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「トヨタの手柄は、俺のものだ」 勝者に“ただ乗り”するネット民の正体――「借り物の自尊心」と0.23%が生む称賛・攻撃の構造とは ネット空間では売上50兆円のトヨタ礼賛と、日産6500億円・ホンダ6900億円赤字への激しい非難が交錯する。本稿は社会的アイデンティティ理論を軸に、10万人調査で示された過熱言論の実態と「435人にひとり」の偏在性から、集団同一化が生む評価の歪みを読み解く。 ネットのニュースやSNSを覗けば、そこには奇妙な熱狂と冷徹な憎悪が同居している。 売上高50兆円という途方もない数字を出し、3兆5700億円もの純利益を上げるトヨタを称える声。その裏で、2年続けて6500億円の赤字となった日産や、電気自動車(EV)戦略の綻びから6900億円の赤字に転んだホンダへ投げつけられる、人格否定に近い言葉の刃。企業の成否が、なぜここまで個人の心を激しくかき乱すのか。ただの好き嫌いでは
2006年開始のTOICAが、2026年3月17日に転機を迎える。自前開発を捨て、3年の運用実績を持つモバイルICOCA基盤を採用。20年の遅れを挽回できるか。交通IC勢力図がいま塗り替わろうとしている。 交通系ICカードの行方は、JR東日本のSuicaだけで決まるわけではない。JR東海のTOICAは、スマホ対応の遅れを指摘され続けてきた。時代から外れた存在だ、といわれたこともある。 その同社が2026年、方針を転じた。自社で新しいアプリを立ち上げるのではなく、JR西日本のモバイルICOCAの仕組みを使い、いわば同じ土台に乗るかたちでモバイル化を進めるという。自前で囲い込むのではなく、既に動いている仕組みに乗る。そこに迷いがなかったとはいい切れないが、現実的な判断であることは確かだ。 一から基盤を築けば、時間も費用もかかる。巨額の資金を要するリニア中央新幹線の計画を抱えるなかで、投資の優先
「使いにくかったと認めます」 JR東日本が異例の自省――評価1.7の「えきねっと」に自らメス、新アプリは客離れを食い止められるか? 会員1000万人超、アプリ評価1.7。老朽化した「えきねっと」をJR東日本が自ら否定し、予約手順を21から4へ削減する「JRE GO」に踏み切る。狙いは利便性向上だけではない。Suica軸で紙きっぷを縮小し、収益と顧客接点を取り戻す構造転換の一手である。 新幹線の切符をネットで取ろうとして、ため息をついたことのある人は多いはずだ。とりわけ「えきねっと」への風当たりは強く、登録の手間やスマホでの見づらさ、確認事項の多さといった不満が絶えない。使いにくさがニュースの題材になるほど、状況は切迫している。 こうした声に、JR東日本がついに動いた。2026年2月16日、同社は新たな予約サービス「JRE GO」を秋に始めると明らかにした。4月からは試験的な運用も行うという
黒字でも倒れる企業が増えている。正社員不足は52.3%、運輸は65.8%に達し、人手不足倒産は427件と過去最多だ。荷はあるのに動かせない。需給では説明できない歪みが、日本の物流を揺らしている。 2026年の日本経済が直面しているのは、どこかちぐはぐな現象である。黒字でありながら、人手が足りずに倒れる企業が増えている。帝国データバンクによれば、2026年1月時点で正社員が不足している企業は52.3%。1月としては4年続けて5割を超えた(2026年2月20日発表)。人手不足を理由とする倒産は2025年に427件に達し、3年続けて過去最多を更新、初めて400件を上回った。景気が冷え込んで脱落したわけではない。供給の末端が動かなくなった。その帰結である――。 なかでも運輸・倉庫業の数値は重い。正社員不足は 「65.8%」 と全産業のなかでも高い水準にあり、非正社員でも40.2%が足りない。現場に
