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日本半導体製造装置協会(SEAJ)が24日発表した日本製半導体製造装置の9月の販売高(速報値、7―9月の3カ月移動平均ベース、輸出含む)は、前年同月比23・4%増の3695億9800万円で、9カ月連続のプラスだった。生成人工知能(AI)で使われる広帯域メモリー(HBM)の伸びや、中国の装置需要が寄与した。 中国向けは引き続き好調を維持しているものの、今後は需要が一巡し、販売高に占める割合が低下するとSEAJはみている。 代わりにDDR5など、最新世代メモリーの設備投資の活発化を予想する。現在はメモリーではHBM向けの投資が大きいが、より生産数が多いメモリーも投資が回復する。 【関連記事】 世界の半導体工場で、揺るぎない信頼を集めるクリーン搬送装置
提供責務負う地域を限定へ NTT法見直しを議論する情報通信審議会(総務相の諮問機関)の三つの作業部会で報告書案が出そろった。NTT法は自民党が2025年をめどに廃止を目指すとしていたが、今回の議論では一部の修正があるものの維持される可能性が高まった。ただ、携帯電話網を用いた固定電話をユニバーサル(全国一律)サービスにすることが適当とする文言が入った。時代に合った通信政策の実現に向け、さらなる議論の深掘りが求められる。(編集委員・水嶋真人) NTT法では電話を全国あまねく提供することをNTTの責務とする。22年の電気通信事業法の改正で固定電話と固定ブロードバンドがユニバーサルサービスを担っている。NTTは老朽化により銅線を用いた固定電話用メタル回線設備を35年に縮退する方針を示す一方、ユニバーサルサービスについて携帯通信を軸とした制度とするよう求めた。 これに対し、報告書案では、30年ごろで
欧州自動車メーカーが苦境に立たされている。最大市場のドイツでは新車需要が停滞し市場競争が激化。欧州最大手フォルクスワーゲン(VW)が国内工場の閉鎖を検討するなど各社が経営戦略の見直しを迫られている。環境規制に対応するためここ数年で急速な電気自動車(EV)化を進めてきた欧州メーカー。中国・比亜迪(BYD)など新興メーカーが台頭する中、世界の自動車産業をけん引してきた伝統企業は再び競争力を発揮できるか。(編集委員・村上毅) 中国台頭で苦戦、新車販売停滞 「欧州の自動車産業は非常に厳しく、深刻な状況だ。製造拠点としてのドイツは競争力で後れを取っており、断固として行動しなければいけない」。VWのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は9月に発表した声明の中でこう危機感を募らせた。 VWは1937年の創業以来初となる国内工場閉鎖の検討を始めた。ドイツはエネルギーコストが上昇し人件費も高騰している
人工知能(AI)モデルに物理法則を学ばせ、気象予測や材料設計などの科学シミュレーションを高度化する研究が広がっている。理化学研究所革新知能統合研究(AIP)センターの上田修功副センター長は地殻変動解析を3次元的に広がる断層に対応させた。地下水分布などの粘弾性のある地下構造も予測できる。AIが科学研究に浸透して進歩させている。(小寺貴之) 「PINN(物理法則に基づく深層学習)のポテンシャルは高い。既存の有限要素法(FEM)と並ぶアプローチとして共存していくだろう」と上田副センター長は期待する。PINNでは偏微分方程式を深層学習で解く。AIモデルに初期条件や境界条件、物理法則を満たすように学習させ連続的な解を得る。FEMでは地下構造をメッシュデータに直して計算していた。PINNでは連続的な構造を扱える。地表面が凸凹になっていたり、地下水脈が通っていたりと不均質で自然に近い地殻変動を計算できる
