サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
TGS2024
milieu.ink
ブルックリンの自宅で開催したごく小規模な食事会でひとり、沈黙を守る女性がいた。 その会の参加者はたった4人であるにもかかわらず、友人に連れて来られた彼女は場の空気に馴染めないのだろうか、ちっとも口を開こうとしない。口角を少しだけキュッと上げ、大きな瞳で目の前の会話を観察しているばかりだ。他人の話にしっかり相づちは打つものの、自分からは何も喋ろうとしないのだから、どこから来たのか、何をしている人なのか、さっぱりわからない。 その沈黙に耐えかねた私は、節操なくあれこれと質問をぶつけてみることにした。すると彼女はようやく口を開いて、報道番組のキャスターとしてしばらくニューヨークに来ていることや、出身は鹿児島であること、けれども両親の故郷は大阪だということを話してくれた。へぇそうなんや、大阪のどこらへん? 私の地元も大阪やから……だなんて会話を続けてみる。が、どうにも微妙にぎこちないのだ。何を尋ね
(文章・写真:塩谷舞) 20歳の頃から、自分の感性が美しいと思うものを、ずっと避けていた。 当時京都の芸大生だった私は、「美大生・クリエイターのための」と謳ったフリーマガジンを創刊し、関西を中心に日本各地に設置していた。仲間たちと頑張って作っていたので、読者からの反響も、広告掲載の依頼も、ありがたいことに沢山集まってきていて、なかなかの手応えがあった。発行部数は1万部。今思うと僅かな数字ではあるけれど、「美大生」という小さなマーケットに情報を届けるには、充分な数だった。 ある日、大学のゼミでそのフリーマガジンのことを発表していたとき、講師の方にこう言われた。 「美大生の……と掲げるならば、塩谷さんの趣味趣向に当てはまらない領域もしっかり載せてあげて欲しい。美大生の中には、ここに出てこないことをしている人もいるでしょう。たとえば保存修復とか……」 なるほど確かに、と思った。 当時20歳だった
「じゃあ、アイルランドはどうですか? ダブリンは良い街ですよ。少し雨が多いけど……」 留学先を探していたとき、そう提案された。 他の候補地はどこも魅惑的なビーチやナイトクラブが自慢で、開放的になりきれない私には来世にとっておきたい目的地だった。 「雨の多い街、ダブリン」。 なんと心地よい響きだろう。 雨は嫌われ者かもしれないが、雨がもたらす効果は潤いだけではない。 雨のせいで多くの人が家の中でじっと時間を過ごし、雨のせいで頭の中で思考を巡らせているとしたら……それはとても魅力的だ。 アイルランドといえば、スカートを翻しながらステップを踏みたくなるようなケルト音楽や、古代ケルトの祭りが起源であるハロウィン、ギネスビールやアイリッシュパブなどが有名だが、同時に、多くの偉大な詩人を生んでいる。 「ケルト民族は心になんの傷を受けるまでもなく、幻視家なのである」 ——これはアイルランドの著名な詩人、
——御社ではこれから、どんな広告を作っていくんでしょう? 「いや、もう僕らは脱広告していこうと思っているんです」 私がSkype越しにインタビューしていた相手は、とある広告クリエイターだった。それも「バズマシーン」の異名を持ち、超高打率で広告をバズらせてきた——…と書けば、同業の人は「あぁ、彼か」とわかるだろう。 栗林和明、1987年生まれ。新卒で博報堂に入社し、「忍者高校生」や「#猫バンバン」、縦型MV「RUN and RUN」などのバズコンテンツを手がけ、国内外のアワードで掲げたトロフィーは数え切れない。2017年にはアメリカの業界紙AdAgeにて「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」にも選抜された、31歳。 私は彼に会ったこともなかったし、SNS上で喋ったことすらなかった。けど「コイツはすごい!と思う若手広告クリエイターは誰ですか?」と広告業界の人に尋ねるたび
