分析哲学を専門とする哲学者であり、解離性障害の当事者でもある後藤真理子氏。本エッセイでは、解離性障害という精神疾患の経験について後藤氏が持ち合わせるさまざまな立場から縦横無尽に語っていただきます。前編では、自己紹介から始まり、解離性障害、現象学的アプローチ、当事者が経験を語ることについてご執筆いただきました。 後編はこちらから! 1.いささか長い自己紹介 私の名前は後藤真理子という。好きな類は鳥類。好きな銘菓は鹿児島のかるかん。好きな哲学者はアウグスティヌス。哲学研究者で、分析形而上学を専門領域とする(正確に私の専門領域を説明すると、分析哲学の中の分析形而上学の中の存在論の中の社会存在論、という非常にややこしい感じになる)。しかし、哲学者だからといって常に何か難しいことを考えているわけではなく、少なくとも私はボケーとしていたり、下らないことを考えていたりするときの方が圧倒的に多い。そんな感