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昨日、エクセルで管理している文献リストを、論文末の参考文献一覧的なスタイルに Chat-GPTに直してもらった話を書いた。 それを Facebookでシェアしたところ、MLA 準拠の文献一覧を、Chicago Manual 方式に変換とかできるのでしょうか、という質問をいただいた。 結論から書きますと、できました。ただ、いくつかの工夫が必要でした。つまづきになった原因を列挙すると: 斜体 italicsの処理が思うように行かない スタイルAからスタイルBの変換が上手くいったとしても、同じ命令文を使って逆向き(BからA)がうまくいかないことがある そもそも変換をしないことがある などでした。これらを、 2,3については、 命令文を変えてみる(詳しくする、省略する、別の言い方にする、日/英語を切り替える)ことによって反応を見ながらクリアしました。 1については、markdownを使え、と指示す
[目次] 1.文芸用語「私小説」の使用頻度を調べる 2.複数の検索語彙を重ねて表示させる 3.「私小説/心境小説/本格小説」 4.「私小説/純文学/通俗小説」「通俗小説/大衆小説」 5.「探偵小説/歴史小説/家庭小説/私小説」 6.冷静になってちょっとデータを補正する 7.まとめ〈点と線の文学史〉から〈量の文学史〉へ 言及した文献(年代順) 国会図書館のNDL Lab.で、NDL Ngram Viewerというサービスの公開が始まったので、ちょっと使ってみた感想を書く。 が、ちょっとのつもりで書いていたらものすごく長くなってしまった。結論だけ知りたい人は目次から「まとめ 〈点と線の文学史〉から〈量の文学史〉へ」へどうぞ。 lab.ndl.go.jp どんなサービスなのかということは、NDL Lab.のページに簡潔に書いてあるので、そちらをご覧いただくとよいのだけれど、要するに、国会図書館の
昨日、ひさしぶりに小規模の学会が、対面とオンラインの併用であった。私はコメンテータを引き受けていたので、会場まで出向いた。京都での開催。 対面、すごくいいなと再確認してきた。どんなところがよかったか。 ❶「ついで」がいろいろできる/起こる 久しぶりに会った色んな人に挨拶ができた。近況を聞き、こちらも話した。研究プロジェクトのことを小耳に挟み、刺戟をもらった。そういう細々した予期せぬ出会いや交渉の量が格段に多い。 ❷学会の場そのものが複線的 これは個人目線で❶に書いたことの、学会運営目線での言い直しかもしれないが、色んなことを同時に生起させられる。打ち合わせをする人、旧交を温める人、雑談をする人、裏方仕事をする人、色々色々。オンライン学会は、集中の空間だが、対面の空間は懐が深い。 ❸「人」の情報量が多い 私たちは、人について重要なところ、重要でないところ、たくさん情報を集めているんだなと再認
近現代文学研究に関係する文献の集め方を説明したページとして、[演習発表用]文献の集め方を公開しています。 今回、このページを利用しながら解説する動画を4本作成し、Youtubeで公開しました。 どうぞご利用下さい。 youtu.be youtu.be youtu.be youtu.be 日本近現代文学 文献の探し方❶ 文献目録と図書 https://youtu.be/1jNc57Ap2qc 日本近現代文学 文献の探し方❷ 雑誌論文と雑誌記事 https://youtu.be/yFYHXGoItg8 日本近現代文学 文献の探し方❸ 全文テキストから探す https://youtu.be/84jHOm8fsg8 日本近現代文学 文献の探し方❹ 探した文献を手に入れる https://youtu.be/CM0Ipk3GgLs
新学期に合わせ、近現代文学研究の分野においてどのように参考文献を集めるのかについて説明した以下2サイトを更新しました。「演習~」の方が学部生向けの入門サイト、「近現代文学研究~」の方がその発展版です。 主な変更点としては以下になります。 全文テキストデータの検索のセクションを独立させた。(次世代デジタルライブラリ、Maruzen eBook Libraryなど。) CiNii Articles の CiNii Research への統合について記述を対応させた。 「在野研究者のレファレンス・チップス」(小林昌樹さん、皓星社)、『日本近代文学大系』総索引、ジャパンサーチについて追加した。 その他、細部の記述のアップデートや、リンク切れの修正を行った。 また、今回の更新にあわせて解説動画もYoutubeで公開しています。 解説動画の公開「近現代文学研究 文献の探し方❶❷❸❹」 - 日比嘉高研究
