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楊井人文氏が「地平」に寄稿した「ネット空間の検閲を望んでいるのは誰か」を拝読した。 上、中、下の3部となる力作で、読み応えがある。上は2024年12月号 、中は2025年1月号、下は2025年2月号にそれぞれ掲載されている。これと、新領域安全保障研究所の「“偽・誤情報対策”の誕生と展開~総務省の有識者会議にみる変化」( https://inods.co.jp/articles/experts/4662/ )を合わせて読むと、偽・誤情報に関する法制化の動向を知ることができる。 「ネット空間の検閲を望んでいるのは誰か」は、現在の日本政府の対策(主として総務省のもの)に対して楊井氏がいだいている危機感を反映した論考だ。 政府とメディアの問題、JFCの問題、総務省の問題論考は上中下それぞれで異なるテーマに焦点をあてている。最初に申しあげておきたいのは論考に紹介されている事実に誤りやウソはない。ただ
ちょっと極端なこれからの話しを備忘録として書いておく。こうした極端な予想(憶測?妄想?)を紹介するウェビナーを2025年1月1日正午から行う予定です。ご興味ある方はどうぞ、無料です。 ご存じの方は少ないと思うが、私は以前からこのままでだと2026年以降、偽・誤情報、やデジタル影響工作は第3ステージに入ると言ってきた。下図はざっくりしたもので、誤っている箇所もあると思うので気がついた人はご指摘いただきたい。 第3ステージとは端的言って、偽・誤情報が情報全体の半分以上を占める時代だ。もしかすると怪訝に思う方もいるかもしれない。とっくにそれくらいになっていると思っている人がいてもおかしくない。いくつかの調査が明らかかにしているように、偽・誤情報は実態よりも多く存在し、脅威であると認識している人は少なくない。 しかし、実際にはおおよそ5〜6%程度という調査結果が多い( https://inods.
最近見つけたのだが、2022年7月22日に公開された「Are Republicans and Conservatives More Likely to Believe Conspiracy Theories?」( https://doi.org/10.1007/s11109-022-09812-3 )という論文がある。この論文では、アメリカの共和党と民主党支持者が信じる陰謀論の調査と、日本を含めた20カ国での調査を行っている。 陰謀論に関しては数多くの研究が行われているが、その結果は必ずしも一致しておらず、他の研究結果と矛盾していることも多い。過去のほとんどの研究は少数の陰謀論に焦点を当てて、非対称性(右派と左派では傾向が異なる等)を調査していたものが多いことが、その原因と指摘している。 「陰謀論 とは、権力者が自分たちの利益のために、公共の利益に反して、基盤となる社会規範、規則、法律を損
This Land is Your, My Land: Evaluating Geopolitical Bias in Language Models through Territorial Disputes https://aclanthology.org/2024.naacl-long.213/ 生成AIは学習データから学ぶ。しかし、異なる言語から学んだ場合、それぞれの言語圏での領土意識が反映された答えになるそうだ。この論文では論争となっている3つの地域についてChat-GPT4で実験を行った。クリミア、台湾、ゴラン高原という問題となっている地域について複数のプロンプト戦略で質問を行った。 その結果、クリミアについては、あるプロンプト戦略に対して、クリミアの帰属についてのロシア語の質問には「ロシア」と答え、ウクライナ語の質問には「ウクライナ」と答えた。台湾についても同様でプロンプト次第
イスラエル政府が世界各国に対して行っていたデジタル影響工作キャンペーンは、すでにopenAI、Metaの四半期脅威レポートで報告されている。 OpenAIの脅威レポートにはなにが書いてあったのか?、 https://note.com/ichi_twnovel/n/nde4210aa157b Metaの2024年第1四半期脅威レポート、 https://note.com/ichi_twnovel/n/n56bddf81fcf9 noteではとりあげなかったが、イスラエルの市民による調査イニシアチブFake Reportersはより詳細なレポートを公開していた。最近、Fake Reportersが新しいレポート「Pro-Israeli Influence Network New Findings」( https://fakereporter.net/pdf/pro-Israeli_influe
以前の記事「偽・誤情報を見直すために読むべき論文や記事のガイド」( https://note.com/ichi_twnovel/n/n06d3fda04ac2 )で紹介したDan Williamsは自身のサイトで偽・誤情報にまつわる神話をデバンキングするシリーズを掲載している。対象となった神話は下記の5つであり、現在2までが公開されている。 1.私たちは前例のない「偽・誤情報の時代」あるいは「ポスト真実」の時代を生きている 2.偽・誤情報を特定するのは政治的に中立な仕事である 3.フェイクニュースは蔓延し、大きな影響力を持つ 4.人々は偽・誤情報に簡単に騙される 5.偽・誤情報は、大衆の誤った認識の主な原因である。 全話公開されてからまとめて紹介しようと思っていたが、予想以上に1話が長いのでひとつずつ掲載することにした。今回はその第1話「偽・誤情報の時代」の神話がテーマだ。 Debunki