はじめまして、アーティストの松浦知也です。今は修士論文を書いているところです。いや、修論に詰まった合間にこの原稿を書いているところです。 締切1週間前にして全然終わる気配のない論文を見返しながら、冷静になるとよくこの2年これだけ過密にやってきたものだとか思ったり、そう言えば去年もほぼ同じ時期に論文の締切があってげっそりしていたことを思い出したりしている。しかし、去年よりも落ち着いている……という心境の変化があるのは、この秋にニューヨークで過ごした3ヶ月が大きい。 ほとんどの人がはじめましてだと思うので、簡単に自己紹介を。 もともと東京藝術大学で音響を勉強しつつ、作品制作を始めた。その間teamLabという会社でサウンドエンジニアの仕事をやったり、夏休みの間山口にあるメディアアートセンター、YCAMでインターンをしていたりもした。そして2年前の春、大学院進学とともに福岡に引っ越してきた。そう
文章: 塩谷舞 「大阪万博のすこし前に、田舎からここに越してきたから」 「あの時は、外国の人がほんまに、ようさんきてねぇ」 小学校の頃、「地域のおとな」に話を聞こうというフィールドワークで、おとなたちは決まって、とても誇らしそうに、大阪万博の話をした。 正式名称は、日本万国博覧会。 それは私が生まれるより18年前のこと。 もう還暦を過ぎた父と母がまだ子どもだった頃、アジア初の万国博覧会が「家のすぐそこ」で開催されていたというのは、それはそれは誇らしい出来事だったんだろう。 テレビで高度経済成長の話題が出るたびに、「こんにっちは〜 こんにっちは〜 世界の〜 国から〜」という歌詞と共に、セピアがかった大阪万博の映像が流れる。千里ニュータウンという大規模なベッドタウンが、豊かになった日本の象徴として紹介される。そのたびに、おとなたちはみんな「ワッ!」となって、それぞれの昔話を語りだした。 「昭和
Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] アート作品が買われることを、すこし古風に「お嫁に行く」だなんて言うこともある。 が、お嫁に行った数多の作品たちが、その後どんな過ごし方をしているかを知ることは、少々難しい。生みの親は「どうか幸せに暮らしてくれ」と祈るばかりだ。 もしあなたがアーティストで、死後、あなたの回顧展が開かれるとすれば、一体何が起こるだろうか。 おそらく関係者は、数多の「お嫁に行った」作品たちを大捜索。ある作品は転売され、ある作品は譲渡され、ある作品の所有者は死亡していて……様々なケースがあるだろう。だからこそ、「ウチの物置にずっと眠っていた古い置物が、とんでもない値段になっちゃった!」という鑑定ショーが長寿番組であり続けるのだ。 しかし、テクノロジーの発展によって、様々なアートの情報を管理することが出来たなら? 「あぁよかった、この作家はかなり初期から、ブロックチ
塩谷 舞 ( Mai SHIOTANI ) 1988年大阪・千里生まれ。京都市立芸術大学卒業。大学時代にアートマガジンSHAKE ART!を創刊。会社員を経て、2015年より独立。2018年に渡米し、ニューヨークでの生活を経て2021年に帰国。オピニオンメディアmilieuを自主運営。note定期購読マガジン『視点』にてエッセイを更新中。プロフィール、プレスキットはこちら著書に『ここじゃない世界に行きたかった』(文藝春秋) Twitter Facebook LINE@ Instagram note Voicy
Text by ながち(@nagachiharu) 日曜夜8時。大河ドラマ『西郷どん』を夫と一緒に観るのは4カ月ぶりだった。 4カ月のあいだに、薩摩藩の田舎侍だった西郷どんは、のちの徳川慶喜と交渉ができるほどの地位にのぼりつめていたし、劇中で2度の結婚と別れを経験していた。 私たち夫婦は2014年の6月に同棲を始めて、それからふたり揃って大河ドラマを観るようになった。オープニングは早送りせず、毎回、テーマ曲を口ずさみながら謎のダンスを踊った。時には大げさな演出に文句を垂れた。 しかし、4カ月のあいだは、別々の場所で大河ドラマを観ていた。8時45分、ドラマが終わった直後に感想をLINEで送り合った。夫は、病院のベッドから、そのメッセージを送ってくれていた。 夫は、ちょっと変わった人だ。憧れの人は大泉洋さん。あの面白さに憧れているらしいが、私は夫もめちゃくちゃ面白いと思う。 夫は今年40歳で、