コロナ禍の中の大学キャンパス この記事は、Twitterで「#大学生の日常も大事だ」というハッシュタグが注目を集めている中で書いています。 最初、以下で紹介する私の授業アンケートの結果と、ハッシュタグで並ぶ大学生たちの訴えは、けっこう違うな、という感想を持っていました。 しかし考えてみれば、私が取ったアンケートは「授業についてのアンケート」であって「大学生活についてのアンケート」ではない。少し前に、Twitterだと思いますが「オンライン授業には廊下がない」というような発言を見て、至言だと思いました。ここでいう「廊下」は、「すきま」であり「あそび」です。「すきま」や「あそび」は、大事です。根源的に、大事。 オンライン授業について、私は好感も持っていて、可能性も感じています。私のいくつかの授業には、海外から聴講している学生がいます。対面授業であっては、考えられないことです。情報検索の授業をし
最近の機械翻訳の進歩は本当にすごい。以前「みらい翻訳」を試してみて、その精度におののいたのですが(「みらい翻訳」を使って仕事をしました。(使用感) - 日比嘉高研究室)、先日来、DeepL翻訳という新手のサービスが登場して話題になっています。 gigazine.net そこで、この度も実際にやってみました。検証材料はつい先日作ったばかりの、自分の論文の英文要旨です。英語を日常的に使わない研究者が、もっともしばしば直面する「英語を書かなければならない場面」です。 以下(1)原文の日本語要旨、(2)有料校正サービスを利用した完成版、(3)Google翻訳、(4)みらい翻訳、(5)DeepL翻訳、の順に、結果を貼り付けました。 (1)原文の日本語要旨 この論考では、「満洲」における日本語書籍の小売史を考える。主たる対象となるのは日本語の書物を扱った書籍店である。とりわけ、これまでほとんど手をつけ
10月13日 キュレーターの方が雑談の中で言っていたことが気になっている。〈菊タブー〉は大きいですよ、慰安婦の問題と天皇の問題は一緒くたにできないと、再開された「表現の不自由展・その後」の抽選券を求めて並ぶ人々の列を見ながら、その人は言った。 そういえば、と私は思う。「表現の不自由展・その後」の問題を報じるテレビニュースでは「いわゆる慰安婦像など」というようにキム・ソギョン/キム・ウンソンの《平和の少女像》を焦点化した物言いが多かったように思うし、新聞報道でも天皇の表象の問題は避けられがちだと思う。つい最近出たばかりの『あいちトリエンナーレ「展示中止」事件 表現の不自由と日本』(岡本有佳・アライ=ヒロユキ編、岩波書店2019)に収められた論も、少女像にフォーカスする論考が多い。 愛知芸術文化センターの大きな吹き抜けをぐるりと囲んだ通路に、たくさんの人々(私もそうした一人だった)が並んでいる
日経新聞の以下の記事でコメントをしています。古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」と木村友祐さんの「天空の絵描きたち」に関して。芥川賞の選評が話題でした。以下補足します。 >>「小説のオリジナリティーとは 芥川賞選評から考える 」『日本経済新聞』文化往来2019/8/20 www.nikkei.com 「小説のオリジナリティーとは 芥川賞選評から考える」『日経新聞』電子版、文化往来、2019/8/20 古市さんが盗作や剽窃をしたとかアイデアを盗んだとかいう意見もあるようですが、その批判は該当しないと思います。ビルの窓ふきというモチーフ自体にオリジナリティがあるわけではない。たとえば以下の方も指摘しているように、辻内智貴さん「青空のルーレット」(2001)という作品もある。 古市憲寿の芥川賞候補作はビルの窓拭きをテーマに扱っているらしい。そういえば太宰賞作家の辻内智貴の「青空のルーレット」も主人公
いま、「外交」と「天皇」を理由に、現役の府知事が現役の県知事の辞職を求める超展開になっている。 www.asahi.com 愛知県知事は、「憲法通りにやります」と言っている。 その県知事に対して、府知事は辞職を求めている。 辞職を求める根拠は「憲法の外」にあることになります。 超法規的な根拠。 これは、表現の自由の問題を発端にしている出来事であるわけですが、表現の自由という重大な問題が軽く吹っ飛ぶぐらいの、やばい事態にしか思えません。 この先、外交が戦争に化けたら、天皇が法規を超越していた大日本帝国の時代が、本当にもう一回やってきてしまう。 戦争は国家を非常事態=例外状態におく。 非常事態に法を越えた力を振るえるのが最高権力者であるわけだけれど、上の府知事的な発想で「天皇」を法を越えた例外的存在に奉っていくと、遠からず「法の外」に天皇が立ってしまう。 いったんそうなったら、そこから出てくる
