サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
TGS2024
kashino.exblog.jp
なぜAmazonのリコメンデーションはあんなにも使えないんだろうか?これは個人的な事情によるものなのだろうか?僕は上のキャプチャー画像にあるようにかなりの数の本を持っているとAmazonに申告し、そして評価をしているのだけれど、以前として自分の好みとはかなり外れるゴミのようなリコメンドしか返してこない。 Amazonが使っているリコメンデーションロジックは協調フィルタリングと言われていて、ユーザベースとアイテムベースの二つの方法でリコメンデーションをしていると思われる。たとえばユーザベースの場合、リコメンド対象のユーザの所持品目とその評価ポイントより他のユーザとの隣接度を計算し、例えばそれは階層モデルだったらcophen行列からピアソンの相関係数をもとめたり、非階層モデルだったらk-meansだったりするのだろうが、ニアレストネイバーのユーザを見つけたらそのユーザが持っていてかつリコメンド
最近とても腹に落ちることがあった。それは37Signalsが書いたReworkを読んでだ。 http://37signals.com/rework/ 37Signalsは、スモールビジネス向けのコラボレーションASPツールをプロダクトに持ち、開発者にRuby On Railsのクリエイターがいることで有名な会社で、小さいけれど価値のあるエンタープライズとして僕らの業界ではとても有名だ。 この本は、37Signalsが、ベンチャーキャピタルなどの他人資本を受けずに10年かけてゆっくり成長し、非常に意識の高い会社文化を醸成し、高収益を上げるビジネスを構築するようになった秘訣を書いた本である。この本を読んでわかるのは、この会社の存在自体が徹底的にシリコンバレー的ベンチャー企業像を否定していることであり、その主張はとても痛快かつタメになるということだった。例えば、 他人からお金を出資してもらうのは
最近非常に不快な体験をしたので、その愚痴のつぶやきなどを。 キッカケはある北海道在住のフリーライターなる中年の女性から、DjangoベースのTwitterクローンを社内向けシステムとして解説する本の技術的バックアップを突然メイルで依頼されたことだ。最初はそのメイルのあまりに唐突非礼な文面に怯んだが、まあ逆に実直そうだからと思って返答したことが、その後の嫌な経験の始まりだった。そういえば、そのメイルを受け取るまでは直接会ったことも電話で話したこともオンラインで会話したこともないのに、アイディア出しをするのに、Google Waveを使おうとか、意味のわからないカラミをしてきたのも嫌な兆候だった。 最初は技術面だけのサポートかと思ったら、本の企画にも絡んで欲しいという。共著という筋もあるということだったので、じゃあ、本の企画もやるのなら共著でお願いしたいと申し出たところ、配分は実作業の後で決め
いままで一年間Amazon.co.jpプライム会員になっていたけれど、東京に住んでいて、外に出る度に常に本屋で猟書していて、オンライン本屋にこそ既存本屋にない在庫を求める人間には意味のない会員制度だと思って、更新しないことにした。 プライム会員であっても結局新刊本しかAmazonは翌日配達しない。それならそこらの大型本屋で吟味して買うほうが納得感があるよね、ほとんど毎日本屋に行く身としてはさ。在庫もかなりビミョウだよね、この本屋。結局Amazonはベストセラー本ばかりを扱うデッカイ本屋に過ぎず、その意味で最近ここで新刊の本を買っていないよ。 それというのも、以下の服部哲弥さんの無限粒子系のシミュレーション解析でも数理モデルから導かれる理論曲線とAmazonの観測結果から既に明らかだけれど、AmazonはiTunesストアより一層「ロングテール」じゃないんだよね。 http://web.ec
1960年代にスタンフォード大学のWalter Mischelが行った「マシュマロテスト」は、4歳の子供の将来の成功を「予見」するテストとして現在でも多くの論文や書籍で引用される。「マシュマロテスト」は、4歳児の前にマシュマロをおいてその子がマシュマロを食べることを15分間我慢できるかどうかというテストで、その概要は以下のビデオをみると一目瞭然。 http://www.todaysbigthing.com/2010/02/15 これが引用されるのは、このテストの被験者である子供を15年後も追跡調査して入学している学校や職業を調べたところ、マシュマロテストにパスしている子供はSATのスコアが高く全米でも有数の大学に進学していた、ということにある。つまり、現在の衝動的な欲望を我慢することができる子供は、勉強を継続的にできるだろうから、勉強も良くできて良い学校に入りやすいということ。 これについ
