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目次ソフトパワーの周辺領域に生まれて ラテンアメリカとインターネット1980年代から続くラテンアメリカの日本アニメ地上波放送地上波からインターネットへ、能動的にコンテンツへ接続するファンダム形成 「オタク」の隠れ家:リンセの洞窟海賊たちの出帆 なぜラテンアメリカに海賊版漫画が広がったのか漫画を読むために言語の壁を越える必要があった海賊船の沈没 違法漫画サイト「TMO」が与えた業界への衝撃海賊版の消費者を合法的な顧客へ私たちはみな、同じ目的地へ航海している ソフトパワーの周辺領域に生まれて ラテンアメリカとインターネット アルゼンチンの詩人・アレハンドラ・ピサールニクは、その詩「目覚め(El despertar)」の中で、次のような共感的なアンビバレンス(矛盾する感情)を提示している。 主よ 私は二十歳です 私の目もまた二十歳です それなのに、何も語ろうとはしない… 早すぎる成人に達したとき
生成AIが生み出した架空のメタルプロジェクトから、肉体を持つ現実のミュージシャンが集結した「実体のあるバンド」へ── そんな前代未聞のパラダイムシフトを体現しているのが、世界中のメタルリスナーのみならず、多くの音楽ファンやAI分野からも熱い視線を集めるポストAIバンド・NEON ONIだ。 コンポーザー/プロデューサーのKAGEさんが、音楽生成AI「Suno」を用いて制作した楽曲をインターネット上に公開したことからはじまったこのプロジェクト。 BABYMETALやBring Me The Horizonらの系譜を継ぐヘヴィかつキャッチーなサウンドとダークな世界観はAIでつくられた。瞬く間に海を越えて話題となり、当初は“本物の日本のバンドだ”と信じ込むリスナーが続出するなど、大きな議論を呼んだ。 その後、AI生成であることが公に明かされると、実際に楽器を演奏する実力派メンバーを迎え入れ、リア
『ストリートファイターII』が社会現象を巻き起こした1990年代。薄暗いゲームセンターの熱気の中で、格闘ゲームは独自の進化を遂げてきた。そのシーンは今、ストリーマーやVTuberといった新たな熱源をも取り込み「格ゲー史に残るブーム」を迎えている。 その最前線に立ち続け、シーンの変遷を誰よりも生々しく見つめてきた男がいる。プロゲーミングチーム・Crazy Raccoon(CR)の「ストリートファイター」部門に所属するどぐら選手だ。 2023年、彼は長年籍を置いた大阪のチーム・CAG OSAKAから、東京・渋谷に拠点をおくCRへと電撃移籍を果たした。それは単なるチームの変更ではなく、格ゲーの火を大きく燃え上がらせるための人生を賭けた決断でもあった。 今回、自ら主催する若手プレイヤーの支援を目的としたアマチュア大会「D4CUP」の開催を機に、彼に改めて話を訊いた。 軽妙な語り口の裏側に秘められた
第3回 なぜサンリオはVRChatに注力するのか──「サンリオVfes」責任者が語る、人の繋がりが生む文化圏 2026年現在、「VRChatに注力する代表的な企業」を挙げろと言われれば、やはり日本国内ではサンリオ社の名前がまず挙げられる。 2021年から音楽フェス「Sanrio Virtual Festival(以下、「サンリオVfes」)」を開催し、2023年から2026年は毎年開催。著名なVTuberだけでなく、VRChat生まれの気鋭のクリエイターも出演する挑戦的なバーチャル音楽フェスとなり、いまやバーチャルなクリエイティブの最前線としてその名が知られている。 そして、イベントの形はバーチャル音楽フェスから「期間限定テーマパーク」へと発展。2025年末にはこれまでの展開コンテンツの多くが、常設テーマパーク「Virtual Sanrio Puroland」として発表され、VRChatで