東洋建設は海洋工事におけるワイヤの玉外し作業で、水中と陸上の両方で無人化を実現する装置「MIX(ミックス)」を開発した。切り離しフックに音波と電波の無線通信機能を装備しているため遠隔地から操作でき、人手による作業が不要となる。今後、同装置の活用を通じてブロック据え付け時の無人化技術の確立に取り組み、安全性と作業効率の向上を目指す。 通常の消波ブロックの据え付けでは、水中の基礎上から水面上までブロックを積み上げていく。その際の玉外し作業は潜水士や作業員の人手で行う。海域でのブロック据え付けは作業船が波浪の影響で動揺する中で行われるため、潜水士や作業員がブロックに挟まれる災害の発生が懸念されている。 開発した同装置を使用することで玉外し作業を無人化でき、ブロック据え付け工事における安全性が向上する。また無線の同時通信によって、水中や気中だけでなく水面際の飛沫(ひまつ)帯でも装置を入れ替えずに据
ジェイテクトや豊田合成が手がける水素関連部品が、トヨタ自動車が開発した持ち運び可能な「ポータブル水素カートリッジ」に採用された。水素を手軽に、幅広い用途で使用できる同カートリッジの安全性や利便性向上に貢献する。 ジェイテクト、豊田合成の両社はモビリティー向けをはじめ、生活圏での水素利活用拡大に寄与する部品の提供を目指す。 ジェイテクトは17日、同カートリッジに「カートリッジバルブ」が採用されたと発表した。同製品のタンクに装着し、高圧水素を燃料電池(FC)に供給する。水素を外部に漏らさない安全性や、ワンタッチ着脱などの操作性を実現した。 トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載する「高圧水素供給バルブ」の開発技術や量産実績を生かして開発した。現在は水素エンジン車向けの「高圧水素減圧弁」の開発にも着手している。 豊田合成は同カートリッジ向けに高圧水素タンクを提供する。同タンク
民間機向けエンジンけん引 総合重工メーカーの航空関連事業が好調だ。航空旅客需要の回復や為替の円安などを追い風に、三菱重工業、川崎重工業、IHIともに大幅な増益を予想する。米ボーイングの品質問題で機体製造は回復途上だが、民間機向けエンジンを中心に需要が増加、政府の防衛費増額に伴う防衛関連の受注も拡大しており、各社とも先行きに期待を寄せる。 三菱重工の「航空・防衛・宇宙」セグメントの2024年4―6月期は売上高が前年同期比45%増の2117億円、事業利益が同2・5倍の236億円。事業利益率は同4・8ポイント増の11・2%に高まった。「生産性改善に取り組んでおり、特に民間航空機は生産レートが足元で上がってきている部分があり、そういうところも含めて利益率を持ち上げる要素」(小沢寿人取締役常務執行役員最高財務責任者〈CFO〉)。「エナジー」セグメントに含まれる航空エンジン事業もスペアパーツ、修理・整
経済産業省は6日、電気自動車(EV)用車載電池や部素材などの生産増強に向け、トヨタ自動車や日産自動車、パナソニックホールディングス(HD)などの設備投資計画を支援すると発表した。総投資額は1兆70億円で、そのうち最大3479億円を助成する。国内の電池生産能力は、従来比約40%増の1億2000万キロワット時に引き上がる見通し。世界での調達競争激化を受け、政府は電池のコスト低減やサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化を加速する。 経済安全保障推進法に基づき、計12件の設備投資、技術開発計画を認定した。設備投資には総事業費の3分の1を、技術開発には2分の1を補助する。政府は国内の電池生産能力を、2030年までに1億5000万キロワット時にする目標を掲げている。 SUBARU(スバル)やマツダはパナソニックエナジーと組み、車載用リチウムイオン電池(LiB)を生産する。パナソニックエナジーは