週末は貯まっている仕事を一気に片付けようという気合いも虚しく、ひたすら経済学の専門書や論文を読むというワケのわからない展開に。ゴメン小松君…。 最初は、あの新聞や書籍の再販制度改革論議の際に、ナベツネに「三悪人」と罵倒された、規制緩和論者の三輪芳朗氏の戦前、戦後の日本研究の一連の論文と書籍である。 http://www.e.u-tokyo.ac.jp/~miwa/Yumeato-files/Yumeato.htm 「計画的戦争準備・軍需動員・経済統制 - 続『政府の能力』」 数式は一切ないのだが、一つ一つの一次資料を丹念に渡って検証し、「通説」「常識」「通念」を論駁していく様にはカタルシスを感じる。例えば、よく小林英雄氏や佐野眞一氏らの本に書いてある「俗説」、1960年代・70年代の日本の高度経済成長は、岸信介や椎名悦三郎、そして佐橋滋のような「産業官僚」が満州において計画し実施しした事業
Pat Metheny の新しいアルバム"Orchestrion"があまりにスゴすぎて開いた口がふさがらない。これ、メインのギタープレイ以外は全て機械式自動演奏つまりロボット楽団で、同時演奏なのだ。オーバーダビングのデジタル音楽じゃなくて。あ、もちろん機械式自動演奏の楽器の制御は、デジタルで制御してるんだけれど。そして、機械式だと演奏が遅れてしまうのが今までだったのだけれど、ソレノイド技術が発達して、ほとんどリアルタイムで反応するようなストリングスやドラムスの自動機械演奏ができるようになったのだ。 なぜMethenyが現代の音楽制作で常識になっているデジタイズされたサンプリング音源のオーバーダビングでなく、この機械式自動演奏にこだわったかというと、一回性の演奏が生むインプロビゼーションやグルーブやスイングが出てくるからだそうだ。各パートの楽器には、予めどのように演奏するかのルールを仕込まな
日本語のWikipediaに書かれている「デュエム=クワイン・テーゼ」の記述がおかしい。 http://ja.wikipedia.org/wiki/デュエム-クワイン・テーゼ まあ、日本語Wikipeidaでは毎度のこと、デフォルトであることなんだけれどね。誰が書いたものだかわからないが「科学や知識は補助仮説によって反証不可能になる」だとか、本来の意味以上の余計なものを書きすぎだ。池田信夫氏がこれを根拠にした、かなり危ういエントリを上梓している。このwikipediaの記述は、おそらく野家啓一氏が「科学の解釈学」で示した先走った見解を読んでそのままwikipediaに引き写したんだと思う。これに対しての批判は、秋田大学の立花希一氏の論考をみてもらえば明らかだと思う。 デェエム=クワイン・テーゼとポパー http://air.lib.akita-u.ac.jp/dspace/handle/1
2009年の"Top ten books of the year"である。今年からは、英語の本と日本語の本でランキングを分けることにした。訳書については原著を優先し、名訳またはオリジナリティが無い限りはランキングに選ばないことにする。もちろん、今年も"Me Factor"から選んだ本達である。 まずは英語で書かれた本から。今年に読んだ英語で書かれた本の中には生涯のコンパニオンとなるべき本はなかった。佳作はたくさんあったのだけれど。その意味で僕にとっては不作の一年だったかもしれない。 1. Acemoglu, Daron "Introduction to Modern Economic Growth" 2. Sen, Amartya "The Idea of Justice" 3. Farmelo, Graham "The Strangest man" 4. Dweck, Carol "SE
Malcom GladwellとSteven Pinkerがプチ論争をしている。 まずは、PinkerがGladwellの最近出版した“What the Dog Saw”に大げさな罵倒書評を書いたのが発端である。 Malcolm Gladwell, Eclectic Detective http://www.nytimes.com/2009/11/15/books/review/Pinker-t.htm 書評はPinkerらしくない、浮ついた、超ベストセラー作家としてのGladwellを嫉妬している感も垣間見える感情的なものだ。例えば、Gladwellの高IQ値が業績にあまり結びつかないという主張を、証拠なしにそんなことはないと言ったり、"eigenvalue"を"igon value"と聞き間違えていることを取り上げ言外に嘲笑したりしている。しかし、特に後者について、この"igon va
