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TGS2023
news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi
新型コロナが5類感染症になってから、流行状況をリアルタイムに把握することが難しくなっています。 どのような情報源から流行状況を知れば良いのか、知っておきましょう。 定点報告になってからは前週の報告数が木曜日に発表される5類感染症になる前までは毎日夕方にその日の新型コロナの感染者数と死亡者数が報告されており、この新規感染者数数が毎日ニュースに流れていました。 私もときどき夕方のテレビ番組に出た際に、夕方の決まった時間に毎日発表される東京都の感染者数ついて、アナウンサーの方に「忽那先生・・・今日のこの数値をどう見ますか?」と聞かれては、「はい、昨日より多いですよね(キリッ)」とか誰でも言えるコメントを言ったりしていました。 定点報告の集計対象の日と報告される日(筆者作成) 新型コロナが5類感染症となった5月8日以降は、定点報告と呼ばれる報告体制に移行しています。 定点報告数とは、定点医療機関と
6月23日、国立感染症研究所は国内初、そして世界初となる「オズウイルス感染症」の症例を報告しました。 オズウイルス感染症とは、どのような感染症なのでしょうか? オズウイルスとは?オズウイルスはオルソミクソウイルス科トゴトウイルス属に属するウイルスです。 このウイルスが見つかったのは比較的最近のことであり、2018年に愛媛県のタカサゴキララマダニというマダニからオズウイルスが見つかったことが報告されています。なお、このオズウイルスは現時点では日本以外の国では見つかっていません。 オズウイルスは、アメリカで報告されている重症のマダニ媒介感染症であるバーボンウイルスなどと近縁のウイルスであり、マウスに感染させると重症化することが分かっていました。 また、この後行われた疫学調査では、山口県、和歌山県、三重県、大分県、岐阜県、千葉県のイノシシ、サル、シカなどの動物がこのオズウイルスの抗体を持っている
日本国内で麻しん(はしか)の感染者が増加しています。 麻しんはどのような感染症で、どうすれば防ぐことができるのかについてまとめました。 日本国内での麻しんの発生状況2013〜2023年における日本国内の麻しん報告数(国立感染症研究所のデータに基づいて筆者作成. 2023年は5月20日時点のもの) 2023年4月下旬にインド帰国後の30代男性が麻しんと診断されました。 その後、この男性と同じ新幹線に乗り合わせていた東京都の30代の女性と40代の男性が5月上旬に麻しんと診断されています。 さらに、神戸市からもそれぞれ3月、5月15日に麻しんの患者が報告されています。この症例については、海外で感染したのか、前述の症例と関連があるのかは不明です。 3月にも大阪府で麻しんの症例が1例報告されており、今年に入ってからは5例の麻しん患者が報告されていることになります。 日本は2015年から現在に至るまで
2023年5月8日から新型コロナは5類感染症になります。 しかし、当然ながら5月8日を境目として新型コロナという感染症そのものの性質が変わるわけではありません。 これから新型コロナはどのように変わっていくのでしょうか? 次々と変異株が出現してきた新型コロナウイルスこれまでに出現してきた変異株と日本における流行(doi: https://doi.org/10.1038/d41586-022-02154-4より) 新型コロナウイルスは当初の野生株から進化を遂げ、様々な変異株が出現しました。 これまでに日本でもアルファ株、デルタ株、などの変異株が主流となってきましたが、現在はオミクロン株の亜系統が1年以上主流であり続けています。 新型コロナの重症度は大幅に低下日本国内における新型コロナの致死率の推移(Our World in Dataより) 新型コロナの流行が始まって3年以上が経過しました。 流
新型コロナの流行は、感染症専門医にとっても初めて経験する規模のパンデミックであり、啓発を行う上でも様々な学びのある3年間でした。 5月8日から新型コロナが5類感染症に移行し、WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言(PHEIC)を終了するという一つの節目となりますので、私がこの3年間行ってきた啓発活動について振り返りたいと思います。 私自身は、元々新興再興感染症を専門とする臨床感染症医として病院で働きながら、 新興再興感染症、薬剤耐性、性感染症などの感染症に関する啓発活動を行っていました。 様々な啓発活動の一つとして、新型コロナの流行が始まる4ヶ月前の2019年9月からYahoo!JAPANのオーサーとして執筆活動を開始していました。 そんな中、新型コロナの流行が始まりました。 混沌とともに新型コロナの流行が始まる中国の武漢で原因不明の肺炎が流行しているというニュースは、2019年の年末から報
