伊藤邸(旧園田高弘邸)ご利用の案内 ◆ 園田さんの家を読み解く 園田高弘氏が吉村順三に住宅の設計を依頼したのは1954 年、吉村順三は46 歳、園田高弘は26 歳である。戦後の混乱がいまだ濃く残る時期に、この小さな家がこの地につくられる。ここは園田夫人の実家の庭先であり、そしてそれは今もここにある。このことの奇跡を思う。建築面積は59.9㎡(18 坪)延床面積77㎡(23坪)である。当時あった建築面積の規制のつくり出した住まいである。私は幸運にもこのころつくられたいくつかの住宅を知っている。それらはどれもが戦後すぐという事情によりささやかな素材によって率直につくられ、そして今日真似のできない密度と不思議な豊かさを持つ。私はそれらに深いシンパシーを思う。「最小の資源による最大の成果」は今日われわれに突きつけられている最大の課題でもあるからだ。ミース・ファンデル・ローエの至言「レスイズモア」を