前のエントリで、NHKスペシャルの「リーマン予想」について視聴したときの感想を正直に書いたのだが、ネガティブな感想を表明する人が他にあまりいないためか、アクセスを集めたようだ。そのためなのか、知り合いから僕のエントリに対するいくつかの批判的なエントリやTweetがあるとの指摘があり、早速それをみたのだが、ビックリしたのは、僕のエントリはあの(リーマン予想について間違った情報を与えると僕が思っている)NHKの番組を観て感動した人への「配慮が足りない」と書く人が複数いたことである。 「配慮が足りない」。そうこの国では、どんなに間違った情報を元にしていたとしても、一度大衆が感動した経験に対しては、「配慮」しなければいけないのだった。感動している最中や感動した経験の直後に、老婆心から「あ、それ実はさ…」なんて水を差したり、座が白けることを言っては、「空気を読んでない」ことになるのだ。ちなみに英語だ
Po Bronson & Ashley Merryman "NurtureShock" http://www.amazon.com/dp/0446504122 自己の来歴に絡んだ内省的なドキュメンタリーを得意とする、Po Bronsonの新著である。今回は子育てに関係する最近の科学の成果をとりあげ、子育ての因習的な偏見を糺すことをメインテーマとしている。 最近まとまって本を読む時間がないので、本が積ん読になりがちなのは前のエントリでも愚痴ったところだが、それではマズイと、取り急ぎ二章分だけ読んだので、忘れないうちにメモをとっておく。今回はその中の第一章の"The Inverse Power of Prise"、つまり子供を褒めることの悪影響についてである。 この第一章については、すでに数多くの米国を中心とするメディアの書評でもブログでもとりあげられていて、ある意味話題沸騰中のコンテンツだ。
NHK BS hiで放映され、各所で話題になったNHKスペシャルの「リーマン予想」の番組をみた。 自宅にはテレビがないのだが、NHKオンデマンドで見逃し番組なるコンテンツを購入できるので、今回はそれを使って視聴した。便利な時代になったものだ。ただ、視るまでに、Windowsでなければいけないとか、IEでなければいけないとか、.Netフレームワークが古いのでアップデートしなければいけないとか、Windows Media Playerが最新版でなければいけないとか、セキュリティアップデートが必要だとかで、1時間以上の手間がかかったけれど。 https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2009012141SC000/index.html「素数の魔力に囚(とら)われた人々~リーマン予想・天才たちの150年の闘い」 その視聴した内容の感想をこのエントリとしたい。僕にはいろい
ジョン・スチュアート・ミルの「自由論」(山岡洋一訳)からの引用である。 賢明なこと、高尚なことはすべて、少数のひとがはじめたものであり、そうならざるをえない。そして通常は、そのなかの一個人がはじめたものなのだ。… …ごく普通の人の集まりにすぎない大衆の意見がどの国でも圧倒的な力をもつか、そうなろうとしているいま、この流れと均衡をとり、その欠陥を補うのは、卓越した思想の高みに立ち、はっきりした個性をもつ人物ではないかと思えるのである。このような状況ではとくに、まれな個性をもった人物が大衆と違った行動をとるのを抑制するのでなく、奨励するべきである… …世論の専制によって突飛な言動(eccentricity)が非難されているからこそ、この専制を打ち破るために、突飛な言動がでてくるのが望ましいのだ。…ひとつの社会に突飛な言動がどれほど多いかは一般に、その社会に才能や知的な活力、道徳的な勇気がどれほ
Google WaveのInviteがきたので、ようやく使い始めたのだが、たしかにこれはコラボレーションツールとして良いかもしれない。まあ一言で言っちゃうと、ユーザからの見えは、Skype ChatにGoogle Docsをくっつけたカンジ。それに加えて、ある程度インテリジェントなボットをメッセージのフィルタリングまたはディストリビューションの目的で利用することができる。 一つ一つの「チャット」をwaveといい、そのwaveにユーザやbotが参加する。waveの中の各個人の発言やメッセージをblipという。blipはGoogle Docsのように比較的リッチなテキストエディタを持ち、JavaScriptで出来たガジェットを貼ることができるので、簡単なプログラムで結構派手なことが可能になる。個々のblipにコメントをつけることができ、そのコメントのコメントも可能だ。blip自体を他人が編集す