本日、以下のようなニュースを見ました。 this.kiji.is たまたまこの前、息子が戦車のラジコンをほしいと言っていたのもあって、思ったことを書いてみます。 「はたらくくるま」と戦車 この手の「はたらくくるま」系の本は息子が幼稚園の頃何冊か持っていましたが、たしかにそこには自衛隊のはなかったと記憶します。機動隊のはあったような…。この本を実際に見ていませんが、報道のとおり、 全30ページのうち6ページで自衛隊の戦車や車両を取り上げ、中には潜水艦や自走りゅう弾砲など、車ではないものも含まれていた。 となると、「うーんそれはちょっとやりすぎ」というか「どうしてそうなった」という感じはします。批判が来るのもわかります。 「男児」はバトルが好き さて一方、「男児」(ここを♂に限定するか大いに迷いがあり、「 」に入れたうえ、一番下にグダグダ書きます)を育てているほとんどすべての親は経験すると思う
感想の結論から言うと、この党はもう少し国政や地方議会で議席を伸ばす気がする。(2019.7.23, 8:00, 追記・編集あり) (追記2 2019/7/24の朝日新聞によると、N国への投票者層(比例区)は次のような人々がコアらしいです。「男女比は男性68%、女性32%だった。年代構成は40代が27%で最も多く、30~50代で全体の6割超」。参院選でN国に投票、68%は男性 比例区朝日出口調査 - 2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル。 また、この記事はBLOGOSに転載されており、コメント欄でN国支持の方の意見が読めます。) blogos.com * 「NHKをぶっ壊す」というワン・イシューは、裾野が広い。 裾野を広げているのは、NHK自身である。正確に言うと、受信機があればその家庭からは強制的に受信料を徴収できるという、現在の公共放送についての法的な規定である。 つまり、この
かつて、植民地時代の朝鮮半島に住んでいた日本人=在朝日本人による文学活動というのがありました。ここのところ高麗大学の日本文学研究系の人たちが、大きな研究費を取って継続的にこのジャンルについての研究を行っていることは、間近で見て来ました。 先日、機会があったので、成果としてはどんなものがまとまっていますか?とうかがってみました。以下は、高麗大学の金孝順先生に教えていただいたその成果のリストです。日本語文学についての研究ですが、韓国内で刊行された業績であるため、日本にいると見えにくいです。金孝順先生の許可を得まして、ここにシェアします。 在朝日本人の文学についての研究は、やっぱり私たちのグローバル日本研究院のHK(人文韓国)事業から始まったのではないかと思います。もちろんその前にも2000年代に入ってから、韓国の国文学研究の一分野として植民地時期の文学が研究されることによって個別的な研究は少し
ちょっと前の紹介Tweetが予想外に出回ってしまったので、責任?を感じまして、ちょいと使用感について書いておきます。 話題の #みらい翻訳、まじですごい…。Google翻訳よりずっといい。訳あって英文の原稿を用意しているが、完全に私のヘボ英作文を凌駕。この先私はもう1から英作文することはない気がする。今日、自分基準では、日→英の作文世界におけるシンギュラリティを迎えてしまった。https://t.co/SAt7AYs5A6— 日比嘉高 (@yshibi) April 25, 2019 仕事の状況 私は日本人の日本文学・文化研究者 英語は下手くそ。けどときどき英語で学会報告する必要あり 今回はその発表原稿を作成 結論 めちゃ使えました。人間と機械の知的な協働の姿の一つの形が、ここにあるかもと思いました。まさに「みらい」体験。みらい翻訳のサイトは以下URL。 https://miraitran
(2018.08.12追記)この問題のあと、Twitterで以下のタグが出現して、盛り上がっています。Twitterらしいスマートな応援の仕方で、いいですね。私もちょっとだけ推挙しておきました。 twitter.com 以下オリジナル本文です。 ■勉誠出版がネトウヨ化しているというツイートを見て、へ?と見に行ったら、ほんとにすごいことになっていた。 e-bookguide.jp なんかゴタついたり、知り合いの編集者が出ていったりしていたが、こっち系の悶着もあったのだろうか… ■個人的にも、けっこう心のダメージ大きい。 こうなっちゃったことについてもショックだが、こうならざるをえなかった出版の現況を、突きつけられる。 藁をもすがる。愛国阿片をもすがる、出版の今。 しかも良心的な本を出してきた学術出版社が、だ。 ■業界の人間の一人として、単純に勉誠出版を責めて終わりにはできないと感じている。も