Lifestyle Home Workstyle PR ブランド物だから、みんなと同じだから、素晴らしい。そんな前時代的価値観からの脱却を果たせるか? 2018.08.10 Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] 「時代が変わった。価値観も変わった。もっと自由に生きよう!」 ——SNSを開けば、日々そんな声が飛び込んで来る。今の時代は、あらゆる価値観が目まぐるしく変わっている。たとえばジェンダー、ライフスタイル、キャリア、そして日々のお買い物に至るまで。 かつてブランド物ばかりを好んでいた友人は今、Instagramで見つけたハンドメイドのアクセサリーにぞっこん。 もちろんブランド物が嫌いになった訳じゃない。けれども、オンリーワンのものを自分の審美眼で選んでいく等身大の消費は、いかにも今の時代らしい。 「僕たちは、“いつかはクラウン”で育った世代です。高価でスタンダードなものを所
Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] 5歳の頃。 姉たちが小学校に行った後、母と二人だけで過ごす朝のささやかな楽しみは、朝ドラだった。 当時放送していたのは『ええにょぼ』という女医さんの物語。母は薬剤師なので、ドラマの状況を解説してくれて、なんとなぁく理解していた気がする。 家族揃っての夕食時は、もっぱら野球だ。流行りのドラマを観たい姉と、野球一択の父は、毎晩のようにチャンネル戦争を繰り広げていた。勝つのはまぁ、だいたい父。選手の名前を、私たち三姉妹にしつこく教えてきたものだ。 さほど興味がないものでも、無意識のうちに視界に入ってきては、自分の知識に変わっていく。 家族と過ごすって、そんな感じだった。 でも、私が大学生になった頃から、家族でチャンネル争いをする日常はなくなっていった。 それぞれが自分の端末で、好きなコンテンツを、好きな時間に、好きなだけ楽しめる。そういう時代にな
Business overseas PR 海外進出を考えているのなら、この制度は知っておきたい!はじめての海外商談で使えるノウハウもお伝えします 2018.03.28 Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] 「このインターネット時代なんですから、もっと海外市場を視野に入れていきましょう」 ——そう口にするのは、めちゃくちゃ簡単だ。 海外への情報発信。国外への販路拡大。 ここmilieuでも何度かテーマにしてきた話題だが、メディア上で「どうしてやらないの?」と語るのは実に簡単で、実行するのはその10000倍、むずかしい。 私に限っていえば、フリーランスであり、小さなWebメディアの編集長という身軽な立場だからこそ、住む場所も比較的自由に選べるし、パソコンとネット環境さえあれば仕事は出来る。 しかし、だ。世の中、もっと大きなビジネスを手がける人は、そう簡単にはいかない。輸送は?関税は
Media Nagoya Workstyle Marketing PR Internet 「ライターになりたい!」というニーズが急増する今。労働集約型モデルを、どう変えていく? 2018.03.23 Text by 塩谷舞(@ciotan)[PR] 「ライターになりたいです!」 純粋にそう願う人と、ここ最近、どれだけ出会っただろうか。 ライターという仕事は、まさに過渡期である。 本来、雑誌や広告がトップダウン形式で作られていたら、仕事の流れの中では「末端」に位置していたライター、という仕事。 が、SNS時代に突入してからというもの、マスメディアの影響力と反比例して「末端」は強くなった。 多くの出版社は、SNSで人気の漫画家をリサーチするようになった。Web上の広告案件では、Twitterでライターを探したり、Instagramでカメラマンを探したりすることなんて日常茶飯事だ。 「選ばれし者
Text by 塩谷舞(@ciotan) 「視野が狭いから、もっと広い世界を見たほうがいいと思うよ」 大学時代、よくそんなことを言われていた。 しかし、視野というのはなかなかハンドリングが難しい曲者だ。自分の目ん玉をポーンと高みまで放り投げることは出来ないし、誰かの広い視野をそのままお借りすることも、難しい。 結局は、自分の体験したことや、見てきた景色がベースになって、じわり、じわりと広がっていくものだと、私は感じている。 島国に生まれ29年。小、中、高、大学と、マイペースに視野を広げていきながら、その時々の目の前の課題を解決することが私の生きがいでもあった。 しかし人生はわからないもので、ひょんな事情でニューヨークに引っ越すことになってしまった。マイペースの終焉、突然の異国暮らしに、一体どこからどう手をつけていいかもわからない。目の前の課題が何であるのかも、さっぱりわからない。 アメリカ
