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おみそ汁
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尊敬する編集者である『小悪魔ageha』の編集長・中條寿子(なかじょう・ひさこ)さんが、『ageha』を離れ、退社すると聞いてびっくり。ご自身が経緯を書いている『週間金曜日』を買いに走りました。 「1993年のコギャル発祥年に15歳だった」中條さんは、ご存じのように2005年にスタートした『小悪魔ageha』によって、コギャルからキャバ嬢にいたる欲望の身体表現を、ひとつのスタイルにまで高めた希有な編集者です。 その彼女が、分身とも言える『ageha』を去ることになったのは、ひとつにはいつまでも同じことを繰りかえしていたくないということ。そしてもうひとつ(こっちが主な理由だと思いますが)、「版元はもうこりごり」だというのです。 『ageha』の発行元であるインフォレストは、中條さんが入社して間もなく「金融屋に買収され・・ゴミのような扱い」を受けながら、「いつのまにか親会社が変わったり・・現れ
先日、FacebookとTwitterに、タイの洪水に関する日本メディアの報道について考えたことを少し書いたら、同意も反論も含めて、意外なほど多くの反響をもらいました。なので、今回はその補足を少しだけ。 最初に、そのとき書いたメッセージを転載します: タイの洪水報道、なぜ日本企業のことばっかり? 連日テレビでも新聞でも報道されてるタイの洪水ですが、9割方は「おかげで日本企業の工場にも甚大な被害・・」って、その前に死んだり家を失ったりしてるタイ人がたくさんいるんじゃないの?と突っ込みたくなりませんか。 バンコクからのテレビ中継でも、「王宮にも水が!」みたいに声を張り上げてる特派員のそばで、膝まで水に浸かったおばさんが、平気で屋台営業してたり、オヤジがタイヤの浮き輪でぷかぷかしたり、発泡スチロールの板に子供乗っけてイカダ遊びしたり・・悲惨な状況ではあるけど、ちゃんと水と折り合って生きてるタイ人
先週末、福岡でトークがあり、翌日に有志で福岡珍スポットめぐりというバスツアーを企画してもらいました。爆笑スポットから、おどろきのアート空間まで、いろいろ収穫たっぷりの一日でしたが、夕方に訪れたのが大牟田市の、その名も「年金通り」なる飲み屋街。ネーミングがすべてをあらわしてるというか・・・地味すぎて涙が出てくるような飲み屋街でした。 そのあと散策した大牟田市街は、これぞ「ザ・シャッター商店街」とでも呼びたい、あまりに悲惨な状態で、かつて三井三池炭鉱でものすごく栄えた時代があったとは、やたらに多いスナックやバーの数から想像するしかありません。そのスナック街も、ほとんどシャッター降りたままなんですが・・。大牟田というと引き合いに出されるのが、「2007年フォーブス誌で”世界のもっともきれいな都市トップ25位”に選出された」というエピソード。いったい、フォーブスの記者はどこをどう見てたんでしょうか
メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアウトサイダー・アートであるとすれば、もうひとつ、もしかしたら正反対の「極南」で優しく育まれているのが「おかんアート」。その名のとおり、「おかあさんがつくるアート」のことです。なにそれ? と思うひともいるでしょうが、たとえば久しぶりに実家に帰ると、いつのまにか増えてる「軍手のうさぎ」とか、スナックのカウンターにある「タバコの空き箱でつくった傘」とか、ああいうやつです。 どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄であります。 もともと「おかんアート」が世に出たのは、2003年に2チャンネルなにに立てられた「脱力のオカンアートの世界」と題されたスレッドだと思い
中野タコシェのオンラインショップで見つけて、思わず注文してしまったのがこの本。パリのオルタナティブ系出版社ANKAMA EDITIONSが出版した、メキシコのルチャリブレ・アートワーク・コレクションです。著者(というかコレクター)はジミー・パンテラという御仁。タコシェのサイトによれば—— ベルギーのルチャ・リブレ(メキシカンプロレス)おたく、ジミー・パンテラさん(本業はデザイナー)が、これまで収集してきた資料やメキシコ取材で撮った写真などを,自らデザインして作り上げたアートブック。最近では、興行やイベントを仕切ったり、ルチャ・リブレに関するアートの展示まで行なう程の熱の入れようで、ルチャ・リブレは人生や戦いが凝縮されているとまで言い切るジミーさんが、ルチャ・リブレへの思いを詰め込んだ一冊。画像ではわかりにくいですが、ブルー・デーモンのマスクと一体化した青い表紙のタイトルまわりは金の箔押しで