2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症は5類感染症となります。 次の新興再興感染症はまた現れるのでしょうか? 新型コロナは1918年のスペインかぜから約100年後に起こったパンデミックであったことから「100年に一度のパンデミック」と言われます。 では次の新型コロナのような規模のパンデミックはまた100年後なのでしょうか? 新興再興感染症とは?過去20年に世界で発生した新興再興感染症と死亡者数(Nat Rev Microbiol . 2022 Apr;20(4):193-205.より) 新興再興感染症とは、これまで知られていなかった感染症、または一度大きく減少していた既知の感染症のうち、急速に増加し公衆衛生に大きな影響を与えるものを指します。 過去20年間を振り返ると、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行に始まり、2009年の新型インフルエンザ、2012年のMERS(
新型コロナは100年に一度のパンデミックとも言われる、社会に大きな影響を与えた感染症となりました。 これまでに人類は他にどのような感染症と戦ってきたのでしょうか。 感染症と人類の戦いの歴史を振り返りたいと思います。 天然痘の流行人類を最も苦しめてきた感染症の一つに天然痘があります。 古代エジプトの王様であったラムセス5世のミイラには、天然痘によると思われる痣が残っており、紀元前から天然痘という感染症が存在していたことが分かっています。 東大寺の大仏の開眼供養の様子 日本でも天然痘は長らく大きな脅威であり、東大寺の大仏は当時流行していた天然痘の流行が収まることを願って作られたとも言われています。 また、16世紀には、新大陸に持ち込まれた天然痘がアステカ帝国やインカ帝国の滅亡につながったとされています。このように感染症は、文明の興亡に大きな影響を与えてきました。 ペストの流行ペストがガイコツと
新型コロナの流行が2019年末から始まり、これまでに世界では7億6千万人の感染者が報告されています。 流行から時間が経つにつれ、再感染する人の割合も増えてきています。 どのような人が再感染しやすいのでしょうか。また再感染すると1回目よりも重症化はしにくいのでしょうか。 新型コロナに感染するとしばらくは感染しにくい過去に感染した変異株の種類と感染からの時間経過ごとの、BA4/5、XBBに対する感染予防効果(PMID: 36924786より筆者作成) 新型コロナに感染すると、免疫ができるため、一度新型コロナに感染すると、しばらくの間は感染しにくくなります。 しかし、一度感染した後は二度と感染しないというものではなく、特に過去の感染から時間が経つと予防効果は落ちてきますし、別の変異株には再び新型コロナに感染することがあります。 現在主流であるオミクロン株以前に広がっていた変異株(野生株、アルファ
新型コロナワクチンの登場は、新型コロナのパンデミック中に起こった大きな出来事でした。 接種開始から2年が経過した今、ワクチンが果たした役割を振り返り、今後望まれる新たなワクチンとはどのようなものか考えてみましょう。 ワクチンの歴史と新型コロナワクチン搾乳婦の牛痘を調べるジェンナー(Wikipediaより) ワクチンは人類最大の発明とも言われており、エドワード・ジェンナーが天然痘ワクチン(種痘)を開発して以降、ポリオ、麻しん、破傷風、日本脳炎など様々な感染症を減らすことに成功しています。 従来のワクチンは、開発に10年単位でかかることから、突然出現する新興再興感染症に対しては活躍の場がなかなかありませんでしたが、近年は新しい技術を用いたワクチンがエボラ出血熱に対して使用されていました。 今回の新型コロナの流行では、流行が始まってわずか300日でワクチン接種が始まり、世界中を驚かせました。 こ