Text by 塩谷舞(@ciotan) 「ホント好きだから、かなり気合い入れて作っちゃいましたよ。まぁこれ、儲からないんですけどね(笑)」 苦笑いしながら、仲間内でそんな話をする。これは、クリエイター、もしくはクリエイター志望の人たちの間では、よく目にする光景だ。 「好きである」というのは、何にも変えられないモチベーションになるし、魅力にもなる。 けれども。 「好きだから」という気持ちを先行させて走り続けた結果、残念ながら途切れてしまったお店や、劇団や、ギャラリーや、メディアを、数多く知っている。どれだけ愛情があっても、資金は尽きるのだ。 ちなみに「惜しまれながらも閉館」とGoogleで検索したら、30万件以上もの検索結果数があり、そこには愛情たっぷりのブログや、ニッチな映画メディアの記事などが並んでいた。 愛があっても、終わってしまっては、文化は続かない。 「文化度の高さ」と「商業的な
Workstyle 記事広告を減らすこと。収益の仕組みを変えること。そして海外発信。2018年、私の目標 2017.12.21 こんにちは、塩谷舞です。 ちょうど1年ほど前。厳密には11ヶ月前、ここmilieuを立ち上げました。 この1年で本当に様々なことがありました。生まれて来てから最も、神経を使った1年だった気がします(笑)。 尊敬する方々のお話を聞いて、それを自分の中で何度もなんども咀嚼して、考えと共に記事として世の中に発表する。 技術的には何一つ目新しいことをやっていないのですが、それでも人の思想を預かるということ、milieuという自らの庭を守ること、前回の記事を、期待を超えること……何度も逃げられない勝負に向かっていく感じは、時にゾクゾクして、時に逃げてしまいたいくらいに恐ろしくて、でもやはり、これは天職だと感謝する日々でした。 ただ、やはり、どこか逃げていたんだな、とも思って
Text by 最所あさみ(@qzqrnln) 「ホリエモンさん、家入一真さんと対談してみたいです!」 23歳の女の子の無邪気な一言から1ヶ月。 いつか、という「夢」は、11月21日という「予定」に変わった。 そのきっかけとなった23歳の女の子とは、今をときめく “ゆうこす”こと菅本裕子。『SNSで夢を叶える』という書籍を出版したばかりの彼女は、瞬く間に多くのフォロワーを魅了しながら、まさにSNSを駆使して夢を叶えている真っ最中だ。その圧倒的な個性を前に、「元・HKT48」という冠は、いつしか薄くなっていた。 本番前、緊張しながらLINE LIVEで現場の様子を伝えるゆうこす。寒い中1時間近く笑顔でライブ配信し続ける彼女の姿は、まさにプロ。その画面の先には1万人を超えるファンが、リアルタイムで視聴している はじまりは、ここmilieuに掲載された一本のインタビュー記事だった。 「女子高生も
Text by 塩谷舞(@ciotan) まさか、元アイドルを取材することになるなんて。 「元AKBグループ」という華やかでマスメデイア的な肩書きは、このメディア、milieuで紹介してきたクリエイターたちとは毛色が違う。正反対、と言ってもいいくらいに。 ただ、どうしても今、彼女を取材しなきゃいけない。ここ最近、メディアや広告関係の仕事をする知人と「今注目のコンテンツメーカーは?」という話題になると、女性も、男性も、何人もが彼女の名前を口にする。 菅本裕子、23歳。 みんなから”ゆうこす”と親しまれる彼女の存在は、あまりにも象徴的なのだ。 たとえば、元SMAPの3人による、SNSをフル活用するであろう「新しい地図」の取り組みや、柴咲コウさんのオンラインビジネスを中心とした事業の立ち上げなど、2017年には、芸能界の流れが大きく変わるであろう、エポックメイキングな出来事が立て続けに起こった。
