見かけます。 でも、河畔林にキジも見かけて国鳥とはいえここではそれほど珍しくありません。(種類はわかりませんが) きょうは、キジを4羽見かけました。(鳴き声はそれ以上です) すべてオスで「ケーン、ケーン」というか金属を擦ったような甲高い鳴き声です。そのとき力をこめるように少し羽を持ち上げます。 今がちょうど繁殖期らしく、鳴いてオスが縄張りを主張しているそうですね。そして、人の気配を感じると飛んで逃げずに歩いて逃げます。それがとても速いのです。早送りしたよう
人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。 『嫌われる勇気』を読みました。 今回は【読書】というよりは【ひとりごと】です。 私は自己啓発本というものをあまり読んだことがないのですが、はてなブログでも多くの方が紹介されているので、たまたま中古本が目に留まり購入しました。 哲人と青年の対話構成になっていて、議論にハラハラしますが、それが問題を掘り下げられていてとてもわかりやすかったです。 これは、ソクラテス哲学の伝統を踏まえているわけなんですね。 それはさておき、アドラーの考えにはとても共感することができました。人生の問いに対してとてもシンプルな答え。 この考えを正しく理解するには十分な年月が必要とのことでしたが、身近なことにおいて少しずつ実践していきたいと思います。 「すべての悩みは対人関係の悩み」とは、尤もですね。 今までを振り
小学館(2017) 【あらすじ&ひとりごと】 ストーリーの進行のはやさに唐突感を抱きながら読み始めましたが、そのリズムに合わせていくと徐々に物語に吸い込まれていきました。 この序盤からおやおやという感じは何だろうと思いましたが、細かいことは気にせず、ストーリーを追っていくと、主人公のもとに猫が現れ、本が閉じ込められた迷宮へといざない本を解放するという、とても微笑ましく暖かい物語でした。 本を愛する引きこもりの主人公・夏木林太郎(高校生)は、古書店を経営する祖父を亡くし、一人ぼっちとなるが、叔母に引き取られることになり、引っ越しまでの間、人間の言葉を話す猫が現れ、不思議な世界に閉じ込められた本を解放するための迷宮への冒険が始まる。 猫に導かれ、向かうのは5つの迷宮。林太郎は、それぞれ本に対する考え方が異なる人物と向かい合い、本来、本の持つ力や価値を訴え対決します。 ミッションに失敗すると本の
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その15 『漁夫とその妻の話』〈KHM19〉 【あらすじ(要約)】 昔、漁師とおかみさんが、汚い小さな家に住んでいました。 ある日、漁師が釣りに出かけると、一匹のカレイが釣れました。 漁師はそのカレイを売ろうとしますが、カレイに話しかけられ、自分は魔法をかけられた王子と言い、お礼をするから海へ戻してほしいと話します。漁師はビックリしましたが、カレイをカゴから出してやり、海へ放してやりました。 漁師は家に帰り、そのことをおかみさんに話すと、お礼をすると言っているのだから、こんな汚い家ではなく、小さくても新しい家がほしいと今すぐカレイのところに行って、願いごとをするよう言いました。 漁師は仕方なくもう一度海に行って、カレイに話しかけると、おかみさんの願いは叶ったと言います。 漁師が家に帰ってみると、おかみさんが小さいけれど新しい家の前で喜んでいました。 しば
双葉社(2020) 【あらすじ&ひとりごと】 読み心地がとてもさわやかな小説でした。 私が犬好きもあってか手にした一冊ですが、人と犬との共生を描くありがちな内容ではなく、18歳の高校生たちの決意や友情、恋愛、そして新たな出発を犬が静かに優しく見守っていくという美しい一冊でした。 高校に迷い込んだ「シロ」と呼ばれていた子犬は、生徒の努力で学校で飼うことを許され、ちょっとしたできごとから名前を「コーシロー」と名付けられる。 高校で拾われ、育てられるコーシローをめぐって、昭和から平成、令和の春から春へと季節がめぐり、コーシローが見守り続けた18歳たちの思いを描いた作品です。 本作品は連作短編で、どの編も始まりはコーシローの視点から描かれます。 ユーモアがあってほっこりするも、卒業していった最初に出会った少女の「桜」の匂いと面影を胸に秘め続けるコーシローに胸が熱くなります。 でも決して悲しい物語で
幻冬舎(2014) 【あらすじ&ひとりごと】 湊かなえさんの『山女日記』を読みました。 ドラマにもなっていて、私は観ていないのですが人気だったようです。そして、原作本の続編も昨年出ています。 湊さんといえば「イヤミス」を楽しむ。楽しむといったら少し嫌らしいですが、人の心の奥底にある気持ちが露骨に出され、何となくモヤモヤするこの後味の悪さが癖になって、ときどきは読みたくなります。 でも本作品は、主人公のそんな心の見え隠れはあるけれど、いつもとは違い、心の清涼剤となった物語でした。 本作は七編からなる連作短編です。 タイトルが『山女日記』、各編のタイトルも山の名前になっていて、悩みを抱えるそれぞれの主人公女性がそれらの山を登り、その一歩一歩がやがて自分なりの光へとたどり着く。そんな女性の心理を描いた物語です。 山に限らず、自然の中に身を置くことは、自身の揺らぐ気持ちが明確になったり、悩みの解決
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