ホロライブ所属のバーチャルアイドル/VTuber・星街すいせいさんが3月23日(月)、「星街すいせい“Studio STELLAR”設立 メディア説明会」をDOMMUNE(東京・渋谷)で開催した。 会場に登壇した星街すいせいさんは、フリーアナウンサー・藤井貴彦さんの司会進行のもと、トークセッションを実施。 個人事務所・Studio STELLAR設立の背景や意気込み、配信では語られなかった想いなどを明らかにした。メディア説明会後に行われた個別取材の内容とあわせてお届けする。 目次バーチャルシンガーの代表的存在・星街すいせい個人事務所・Studio STELLARは「クリエイティブな秘密基地」星街すいせい「ホロライブとの関係性はこれからも大事にしていきたい」「東京ドームでのライブは10周年にやりたい」VTuberやバーチャル文化を“当たり前の選択肢に”星街すいせいインタビュー「私の後に続いて
ゲーム運営企業への抗議として、韓国・ソウルの公道を一頭の馬が駆け抜ける── 2022年、Cygames発のソーシャルゲーム『ウマ娘 プリティーダービー(以下『ウマ娘』)』を巡って韓国で行われた抗議活動、通称「ウマ娘馬車デモ」をご存じだろうか。 韓国では日本発のソーシャルゲームが数多く翻訳され、現地の運営会社により独自にサービス展開されることが一般的だが、韓国現地では運営体制や消費者保護の観点から、長らく多くの課題を抱えてきた。韓国の『ウマ娘 プリティーダービー』はカカオゲームス社が運営を行っている。 公式サイトのずさんな運営、コンテンツの欠落、イベントや無料配布アイテムの欠如、標準語を話すタマモクロス……。日本ではその完成度で高い評価を得る『ウマ娘』もまた、韓国では多くの問題を抱えたタイトルのひとつだったのだ。 しかし、韓国のゲーマーたちはただ嘆くだけではなく、抗議運動という行動に出た。そ
キクノジョーさんは、今年12月で活動8周年を迎えるYouTubeチャンネル「Aoi ch.」に登場するVTuberだ。富士葵さんの相方として、独特な見た目でテンポ良くトークを繰り広げる姿が印象的な存在となっている。 Aoi ch.では「ケーキをきれいにn等分できる装置を作る」や「弥生時代の銅鏡を手作りする」といった独創的な内容の動画が人気で、YouTubeチャンネル登録者数46万人を魅了する一人として欠かせない。 今回はそんなキクノジョーさんに単独インタビューを実施。 過去に事務所に所属していた経緯からか「スタッフ」や「裏方」のイメージがついている影響もあるだろうか、キクノジョーさんに焦点を絞った単独取材は今回が初めてとのこと。 企業勢から個人勢へ、長い活動歴の中で起こる様々な変遷を富士葵さんと二人三脚で歩んできたキクノジョーさん。唯一無二であるとともに、知られざる存在でもある独自のキャラ
AAAタイトルに触れるということは、単にゲームを遊ぶというだけではなく、ビデオゲームの進歩自体を体感することでもあった。 AAAタイトルの限界。このビジネスは、いつまでも続けられるのか? 長いあいだ、ビデオゲームは永遠に進歩と拡大を続けるものだと思っていた。 80年代から今までのビデオゲームに触れている人ならば、そう考えるのも不思議じゃないだろう。しかし2025年のビデオゲームで話題になった『Clair Obscur: Expedition 33』(以下、Expedition 33)に触れ「東京ゲームショウ2025(以下、TGS2025)」、そして「日本ゲーム大賞2025」の結果を見ていると、その考えに終わりが来つつあるのを感じる。 ビデオゲームは驚異的な早さで進歩を見せつけてきた。産業的にも文化的にも。数年ごとに処理能力が向上したハードが登場し、表現できる限界を更新し続けた。いま振り返れ