思えばこれまで28年間、想定外の出来事なんて、あんまり起こっていない気もする。 それもそのはず。私はいつだって自分の人生に、ある程度の保険をかけて、自分でハンドルをがっしりと握り、そこそこの安全ルートを進んで来たからだ。 「この高校ならば合格圏内だろう。行きたい部活の強豪校だし」 そう思って受験した、実家の近所にある公立高校。入学後は予定通り吹奏楽部に入部し、高校生らしい夏を過ごした。 「卒業後に作家活動をする同級生も多いけれども、自分は就職をする。手に職を付けよう」 そう決めて、美大を卒業して正社員として入社したベンチャー企業では、Webディレクターとして3年間働いた。OLらしいスーツを着て、新橋や銀座にプレゼンに行った頃が懐かしい。 「フリーランスになるにしても、業務委託でいくつかの仕事を兼任しよう」 会社を辞めて独立したといっても、私の場合は非常に「安全な独立」だった。いくつかの会社
Introduction by 塩谷舞(milieu編集長) 私は海外で暮らしたことがない。だから、「あの国ではこうなのに、日本は…」という話を聞いても、「まぁ、そういうもんでは?」と思ってしまうくらいで、イマイチ危機感もなく、次の日も変わらずに過ごしてしまう。 自分の暮らしーーわかりやすく言えば、収入や、仕事や、食べるもの……などに直結しなければ、なかなか自分は危機感を抱けない。 だが、もし自分の目指す職業が、日本で成立しないものだったら? アート……それも、コンセプチュアルな現代アートの領域で、日本の中で大成しよう、というのは、なかなかの無理難題である。 「好きなアーティストは?」と聞かれれば、多くの人はミュージシャンの名前を挙げる。「じゃあ、好きな現代アートのアーティストは?」と聞くと、答えられる人数はぐっと減ってしまうことは事実だろう。 だから、現代アートを志す作家は、多くが一度は
こんにちは、塩谷舞です。 もし昨日の帰宅ラッシュの時間帯。なぜか金魚が三匹入った袋を大切そうにさげていた男性をみかけている方がいれば、それはこのお父さんだったかもしれません。 今日ここで紹介するものは、3歳の娘さんを持つお父さんの、夜のこぼれるようなツイートを集めたものです。お父さんは、娘さんにとある嘘をつきます。 お父さんが娘についたその嘘は、ただしいのか? それとも? 子どもがいない私にはちっともわかりません。この文章を読まれた方の中にはきっと「嘘なんてつかずに、現実を教えてあげるべきだよ」と思われる方も、いらっしゃると思います。 でも、わからない、嘘をつくのが正しいのかわからない、と悩むお父さんには確かな愛情があって。それは娘さんが大きくなって、現実を伝えやすい年齢になると、きっと変化する形の愛情かもしれなくて。だから、3歳の娘さんへの優しい嘘を、ここに留めておきたくて。お願いして、
2018年6月6日、追記です。 南三陸ホテル観洋さんとの合同開催にて #Buzzcamp南三陸 第2回目を、今年も開催させていただくことになりました。6月23日、24日の週末2日間です。 昨年、生まれたものはいろいろとあります。でも、やりたいこと、やるべきことの「ほんの少し」しか出来なかったな、という思いもあります。 すべての取り組みは「ほんの少し」かもしれないですが、「ほんの少し」を続けることだけで、可能性はふくらんでいくんじゃないかと思っています。 もっとその場所と向き合って、もっとアイデアを具体的なものにして、継続可能なものにしていく。 今年は一部、一般公募もさせていただきます。応募フォームはこちら。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。 こんばんは、塩谷舞です。今回は記事というよりも、記録のような、日記のようなものになります。 最初に断っておくと、私は子どもの頃から、母が私とふたり
PR Technology Design 「好きなもの」があるゆえに、付き合う人を選びすぎて生きてない? アスリート展 体験レポート 2017.06.29 Text by 塩谷舞(@ciotan) 好きなものがあるっていうことは、いいこと。 でも「好きなもの」と「それ以外」の間にある輪郭線は、ハタチくらいからどんどん太くなって、ときに私たちが付き合うべき人をパキッと分類してしまう。 「あの子は音楽の趣味が悪いから、あまり仲良くなれそうにないや」 「ファッションセンスが好みじゃないから、一緒に歩きたくないわ」 「体育会系のノリは苦手だから、あの飲み会には参加したくないんだ」 …私は高校3年の頃からアートやデザインに首ったけだったので、当時、世界はぜんぶモノクロに見えて、「クリエイティブ」と書いてある場所だけがピカーーッと鮮やかに点滅しているように見えていた。 さらに、インターネットがそれを加