2023年5月8日から新型コロナは5類感染症に移行しますが、新型コロナウイルスはそれとは関係なく進化を続けていきます。 日本国内でもオミクロン株の亜系統であるXBB系統の占める割合が増えてきました。 次の流行の主流となる可能性が高いXBB系統について現時点で分かっていることを整理しました。 日本でもついにXBB系統が主流に東京都における変異株の割合の推移(東京都モニタリング項目の分析 令和5年4月13日公表) 日本国内の変異株の割合は、2022年10月以降BA.5の割合が緩徐に減り、BN.1やBF.7といった様々な変異株が少しずつ割合を増やしてきていました。 しかし、2023年2月頃からXBB系統の割合が急激に上昇し、4月13日に公表された東京都の変異株の割合によると、3月下旬には都内ではXBB系統が50%を超えていることが分かりました。 アメリカではXBB系統はすでに9割以上を締めており
2023年5月8日から新型コロナは5類感染症となります。 5類感染症になっても、新型コロナがインフルエンザと同等の疾患とは決して言えない理由の一つにコロナ後遺症の問題があります。 現時点で、コロナ後遺症を予防するための方法について整理しました。 コロナ後遺症とは?新型コロナ後遺症で頻度の高い症状(筆者作成) コロナ後遺症とは、新型コロナに感染してから2ヶ月以上経った後も咳など発症時からある症状が続いたり、回復した後に新たに脱毛などの症状が現れてくる病態を指します。 頻度が高い症状としては「だるさ」「息苦しさ」「嗅覚異常」「脱毛」「集中力低下」などがあります。 これまでの新型コロナ後遺症に関する研究では、 といったことが分かっています。 日本でもすでに4割以上の人が新型コロナに感染していると考えられており、誰がいつ感染してもおかしくない状況である一方で、コロナ後遺症の予防法や治療法は確立され
COVID-19が出現して以降、様々なデマや誤情報がSNS上では拡散されました。 こうしたデマや誤情報はなぜ生まれるのでしょうか? また、デマや誤情報に惑わされないためには何が必要でしょうか? 新型コロナに関するデマや誤情報、陰謀論はなぜ生まれるのか?(写真:アフロ) 新型コロナの流行が始まったばかりの2020年2月にWHOは「我々は感染症とだけでなく、インフォデミックとも戦っている」と宣言しました。 このインフォデミックの規模を示す一つの例として、2020年4月にはTwitterでは45ミリ秒(ミリ秒は1000分の1秒)ごとにCOVID-19に関連するツイートが投稿されたそうです。 新型コロナに関する情報の氾濫は、数々のデマや陰謀論を生みました。 アメリカ人の5人に1人は「新型コロナワクチンは政府が国民をマイクロチップ化するために使用している」という陰謀論を信じている、という驚きの調査も
2023年に入り、日本国内におけるサル痘の報告が増加しています。 また日本では梅毒の流行も深刻になっています。 どちらも皮疹が特徴であると言われていますが、サル痘と梅毒はどう違うのでしょうか。 日本国内でサル痘の報告が増加日本におけるサル痘患者の新規感染者数の推移(厚生労働省「サル痘について」より) 日本では2023年に入り新たに診断されるサル痘患者が増加しています。 これまでに63例のサル痘の患者が報告されていますが、その大半が2023年になってから報告されています。 海外では減少しているのとは対照的に、日本国内では増加が懸念される状況です。 梅毒の年間報告数の推移(国立感染症研究所のデータより筆者作成) またサル痘と同様に性行為に関連して広がる梅毒も日本国内で流行しています。 梅毒は2010年頃までは年間数百例の報告数でしたが、2010年代以降は増加の一途をたどっており、2022年は1
先日開催された厚生科学審議会において、日本における抗体陽性率の最新の調査結果が報告されました。 この結果からは、日本に住む約4割の人がすでに新型コロナに感染しているということが分かりました。 今回の調査結果からは他にどのようなことが分かるでしょうか? 「抗体調査」とは?S抗体とN抗体の違いは?S抗体とN抗体(DOI:https://doi.org/10.1016/j.tibtech.2022.07.012より筆者作図) 抗体とは、免疫システムによって作られるタンパク質のことであり、新型コロナウイルスに感染したりワクチン接種をすると、種々の抗体が作られます。 測定されることの多い新型コロナの抗体としてはS抗体とN抗体の2種類があり、S抗体はワクチンの標的である「スパイク蛋白(S蛋白)」の抗体でありワクチン接種をした人と感染した人のいずれも陽性になるのに対し、N抗体はウイルス遺伝子を包み込んで
3月13日からマスク着用については屋内・屋外にかかわらず個人の判断に委ねられることになります。 「ずっと外しっぱなし」「ずっと着けっぱなし」ではなく、場面や状況に応じて感染リスクを判断し、着ける・着けないを考えることが重要です。 マスク着用に際し、どういった点を考慮すべきかについて解説します。 3月13日からマスク着用は個人の判断に新型コロナの流行初期からマスクの着用については日本国内では義務ではなく、屋内での装着を「推奨」という位置づけでした。 これが明日からは「個人の判断に委ねる」ということになります。 私自身は、各自がそれぞれの場面における感染リスクを理解し、マスクを着けるべき場面、着けなくてもよい場面が適切に判断できるようになることが重要であると思いますので、こうした政府の方針はとても良いことかと思います。 ただし、全ての人が適切にマスクを着ける場面、外す場面を理解することは難しく