「乗るのにお金はいりません」 もはやバスは“運賃”で稼ぐのを止めるべき? 柏の葉700m無人運行が示す、公共交通の「新たな収益方式」 赤字率8割の路線バスを救うため、柏の葉でレベル4の無人運行が始まった。ひとりで複数のバスを管理する仕組みで、運行コストを大きく下げる。2030年までに1万台の導入を目指す計画だ。運賃だけに頼らず、街全体の価値を高めることで収益を上げる「都市の基盤」としての活用も進められている。5年間で13億円の経済効果を生む、この交通ビジネスの歴史的な変化が始まった。 2026年1月13日、千葉県柏市で首都圏初となる自動運転バスのレベル4営業運行が始まった。東武バスセントラル(東京都足立区)によるこの取り組みは、深刻なドライバー不足に直面する公共交通の省人化に向けた重要な一歩となる。ひとりの監視者がモニター越しに複数台を管理する「1対多」遠隔監視は、持続可能な事業モデルを作
2025年に4268万を超えた訪日客を迎える成田空港。京成8000億円投資とJR東日本の広域網論理が交錯する現場では、単線区間の制約が増発・高速化の限界を固定し、利用者の利便性と国家資源の最適配分に影響を及ぼしている。 いきなりだが、成田新幹線の計画を思い出してほしい。東京駅から越中島、葛西、原木を経て、現在北総鉄道が通る鎌ヶ谷や千葉ニュータウンを抜け、印旛沼付近から成田空港まで至る構想であった。途中駅の設置計画もあったが、開業当初は1時間あたり5本の運行、本数と所要時間は東京~成田空港間で約30分を想定していた。 大規模な投資を前提に計画は進められたが、実際に大規模工事が行われたのは、成田市土屋付近から空港までの約8.4kmの区間に限られる。ここは、JR成田線と交差したのちトンネルを通り空港に至る区間で、現在はJR成田線と京成成田スカイアクセス線が共用している。要するに、単線が二社で並行
シンガポールで2025年、BYDが新車登録首位に浮上。EV比率は45%に達しHVを超過。政府主導の制度と都市インフラが市場を動かし、従来の日本メーカーの優位を揺るがす変化の実態。 シンガポールの2025年における乗用車新車登録で、中国の比亜迪(BYD)がトヨタ自動車を上回り、初めて首位に立った。新車全体に占める電気自動車(EV)の比率は前年から11ポイント上昇し45%となり、これまで主力だったハイブリッド車(HV)を抜いた。 シンガポール陸運局の統計では、乗用車新車登録台数は前年比22%増の5万2678台。そのうちEVは64%増の2万3684台で、HVの2万435台を初めて上回った。ガソリン車は7638台とわずかに減少している。 メーカー別では、BYDが1万1184台で首位、トヨタが2位、ドイツのBMWが3位だった。BYDはここ数年で市場シェアを急拡大させ、登録台数は前年から8割増に達した
昭和後期に少年たちが街の公園や山で成人向け雑誌を探したように、現代の若者は端末の中で「裏垢」を駆使し情報を探索する。総務省によれば裏垢保持は4割に達し、物理的距離の代わりに心理的負担で自由を確保する新しい行動様式が浮かび上がる。 2026年1月25日放送のフジテレビ系『ボクらの時代』には、新ドラマ『ラムネモンキー』でトリプル主演を務める津田健次郎(1971年生まれ)、反町隆史(1973年生まれ)、大森南朋(1972年生まれ)の三人が登場した。世代を代表する俳優が並ぶ鼎談は、思わぬ方向へ話題が流れた。 注目を集めたのは、芸能界の裏話ではない。少年時代、三人が熱中したのは、街で落ちている 「エロ本(成人向け雑誌)」 を探すことだった。津田は「探しに行ってましたよ。僕は駐車場でした」と振り返った。反町は「山」と答え、大森は「大きな公園のしげみ」と続けた。 この場所の選び方は偶然ではない。1970