VTuber、ゆるキャラ、ラッパーと独自すぎる経歴を辿ってきた唯一無二の存在・オシャレになりたい!ピーナッツくんによるバーチャルライブ「PQ(Peanuts Quantum)」が11月23日に開催された。 ヒップホップフェスに参加し、自身でも数々のリアルイベントやバーチャルライブを開催するなど、様々なフィールドで表現活動に取り組んできたピーナッツくん。今回のライブは、そんな彼の「1つのゴール」として位置付けられている。 ピーナッツくんのちょっとズレた話。 pic.twitter.com/oQzK1l3dcZ — オシャレになりたい!ピーナッツくん🥜 (@osyarenuts) November 5, 2025 開催を記念して聖地・原宿の竹下通りをジャックするなど、ライブ前からかなりの力が入っていることが伝わってきていた。そしてそれに応えるように、全国70の映画館で行われたライブビューイン
「スタンミショック」――筆者自身は、ある種のネガティブなニュアンスも感じられるので、この言葉はあまり好きではない。 しかし、2024年6月〜8月の展開は、「ショック」としか呼びようのない衝撃だったのは事実だ。ストリーマーのスタンミ(スタンミじゃぱん)さんによるVRChat配信は、それだけVRChatへの注目度を高め、事実としてユーザー数を激増させた。 この時期にVRChatへやってきた、いわば「スタンミ世代」とも呼ばれるユーザーは、国内VRChatブームを象徴する存在だと言える。しかし、参加直後の動向は多く伝えられたが、あれから1年ほどたった現在の動向にフォーカスする動きはあまり見られない。 日本のVRChatシーンを一変させる激流になった「スタンミ世代」は今、なにをしているのか。筆者は今回、連載企画「パラレル化するVRChat:白の章」の第一弾として、彼らの足跡をたどることにした。 X上
「アバターポルノ」──この言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。これは、今回バーチャルリアリティ空間で広がるあるコンテンツを紹介するために、本稿が便宜上用いる単語だ。 VRChatを長くプレイしていると、「フレンドの〇〇さんがFantiaに出演したらしい」「あの〇〇さんはFantia男優で有名だ」といった会話を耳にすることがある。 Fantiaとは、月額課金プランなどでクリエイターを支援できるプラットフォームであり、特にアダルトコンテンツに強い点が特徴だ。このFantiaで、「総合(男性向け)」からカテゴリーを「VTuber」に絞り込むと、検索結果の1ページ目から、いわゆるVRChat向け3Dアバターを用いたクリエイターがヒットする。 そのコンテンツ内容は、VR空間でアバターを操作するプレイヤー同士の“絡み”を撮影するというもの。通常の3Dアダルトコンテンツが手打ちモーションによ
経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造課 課長補佐/弁護士・腰田将也さん(以下、写真はすべてBillboard JAPANの提供) 日本発のコンテンツ産業の海外市場規模を、2033年までに20兆円にすることを目指している日本政府。 2023年時点の約5.8兆円から約10年間で約3.5倍にすべく、現在、官民連携によるコンテンツ産業活性化が推進されている。 2025年10月、米国のデータ会社・Luminate(ルミネイト)とBillboard Japanが主催した音楽業界関係者向けのカンファレンス「NOW PLAYING JAPAN Vol.4」に、経済産業省の腰田将也さん(商務・サービスグループ 文化創造産業課 課長補佐)が登壇。 政府および経済産業省における、音楽産業の海外展開支援の全体像と目下の課題が明らかとなった。 目次日本発のコンテンツの輸出額は、鉄鋼や半導体に匹敵音楽産業を飛