1. 「美しい顔」は、つくづくかわいそうな作品になったと思う。私は、この作品が世に出てきた時とても褒めたし、今でもよい作品で「ありえた」小説だと思っている。作者もポテンシャルの高い人なんだろう推定している。 2. この問題に首を突っ込んで以来、しばしば「剽窃の問題を抜きにして、この作品の文学的価値は高いと思われますか」的な質問を受けた。聞き手は私に「そうだ」という答えを期待していたのだと思う。数少ない(たぶん)擁護者役として。 けれど、もうこの作品は「剽窃の問題を抜きにして」読むことは、誰にもできなくなっている。剽窃問題について完全に無知な読者を除いては。 「文学的価値は高いのか」と問う人たちは、「文学的価値」が他のさまざまな基準から独立的に評価しうる、つまり文学の領域の自律性のようなものを、知ってか知らずか前提としていると思う。もちろん、そんなことはありえない。文学は、その社会が持ってい
1.剽窃がアウトなのは当然だが、問題の核心はそこにない 第159回芥川賞の候補作となった北条裕子「美しい顔」が、他人の作品から表現の「盗用」を行っているのではないかと指摘を受け、議論になっている。「美しい顔」は六月号で発表された群像新人文学賞の受賞作で、選評でも激賞とも言える高い評価をえていた。直後の文芸批評でも軒並み高い評価だったといっていい。私も現在担当している『文學界』の新人小説月評で、前半期の第一位に推した。 作品は、東日本大震災とその被災者の姿を直接的に描いている。主人公は津波で母を失うことになり、幼い弟とふたりで生きて行かざるをえなくなる女子高校生サノ・サナエである。地震の発生、町を襲う津波、押し流される家々と人(友達も)、避難所生活、そこに闖入してくるメディア、見つからない母とその遺体との対面、強いストレスにさらされながら必死で生きる弟、そして親戚のもとへの避難。こうした一連
Ⅰ 小学校から「親学」のパンフレットが来た 先月(2018年4月)、子どもが小学校から「親学」と大々的に書かれたパンフレットをもらってきた。そこには、 名古屋市教育委員会では、子どもにとって親はどうあるべきかを考え、子どもとともに親として成長する楽しさについて学ぼうとする「親学」を推進しています。 と書いてあって、うーむ、これは・・・と頭を抱えたのであった。ゴールデンウィークになったがやっぱり気になり続けていて、とりあえず以下のようなツイートをしておいた。 記録のために上げておく。この4月に小学校から家庭への配布物として配られたパンフレット。「名古屋市教育委員会では、子どもにとって親はどうあるべきかを考え、子どもとともに親として成長する楽しさについて学ぼうとする「親学」を推進しています」。編集は市教委生涯学習部生涯学習課らしい。 pic.twitter.com/9BPHxzxTtp— 日比
KaoRiさんの告白、告発の文章を読んだ。つらかっただろうと思う。 note.mu これを読んだあと、アラーキーの写真をこれまでと同じように見ることはできない。 アラーキーの写真は好きだった。 文学研究をしている人間として、私は作品の創作過程がはらんでいた倫理的・道徳的な問題を、そのままナイーブに作品自体の価値に結びつけて、断罪するようなことはしたくないと考えている。だから脊髄反射的に弾劾したりはしない。(現時点では一方的な申し立てだ、ということもある) しかし、自分も研究者であると同時に、この時代を呼吸する一人の人間で、こうした創作、公開、事後対応のプロセスを経ていることが強く疑われる(断定はしないでおく)作家の作品に対して、かなりの嫌悪感を感じてしまう。そしてその感情が、作品の評価に対して跳ね返ってしまうことを止めることはできない。残念だ。 私は「モデル小説」についての歴史的な研究とい