実家暮らしの若者が高級車に乗る背景には、浪費でも例外でもない構造がある。住居費ゼロ、大学費用450万円の未発生、残価ローンで月7万円台――世帯資産と金融が生む「見える消費」を読み解く。 先日、Q&A型コミュニティーサイトを見ていると、ふと目を引く問いに出会った。「ヤンキー」が高級車に乗れる理由を問う、きわめて率直な疑問だ。 ここで使われているヤンキーという言葉は、学術的に整理された概念ではない。多くの場合、学業よりも早く働く道を選び、地元に残り、建設業などの現場仕事に就く若者層を指す俗称として使われている。派手な服装や車、強い地元志向といったイメージと結び付けて語られることが多いが、それがそのまま非行や犯罪を意味するわけではない。本稿では、この言葉を価値判断を含むレッテルとしてではなく、特定の就労や生活、消費の傾向を持つ人々を指す便宜的な呼称として用いる。 この問いが投げかけられたコミュニ
新車購入の約2割が残価設定型ローン(残クレ)を選ぶ時代。月額抑制の利便性の裏で、契約者死亡時の債務処理や相続のリスクが顕在化せず、家計構造に潜む危険が浮き彫りになっている。 日本の新車市場において、支払い手段のあり方は決定的な転換期を越えた。かつての主流だった現金一括払いが勢いを失う一方で、残価設定型ローン(残クレ)が市場のインフラとして定着している。 2023年12月にジョイカルジャパン(東京都品川区)が公表した調査結果を振り返ると、その変化の激しさが浮き彫りになる。2012(平成24)年から2013年頃には「現金一括購入」が全体の75%を占めていたが、2021年には56%まで減少した。 対照的に、2007年以前はわずか3%に過ぎなかった「残価設定あるいは据置型ローン/クレジット」は、2014年以降に急成長を遂げ、2018年には 「20%」 の大台に到達した。現在も新車購入者の5人にひと
“西武王国”崩壊から20年――「鉄道は所沢、経営は都心へ」 沿線の常識を捨て、あえて拠点を切り分けた33年目の決断 西武グループは1986年に所沢に本社を移転後も、本店所在地は池袋の旧本社ビルのままだった。2019年、持株会社や不動産・ホテルの主要3社が「ダイヤゲート池袋」に移転し、約400人のスタッフが池袋へ戻った。沿線と全国の現業部門を踏まえた本社最適化で、池袋・所沢の2拠点体制が定着した。 西武グループと聞くと、一定世代以上には、オーナー経営者の堤義明氏が築いた「西武王国」の印象が強く残る。グループの源流は不動産会社・箱根土地にあり、義明氏の父・康次郎氏が基礎を築いた。義明氏はそれを継承し、昭和後期から平成初期にかけて、プリンスホテルの全国展開や球団経営などを推進し、バブル期に事業の絶頂を迎えた。 しかし2004(平成16)年、義明氏は総会屋への利益供与事件をきっかけとする一連の不祥
小田急電鉄は海老名駅西口「ViNA GARDENS」にファミリー棟とホテル棟を建設し、全9区画の開発を完了する。海老名駅は1日約14万人が利用する鉄道の要衝で、本社一部移転により現場との連携も強化されている。 小田急電鉄は2025年12月19日、小田急線海老名駅西口の開発エリア「ViNA GARDENS」において、2027年春開業予定の「(仮称)ファミリー棟」と、2028年開業予定の「(仮称)ホテル温浴棟」の新築工事計画を決定した。今回の2棟の完成により、同エリアの九つの開発区画はすべて完了する。 同社は1960年代から海老名駅前での開発を段階的に進めてきた。1973(昭和48)年には開発構想に合わせて駅を現在地に移転している。2002(平成14)年には大型商業施設「ViNA WALK」を開業し、海老名市との連携を深めながら開発を推進した。 2015年には、同駅とJR海老名駅に挟まれた約3