「ハゲタカ・ジャーナル(predatory journal)」という、お粗末な論文を掲載してお金を稼ぐ悪徳学術誌の総称をご存じだろうか。 論文の著者から高額の論文掲載料を請求することのみを目的として発行され、学者/論文の信用を著しく損なわせる危険もはらむ「ハゲタカ・ジャーナル」は、アカデミックの場で大きな問題となっている。 そんな問題アリな詐欺集団──それを“逆に騙す”存在が「ポケットモンスター」の偽論文で知られるマタン・シェローミ(Matan Shelomi/薛馬坦)だ。 彼が2020年に発表した論文『Cyllage City COVID-19 Outbreak Linked to Zubat Consumption(ショウヨウシティでのCOVID-19のアウトブレイクとズバットの食用消費の関係性)』は、世界的で注目を集めた(外部リンク)。 論文の内容は、「コロナ・ウイルスの原因は食用の
英語圏を中心に世界から人気を獲得しているVTuber・アイアンマウス。 アイアンマウスさんは、配信企画「サバソン(Subathon)」で集めた寄付金約7400万円を、バーチャルタレントエージェンシー・VShojoが資金流用していた事件を受けて独立を発表。その後、免疫不全支援団体(Immune Deficiency Foundation)へのチャリティキャンペーンで120万ドル(約1億7000万円)を超える寄付金を集めたことでも話題を集めた。 前編では活動を始めた背景と、日本・英語圏共にあるVTuberに対する偏見に対する心境や対応などについてうかがった。 アイアンマウスさんが人気を獲得したのは、「サバソン」という日本ではあまり聞きなれない配信形式で話題になったことがきっかけになっている。後半では、英語圏と日本語圏のシーンの違いについてや、この「サバソン」、チャリティーにかける想いについてな
VTuberのグローバル化が一部で進む中で、確たる人気を獲得したVTuberがいる。アメリカのバーチャルタレントエージェンシー・VShojoから独立を発表したアイアンマウス(Ironmouse)さんだ。 2024年には、映像配信プラットフォーム・Twitchのサブスクライブ数(チャンネルの有料会員)で世界1位を獲得し、さらに配信プラットフォームを分析するWebサイト・Streams Chartsの調べでは世界3位に輝いた。 今回はそんなVTuber/配信者として世界を牽引するアイアンマウスさんに、Twitch Japanチーム協力のもと、単独インタビューが実現した。 分類不能型免疫不全症(CVID)という難病を抱えながらも、「サバソン」という配信方法で人気を獲得したアイアンマウスさんはどのように世界を駆け抜けてきたのか? インタビューを前後編で公開する。 ※本インタビューは、配信企画「サバ
「やっとVTuberになれた」──そう笑うのは、個人勢VTuberでありBL同人作家の塚本のべるさんだ。 1枚絵で活動する“PNGTuber”としてのデビューから1年、静かに準備を重ねた末、2025年6月23日には待望のLive2Dモデルをついにお披露目。ファンも胸を躍らせた。 YouTubeチャンネルの登録者数は12万人を超え、ゲーム実況、歌ってみた、実写の姉妹コラボ動画など、多彩なコンテンツでゆるりとした景色を届けている。 【リアル姉妹で】だいしきゅーだいしゅき / covered by 塚本のべる×塚本ぱるむ 同時に彼女は、BL同人作家「ノンケ好きの塚本」としても活動。ペンネーム通り、異性愛者である男性(ノンケ)を受けに据えた作品世界へのこだわり、DLsiteなどを中心に発表している(R-18サイトへの外部リンク)。 個人勢のVTuberとしての自由さと、同人作家として創作活動の両面
4人のまりなす一夜限りの復活──そのニュースはシーンに大きな衝撃を与えた。 まりなすはバーチャル・エイベックス「AVALON」所属のバーチャルアーティスト。2018年にソロで活動をはじめた奏天(かなめ)まひろさんに、燈舞(とうま)りんさん、音葉(おとのは)なほさん、鈴鳴(すずな)すばるさんが合流。 グループは2021年にメジャーデビューを果たし、それまでの「まりなす(仮)」から、正式に「まりなす」として新たなスタートを切った。 まりなすのことが5分でわかる動画 その後、奏天まひろさんと音葉なほさんが卒業し、現在は燈舞りんさんと鈴鳴すばるさんの2人で活動中。よりソリッドに洗練されたパフォーマンスで進化を続ける2人は、“VTuber界最強”を掲げるに恥じないクオリティを見せつけ、ファンである“まりなすたーず”のみならず多くのオーディエンスを魅了してきた。 だが同時に、4人時代の輝きを知ればこそ