全日本空輸(ANA)は2日、空気の摩擦抵抗を低減して最大で燃料消費量を約1%減らせる“サメ肌”フィルムを実装した航空機の運航を開始した。独ルフトハンザテクニックなどが開発したフィルムで、アジア初運航となる。既存機体の燃料消費を直接減らす技術は非常に難しく、「1%は今までとケタの違う削減」(ANA)だという。1%は小さなものではなく、大きな前進だ。(梶原洵子) ANAはボーイング777型貨物専用機(フレイター)の胴体の約7割にルフトハンザテクニックと独BASFが開発したリブレット加工フィルム「エアロシャーク」を施工し、2日に就航した。1機当たりの燃料消費量を年間250トン、二酸化炭素(CO2)排出量を同800トン削減できると見込む。2025年春に2号機として同型の旅客機を就航する。2機で効果を確認した上で、同型機材への拡大を進める。 同社は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉
エナジーウィズ(東京都千代田区、吉田誠人社長)は、鉛蓄電池の約4倍の寿命性能を持つニッケル亜鉛電池の提案を始めた。既に工場内の無人搬送車(AGV)用途として顧客に提供し、電池性能試験を開始した。事業拡大に向け、同電池のマーケティングなどを担う専門部署を4月に設立済み。2027年の発売に向け、自動車のエンジン始動用や補機用といった当初想定した用途のほか、展示会などを通じて新たな使い道も探る。 ニッケル亜鉛電池は水系アルカリ電解液を用いた安全性の高い二次電池で、エネルギー密度が高いのが特徴。水系電解液のため化学反応時に水素が発生せず、発火の危険性が低い。電解液をセル内で含浸させており、電解液の量を少なくでき、電池の軽量化にもつながる。 同電池は正極にニッケル、負極には安価で豊富な資源である亜鉛を用いる。エナジーウィズは新たなセパレーター技術や電解液の添加剤、負極バインダーを選定し、寿命性能を改
ロームは同社の炭化ケイ素(SiC)パワー半導体を搭載したモジュールが、中国・浙江吉利控股集団(ジーリー)の電気自動車(EV)「ジーカー」3車種のトラクションインバーターに採用された。中国・正海集団との合弁会社を通じ、ジーリー傘下の1次サプライヤー(ティア1)にモジュールを提供する。ロームはオン抵抗を低減した新製品の投入計画を前倒しするなど、SiCパワー半導体で攻勢をかける。 採用されたのは、ジーカーの小型スポーツ多目的車(SUV)「X」、ミニバン「009」、スポーツワゴン「001」の3車種。ロームの第4世代SiC金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)ベアチップが採用された。ロームは2021年に第4世代を市場投入。オン抵抗を約30%低減した第5世代を25年に市場投入予定で、28年に市場投入予定だった第6世代は27年に前倒しする。 【関連記事】 パワー半導体の規模拡大に消極的だっ
NTTドコモが店頭での顧客対応をテコ入れする。オンライン申し込み専用の携帯通信料金プラン「ahamo(アハモ)」契約者がドコモショップや家電量販店など計約3800店舗で機種変更できる取り組みを開始。量販店のスタッフを増やして顧客満足度を上げる施策も始めた。携帯端末買い替えサイクルの長期化、非通信サービスを含むポイント経済圏の競争激化という携帯業界の変化に対応し、シェア下落傾向に歯止めをかける。(編集委員・水嶋真人) 「アハモ提供から3年がたち、機種変更の時期を迎える契約者が徐々に増えている」。ドコモahamo推進室の田端孝平担当課長は、アハモ契約者が店頭で機種変更できるキャンペーン「ahamo機種変更フェア」を7月末に始めた要因をこう説明する。 21年3月に投入したアハモは、新規契約や手続きをオンラインのみで受け付けることにより、月間データ通信量上限20ギガバイト(ギガは10億)で月額29