学会印象記を先行公開して叱られまして 少し前にこういう記事を書きました。 hibi.hatenadiary.jp 学会外の人に少し説明すると、日本近代文学会(近現代日本文学研究についての最大の学会です。会員数約1600人)には「会報」という冊子媒体があります。これには学会の案内や、発表される研究の予告的要旨、印象記、彙報などが載っています。会員にのみ配られます。 「印象記」というのは、学会でなされた発表、交わされた議論について、まとめをしつつ多少批評的なことを付け加えるような、そんな文章のことです。私は今回、学会の秋季大会特集について、それを書くように依頼され、応諾しました。 で、ここからが問題なのですが、私はそれを上記の通り、先行的にウェブで公開しました(『会報』自体はまだ出ていません。次の4月刊かな)。勝手に、でした。上記エントリで「公開に際して多少迷いましたが」と書いたように、依頼さ
きのう目に入って、読ませてもらった id:Vergil2010 さんの記事。興味深かったです。 vergil.hateblo.jp 読んでいて「おっと!?」と思うところがあって、そこを起点にするともう少し深掘りできそうだったので、ざっと調べてみました。考えてみた主なポイントは次になります。 どうして『子供の震災記』は国会図書館に2冊あるのか 「事実を改ざん」した「この国の権力」の正体とは、なんだったのか 以下、できるだけ簡潔に進めます。と思って書きましたが、謎が謎を呼んでけっきょく長くなりました。ご勘弁。最後に関連文献の紹介もしてあります。目次は以下 これ発禁本じゃん──国会図書館の蔵書検索結果の読み方 刊行の主体は東京高等師範学校附属小学校関係者 出版社からわかること 「検閲」はどのように行われていたのか 教員は何を考えたか 最後の謎 まとめ 参考文献 これ発禁本じゃん──国会図書館の蔵
民進党は終わっていくようだ。蓮舫氏に戸籍を示させ説明させるという判断がどれくらいマイノリティにとって攻撃的で、かつ潜在的な党支持層を離反させるものであるのか、それすらわからない状態なのだろう。 www.huffingtonpost.jp 蓮舫氏が今、行おう/行わされようとしているのは、「忠誠の誓い」だと思う。日本国に対する、「忠誠の誓い」。 それは、「国籍」の証明をもって行われるとされている。 だが、本当にそうだろうか。真に彼女が問い詰められようとしているのは「国籍」なのだろうか。 問い詰められようとしているのは「血」ではないのだろうか。 私たちは、日本国籍を取得した外国出身アスリートが、いつまでたっても「日本人」扱いされない国に住んでいる。私たちは、米国市民権を取った日本生まれの米国在住のノーベル賞科学者を、なお「日本人」だと思いたがる国に住んでいる。 私たちの社会は「血」こそが忠誠の証
図書館に関係した小説や詩を集めたアンソロジー『図書館情調』が発売されます。店頭には6日頃から並ぶそうです。 私の編で、解説も書いています。以下宣伝をかねてご紹介します。 日比嘉高編『図書館情調』皓星社、シリーズ紙礫9、2017年6月10日、273頁 honto.jp 収録作品はバラエティと面白さと正典・新規性のバランスを考えました。一方解説では、近代日本の図書館の歩みを念頭において、それをおおまかにたどりつつ、外地や移民地の話、女性・子どもと図書館の話も忘れないように、と考えながら書きました。 収録作品は次のとおりです。 萩原朔太郎「図書館情調」 ●第一部 図書館を使う 菊池寛「出世」 宮本百合子「図書館」 中島敦「文字禍」 竹内正一「世界地図を借る男」 ●第二部 図書館で働く 渋川驍「柴笛詩集」(抄) 新田潤「少年達」 中野重治「司書の死」 小林宏「図書館の秋」 ●第三部 図書館幻想 富
立命館のpixiv論文の件を遠巻きに見ていたのですが、日本文学研究の方にも飛び火してきた感じなので↓ togetter.com ちょっと考えたことを書いておきます。 目次はこんな感じになりました。長いですので、これからどうすべき(と私が考える)か単に知りたい人は、「さいごに」をどうぞ。 近代文学研究における引用の実態 古典文学研究における引用の実態 ネット掲載の「半公開」小説の引用 小説とプライバシー これからどう現代小説を引用していくのか さいごに : 忖度と萎縮と検閲と 近代文学研究における引用の実態 近代文学研究の世界では、引用に際して作者の許諾をとるということは、例外的な場合を除いて、一切ありません。著作権法の範囲内で、遠慮なくどんどんやります。 近代文学研究が扱う文学作品は、ほとんどが「公開モード」にあります。だれでも見られ、引用、言及でき、賞賛も批判もなんの遠慮もいりません。