Introduction by 塩谷舞(milieu編集長) 「NYにアート・イン・レジデンスに行かれるなら、現地の様子を私のメディアに書いてくれませんか?」 アーティストのAKI INOMATAさんにそうお願いしたのは、2016年の末。このメディアmilieuがオープンするよりも、少し前のことだ。 非常に真面目で、思慮深く、それでいて大小あらゆる実験を繰り返しながら作品を創る彼女の文章は、これまでにも度々目にしていたのだが、私は編集者として、どうしてもその思考や、そこから見える景色を、しっかりメディア上に留める必要があると思った。 ここは小さなメディアなので、留められる言葉には限界がある。milieuで記事を書いているのは、今のところは私と彼女だけなので、日々メッセンジャーで編集会議をしている唯一のパートナー、と言ってもいいかもしれない。 彼女に唯一のオファーをした理由としては、AKI
Text by 塩谷舞(@ciotan) 「○○中学校の××ってヤツ、全国大会に出たらしいぜ」 と、スタープレイヤーの輝かしい戦績は、隣町の運動部内でもしばしば噂される。近くて遠いスタープレイヤーは、その他大勢のプレーヤーたちから憧れられ、目標にされ、嫉妬される。そして、それはどの界隈でも同じこと。彼は間違いなく、美大界隈のスターだった。 「武蔵美の井口ってヤツ、会社立ち上げたらしいぜ」 そんな情報は、隣町……を遥かに超えて、遠く離れた関西に住む美大生にも伝わった。2008年のことである。私は当時、京都芸大に通う18歳。「武蔵美の井口」は22歳、仲間たちと「TYMOTE(ティモテ)」というクリエイティブカンパニーを立ち上げた。 馬をかぶった覆面集団がTYMOTE。いかにも、美大発のクリエイティブカンパニーらしい風貌である。そして、その中でも個人名でよくメディアにも紹介されていたのが、井口皓
こんにちは、塩谷舞です。このWebメディア「milieu」を運営するのが生業です。 「社会的に意義のある記事を、広く届けなければいけない」とか 「記事を読んでくださる相手の時間を、1秒たりとも無駄にしてはいけない」とか そんな勝手な責任感により、一所懸命にやってます。 が、「あなたの記事を読むのはエネルギーが必要で、今は、ちょっとしんどい」と言われることもある。 だれかの「全力」は、本調子じゃない人にとっては、ちょっとしんどい。でもその「しんどい」という声は、私にはほとんど届かないから、私は知らずに、かなり多くの人を疲れさせているのかもしれない。 私の記事だけではない。インターネットをひらくと「お前も頑張れ!」という無責任なエールが四方八方から飛んでくる。 Facebookで流れてくる「お友達」の輝かしい仕事の成果。 Twitterで流れてくる「成功者」のインタビュー。 Instagram
こんにちは、塩谷舞です。 お仕事を依頼してくださる方は、事前にこちらのページを最後まで読んでいただければ、スムーズになるのではなかろうかと思っています。なにかご相談の際は、立派な企画書などは不要ですので、ページ下部にあるメールアドレスまでご連絡ください。 できること 原稿執筆(PR記事を除く) 商品企画(息の長いものを前提として) トークイベントの登壇 できないこと PR記事の執筆 SNSでのPR投稿 台本ありきのメディア出演 短期間での大量消費を促すもの SNSなどのコンサルティング、運営代行 広告への出演、商品や事業の拡散協力 より詳しい考えなどは、このインタビュー記事の中で話しています。 「20代の頃はどんな仕事も引き受けていた塩谷舞が「仕事を断わる」ようになった理由」 ※2019年3月以降、PR記事の執筆、キャンペーンサイトでの執筆は基本的にお受けしていませんが、長年続くであろうオ
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『milieu(ミリュー)』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く