日本の研究開発を支える資金配分機関(FA)の人繰りが課題になっている。科学技術政策の財源が補正予算で措置される金額が増えたためだ。基金化され、予算は数年間にわたって使いやすくなった。だが、それを管理する人材は事業が終わると組織から去っていく。組織に管理ノウハウが残らず、ITで業務を効率化しても人的余裕ができない組織もある。アウトソースを含め、FA間で連携し戦略的に人材を確保する必要がある。(小寺貴之) NICTなど自前育成の動き 「うちに限らず、どのFAも人材不足になっている。もともと人口が少ないところで人の取り合いが起きている」と情報通信研究機構(NICT)の徳田英幸理事長は説明する。2020年代は大型の科学技術政策が補正予算として措置されてきた。FAにとっては運営費交付金の数倍の基金予算を管理する事態になっている。例えば日本医療研究開発機構(AMED)の22年度の総収入は基金事業を含め
アルバックはコンソーシアムに参加し、アドバンスドパッケージングの技術開発を進める(ポリマー材料に対するプラズマエッチングのSEM画像) 先進後工程に参入 半導体製造装置各社に新たな成長領域が生まれている。先進後工程の「アドバンスドパッケージング」だ。生成人工知能(AI)向けの半導体には回路の微細化に加え、アドバンスドパッケージングの技術が欠かせない。従来の後工程よりも複雑な製造方法が求められる中、前工程の製造技術を応用し、各社が参入を狙う。(小林健人) 生成AI向け需要急増 前工程用装置を応用 アドバンスドパッケージングはチップ同士を横や縦方向に密接に接続して、性能向上を目指す技術のことだ。これまで半導体の性能向上に寄与してきた回路の微細化に限界が見えてきたことから、各社は新たな技術の開発に力を入れる。 需要が急速に増す背景には生成AIがある。AIデータセンター(DC)で使われる米エヌビデ
積み荷に合わせ形態自在 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発した新型の大型基幹ロケット「H3」3号機が打ち上がり、H3で初の大型衛星の輸送に成功した。H3は積み荷によって形態をカスタマイズできる特徴があり、さまざまな条件に対応できるよう技術をアップデートしている。積み荷を宇宙に輸送する機会を活用し、サブミッションとしてさまざまな技術を実証する。打ち上げのたびに進化するH3の技術開発を追った。(飯田真美子) H3には積み荷の大きさや投入する軌道などに応じて、メーンエンジンや補助ロケットの個数、積み荷を搭載する先端部分のフェアリングの大きさなどを選んで組み合わせて作れる特徴がある。これまで打ち上げた3機のH3はメーンエンジン2基と補助ロケット2基、短いタイプのフェアリングを採用した。これ以外に、H3での宇宙輸送が従来機「H2A」の半額となる約50億円で打ち上げ可能なメーンエンジン
ソニーグループが開発したハードディスク駆動装置(HDD)用半導体レーザーの出荷が軌道に乗り始めた。記憶容量を大幅に伸ばせることが評価され、HDD大手の米シーゲイト・テクノロジー向けに6月末で累計約7000万個以上を出荷した。生成人工知能(AI)の普及でデータセンター(DC)の需要が急増する中、シーゲイトとともに次世代HDDで課題解決に貢献する。 開発したのは、半導体子会社のソニーセミコンダクタソリューションズ(神奈川県厚木市)。熱アシスト記録(HAMR=ハマー)と呼ばれる方式に対応したHDD用の半導体レーザー。HAMRは、レーザー光でディスクを極めて局所的に高温で瞬間加熱することにより、保磁力(磁界の強さ)を一時的に低下させる仕組みで、情報を高密度に記録することができる。 ソニーセミコンの半導体レーザーはこれを実現する中核部品として「10年以上シーゲイトと開発をしてきて、ようやく量産にこぎ
トヨタ自動車が液体水素を燃料とする車の社会実装に向け、インフラの整備に乗り出した。既存の水素ステーションを活用した充填方法や、ボイルオフガス(自然に気化するガス)を回収し電力に変換する取り組みを始めた。トヨタはモータースポーツの現場を通じ、2023年から液体水素エンジン車の開発を進めている。これに加え、水素エネルギーを最適に利用する技術も磨く。液体水素の普及に向け、多方面からアプローチする。 10月に愛知県刈谷市で気体・液体水素の両方を併設する水素ステーションの実証実験を行うと27日、大分県日田市のレース場「オートポリス」で明らかにした。トヨタは岩谷産業と共同で液体と気体の水素の両方を充填可能な「三又ジョイント=写真」を開発。既存のステーションは液体で貯蔵した水素を気化し、圧力をかけ燃料電池車(FCV)などに充填している。同ジョイントにより気体に加え、液体水素をそのまま充填することも可能。
