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hirorin0015.hatenablog.com
では、栗本氏は「午後の恐竜」を読んだことがなく、まったく偶然に同じアイデアを思いついたのだろうか? どうもそうではないらしい。 というのも、「走馬灯」が収録された短編集『さらしなにっき』(ハヤカワ文庫・1994)で、作者自身がこんな解説を書いているのだ。 > こりゃまた短い。こんな短いものを書いていた時代っていうのもあったんだなあ。 > これはまた凄い発想ですね。**が最後に見る走馬灯! いったいどこからこういうアイディアを考えつくのかね、栗本は? 最近あまりこういうショートショートっぽい発想というのは思いつかないような気がするのだが。 > これも小松さんのショートショートを思わせるものもあるし、星新一さんっぽくもありますが、確かなんとなくこれに雰囲気の似た話、というよりもこれを思いついたきっかけになった話は、確か小松さん──あるいは豊田さんだったのかな──だと思うんだけど短篇で、鉄腕アト
そこで先の筒井康隆氏の文章だ。実はあの文章には先がある。 > SFをはじめて書くきみが、やっと見つけたアイデア――そんなものは、とっくに、どこかのプロ作家が考えだし、書いてしまっているに、きまっているのだ。しかも、ずっとおもしろく、ずっとうまい文章で! > よほど、ほかにない新しい、しかもすばらしいアイデアでないかぎり、アイデアひとつで勝負するのは、危険なのである。 ──筒井康隆『SF教室』 アイデアひとつで勝負してはいけない、と筒井氏は警告する。大事なのはアイデアではなく、そのアイデアから君がどんなテーマを語るかだと。(長文になるので、詳しくは『SF教室』を読んでほしい) 中学時代の僕は、この言葉にものすごく感化された。 筒井氏の言葉は、作家にとって絶望ではなく希望である。誰が最初にそのアイデアを思いついたかは重要ではない。極端な話、自分で思いついたアイデアでなくてもかまわない。他の人が
今回は、大半の人にとっては「恐怖」じゃないかもしれないけど、作家にとっては恐怖の現象を紹介したい。それは「クリプトムネジア」。 まず、これを読んでいただきたい。ネットで検索していて、偶然ヒットした、2013年のニュースである。 栗本薫の短編小説「走馬灯」がイタリアにて映画化 http://sfwj50.jp/news/2013/07/somato-kurimotokaoru-movie-italia.html この記事、不自然だとは思われないだろうか? 日本のSF作家の作品が映像化されたというのに、なぜか、かんじんの「走馬灯」の内容についてまったく言及がないのだ。 まあ、イタリア人が知らなかったのはしかたない。しかし、ストーリーを書いてしまうと、日本のSFファンならみんなピンとくるだろう。 「これってまるっきり、星新一の『午後の恐竜』じゃん」と。 ちなみに「走馬灯」は『S-Fマガジン』19
もう9年も前の話である。 以前から一部で有名な話だったらしいんだけど、僕は知ったのはつい最近である。2000年頃と言ったら、まだ接続が遅かったせいで、インターネットはほとんどやっていなかったのだ。 「間歇日記」 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ray_fyk/diary/dr0010_3.htm#001026 『その日の試験は“グループディスカッション”でした。 採用希望者が何人か集まって、与えられたテーマについて議論する。 審査官は黙ってその様子をチェックする、という試験です。 私が部屋に入ると、そこには一人の審査官と、7人の大学生がいました。 最初に全員の自己紹介。いわゆる“名門大学”の学生も何人か混じっていたのを覚えています。 自己紹介が終わると、審査官は一枚の紙を全員に配りました。そこに記されていたのは以下のリストです。 ・酸素ボンベ(40kg
今朝のニュースショーで大ヒットしてる『鬼滅の刃』を子供に見せるどうか、というのをやっていた。人が死ぬシーンがしょっちゅう出てくるから、教育上よくないのではないか、というのだ。 昔からある議論だよね。僕の若い頃は『北斗の拳』をめぐる議論が多かった。悪党どもが「たわば」とか「あわびゅ」とか叫んで爆死するというやつ。えらく流行ったなあ。僕もその頃は雑誌『ファンロード』でさんざん遊びまくったものだ。ちなみに僕の小説修業は『ファンロード』の投稿で鍛えられたものだ(笑)。 美月が小さかったころ、僕は小説ある失敗をした。小さい頃から怪獣に慣れさせようと、ビデオで『ジュラシック・パーク』を見せたのである。これか失敗だった。なんと美月はティラノサウルスが人間を食う場面がトラウマになり、怪獣が嫌いになってしまったのだ(笑)。今になっては、娘もティラノサウルスを怖がることはなくなっていたのだが、『ジュラシック・
