書籍のデザイン、いわゆる装幀(装丁と表記されることが多い)をメインにされている水戸部功さんの連載が始まります。 ここで改めて紹介することでもないのですが、水戸部さんといえば、マイケル・サンデル氏の『これからの「正義」の話をしよう』に代表される、ミニマムにタイポグラフィで魅せる装幀で知られます。サンデル氏の単行本が発売になった当時のことをよく覚えていますが、水戸部インスパイア系とでもいえるような書籍が特にビジネス書に氾濫していました。過剰な意匠を施すではなく、コート紙に1色刷りは版元の懐にも優しく、ある種の“流行”となりました。 上記のタイトル以降も、昨今水戸部さんが手がけたタイトル、たとえば飛浩隆氏の『ポリフォニック・イリュージョン』、テッド・チャン氏の『息吹』を見ると、文字で魅せる装幀はなお一層先鋭化しているように思えます。 2021年には、同じくデザイナーの川名潤氏、長田年伸氏と共に編