ジビエ(野生鳥獣の肉)は、農作物被害を起こすシカやイノシシを食肉として有効活用されていますが、ジビエの生食は感染症のリスクとなります。 実際にどのような感染症にかかる可能性があるのか、そして加熱の重要性についてご紹介致します。 なぜジビエは感染症のリスクがあるのか(写真:イメージマート) ジビエとはシカ、イノシシなど狩猟の対象となり食用とする野生鳥獣、又はその肉のことです。 シカやイノシシなどの野生動物が増えることで農作物に被害が出ていることもあり、 ウシやブタ等の家畜とは違い、エサや健康状態の管理が行われていないことから、病原体(ウイルス、細菌、寄生虫など)を保有している可能性が高いと考えられています。 旋毛虫症(トリヒナ症)旋毛虫症の患者で見られた皮疹(Emerg Infect Dis. 2018 Aug;24(8):1532-1535. ) 旋毛虫は寄生虫の一種で、ブタ、ウマなどの家
新型コロナウイルス感染症の流行が始まって3年が経過しました。 アメリカのエネルギー省が中国のウイルス研究所から流出した可能性が高いと判断した、と報道されました。 この新型コロナウイルスはいつ、どこから広がっていったのか、現時点で分かっていることについてまとめました。 新型コロナウイルスの自然宿主は?新型コロナウイルス(CDC.PHILより) 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は名前の通りコロナウイルス科に属するウイルスであり、ベータ・コロナウイルスという仲間になります。 2003年に中国から世界へと広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルス(SARS-CoV)、そして2012年にサウジアラビアで見つかったMERS(中東呼吸器症候群)の原因ウイルスであるMERSコロナウイルス(MERS-CoV)も同じベータ・コロナウイルスの仲間であり、この2つ
2022年は梅毒の日本国内の報告数が過去最多となりました。 今増えている梅毒という感染症はどういう病気なのでしょうか? 梅毒の流行状況、感染経路、症状、治療、予防について解説します。 2022年は1万例を超え過去最多 梅毒の年間報告数の推移(国立感染症研究所のデータより筆者作成) 梅毒は2010年頃までは年間数百例の報告数でしたが、2010年代以降は増加の一途をたどっており、2022年は12,964例と感染症法の施行以来初めて年間1万例を超えました。 2021年から比べると約5,000例の増加となっており、著しく増えていることが分かります。 国内の梅毒患者の年齢別報告数(2022年第1四半期〜第4四半期まで 国立感染症研究所のデータより筆者作成) 年齢・性別ごとに見ると、男性では20代以上の世代で幅広く感染者が報告されているのに対し、女性では20代が突出して多くなっています。 一部の報道で
2月13日、WHOは、赤道ギニアのキエンテム(Kie Ntem)州においてマールブルグ病の症例が確認されたことを発表しました。 マールブルグ病とはどんな病気なのでしょうか? また、日本に侵入する可能性はあるのでしょうか? マールブルグ病が赤道ギニアで発生赤道ギニアの位置(Wikipediaより) 赤道ギニアは中部アフリカ諸国の国家ですが、これまでにマールブルグ病が報告されたことはありませんでした。 赤道ギニア北東部にあるキエンテム(Kie Ntem)州で9人の方がなくなったことを受け、同国は2月9日に注意報を発出していました。 2月13日のWHOの発表では、9人の死亡例に加えて少なくとも16人の疑い例がいることが分かっています。 これらの感染者は葬儀に参加したことと関連しているという報道もあり、現在200人以上が隔離されているとのことです。 また、赤道ギニアに接するカメルーンでも2人の疑い