2011年に全線開業した九州新幹線。その停車駅・筑後船小屋は、かつて無人駅だった在来線との「繋ぎ目」に建設され、鹿児島本線と接続。広大な公園やスポーツ拠点を抱え、最近は西九州新幹線のルート議論でも注目を集める。 2011(平成23)年3月、先行開業していた新八代~鹿児島中央間に続き、博多~新八代間が開業し、九州新幹線は全線で運行を開始した。このとき、筑後船小屋駅(福岡県筑後市)も開業した。旧鹿児島本線の船小屋駅を約500m移設し、鹿児島本線と九州新幹線を接続する駅として整備されたのである。旧船小屋駅は普通列車だけが停車する無人駅で、全国的にほとんど知られていなかった。 筑後船小屋駅がある筑後市の中心駅は、1駅北の鹿児島本線・羽犬塚(はいぬづか)駅である。羽犬塚駅の上空には九州新幹線の高架が走っている。普通に考えれば、まちの中心駅に新幹線駅を設置するのが自然である。なぜ船小屋に新幹線駅が設置
葛飾区長が「失敗」宣言? 「青砥駅」の機能不全と空白30年──交通結節点が立石再開発に飲み込まれる日の現実味 京成電鉄で1日4万8000人超が利用する主要駅・青砥は、再開発の頓挫によって駅前機能が欠落したまま取り残されている。隣駅・立石の大規模再開発が進むなか、交通拠点の役割が移る可能性も現実味を帯びる。再開発の“失敗例”とされた街は、いま岐路に立っている。 青砥(あおと)という地名を聞けば、鉄道ファンなら京成本線と押上線が乗り入れる主要駅を思い浮かべるだろう。複数の鉄道会社の車両が行き交い、「運行の要」となる場所であることは間違いない。 実際、青砥は葛飾区の中心のひとつで、二層構造の大きな駅舎が周囲を圧倒する。環状7号線も近くを通り、交通の結節点として機能してきた。 それにもかかわらず、駅前にはバスやタクシーのロータリーがない。飲食店や物販店の数も多くない。この状況の背景には、区長が 「
大衆食堂、社員食堂、学生食堂など、和洋さまざまなメニューを安価に提供する食事の場を意味する「食堂」。もともと仏教用語であった食堂が外食店に採用されるきっかけとなったのが、鉄道であった。 大衆食堂、社員食堂、学生食堂など、和洋さまざまなメニューを安価に提供する食事の場を意味する「食堂」。この言葉はもともと仏教用語。「じきどう」と読み、僧たちが集団で食事をとる部屋を意味していた。江戸時代になると、昌平坂(しょうへいざか)学問所や各藩の藩校、つまり学校における集団給食用の部屋にも食堂の名が使われるようになる。その意味では、学生食堂という名称は歴史のある名称であるといえる。この食堂という言葉が外食店に使われるようになるのは明治時代。鉄道に食堂車が誕生してから。 初期の食堂車は西洋料理専門であることが多く、精養軒などの西洋料理店がその運営を委託されていた。 明治期の外国航路の汽船も西洋料理が中心。も
駅前の店がすべて消えた「京成立石」──“失敗が許されない再開発”で揺らぐ下町文化と、コスト増・訴訟が示す構造的リスク 京成立石駅北口の再開発は、710戸のタワーマンションや葛飾区役所移転、バスロータリー整備を含む大規模事業だ。建設費は2024年時点で約1186億円に膨張し、住民の反発やテナント運営の複雑化も指摘される中、下町の賑わいをどう維持するかが問われる。 2025年11月1日、京成立石駅北口で「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」が始まった。竣工は2029年を予定している。西側には地下2階・地上36階建て、710戸のタワーマンションが完成し、商業施設も併設される。東側には葛飾区役所が入る13階建ての建物が建つ計画だ。両者の間にはバスロータリーも設置され、これまで不便だったバスと鉄道の乗り換えがスムーズになる見込みだ。 京成立石駅周辺の商店街は、「1000円でべろべろに酔える」と称さ
東京都と杉並区の再開発計画で、高円寺北口の純情商店街・庚申通りが幅員16mの道路で丸ごと消滅の危機。Xでは数千筆の署名が集まり、文化・土地価格・地域経済への影響が議論を呼んでいる。 2025年11月17日、X(旧ツイッター)で「高円寺純情商店街破壊計画に住民反発、数千筆の緊急署名集まる」がトレンド入りした。オンライン署名サイト「Change.org」には「高円寺再開発の危機回避のための署名!」というページが公開され、話題となっている。問題となっているのは、東京都が策定中の都市計画道路「第五次事業化計画(仮)」と、杉並区がそのなかで「補助第227号線」を改めて優先整備路線として推進する姿勢を示したことだという。 補助第227号線は、新高円寺から練馬まで南北につなぐ約4.5kmの都市計画道路で、環七の西側に新たな生活軸を形成することを意図した計画だ。 ・木密地域(木造密集地域)の防災改善 ・南