偽情報の脅威への無差別な警告が偽情報の影響とリスクを増大させるという論文「Negative Downstream Effects of Alarmist Disinformation Discourse: Evidence from the United States」(Jungherr, A., Rauchfleisch, https://doi.org/10.1007/s11109-024-09911-3)を読んだ。 ●概要偽情報あるいはデジタル影響工作があるということが知らされることで、選挙や報道に不信感をいだかせる「パーセプション・ハッキング」という手法は以前から知られていた(日本では私以外ほとんど言及しないけど)。この論文は2016年以降、偽情報に対しての警告があふれたために、その効果が高まり、民主主義衰退の一因になっている可能性を指摘している。この論文では偽情報についての無差別
2023年12月20日に公開されたNatureの論文「Online searches to evaluate misinformation can increase its perceived veracity」(Kevin Aslett1, Zeve Sanderson, William Godel, Nathaniel Persily, Jonathan Nagler,Joshua A. Tucker、 https://doi.org/10.1038/s41586-023-06883-y )を読んで参考になった。すでに日本で紹介している人はいたが、メディアでは取り上げられていなかったので取り上げてみる。最初に申しあげておくと、この論文はかなりきっちり調査研究している。事前登録もしているし、事前登録していなかったものについてはその旨を記載して探索的手法を用いている。すごいのはひとつの問題
2024年3月7日、民主主義の指標であるV-Demの新しいレポート「DEMOCRACY REPORT 2024 Democracy Winning and Losing at the Ballot」(V-Dem、2024年3月7日、https://v-dem.net)が公開された。例年、学ぶことの多いレポートだが、今回は特に重要だったように思う。 ●概要・世界の民主主義の状況について「DEMOCRACY REPORT 2024 Democracy Winning and Losing at the Ballot」(V-Dem、2024年3月7日、https://v-dem.net)2009年以降、ほぼ15年連続で独裁国に住む人口が民主主義を上回っており、1985年まで逆戻りしたことになる。国数では1998年まで逆戻りした。この状況と変化は地域によって大きく異なる 「DEMOCRACY RE
Institute for Strategic Dialogue (ISD) はワシントン、ベルリン、アンマン、ナイロビ、パリに拠点を持つ国際的な非営利団体だ。人権の保護、偽情報や過激派の活動の分析を行っている。2024年2月23日にISDが公開した「Two Years On: An Analysis of Russian State and Pro-Kremlin Information Warfare in the Context of the Invasion of Ukraine」(https://www.isdglobal.org/isd-publications/two-years-on-an-analysis-of-russian-state-and-pro-kremlin-information-warfare-in-the-context-of-the-invasion-
【ご注意 2024年2月27日】I-SOONについては現在進行形で各機関が整理しています。本稿は2月24日午前以降は更新していませんので、けっこう古くなっています。 基本このnoteは自分用の備忘録なので書いたら書きっぱなしです。リクエストあったら更新します。なお、きわめて低い可能性ですが、リークのタイミングや発見、拡散についてある意図を感じています。 2024年1月15日電子メールアドレスI-SOON@proton.meが作られた。1ヶ月後の2月16日、GitHubにそのメールアドレスでアカウントが作られ、中国企業安洵信息技术有限公司(I-SOON)の内部資料が https://github.com/I-S00N に大量にアップロードされた。マーケティング文書、契約書、マニュアル、攻撃ログ、マルウェアのC&Cインフラ、顧客リスト、従業員リスト、顧客とのやり取り、I-SOONの従業員と顧客
●白人至上主義グループはアメリカ国内最大の脅威の進化 RMVEs(Racially or Ethnically Motivated Violent Extremists)、平たく言うと過激な白人至上主義グループは2021年バイデン政権はアメリカ国内の安全保障上最優先の課題となっている。白人至上主義のテロによる死亡者はイスラム過激派を上回っている。過去10年間ではおよそ3倍多い。あらゆる指標において、白人至上主義はアメリカに対するテロの脅威の上位に位置している。 その概要は以前「アメリカ社会を崩壊させるRMVEs」(https://note.com/ichi_twnovel/n/na39742450245)で簡単に紹介した。 ●White Nationalism 3.0とは? 地域に分散したフィットネスと白人至上主義現在、白人至上主義グループの中で勢いを増しているのはRise Above M