『ストリートファイター6』は今や、プロとストリーマーが拳を交わすリングだ。 立川は、世界を見据えたプロ選手として、プレイヤーとコミュニティを育むコーチとして実績を積み重ねてきた。甘結もかは、ファンに「楽しい」を届けるだけでなく「勝ちたい」という誇りを掲げている。 両国国技館を舞台に繰り広げられた「VSPO! SHOWDOWN」。その中でも『ストリートファイター6(以下、スト6)』での立川さんと甘結もかさんの攻防は、見届けた多くの人々の感情を揺さぶった。 立川さんは2024年、世界大会「Esports World Cup」で3位タイに入賞し、2025年5月にはCrazy Raccoonへと移籍。国内だけでなく海外大会への挑戦も積極的に行う、いま最も勢いのあるプロ格闘ゲーマーの一人だ。 彼の眼差しの先にあるのは勝利だけではなく、格闘ゲームコミュニティへの愛情や貢献。そしてそのコミュニティを広げ
ChatGPTやGemini等の生成AIが社会に広く浸透しはじめてから約2年。「業務効率化」や「生産性向上」といった目的での利用が急速に普及する一方で、“物語”や“お笑い”などのクリエイティブ/エンターテインメント領域での活用はまだはじまったばかりだといえる。 そんな黎明期において、突如YouTubeに現れたのが「Tokyo Ninja」だ。 「琵琶湖の水を飲み干す」「富士山を削って標高を下げる」そんな“人間には絶対できない”企画をAI映像で表現する動画は、瞬く間に拡散し、中高生やYouTuberファンを中心に人気を獲得。 AIが考える「琵琶湖系YouTuber」 コメント欄では、動画を象徴する言葉「エグしゅぎ~~!」が飛び交い(今年の流行語も狙い得ると筆者は考えている)、SNSでは「マンホール佐々木」などのAIが生んだキャラクターがミーム化。さらに「Tokyo Ninja」のフォロワーと
「VRChat」と「LGBTQ+」──この組み合わせに、皆さんはどのような印象を覚えるでしょうか。 「そもそもピンとこない」という方も多いでしょうが、中には「『お砂糖』のような男性同士の恋愛に寛容な文化があって相性が良さそう」と思う方、逆に「男性中心でホモソーシャルな雰囲気があって相性が悪そう」と思う方もいるかもしれません。 自身もLGBT当事者として活動を行っている蘭茶みすみさんに、VRChatで急速に広がるLGBTQ+コミュニティの実情を解説していただきます。 毎年6月は、「プライド月間」と呼ばれるLGBTQ+(※レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、その他の総称で性的マイノリティを指す言葉)のプライドを祝福し、LGBTQ+の文化とコミュニティによる貢献を祝福する月とされており、世界中でLGBTQ+コミュニティに関するイベントなどが開催されます。 実は、VRCh
ソーシャルVRサービスのひとつ「VRChat」では、毎週木曜の深夜にVR空間に集まってフリースタイルサイファーを実施しているコミュニティが存在する。その名は「Cipher Communication Circle(通称・C3サイファー)」。 今回、VRChatを基点に精力的に活動するVRヒップホップユニット・CROWKのMCでもあり、日本のVRChatコミュニティ黎明期からC3サイファーを主宰してきたSeathree a.k.a. WisKさん(以下、WisKさん)に2時間におよぶインタビューを実施。 VRという新しい「地方」で芽吹くヒップホップの実像に迫る。 目次VRChatのサイファーコミュニティ「C3」とは?「俺、ヒップホップをろくに知らなかったんですよ」ゲーマーがヒップホップコミュニティを建てるまでC3サイファー誕生秘話「世界初 VR MCバトル主催」6年続けた中で生まれたVRヒッ