今日(29日)はアニメ・特撮脚本家で小説家の辻真先さんの講演を聞いた。いい講演だった。心から御礼を申し上げたい。 講演の題を「ぼくは戦争の匂いを嗅いだ」とした辻さんの危機感は深いのだと思うが、語り口は温和かつなめらかで、まるで落語か講談を聞いているようなおかしみもあった。 辻さんは、聴衆の大多数が反安保、反安倍の人々だということを十分に理解し、意識しており(講演は「名大アゴラ」という安保法制に反対する会の主催だった)、それゆえに「大声で反対したってだめだよ。だれも聞きやしない」という趣旨のことを繰り返し言っておられた。 「たとえばみんなが「反対」というなかで「反対」っていったってだれも聞きやしない。「反対」の中で「賛成」っていうから、みんな話を聞くんだ。「賛成」の中にちょっと「反対」を混ぜるとかね、そうすればいい。」(大意) 「私はずっと子ども向けのアニメを作ったり、SF小説を書いたりして
政治の嘘に人々が慣れてしまうとどうなるのか。「オルタナティブ・ファクト」「ガスライティング」など、ここのところ注目されている言葉とともに考えます。 目次 トランプ氏の嘘は続く ポスト真実とオルタナティブ・ファクト 嘘の効果──ガスライティング 嘘が導くディストピア──オーウェル『1984年』 ハンナ・アーレントの論じる嘘と全体主義 日本の場合 まとめ トランプ氏の嘘は続く 人は嘘にさらされ続けると、どうなるのでしょうか。サンタクロースがプレゼントを持ってきたとか、節分には鬼が来るとかそういう嘘なら、たわいもないものです。しかし、たしかにあったはずのものがないとされたり、明らかな数字の水増しを臆面もなく主張したりすることが、公の世界で次々と続けられる。しかも、社会的な権力を持つ者が、その権力の場において、そうしたあからさまな嘘を言い続けるとしたら、どうなるでしょうか。権力の嘘にさらされ続けた
キュレーションサイトをめぐる一連の騒ぎをみていて、これって実はリサーチする人間のほとんど全員が直面している問題じゃないかなぁと思ったので、そのことについて少し書いてみます。 なお、以下「キュレーション」という言葉をネガティブな文脈の中で使いますが、この言葉・作業は本来もっとクリエイティブでありうるものです。(参考:美術作品を世の中につなぐ高度な専門職がキュレーター|ojo) 以下目次です。 ウェブ完結型リサーチ キュレーションサイトは「正しい」 すべての調査者が直面するウェブ完結型リサーチの誘惑 結果としてどうなるか 欲望が複製される リサーチの貧窮化 嘘がまかり通る どうするべきなのか ウェブ完結型リサーチ 今回の騒ぎの中で、何人かのライターや編集担当の証言が出てきました。 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場 « マガジン航[kɔː] 「MERY」記事量産、経験者が
マイナンバー、「届出して下さい」というお願いを今年お仕事をした某所からいただきましたが、お断りしました。 納税のズルを許さないとか、行政業務が効率化するとか、たしかにメリットもあるようです。が、マイナンバーの「利活用」ロードマップを見ると、これで儲けられるよとか、これで国民(在留外国人も)一元管理だぜとか、そういうのがみえみえで、むしろホントの目的はこっちでしょ、それってITディストピアだよね、と思うので、私は「やばいよこれ」と言い続けます。拒否しても無駄だし、仕事相手に多少の面倒をかけてしまうのは百も承知ですが、「気をつけた方がいいよ」と言うために、今年も拒否を明言しておきます。 マイナンバーの「利活用」の先にどんな世界が待っているか、ITディストピアの詳細なロードマップをご覧下さい。首相官邸の「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部) マイナンバー等分科会」謹製の「
このブログ記事が元となった書籍『「ポスト真実」の時代 「信じたいウソ」が「事実」に勝る世界をどう生き抜くか』を、祥伝社から刊行します。「ポスト真実」についてより詳しく知りたい方は、こちらもご覧下さい。 今月16日、オックスフォード辞書が、「今年の言葉」に「post-truth」を選びました。日本では「ポスト真実」と訳されることが多いようです。この言葉について、今日J-Wave のJam the World という番組で津田大介さんとお話をすることになりました。この言葉については前回の記事 どうして嘘つきがまかり通るのか――「ポスト事実の政治 post-truth politics」の時代にどう向き合うか - 日比嘉高研究室 でも書いていますが、その後考えたことを加えて、もう少しまとめておきます。 キーワードは、「デマ」「本音」「感情」です。 「post-truth ポスト真実」とは何か コ
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