EVは走行中の排ガスゼロでも、製造時のCO2排出が多く、初期2年間は内燃機関車より30%多く排出する。しかし車両寿命18年で累積排出量は半減し、環境負荷の経済価値もガソリン車の2~3.5倍低減可能だ。 電気自動車(EV)に乗るなら、長く乗らなければ意味が薄いようだ。 米デューク大学の研究によると、EVは製造過程で内燃機関車(ICE車)よりCO2の排出量が多い。この追加分を相殺するには 「最低でも2年の走行」 が必要になる。つまり、EVは2年以上使わなければ環境効果が限定的なのだ。 研究チームは2025年10月、「PLOS Climate」において、EVとICE車のライフサイクル全体のCO2排出量を分析した。 ・使用燃料の生産 ・バッテリー製造 ・車両組み立て ・運転 に至るまでを比較している。 EVは走行中の排気ガスがゼロで、CO2や窒素酸化物を直接放出しない。しかし製造段階からの環境負荷
約1600億円を投じる大江戸線延伸計画が動き出した。だが「鉄道空白解消」の名目だけでは語れない。人口減少、需要変動、バス再編――事業採算と生活価値の両面から、都の判断が試される局面にある。 東京都が都営大江戸線の延伸計画を公表した。光が丘駅から北西へ約4km延ばし、土支田・大泉町・大泉学園町の3駅を新設する方針だ。総事業費は約1600億円と見込まれている。 延伸の目的は ・鉄道空白地域の解消 ・都心へのアクセス向上 とされる。しかし、報道の反応を整理すると、従来から存在した計画にもかかわらず、なぜ今この延伸なのか、そして誰がそのコストを最終的に負担するのかという疑問が浮上している。 本稿では、交通需要、財政、都市計画の三つの視点から、この延伸事業の妥当性と課題を検証する。
池袋~田端間の山手線には、列車からも確認できる「M字型」の奇妙な線形が存在する。1903年開業のこの区間は、切り通しや谷戸の地形を巧みに活かし、当時最大の10‰勾配を克服。都市計画と鉄道技術が交錯した、戦略的路線設計の記録である。 山手線の北側、池袋から田端までの区間には、奇妙な線形が見られる。一度南に下がり、まるで英語の「M」のようにくぼんでいるのだ。列車から眺めると、線路が丘や谷を縫うように走り、直線ではないことを実感できる。窓外には、切り通しのコンクリート壁に囲まれた場所や、谷戸の緑が広がる場所が交互に現れ、風景の変化が体感できる。沿線の町屋や小川がかつてどのように存在していたかを想像すると、設計者が地形と都市生活に配慮してルートを選んだ工夫が伝わってくる。 ヨドバシカメラのCMソングでは「まあるい 緑の山の手線~」と歌われていた。しかし、このくぼみを目の当たりにすると、「全然丸くな
尾道を訪れる観光客にとって、新幹線の最寄り駅は新尾道駅ではなく福山駅という現実。しかし、観光客以外に目を向ければ、その「風景」は変わってくる。 山陽新幹線の福山~三原間に、地元の請願駅として新尾道駅が開業したのは1988(昭和63)年3月である。この年は新幹線の新駅設置が相次いだ年で、同じ山陽新幹線の東広島駅や、東海道新幹線の新富士駅、三河安城駅も請願駅として開業している。 新尾道駅は他駅に比べ、開業以来しばしば 「失敗例」 として取り上げられてきた。その理由は明確である。まず前後の駅との距離が近すぎる。福山~新尾道間は約20km、新尾道~三原間はわずか11kmに過ぎない。東京や新大阪方面から尾道市に向かう場合、ほとんどの利用者は「のぞみ」が停車する福山駅で下車し、JR山陽本線に乗り換えて尾道駅まで向かう方が合理的である。 加えて、新尾道駅の立地は尾道市の中心市街地から約3km離れており、