2019年5月に光文社新書から刊行された三井誠の『ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から』を読んだ。 本書は科学記者だった著者が2013年から2014年にカリフォルニア大学バークレー校に客員研究員、2015年から3年間アメリカに科学記者として赴任していた時のことを綴ったものである。取材の記録が多いので、ガチで地球が平面と信じている人に取材した話など興味深いものが多くおもしろかった。 ●本書の内容「科学はデータに基づき、それぞれの人の考え方の違いや立場の違いを超えた事実を提供できる」という著者の思いの前にアメリカの筋金入りの人々が立ち塞がる様子が描かれていて、とても参考になった。 立ち塞がるといっても、著者に激しく食ってかかるわけではない。乗り越えられない壁を感じさせてしまうのだ。著者は取材を通して下記のようなことを知る。 ・人間はもともと理性や論理で判断しない。 ・知識が増え
NPOのInternewsは世界各国に拠点を持ち、現地のメディアなどを支援している。その支援を受けて、2023年6月に公開されたフィリピンの選挙に関するレポートをご紹介したい。3つの選挙で見られた変化は世界の他の地域でも見られるため、今後の欧米のネット世論操作の変化を考えるうえで貴重な資料だ。 The Evolution of Disinformation in Three Electoral Cycles(https://internews.org/resource/from-disinformation-to-influence-operations-the-evolution-of-disinformation-in-three-electoral-cycles/) 以前、『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』でフィリピンの状況を紹介した。ネット世論操作、偽情報、デジタル影響工作はロシ
●重要なポイント・ロシアのSNSはアメリカの過激派(白人至上主義者や陰謀論者など)のネット上の活動拠点となっている。 ・彼らはロシアのプロパガンダメディア(RTやスプートニクなど)へのリンクを共有していた。 ・アメリカの4chanやGabも同様の動きをしている。 ・アメリカの過激派はロシアのプロパガンダメディアの影響を受けているが、ロシアが意図的に操っているわけではない。 ・このことはボットやトロールにフォーカスしても、アメリカの過激派とロシアの連携の実態や構造の解明には結びつかないことを示している。 ●論文と記事の概要ロシアのSNS(VKontakte)とアメリカの過激派の関わりを分析した論文「Connectivity Between Russian Information Sources and Extremist Communities Across Social Media Pla
イーロン・マスク買収から半年、Rest of WorldのRUSSELL BRANDOMのレポート。ツイッターは情報開示やアカウント停止などの要請に80%応えるようになった(買収前は50%)。部分的に応じたものを含めるとほぼ全てに応じている。 Twitter is complying with more government demands under Elon Musk、27 APRIL https://restofworld.org/2023/elon-musk-twitter-government-orders/ 2022年10月27日から2023年4月27日までの間に、ツイッターは世界各国の当局(政府機関や裁判所など)から、投稿の削除、個人情報の開示など、合計971件の要請を受けた。808件には全面的に応じ、154件には部分的に応じ、残りの9つについては、対応を報告していない。明ら
ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナ軍や国民の心は折れていないようだ。中国の認知戦の主たる目的は、「軍事的優位を政治的勝利にする」ことなのでこの点においてロシアのデジタル影響工作は効果をあげていないと行ってよいだろう。並行して行っているグローバルサウスなどへのデジタル影響工作は一定の成果をあげているようだが。 また、ロシア国内にあっても欧米を始めとする各国の猛烈な批判や報道にもかかわらずプーチンへの支持が大幅にダウンしてはいない。こちらもまた対抗策が機能している。 ウクライナとロシアの両国がどのような対抗策をとったかは拙著『ウクライナ侵攻と情報戦』に書いたが、簡単にご紹介するとネット監視と検閲およびネット以外での言論統制である。両国は侵攻前からすでにこれらを進めており、侵攻後さらに強化した。 ●権威主義的デジタル影響工作対策とは欧米型のデジタル影響工作対策は法規制、ファクトチェ