彼の思想は、たいていの場合私たちが気づかないうちに、私たちの世界観を方向づけている。 ──アンヌ・ソヴァージョ 『機動戦士ガンダム』のテレビ放送が始まった1979年、その後の日本社会やサブカルチャーに大きな影響を与える邦訳書が刊行されている。フランスの社会学者、ジャン・ボードリヤールの『消費社会の神話と構造』(1970)である。 ボードリヤールは、人々がモノ(商品)を使用価値や交換価値によってではなく、自身のアイデンティティなどを示す「記号」として消費する社会システムを批判的に分析した。高度経済成長を経て大量消費社会を迎えたバブル前夜の日本では、折からのニューアカ・ブームも手伝って広く読まれ、最新流行のマーケティング理論として実装されていく。セゾングループ総帥・堤清二がボードリヤールに触発されて「無印良品」を立ち上げ、批評家・マンガ原作者の大塚英志が『物語消費論』(1989)を書いたのは有
歌愛ユキが歌った「ざぁこ」が、主に海外リスナーから批判を集めた件。単なる炎上と片づけてしまうことは容易だが、連綿と続くボカロの足跡を踏まえることで、見えないものが見えてくる。ボカロ文化を俯瞰しつつ、評論同人誌「ボーカロイド文化の現在地」を発行するhighland氏の寄稿。 2025年2月9日、ボカロP・柊マグネタイトさんが公開した新曲「ざぁこ」が国内外で大論争を巻き起こした。MVの映像を担当したのはCAST(channel)さんで、ボーカルはVOCALOIDの歌愛ユキだった。 この度は新曲「ざぁこ」を見ていただき、また多数のご意見をいただき誠にありがとうございます。 本楽曲ではVOCALOIDの歌愛ユキを起用した内容としては、歌詞・描写に不適切な表現が含まれているとのご指摘を受け、様々なご意見を頂戴しました。… — 柊マグネタイト (@hiiragi_magne) February 9,
九条林檎さんに、VTuber業界で今話題のトピックを解説してもらう連載「おしえて、九条林檎様!」。まる1年にわたって毎月様々な話題でお送りしてきた本連載は、今回が最後の更新となります。最終回のテーマは「VTuberとIP」です。 みずほ銀行や矢野経済研究所による調査において、IP(※1)としての可能性に期待が寄せられているVTuberは日々多くのコンテンツとコラボしています。漫画やゲームといったメディアミックス展開も増加しており、街中に溢れる広告でVTuberの姿を見かけることも多くなりました。 VTuberのIPとしての価値が拡大していくかどうかは、業界の発展にも直結する重要な要素です。最終回らしく業界の先を展望しつつ、未来を考える上でも重要な“VTuberのIPとしての可能性”について聞きました。 (※1)IP。Intellectual Propertyの略称で、知的財産を意味する。広
VTuber黎明期となる2018年から有閑喫茶あにまーれをはじめ、ハニーストラップやブイアパなどのグループを世に送り出してきた774inc.。 前編では、2023年の全グループを統合して「ななしいんく」とした組織再編の意図、そもそもなぜこれまで運営チームの露出を避けてきたかをうかがってきた。 VTuber黎明期から謎に包まれた事務所「ななしいんく」が初めて語る、グループ統合の真意 2018年に「有閑喫茶あにまーれ」「ハニーストラップ」を世に送り出したことを皮切りに、VTuberの黎明期から今日まで数十人のVTu… 後編では、774inc.の設立秘話や、他事務所移籍や独立、さらには近年での卒業撤回など、やや異例にも思える運営チームの方針について掘り下げることで、「ななしいんく」という独特な組織ならではのタレントとの距離感や展望が見えてきた。 目次謎に包まれた774inc.の創業秘話タレントに