三重県名張市の桔梗が丘住宅地で、駅前の百貨店跡が閉鎖されたまま放置されている。市民からは再開発を望む声が上がるが、市の財政は厳しい状況にある。 三重県名張市の桔梗(ききょう)が丘住宅地で、駅前の百貨店跡が閉鎖されたまま放置されている。市民から再開発を求める声が出ているが、市は危機的な財政状況だ。 近鉄桔梗が丘駅前に出ると「近鉄プラザ」の看板が残る建物が見えてくる。外観に大きな傷みが見えず、まだ使えそうだが、フェンスで囲まれ、なかへ入ることができない。名張市の戸建住宅団地・桔梗が丘。地域のランドマークだった近鉄百貨店跡が、無残な姿をさらす。 施設は1990(平成2)年、近鉄グループのスーパーを3階建てに増床改装し、「近鉄プラザ桔梗が丘店」として開業した。1998年には百貨店に業態を転換、売り場面積約1万2000平方メートルの「桔梗が丘近鉄百貨店」になる。しかし、売り上げが伸び悩んで2012年
東京湾は、面積約922平方キロ、湾奥平均水深15mの内海で、首都圏4000万人の物流と都市開発を支える戦略的空間だ。その名称と港湾整備の歴史は、江戸期から国際貿易まで、経済の基盤と直結している。 東京都の名称が正式に定まったのは意外に最近のことだ。国土地理院の地図を見ると、明治初期の海図には「東京海湾」と表記されている。長らく海図上ではこの呼称が使われてきたが、昭和40年代に「東京湾」と改められ、現在の表記に落ち着いた。 名称変更の理由は、地形に適した表現を用いる必要があったためだ。英語で湾は「Bay」、海湾は「Gulf」と呼ばれる。Gulfは大規模な湾を示す表現であり、ペルシア湾は「Persian Gulf」、メキシコ湾は「Gulf of Mexico」と表記される。東京湾はこれほどの規模ではないため、「海湾」とするのは不適切とされたのである。 では、明治以前はどのように呼ばれていたのか
1982年開業の上毛高原駅は、実在しない地名を冠した秘境駅として知られる。署名数1万7702人の駅名変更運動が起きた一方、近隣温泉地は衰退傾向にある。まちづくりや水上温泉再生の進展次第で、駅名の「既成事実化」が地域ブランド力を左右する。 1982(昭和57)年、上越新幹線の開通と同時に開業した上毛高原駅(群馬県みなかみ町)は、在来線との接続がない新幹線単独の駅として現在まで「秘境駅」として知られている。駅周辺は大きな開発が進んだとはいえず、40年経った今も山林の趣を残している。 実はこの駅名、開業前に設定された仮称で、もともと 「実在しない地名」 だった。駅が所在する月夜野町は2005(平成17)年の合併でみなかみ町に組み込まれた。地元では「存在しない地名のまま」は観光上マイナスになるとして、過去に駅名変更を検討した経緯がある。 比較的最近では、町商工会と観光協会が町議会に駅名変更を請願し
100年に一度の再開発はなぜ頓挫するのか? 新宿・渋谷・中野で続々延期――迫りくる“都市型廃墟”の危機とは 大型再開発が都市の景色を塗り替える一方で、施工遅延や白紙撤回が相次ぐ。背景にあるのは、建築資材価格の3年で30%超の高騰、人手不足の深刻化だ。都心だけでなく地方都市でも駅前整備が行き詰まり、都市間競争の勝ち筋は揺らいでいる。画一的な成長モデルの限界が、いま、あらわになろうとしている。 現在、新宿駅では駅と周辺道路・商業施設を一体化した大規模整備が進んでいる。しかし、南街区の高層ビル開発は施工業者が決まらず、完成時期は未定のままだ。 100年に一度の再開発とされる渋谷駅周辺では、「渋谷スクランブルスクエア第II期」(中央棟・西棟)のスケジュールと計画が変更されている。 JR中野駅前の中野サンプラザ跡地では、「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」の建設計画があったが、現在は白紙になって