『1964年東京ブラックホール』(貴志謙介、NHK出版2020年6月27日)を読んだ。1964年とは東京オリンピックの年だ。本書のもとになったのは「NHKスペシャル 東京ブラックホール2 破壊と創造の1964年」で、そこに参加していた著者がその内容をさらに発展させてまとめたものである。 ●本書の内容本書の冒頭で1964年東京オリンピックの記憶は歪められていると指摘する。実は私自身は直接東京オリンピックは体験していないが、その後のことは記憶にあるので、「歪められ」、「美化された」東京オリンピックの記憶を植え付けられることはなかったので、本書で指摘されて、「ああ、そういえばそうかもしれない」と感じた次第である。 東京オリンピックおよび高度成長の時代は、夢や希望に満ちた時代のように語られることが多いようだが、本書は実際になにが起きていたかを莫大な資料とともに描き出す。第一章の「東京地獄めぐり」と
ジューディア・パールとダナ・マッケンジーの『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』(文藝春秋、2022年9月12日)を読んだ。予備知識なしに読んだので、かなり驚いた。タイトルから統計学の話かAIに関する話だろうと思っていたのだが、その予想はいい意味で裏切られた。 本書はすべての科学(あるいは思索といってもよいかもしれない)の基礎をなす因果推論に関する科学がテーマであり、統計学やAIはもちろん新薬の開発、経済政策の策定、教育、ロボット工学、銃規制、地球温暖化の問題にまで関わっている。しかも20年前には存在しないも同然の状態だったという。 著者のジューディア・パールは、因果推論の研究で世界をリードしており、AIの分野でベイジアン・ネットワークを発展させた先駆者としても知られている。 因果関係はすべての科学に共通するテーマだと思うが、特に統計学とは関わりが深い。以前、ご紹介した『データ
マイクロソフトは2022年11月4日に「Microsoft Digital Defense Report 2022」(https://www.microsoft.com/en-us/security/business/microsoft-digital-defense-report-2022)を公開し、11月7日には抄訳の日本語訳の「独裁的指導者の攻撃性の増加に伴い、国家支援型のサイバー攻撃がより大胆に」(https://news.microsoft.com/ja-jp/2022/11/07/221107-microsoft-digital-defense-report-2022-ukraine/)を公開した。2022年に起こった主要なサイバーセキュリティ5つのポイントについてまとめている。 ピックアップされた5つのポイント ・サイバー犯罪の状況(The State of Cybercri
『情報セキュリティの敗北史: 脆弱性はどこから来たのか』(アンドリュー・スチュワート、白揚社 2022年10月12日)をご恵投いただいたので読んでみた。実は原題は「A Vulnerable System: The History of Information Security in the Computer Age」でだいぶ印象が違う。 内容はサイバーセキュリティの歴史そのものだった。考えてみると、意外とサイバーセキュリティの歴史についてまとめられた本、特に包括的なものは思いあたらない。特定のテーマや地域に限定したものなら、すぐに思いつく。たとえば、アメリカがサイバー空間でぼこぼこにやられた歴史をまとめた『Dark Territory: The Secret History of Cyber War』(Fred Kaplan、Simon & Schuster、2017年3月28日)や、サイ
【追記】大前提として、中国は台湾を統合しようとしており、軍事行動を含めた行動を薦めるのはほぼ間違いない。そしてそれは遠い未来ではない。この認識は以前からあったが、日本ではその備えがほとんどと言っていいほど進んでいなかった。 時事通信の2022年10月21日のニュース(https://www.jiji.com/jc/article?k=2022102100699)で紹介されたMichael M. Gilday米海軍作戦部長の発言がきっかけとなって、SNSで2022年あるいは2023年の台湾有事の可能性に言及する発言を見かけるようになった。 「ほんとに?」と思って、New York Times やWashington Post、Wall Street JournalをMichael M. Gilday米海軍作戦部長に関する記事を探してみたが、時事通信で取り上げたような内容のものはなかった。 時
『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(鈴木エイト、2022年9月26日、小学館)を読んだ。鈴木エイトの統一教会取材の記録である。 ●本書の内容本書は体系的に情報を整理したというよりは、統一教会による日本の政界の汚染状況、経緯などが取材記録を通じて明らかになってゆく過程を記録したものである。 なので人物相関図や組織図のようなものはなく、鈴木エイト氏の追跡をリアルタイムで追体験するような感じになっている。 すでにさまざまなメディアで報道されているので、自民党および野党の一部が統一教会に汚染されていたことなどをご存じの方は多いと思う。同様に統一教会が日本の信者から吸い上げた資金、毎年300億円を送金しており、最盛時には1千億円に達していたこともよく知られているだろう。 ・政治家との関わり。特に安倍政権以降の歴代政権との関わり ・資金の流れ ・北朝鮮との関係 ・日本人への怨讐と、贖罪意識の刷り