2018年に「有閑喫茶あにまーれ」「ハニーストラップ」を世に送り出したことを皮切りに、VTuberの黎明期から今日まで数十人のVTuberを抱え、独特の存在感を放ち続ける「ななしいんく」。 しかしその存在感とは裏腹に、その運営体制やスタッフについてはほとんど全て謎に包まれていた。 2023年3月には、所属グループ全ての統合を行い、事務所名を「774inc.」から「ななしいんく」に改名(運営会社名は「774inc.」)。 大規模な組織改編から2年、創業期から現在に至るまで謎に包まれていた運営の裏側に迫る、ななしいんく初インタビューを前後編で公開。 目次なぜ、ななしいんくは運営の露出を避けてきたのか?今改めて語られる、グループ統合の真相グループ統合をめぐる運営の事情と、思わぬ内部的な変化統合から2年……過去最大の危機を乗り越えて なぜ、ななしいんくは運営の露出を避けてきたのか? ──今回、これ
九条林檎さんをお迎えし、VTuberシーンで話題のトピックを解説してもらう連載「おしえて、九条林檎様!」。第12回のテーマは、VTuberにまつわるルッキズムです。 容姿や身体といった見た目を理由にした差別や不当な扱い等々、ルッキズムという言葉が内包する意味合いは多様です。容姿に基づく言動への違和感を言い表す際に、様々な場で耳目に触れるようになりました。 理想的な体型を要請されてきた時代を乗り越えて、ありのままの自分を受け入れようとする「ボディポジティブ」といったムーブメントも活性化してきました。 翻って、バーチャルの世界は外見を容易に変えられるため、ルッキズムに苦しむ人々の救いになるとの見方もあります。一方で、表向きは鳴りを潜めつつある容姿いじりが、奇妙なことにVTuberシーンには根強く蔓延しています。 どこかアンバランスな“バーチャルにおける外見”について、ルッキズムをキーワードに、
「VRChatって、結局何が面白いの?」──そんな疑問を投げかけられることがある。 VRChatのユーザー数は、ここ5年ほど基本的には右肩上がりだ。日本国内だけに目を向けても、2024年6月から8月頃にかけて配信者・スタンミさんのVRChatへの参加および精力的活動を見て起こった大規模な新規流入を背景に、最近では人気ワールドに限れば同時接続者数が数百人を記録することは珍しくなくなった。 VRChatの過去5年の同時接続者数推移/画像は<a href="https://metrics.vrchat.community/?orgId=1&refresh=30s" target="_blank">「VRChat API Metrics」</a>より 大規模な音楽フェス、現実では体験できない幻想的な景観の場所や、実際にある海外の観光地を再現した世界、他のコミュニティには見られない独特の文化....
かつて「日本らしさ」と呼ばれた文化の新しい形 2024年12月3日。大韓民国の当時の大統領ユン・ソンニョル大統領は午後10時半頃、対国民緊急談話を通じて、非常戒厳を宣布した。この宣言を受け、パク・アンス戒厳司令官は同日午後11時に「戒厳司令府布告令(第1号)」を発出して、あらゆる政治的組織の集合と政治活動を禁止することを発表。あらゆる政治活動の対象には、国会も含まれていたので、ヨイドにある国会正門は軍部によって閉鎖される。 しかし議員たちは壁をよじ登るなどして国会内に侵入。ウ・ウォンシク国会議長のもと、190人の議員が「戒厳解除要求案」に賛成し、解除要求案が可決されることで、戒厳令の法的有効性はなくなった。議会を封鎖しようとする軍人とバリケードを慣れた手つきで築きあげた政治家や職員たちの攻防がメディアを駆け巡った。 2025年3月現在、ユン元大統領は、大統領の資格をめぐる弾劾裁判と内乱罪に
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