量子コンピューターが実用化されても解読されない通信インフラを目指し、量子暗号通信技術が開発されている。技術自体は実用レベルにあり、ユースケース開発が目下の課題だ。用途ごとに必要なスペックを定めて周辺技術をそろえ、既存の通信インフラと統合する。少し先の未来に備えてインフラを運用する人材や体制を整える。事業者の投資が必要な社会実装の一歩手前にある。長年、日本が負けてきたフェーズでもある。(小寺貴之) 「各国が量子コンピューターへの投資額を積み増している。実現は2030年と言われていた技術目標が前倒しされている」―。量子技術による新産業創出協議会(Q―STAR)の島田太郎代表理事(東芝社長)は量子技術の進歩の速さを強調する。量子コンピューターへの期待は大きく、国を挙げた開発プロジェクトになった。 量子コンピューターで計算性能が飛躍すると通信データを秘匿してきたRSA暗号が解かれるとされる。そこで
YKK APの水上修一副社長(左端)、千代田区の川又孝太郎ゼロカーボン推進技監(左から3人目)、Akiba.TVの吉岡有一郎社長(右から2人目) YKK APは25日、ビルの窓を活用する「建材一体型太陽光発電(BIPV)」の実証実験を開始した。既存ビルの一角を再現したトレーラーハウス型の実験場を秋葉原駅前広場(東京都千代田区)に開設。2026年度の製品化に向け、10月20日まで日射量や発電量のデータを収集し検証を重ねる。 【新刊・予約受付中】素材技術で産業化に挑む-ペロブスカイト太陽電池 BIPVは同社が業務提携する関電工と共同開発を進めており、千代田区、Akiba.TV(同)と結んだ連携協定に基づき実証する。 約15平方メートルのハウスは情報発信・収集の場として開放する。屋根にシリコン太陽電池6枚、内窓にガラス型のペロブスカイト太陽電池6枚を設置。発電量は1日平均約1・2キロワットを見込
名古屋大学のショーン・サマーズ・ニール大学院生と上野藍講師、長野方星教授らは、10キロワットの熱を無電力輸送する装置を開発した。182度Cの排熱で水を蒸発させて蒸気として運んで熱を利用する。熱輸送量は1・6倍に向上した。熱を運ぶためのエネルギーが要らない。データセンターや電気自動車(EV)などの熱マネジメントなどに提案していく。 10キロワット級のループヒートパイプ(LHP)を開発した。水が蒸発と凝縮を繰り返しながら熱を輸送する。蒸発器ではステンレス製の多孔質体に毛細管現象で水を吸わせ、熱を加えて蒸気を得る。凝縮器では蒸気を水に戻して熱を利用する。水は配管を通して蒸発器に戻す。毛細管現象で生じる圧送力が大きく、蒸気管の中で水に戻っても排水できる。 182度Cの熱源で10キロワットの熱輸送量を達成した。これは世界最大となる。熱流束は1平方センチメートル当たり30ワット。60―180度C程度の
住友化学のマテリアルリサイクル技術を活用した素材が、ホンダの軽商用電気自動車(EV)のフロントグリルに採用された。 これまでのリサイクル素材とは異なり、品質基準を満たしつつ、デザイン面での特徴をアピールする。リサイクル素材の魅力と今後の可能性を訴求していく。 ホンダの軽商用EV「N―VANe:(エヌバンイー)」のフロントグリルに、住友化学のマテリアルリサイクル技術を活用したポリプロピレン(PP)材料「ノーブレンMeguri(メグリ)」が採用された。 回収されたホンダ車の廃棄バンパーの洗浄・粉砕を経て、住友化学が強みの材料設計技術やコンパウンド技術を生かし、PP材料にリサイクルした。自動車のバンパーで使われていたPPのリサイクルに際して、今まで取り除かれていた塗膜を多く混ぜ合わせることで特徴あるリサイクル素材を活用した外装として仕上げた。 品質面を保ちつつ、持続可能な社会の実現に向けた魅力あ