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は減少傾向となっていますが、今度はインフルエンザが猛威を奮っています。 症状がよく似たこれら2疾患の流行状況、症状、重症化リスク、治療薬、感染対策についてまとめました。 インフルエンザと新型コロナの流行状況はインフルエンザ流行レベルマップ(2月3日現在. 国立感染症研究所HPより) 2023年2月3日時点で、新型コロナが流行して以降初めてインフルエンザの流行が拡大しています。 インフルエンザ注意報の目安となる定点あたり報告数10を超える地域が全国的に増えており、沖縄県(41.23)、福井県(25.38)、大阪府(24.34)、福岡県(21.70)、京都府(20.24)、石川県(17.52)、宮崎県(16.47)、兵庫県(14.02)、奈良県(13.93)、佐賀県(12.54)の順となっています。 現在流行しているのはインフルエンザAH3亜型というタイプ
政府は2023年5月8日から新型コロナを5類感染症に引き下げることを発表しました。 引き下げにあたって、マスクの着用については「屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねることを基本とする」という方針となったようです。 それでは私たちはマスクの着用についてどのように考えれば良いのでしょうか? マスク着用を「個人の判断に委ねる」という政府の方針は正しいのか?新型コロナの流行初期からマスクの着用については日本国内では義務ではなく、屋内での装着を「推奨」という位置づけでした。 ですので、個人の判断に委ねるというのは、これまでの方針と大きな齟齬はないのではないかと思います。 私自身は、各自がそれぞれの場面における感染リスクを理解し、マスクを着けるべき場面、着けなくてもよい場面が適切に判断できるようになることが重要であると思いますので、「5類になったら屋内のマスクは廃止」などとするよりは、こういった個人の判
2023年1月20日に、岸田総理は今春にも新型コロナを5類感染症に移行することを発表しました。 大きな節目となるこの5類への移行ですが、必ずしも良いことばかりではありません。 現在の「新型インフルエンザ等感染症」から「5類感染症」に移行すると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。 すでに感染症法上の措置の緩和は進んできている新型コロナに対する初期の対応と現在の対応(第110回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料) 新型コロナ流行初期には、病原性や感染経路など未知の部分が大きかったことから厳しい対応が行われていました。 例えば、感染者は全例入院し、感染者の隔離期間や濃厚接触者の待機期間も14日間と厳しく設定されていました。 現在は、感染者の入院は原則として重症例に限られており、自宅療養も7日間にまで短縮しています。濃厚接触者の対応も家庭内感染など限られた状況に限
日本国内では2022年9月から接種が始まったオミクロン株対応ワクチンですが、接種から4ヶ月が経過し、有効性と安全性に関するデータが蓄積されてきました。 現時点におけるオミクロン株対応ワクチンの有効性・安全性に関するデータをご紹介します。 オミクロン株対応ワクチンとは? オミクロン株対応ワクチンの作用機序(フィンランド保健福祉研究所の資料より筆者作成) オミクロン株対応ワクチンは、野生株とオミクロン株の両方のスパイク蛋白の設計図を持ったmRNAを接種することで、野生株とオミクロン株のそれぞれの鍵に対して免疫を作るワクチンです。 令和5年1月現在、野生株とオミクロン株BA.1の2価ワクチン、そして野生株とオミクロン株BA.5に対応した2価ワクチンが接種可能となっています。 これらは、どちらもオミクロン株のスパイク蛋白を作り出すワクチンですが、BA.1対応ワクチンはBA.1というオミクロン株の亜
2023年1月現在、日本は第8波の真っ只中にあり、感染者も増え続けています。 新しい変異株が流入することで、さらに感染者の増加につながる可能性があります。 現在の日本や海外での変異株の状況についてご紹介します。 日本では現在もBA.5が主流日本での変異株の移り変わり(https://covariants.org/より作成) オミクロン株が世界に現れたのは2021年11月ですが、約1年経過した現在もオミクロン株の亜系統が99.9%を占めており、オミクロン株以外の系統の変異株はほとんど見つかっていません。 日本では、第6波が起こった2022年1月頃からオミクロン株BA.1が主流となり、その後BA.2に置き換わり、第7波の初期からBA.5に置き換わっています。今も日本ではBA.5が半分以上を占めているという状況です。 東京都の変異株の割合の推移(東京都. モニタリング項目の分析. 令和5年1月5