iPhoneを導入してもうすぐ2ヶ月くらいになるが、電話やスケジュール・Todo管理などのPIM用途、そして超小型インターネットブラウザやSSHターミナルとしての用途の他に、僕が非常に恩恵を得ているのは、ラジオとしての機能だ。もちろん、iPhoneにFM/AMが聴ける機能があるわけではない。その代わりに、世界のインターネット上にあるPodcastが、ネットワークが繋がってさえいれば、いつでもどこでも好きなときに好きな具合に聴くことができるのだ。これは本当に素晴らしいと思う。 僕が定期的に聴いているのは次のものだ。 TTBOOK http://www.wpr.org/book/ More or less http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/more_or_less/default.stm NPR Science friday http://www.sc
ちょっとした必要があって、システムダイナミクスか、マルチレベルシミュレーションか、マルチエージェントモデルシミュレーションをやろうと思っている。Mac OSX 10.5かLinux(Ubuntu 9 or CentOS 4)で。しかし、驚いたことに、あんなに盛況だったシミュレーションフレームワークも、今ではマトモに動くシングルマシン用のオープンソースのフレームワークが存在しないことが判明した。 ちょっと調べたところでは、OpenModelicaは1.4.5ではMac/Linuxともマトモにプロットができないし、1.5はWindowsしかない。SwarmはMac OSX 10.5版が存在しないし、LinuxではJava環境に問題があって動作しない。Mimoseはマトモにビルドができない。離散事象の待ち行列モデルのシミュレーションフレームワークはいくつか動くのはあったけれど、今回はそれをしたい
Excel(やCalcだとかの表計算ソフト)が生理的に嫌いだ。 あのロジックを隠蔽化してノペーッとデータを一面にぶちまける仕様に、いらいらするばかりか、嫌悪感さえ覚える。デフォルトではロジックは隠蔽化されているから、セルを選択するか、例の計算式を表示させる方法でしか見ることが出来ない。また、セルごとにしかロジックを割り当てることができないのもかなりゲンナリする。 これでも一応経営者の端くれなので、事業計画や変動損益計算書なるものを他人に見せなきゃいけないことがあり、Excelを使おうとはしているのだが、Excelを使おうとうするとどうやっても発狂寸前になる。あのベクトルやリストで一つにまとめるところをノペーッと全データ表示しなければいけないところとか、ベクトルとスカラーの積演算を表現したいだけなのに、意味なくスカラーを全セルに割り当てなければいけなくなるところが必ずでてくるところとか、ベク
J.S.Bachといえば、人類が産んだ最高のいや有史以来最高の音楽家と言っても誰も反対しないだろう。音楽好きなら最後にはBachに行き着くというのが常と言っても良い。トッカータとフーガ、平均律クラビーア、ゴールドベルグ変奏曲、ブランデンブルグ協奏曲、無伴奏チェロ組曲、無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ、フーガの技法、音楽の捧げもの、フランス組曲、チェンバロのためのパルティータ、マニフィカト、クリスマス・オラトリオそしてマタイ受難曲というように、数え切れないほどの不朽の名作品を大量に残している。Bachに対しては、天才という言葉さえあまりに軽すぎて使うことがきないほどで、それは一人コングロマリットというか、一人産業、いや一人帝国といってもいいくらいだ。 ここで話題にしたいのが、その中でも断トツの作品、Bachがライフワークとして残したカンタータである。現在楽譜が残っているのが、教会カンタ