工作機械メーカーがロボットによる自動化対応に注力している。モノづくり現場の人手不足は、加工対象物(ワーク)を搬送したり、工作機械に設置したりする作業の自動化ニーズを高める。その流れを捉えるべく、従来はロボットシステムインテグレーター(SI)が担っていた工作機械周りのロボットシステムの構築を、工作機械メーカーが自ら手がける事例が目立ってきた。事業領域の範囲がロボット分野にまで広がりつつある工作機械業界の動きを追った。(編集委員・江刈内雅史) 愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で開かれた展示会「ロボットテクノロジージャパン2024」(ニュースダイジェスト社主催、愛知県機械工具商業協同組合共催)。DMG森精機は自社製品の自律走行ロボット(AMR)「WH―AMR10」で、工作機械の工具管理を自動化するデモンストレーションを実施し、来場者の目を引いた。 工具をツールプリセッター(工具測定機)で測定した
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と名古屋大学は、衝撃波によって発生する燃焼現象を利用した「液体推進デトネーションエンジンシステム2(DES2)」を開発した。液体推進剤を利用するロケットエンジンで、気体燃料に比べて効率的に飛翔できる。8月11日に打ち上げ予定の観測ロケット「S―520―34号機」に搭載する。 デトネーションエンジンシステム(DES)は、高い周波数(1―100キロヘルツ以上)でデトネーション(爆轟〈ごう〉)波や圧縮波を発生させ、反応速度を格段に高める。ロケットエンジンを軽量化し、圧力や推力を容易に生成・高性能化できる。JAXAの羽生宏人教授(観測ロケット実験グループ長)や名大未来材料・システム研究所システム創成部門、同大学院工学研究科の笠原次郎教授の研究グループ、慶応義塾大学、室蘭工業大学などが開発してきた。 「DES2」の燃料はエタノール、酸化剤に液化亜酸化窒素(N2O)など
コスト・開発スピード強み コンサルティング会社の米アリックスパートナーズは2030年に中国自動車メーカーの世界販売台数シェアが33%に達するとの調査をまとめた。24年予想の21%から12ポイント増加する。新エネルギー車(NEV)の拡大に加え、コスト優位性や現地生産戦略、デザイン、高度技術の実装などが競争力となる。中国勢が世界の自動車産業の主役となりつつある中、業界を主導してきた欧米・日本などの既存の完成車メーカーは変革を迫られている。 30年の主要地域の中国ブランドのシェアは、南・東南アジアで24年比28ポイント増の31%、中東・アフリカで同31ポイント増の39%、中南米で同21ポイント増の28%と予想する。欧州も同2倍の12%と予想する。主要な輸出市場で電気自動車(EV)モデルの組み立てを拡大し、現地需要に対応している。 世界市場で中国市場の存在感も高まる。主要地域の販売台数予測では、中
マツダが1500cc級の小排気量ディーゼルエンジンから事実上撤退することが分かった。9月中旬で小型車「マツダ2」ディーゼル車の国内生産を終了する。既存エンジンでは、10月から継続生産車に適用される排ガスの実路走行試験(RDE)に適合が難しく、改良コストが見合わないと判断した。環境規制強化を前に、かつて一世を風靡(ふうび)した“クリーンディーゼル”小型車も転機を迎える。 RDEは2018年に、欧州メーカーの排ガス不正を受けて国内導入が決まった。一般に小排気量エンジンは出力を出すために高温で燃焼させる必要があり、窒素酸化物(NOx)が増えてしまう。 マツダ2(旧名デミオ)は1500cc級のディーゼルエンジンを搭載する唯一の車種。14年に発売したディーゼル車は、ガソリン車と比べて加速性能や燃費の良さなどから、発売後は約6割、直近でも約2割を占め、根強い支持がある。15年には同エンジンを搭載した小