この前の『超常ファイル』でUFОの話をやってたけど、今やユーエフオーを「ユーフォー」なんて発音してるのは日本人だけらしい。いや、欧米にも一時期そういう呼び方もあったらしいんだけど、じきに流行らなくなった。今は「ユーエフオー」という呼び方が普通。 テレビを見てればそれが分かる。懐かしのSFドラマ『謎の円盤UFО』でも、一貫して「ユーエフオー」としか呼んでない。 それが「ユーフォー」という呼び方に変わったのは、あの矢追純一が間違った名前を広めたせいだという。「今はユーエフオーというのは古い。これからはユーフォーと呼ぼう」と言って。ちょうど日本はUFОブームの最中だった。その後の数年間で瞬く間に「ユーフォー」が日本中を席巻していった。『UFО戦士ダイアポロン』『UFОロボグレンダイザー』とか。あともちろんピンクレディーの『UFО』とか日清の焼きそば『UFО』もね。 だけどNHKだけは頑固に「ユー
脳梗塞のせいで、あまり最近の小説は読まない僕だけど、つい最近、すごく面白い小説を読んだのでその話をしたい。 『小学生刑事』! 作者の方は以前からの知り合いなんだけど、この作品ではペンネームを使っていて本名を隠している。だもんで、僕も正体をばらしてはまずいと思い、ここでは名前をばらすのを控えることにする。まあ、読んでいれば「ああ、さすがはIさんだなあ」と愛読者なら気づくんだろうけど。 内容はタイトルそのまんまである。主人公の八代ヒメは身長百十五センチのどう見たって小学生の女の子。でも、スーパーパトカーを乗り回し、いきなりヤクザの大物をぶち殺す大活躍を見せる! 表紙からギャグ作品を想像すると大間違い。徹底してクールでヴァイオレンスな描写の連続で、息つく間もないほど。すごいな、これは。堪能しました。 ところで気になったのはヒメの描写。そもそもヒメが実際は何歳ぐらいなのかがよく分からないのだ。それ
先日発売された創土社の『超時間の闇』だが、その中に収録された僕の原稿について、ちょっとしたトラブルがあったことを報告しておきたい。 ゲラチェックも完了して編集部に返送した後、10月17日になって、編集者から電話がかかってきた。「一箇所直してほしい」というのである。 オクラホマの田舎の農家の主人が、近くに住んでいる学者について語っている箇所だ。時代設定は1940年である。 >「いや、大学で数学を教えてたとか聞いたな。今はこのあたりで、インディアンの塚を調べてる」 この「インディアン」が差別語だから「先住民」に変えてくれというのだ。 いや、1940年のアメリカ人、しかも田舎の農夫が 「先住民」なんて言ったらおかしいじゃん。「インディアン」と言うのは普通でしょ? ちなみに、僕も地の文では「先住民」という言葉を使ってる。ここは台詞だから「インディアン」でないといけないと思ってこうしたのである。 で
菅野完とか野間易通といった人たちの主張がどれほどデタラメで現実からかけ離れているかというのは、前にも書いたんだけど、 ムー愛読者はと学会を経てネトウヨになる? http://togetter.com/li/721401 またひどいデタラメを言いはじめた。 しばき隊「『宮崎勤の事件のときにオタクは差別を受けた』という偽史をなんとかしないとどうにもならないね、これ」 https://togetter.com/li/1219626 「オタク差別など今も昔も存在しない」といういつもの話 https://togetter.com/li/1219654 @scarecrow_1911e C.R.A.C.は反レイシズム運動の団体ですから、おもに人種差別や民族差別を扱います。生活に根ざしたさまざまな差別(セクシャル・マイノリティ差別、職業差別、部落差別、女性差別など)にも関心を持ちますが、「オタク差別」な
連載ブログだが、このたび、分かりやすく目立つものに改訂することにした。以前から、このブログに不満があったんだよね。 特に僕が不満だったのは、僕が書いた原稿が消えてしまったこと。それも二回も! これはさすがに落ち込んだ。今後はこういうことがないよう、注意しようと思う。 しかしこれまでの旧ブログもしばらく続けようと思う。不慣れな点があってちょっと不便かもしれないが、みなさんはどうかごひいきにしてください。 それにしても、今度はスマホを新しくしたもので、これから文字を打つのにさえひと苦労なんだよな。できればアニメとか特撮ものの話もしたいな。
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