2022年9月から、入院している方を除いて新型コロナ患者の療養期間が短縮されました。 自宅療養が終わっても人に感染させてしまうことがあるため、自宅療養終了後数日間は注意が必要です。 自宅療養期間は7日間2023年1月時点での有症状者および無症状者の療養期間(筆者作成) 日本ではこれまでに2900万人の人が新型コロナに感染しており、このうち2022年以降にオミクロン株に感染した人が2700万人を占めています。 これだけたくさんの感染者が長期間自宅療養をすることによる社会機能の低下が懸念されたことから、政府は2022年に入り、濃厚接触者の待機期間、感染者の療養期間を短縮しました。 現在の新型コロナ感染者の療養期間は以下の通りです。 有症状者:発症日を「0日」として、7日間経過し、かつ、症状軽快後 24 時間経過した場合には8日目から療養解除 無症状者:検体採取日を「0日」として、7日間を経過し
2022年はオミクロン株という極めて感染力の強い変異株に翻弄された1年であった一方で、感染対策の緩和に大きく踏み出せた1年でもありました。 新型コロナ対策の観点から1年を振り返り、今後の展望について考えます。 感染者の規模は大幅に増加世界の新型コロナ新規感染者数と死亡者数の推移(WHO. Weekly epidemiological update on COVID-19 - 21 December 2022より) 2021年11月に南アフリカに出現したオミクロン株は、またたく間に世界中に広がりました。 特に2022年1月には、世界における1週間当たりの新規感染者数が2000万人を超えるというかつてない規模の流行を経験しました。 日本のN抗体陽性率の調査 過去5回の陽性率の推移(公表資料を元に筆者作成) 日本でも、2022年11月に行われたN抗体(感染した人にみられる抗体)の陽性率は26.5
2022年12月現在、日本国内での新型コロナの流行が徐々に拡大しています。 新型コロナウイルスのオミクロン株に感染した人はどんな症状がどれくらいの頻度で出るのでしょうか。 年齢ごとの症状、重症化の頻度の違い、ワクチンの影響などこれまでに分かっていることについてまとめました。 2022年12月現在もオミクロン株亜系統BA.5が主流日本国内における変異株の推移(covariants.orgより) 新型コロナウイルスは変異を繰り返しており、これまでに様々な変異株が出現してきました。 2022年に入ってからはオミクロン株と呼ばれる変異株が主流となっており、現在はオミクロン株の亜系統BA.5が主流となっています。 BA.5は感染力が強く、ワクチンを接種した人や、過去に新型コロナに感染した人も感染しうるという特徴があります。 オミクロン株に感染した人の症状の特徴は? 札幌市でのBA.5流行期の感染者3
12月14日に豊中市から、新型コロナに感染した4000人についての後遺症のデータが発表されました。 本研究について計画・実施・解析に関わった筆者から概要をご説明致します。 新型コロナ後遺症とは?新型コロナ後遺症で頻度の高い症状(筆者作成) コロナ後遺症で頻度が高いのは、図に示したように「倦怠感」「息苦しさ」「嗅覚異常」「脱毛」「集中力低下」などです。 報道などでは「コロナ後遺症」という言葉がよく使われますが、厚生労働省は「罹患後症状」と呼び、診療の手引きを作成しています(筆者も編集委員です)。海外では「LONG COVID」「Post COVID-19 condition」などと呼ばれています。 定義は様々ですが「発症から少なくとも4週以上経過してからも続いている症状」を指すことが多く、この中には咳など発症時からある症状もあれば、脱毛など回復してから新たに出るものもあります。 コロナ後遺症
2022年12月10日時点で、2480万人の人が新型コロナに感染しています。 これまでに新型コロナに感染したことがある方は、新型コロナワクチンを接種した方が良いのでしょうか? 感染後のワクチン接種について、考慮すべき点についてまとめました。 日本国内での感染者はほとんどがオミクロンに感染日本国内における新型コロナの累積感染者数の推移(筆者作成) 2022年12月10日時点で、2480万人の人が新型コロナに感染していますが、このうち2200万人はオミクロン株が主流になってから感染しています。 つまり日本国内で新型コロナに感染したことのある人の約9割はオミクロン株に感染していることになります。 日本国内における変異株の推移(covariants.orgより) オミクロン株は2022年1月から日本で主流となりましたが、約1年経った今も同じオミクロン株の亜系統であるBA.5が主流です。 オミクロン
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