トヨタ自動車が自動車部品製造に使う金型の保管に関し、取引先に対する新たな方針を決めたことが分かった。量産終了後、保管期間が15年に到達した時点で廃却や継続保管などの方向性を再協議し、必要があれば取引価格に反映する。トヨタでは子会社が金型の無償保管で下請法に違反し、公正取引委員会から勧告を受けた。トヨタが取引のあり方を迅速に見直すことで、子会社やグループ会社への波及効果も期待される。 9日までにプレス加工や射出成形などを手がける取引先に通達した。量産終了後の金型は、補給品と呼ばれる修理や交換に使われる部品を製造するため、一定期間の保管が求められている。主に発注側からの要請により、部品を手がける取引先で保管することが慣習となっている。ただ倉庫代など保管費用がかかる一方、生産数が少なく利益を上げづらいなど、取引先の負担になっているケースも多い。 経済産業省・中小企業庁などが2019年にまとめた型
筑波大学の佐生礼大学院生と望山洋教授は、イカのように推進するソフトポンプ遊泳機構を開発した。一つの回転軸でイカを模した緩急のある動きが作れる。スクリューのように水草などの浮遊物が巻き付く心配がない。イカの動きを模倣した高度な疑似餌装置や水質浄化ロボットなどに発展させていく。 ぼんぼりのように二つの輪を複数の帯でつないだ骨組みをねじって膨らませたり、縮んだりさせる。シンプルな1軸の回転運動で体積が大きく変わりポンプとして機能する。イカなどの頭足類が水を吹き出して急進する機構を再現した。 体積変化は膨張時を100%とすると、収縮時は64%まで縮む。縮むと断面積が小さくなるため水からの抗力が2・8ニュートンから0・49ニュートンと5分の1になる。そのために急加速、急停止の不連続な動きが可能になる。実験では停止状態から1秒間で秒速150ミリメートルまで急加速し、2・5秒後には停止できた。指などが入
NTTドコモとインテージ、台信商店(熊本市南区)、今村商事(東京都港区)は、生成人工知能(AI)を活用した店舗内デジタル看板向けの広告配信の実証を熊本市南区のスーパーマーケット「スーパーダイノブ城南店」で実施した。デジタル看板用コンテンツの作成時間を従来の1週間から約1時間以内に短縮。広告対象商品の売り上げが最大で約3・3倍になったという。 5月8日から6月28日までに行った実証では、ドコモが米オープンAIのチャットGPTなどの生成AIを活用してダイノブが販売を強化したい商品の広告コンテンツを作成。店内3カ所に設置したインテージのデジタル看板用の端末に表示した。顧客単位で販売履歴を収集するシステム「ID―POSデータ」を今村商事がダイノブから取得・分析し、効果を検証した。 広告コンテンツの作成では、生成AIの活用により作成手順の最大3分の2の工程を半自動化した。作成した広告を1商品当たり7
文部科学省は大学などの教員の研究時間を調査し、研究時間の縮小が下げ止まる傾向にあることを明らかにした。教育活動に充てる時間が増えており、懸案だった競争的資金の申請報告業務の負荷はわずか4%だった。国はリサーチ・アドミニストレーター(URA)などの研究管理人材を増やして業務負荷を軽減する方針だが、改善効果は限定的になる可能性がある。 大学教員などが実際に研究に充てている勤務時間割合を調査した。2023年度は32・1%で18年度の32・9%から0・8ポイント減少した。減少幅は縮小しており、下げ止まる可能性がある。 教員数は02年度の17万1094人から23年度は19万6305人へと増えている。ただ研究時間割合が02年度の46・5%から32・1%に減った。そのため実質的なフルタイム換算研究者数は7万9604人から6万3014人に減った。 背景には教育活動の増加がある。教育時間割合は02年度の23
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