「首都圏第三空港」の議論はなぜ再燃したのか? インバウンド急増と羽田・成田の限界、示された切実な必要性とは 首都圏の空港インフラは羽田と成田の二大拠点で長らく支えられてきたが、国内外の航空需要増加や老朽化問題を踏まえ、新たな「第三空港」の必要性が浮上している。2001年に国交省へ提出された14箇所の候補地案から軍民共用化が議論される横田基地など多様な選択肢が検討されてきたが、羽田・成田の機能強化やコロナ禍の影響で議論は停滞。今後は混雑緩和や緊急対応体制の強化、そして多様な航空会社による競争促進を視野に入れ、ハード・ソフト両面からの整備推進が求められる。 羽田空港と成田空港は、数十年にわたり首都圏の空の玄関口として機能している。その次の首都圏第三空港の構想は、数十年前から検討されてきた。 例えば2001(平成13)年には、国土交通省に対して各業界団体から首都圏第三空港の候補地として14か所(
世界のEV販売は2024年に1700万台を突破し、前年比25%増を記録した。国際エネルギー機関(IEA)は2030年にEVが新車販売の40%を占めると予測する。だが、EVの静寂性がもたらす新たな課題も浮上している。 世界のEV販売台数は2024年に1700万台を突破した。前年比で25%の増加に相当する。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までにEVが全自動車販売の40%を占めるとの予測を示す。 そんななか、意外な現象も報告されている。SNS上で、EVの助手席や後部座席に乗って車酔いしたとする投稿が増加しているのだ。EVの購入を検討する層にとっては注目すべき情報である。 過去の学術研究を調査すると、EVに乗車した際に気分が悪くなる理由に科学的根拠があると示す報告が複数見つかる。
なぜ現代のクルマは“品格”を捨てたのか──「ロボット顔」が暴く教養なき富裕層と、“12歳化”社会の現実とは 7月2日に配信された山口周氏の音声番組「Voicy」では、現代の自動車デザインが「全世界の12歳化」を象徴すると指摘。高級車やEVの「ガンダム化」ともいえる威圧的で派手な造形は、成熟した市民性の喪失と自己顕示文化の台頭を映し出す。社会の価値観が大きく揺らぐ中、真の美意識と責任を問い直す必要性を鋭く提起する内容である。 7月2日、山口周氏が配信する音声番組「Voicy」を聴いた。タイトルは「全世界が『12歳の子供』化してる?」。同氏は、『ベストセラー人生の経営戦略』や『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』などの著作で知られる経営コンサルタントである。 その配信のなかで、ふと耳に残る一言があった。 「世界の自動車が総『ガンダム化』している
指定席に座れない、荷物スペースの無断使用──年間1億人超が利用する新幹線で、制度の“綻び”が露呈し始めている。治安維持機能の脆弱さと現場対応力の限界が、乗客の不満を顕在化させつつある今、問われるのは「秩序を誰が守るのか」だ。 新幹線の指定席を購入しても座れない──そんな体験談がSNSで拡散され、利用マナーや制度運用をめぐる議論が広がっている。 筆者(高山麻里、鉄道政策リサーチャー)は東海道新幹線「S Work Pシート」の頻繁な利用者だ。座席が広めで快適なためか、何も知らずに着席する外国人に何度も遭遇している。そのたびに、自席であることや7号車の性質を英語で説明せざるを得ない。 さらに出張中の車内では、車両前後の荷物スペースにおける無断使用、ルールを理解せずに座席を占拠する旅行者への注意など、秩序の乱れが目につく。乗務員の存在感も薄く、同乗している警備員の役割が見えにくいのが実情だ。 これ
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