こうの史代 「夕凪の街 桜の国」 http://www.amazon.co.jp/dp/4575297445 このような言葉にならないほどスゴイ漫画作品があったとは。 全てのコマに、そしてそのコマの背景に意味があり、その描かれたものが登場人物を介して繋がっていくという構成にやられてしまう。Alan Mooreの作品に匹敵するほどの「叙事詩」であると思う。そう、抒情詩ではなく。 原爆を巡るスティグマを中心テーマに据えて、世代を超えて「ヒロシマ」と他所とを行き帰りする物語と言ってもいいのだろうが、そんな御為ごかしの言葉で言い表せない余情にあふれている。この場合の「ヒロシマ」とは、実際の広島でもあるし、被災というメタファーとしてのヒロシマでもあるし、人物が体現するスティグマとしてのヒロシマでもある。読後に、やるせなさというか悲しさというか感動というかそれでも前向きに生きる希望というか、よくわか
最近、シリコンバレー方面に住む「風俗説教型ビジネスモデル(http://kashino.tumblr.com/post/101114246)」の説教師達が次々と失言をしているようだ。まあ本当にどうでもよいことだと思うのだが、敢えて言うのならば彼らがブランドとして掲げてきた「シリコンバレー発」というカンバンが日本でさえも相手にされなくなってきていて(というか日本で相手にしなけりゃ誰が彼らを相手にするんだ、というのはある)、その結果メシのネタとして喰っていけなくなっているのでソイツを急いで掛け替える必要があるだけなんじゃないのか?それに一々付き合うのもどうかと思うが、前のエントリで自分の過去のWeb閲覧の無駄骨とインターネットコンテンツについて触れたので、Webコンテンツに関する雑感などを。 現在ではWeb全体をみるとコンテンツの生態系は豊かになって、一方では「バカと暇人」向けで「残念」なコン
前エントリ(http://kashino.exblog.jp/8338441/;) のネタとなる論文を読んでいるときに思ったけれど、世の中はセンスオブワンダーに溢れているのだ。面白いことワクワクすることに溢れているのだ。 そうではあるのだが、自分のコンテンツに対する接し方について、かなり反省することがあるのだ。テレビも新聞も読まない自分にとって一番ジャンクな情報原は無目的なWeb閲覧だと思う。思えば1993年の4月にX Window上で動作するNCSA Mosaicが出てから、もう数ヶ月後にはSun-4 330でそれを使っていたから、Webサーフィンを17年間にも渡ってやってきた。当時は院生で、天文や宇宙物理の分野では早くからデータリポジトリサーバーが用意されていて、そこからFTPやGopher経由でデータを入手しなければ研究ができなかったから、その経緯からWebの受容も早かった。Webを
ここ一週間ほど空き時間を探しては以下の論文を読んでいた。 The first digit frequencies of primes and Riemann zeta zeros tend to uniformity following a size-dependent generalized Benford's law Authors: Bartolo Luque, Lucas Lacasa http://arxiv.org/abs/0811.3302; この論文は素数と非自明なRiemannζ関数の零点分布が、実は拡張されたBenfordの法則に従っていたという、あまりに面白すぎる論文で、読んでいるときも、読み終わった今も痛く感動している。今回はそのメモを残す。 ちなみにBenfordの法則の導出について以前エントリを起こしたことがある。 Benfordの法則 http://kashi
Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] Outliersのブックレビューの続きである。 第一回はここ [http://kashino.exblog.jp/7771399/] 第二回はここ [http://kashino.exblog.jp/7771432/] 前回はここ [http://kashino.exblog.jp/7775674/] 意味のある仕事 10000時間の法則にあるような、継続的な努力を続けるためには、その仕事は意味のある(meaningful)ものでなければいけないのだ。Gladwellは意味のある仕事を次のように定義する。 ・自分の意志でハンドルできる自律的(autonomy)があること。 ・創造性や工夫が必要な複雑(complex)さ