Barbara F. Walterの『How Civil Wars Start_ And How to Stop Them』(Crown、2022年1月11日)を読んだ。 【追記】日本語版が出ていた。『アメリカは内戦に向かうのか』(東洋経済新報社、2023年3月24日) 本書は30年にわたり、内戦の研究を続け、CIAのPolitical Instability Task Forceにも参加したことのある著者によるアメリカ内戦の可能性と対策について書かれたものである。発売後、さまざまな媒体で取り上げられ、話題になっている。 【追記】本書でよく参照されていたCIAの内戦に関するレポートを下記記事で紹介しました。 内戦が起きた場合、決着まで平均10年以上かかる ●本書の内容本書は過去の統計と事例から内戦が起こる条件と、対策についてまとめた本であり、アメリカがすでに内戦前夜と言える状況にあることを
2022年6月24日に欧州議会のシンクタンクEPRSがメタバースに関する報告書「Metaverse: Opportunities, risks and policy implications」(https://www.europarl.europa.eu/thinktank/en/document/EPRS_BRI(2022)733557)を公開した。 2022年3月9日に公開されたEUのART(analysis and research team)の報告書「Metaverse – virtual world, real challenges」(https://www.consilium.europa.eu/media/54987/metaverse-paper-9-march-2022.pdf)と並べて読むとEUの方向性がわかっておもしろい。 アメリカなど他の国でも同様の報告書があるっぽ
Foreign AffairsでSpotlight: American Democracyとしてアメリカの民主主義についての記事を5つまとめている。それぞれの記事は異なる視点でアメリカの民主主義が危機に瀕していることを訴えている。このうち、3つの記事「America’s Coming Age of Instability」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2022-01-20/americas-coming-age-instability)、「The Republican Devolution」(https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2020-08-07/democracy-fragile-republic)、「The Fragile Repub
『ハックされる民主主義』(土屋大洋&川口貴久編、千倉書房)読了。 土屋大洋、川口貴久、加茂具樹、湯淺墾道、藤村厚夫、会田弘嗣という豪華メンバーによる選挙介入を中心とした民主主義へのデジタル影響工作についての本である。終わりには日本の選挙干渉の分析や提言も書かれている。 執筆者のひとりである藤村厚夫さんからご恵投いただいた。ありがとうございます。 日頃、私が関心を持っているテーマを違う視点で整理しているので、興味深く、学ぶべきところもたくさんあった。 ●本書の概要本書は下記の9章で構成されている。 1章 2つのハードランドを巡る戦い(序章) 土屋大洋地政学的な視点から本書のテーマを位置づけて紹介している。 2章 外国政府による選挙干渉とディスインフォメーション 川口貴久外国政府からの選挙干渉について、2020年の米大統領選を例にあげて解説。 台湾での対策の状況を紹介し、日本が学ぶべき点と学ぶ
MIBUROに「A Global Tour Through Russian Propaganda」(https://miburo.substack.com/p/a-global-tour-through-russian-propaganda?r=18rop7&s=r&utm_campaign=post&utm_medium=web)という記事が掲載された。英語圏以外でのロシアのネット世論操作活動について調べた結果だ。 記事の冒頭で、ロシアは情報戦に負けたと言われているが、英語圏以外ではどうなのだろう? と書いてある。 結論から言うと、スペイン語圏とアラビア語圏で優勢である他、トルコ、ベトナムでも影響力を保っている。ロシアはプロパガンダメディアであるRTとスプートニクのスペイン語版とアラビア語版を発行する他、多くの予算を割いてきた。 これに対してドイツではロシアの影響力は当局の規制などにより
世界の民主主義の状況を16年前から指数としてまとめている民主主義指数の最新版が2月10日に公開されていた(https://www.eiu.com/n/campaigns/democracy-index-2021/)。指数を公開して以来ずっと世界全体での民主主義指数は悪化しており、今回も悪化した。昨年はコロナの影響が見られ、今回もそれは継続している。 なお、もうひとつの代表的な民主主義指標であるV-Demの最新版については下記。やはり悪化している。 2極化し暴力化する世界 V-Dem2022レポートの衝撃 https://note.com/ichi_twnovel/n/n36e987252529 ●昨年に続き、民主主義国の数、人口ともに世界の半分を割り込む 民主主義指数では、完全な民主主義、瑕疵のある民主主義、ハイブリッド、権威主義の4つに分けている。それぞれ以下のようになっている。目を引く
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