Malcom Gladwell "Outliers: The Story of Success" [http://www.amazon.com/dp/0316017922] Outliersのブックレビューの続きである。 前回のはここ [http://kashino.exblog.jp/7771399/] どのエートスを持つ集団で生まれたか、どの家庭で生まれ育ったか いつ生まれたかというファクターも大事なのだが、同じくらい大事なのはどこで生まれたか、つまりどのエートスを有する集団に属していて、どの家庭で生まれ育ったか、ということである。GradwellはChap 6, 7, 8でこれを議論している。 まずはエートスが負の方向に働く例として提示しているのが、19世紀のUSでアパラチア山系の麓で頻繁に繰り広げられた、ある家族とある家族の間の抗争である。有名なところでは、Hatfield-McC
科学の基礎となる世界観にも、流行廃りというのがあって、事態を思いっきり単純に二元論的にいってしまうと、それはホーリズムとリダクショニズムのせめぎ合いによるものではないかと思っている。 ホーリズムとは、全体は部分に還元できず、全体は部分の和以上のものであると見なす、アリストテレスの形而上学をはじめとする考え方のことだ。これに対して、全体は部分に還元可能だし、部分は全体に統合可能だと規定する、デカルト流のリダクショニズムがある。ホーリズムとリダクショニズムは正反対をなしているとされる。 最近、福岡伸一さんが新書を中心に盛んにエバンジェリングをしているシェーンハイマーの「動的平衡仮説」なんて、典型的なホーリズムである。その他にも、ニールス・イェルネの免疫ネットワークや、デビット・ボームのホログラフィックユニバースのようなものもある。80年代から90年代中盤まで流行って廃れた複雑系科学は、ホーリス
豚インフルエンザ(H1N1 Swine Influenza Virus)でマスコミを中心に俄に大騒ぎの様相を呈しているが、それに煽られないようにしよう。なにせ何ヶ月もまえからエジプトやインドネシア、中国で鳥インフルエンザ(H5N1 Avian Influenza Virus)が問題になっていたのだが、日本のマスコミはほとんど報道しなかったのだから。煽りネタがきたからただ煽るだけなのだ。 煽られないためには正確な情報が必要だ。マスメディアやTwitterなんかを見ていては本質を見失う。これを避けるには、是非とも次のProMEDサイトにて一次情報に近い正確な情報に当たる必要がある。 http://promedmail.org/ Google Mapを利用して被害があった場所をマップする個人も出ていてTwitterなどで評判になっているけれど、やはりこれもきちんとしたProMED発表のものに触れ
"Guns, Germs, and Steel"で有名なJared Diamondがでっち上げ記事だそうだ。 http://io9.com/5226368/jared-diamond-sued-by-new-guinea-natives-for-crimes-of-anthropology ニューギニア人は未だに人類の原初的習慣を持ち続けているとし、具体例としてある部族間の残虐な闘争の模様を描いているのだが、そのような事実はないそうで、二人のニューギニア人から訴えられている。でっち上げとされている記事は2008年4月21日にThe New Yorkerに掲載された次のもの。 http://www.newyorker.com/reporting/2008/04/21/080421fa_fact_diamond?currentPage=all "Guns, Germs, and Steel"だ
Springerの"User R"シリーズが20冊を超えて、益々充実している。当初はRにおけるデータの取り扱い方法だとかグラフィックの表示方法、そしてベイジアン推定などの統計テクニックなどを記述する入門書ばかりだったが、最近は専門分野にRを導入する本が多くてとても好ましく思う。 http://www.springer.com/series/6991 例えば系統学でRを使う方法を示してくれるものもある。 Analysis of Phylogenetics and Evolution with R (Use R) http://www.amazon.com/dp/0387329145 形態計測学においてRを利用する手引きをしてくれるものもある。 Morphometrics with R (Use R) http://www.amazon.com/dp/038777789X/ 遺伝系の研究に必要
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『wrong, rogue and log』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く