ツイッターでも少しだけ書きましたが、『TOKYO STYLE』でも取材した文京区本郷の木造3階建てアパート「本郷館」が、ついに壊されてしまいました。1905(明治38)年に建造された「高等下宿」。今年で築106年! 林芙美子から一説によれば蒋介石まで、数々の著名人が暮らしたことでも知られる、貴重な文化遺産ですが、熱心な保存運動にもかかわらず、この8月になって突然の解体工事開始。新聞などの報道を読まれた方もいらっしゃるでしょうが、すでに建物は跡形もありません。 関東大震災を生き延び、太平洋戦争の空襲を生き延び、3月11日の地震にもびくともしなかった本郷館ですが、重機にかかってはひとたまりもなく、あっというまに解体完了です。このあとは、いったいなにが建つんでしょう・・。 先週、現地を訪れてみたら、朝から工事現場を見守っているひとが何人もいました。そのひとりに話を聞いてみたら、「30年間も住んで
ゆりかもめ、あるいはりんかい線で有明方面に向かう。見本市でおなじみの東京ビッグサイトと、有明テニスの森に挟まれた街区に、東京臨海広域防災公園という施設があることを知るひとはどれくらいいるだろう。そこが、面積13ヘクタール以上におよぶエリアで、しかもいざ首都直下型地震が起きた場合には、 緊急災害現地対策本部となり、首相官邸とホットラインで結ばれたオペレーションルームが置かれる、いわば大地震に襲われた東京を救う最前線の基地となるこ とを、どれだけのひとが知っているだろう。 去年7月にオープンしたばかりの『そなエリア東京』は、その現地対策本部用の建物を使って、都民の防災意識を高めてもらおうという”体験型防災教育ミュージアム”である。
閉ざされたドアから漏れ聞こえるカラオケの音、暗がりにしゃがんで携帯電話してるホステス、おこぼれを漁るネコ・・。東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう場所。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。毎週チドリ足でお送りします。よろしくお付き合いを! 第22夜:渋谷区・百軒店 渋谷でオトナが遊ぶのって難しい、といつも思う。買い物するにも店が若者志向すぎるし、たまに映画やコンサートで道玄坂やBunkamuraあたりに出かけても、そのあと静かにご飯食べたり、しっとり飲んだりする店が、ないわけではないけれど、街のサイズに較べてあまりにも少ない。いったいいつから、渋谷はこんなに若者だらけの街になってしまったのだろう。 「都市再生本部」という組織をご存じだろうか。「環境、防災、国際化等の観点から都市の再生を目指す
今週はいつもの『東京スナック飲みある記』がお休みなので、オマケがわりにどうぞ。 今週、必要があってちょうど20年前に撮った『TOKYO STYLE』のポジをスキャンしてました。 いまから見るとライティングなんかものすごく下手で(というかストロボも買えず、ランプひとつしか持ってなかったし)、見ていて恥ずかしいのですが・・でも撮っててすごく楽しんでる感じが伝わってくる。自分で言うのもヘンですが。 「こんな企画ができたらおもしろいだろうなー」と思い立ち、プレゼンしたものの、どこの出版社にも相手にされず、しかたなく自分でペンタックス67と、4x5のカメラを買って、三脚を背中にしょって、原チャリで撮影して回った2年間ほどの日々。 デジカメなんてなかったので、原稿料が入るとフィルム代や現像料の支払いに充てながら、しかしプロのカメラマンになるなんて、夢にも思ってなかったあのころ。あんな気持ちで
2009年5月から2010年4月まで、1年間にわたって平凡社のウェブ・マガジンで連載された『演歌よ今夜も有難う』が、1年間かけてようやく単行本になりました。 だれも知らない、だれも知ろうともしない、インディーズ演歌の世界。それはある意味ロックよりもハードで、ヒップホップよりもタフな、ほとんど報われることのないまま、歌のちからだけを信じて生きている人間たちの物語です。18人の、18とおりの演歌人生劇場に、震えるコブシとともに浸ってください。笑って、泣いてください! たったひとり部屋にこもって宅録した音源や、友達とバンドを組んで貸しスタジオで録ったテープを、お小遣いを使ってCDにして、レコード屋の自主制作コーナーに置いてもらう。それがいつのまにか評判になり、気がついたらメジャー・デビューしてロック・スターの仲間入り。そんなサクセス・ストーリーが、ポップスの世界ではあたりまえに起きている。 自分
あんまりびっくりしたので、出版元の二見書房に経緯を聞いたら、なんと以前に名刺交換したことのある編集者さんが担当だったんですが、「言われてびっくりしました、都築さんの本のこと、ぜんぜん知らなかったんですよ!」とのこと。デザイナーさんも、僕の本のことなんか知らなかったんでしょうねえ。なので不幸な偶然・・というわけです。 著者のベッティナ・コワルウスキーというひとは、ドイツのトラベル・ジャーナリストで、本書のもととなったドイツ版が出たのが2008年、英語版が2009年のこと。本書はそこから内容をアップデートした日本語版ということになるようです。僕も英語版で見てましたが、内容はなかなかの労作。よくこんなとこまで、というフットワークは賞賛に値します。しかし! 原著のカバー・デザインは、ぜんぜんちがうじゃありませんか。
このところツイッターやブログで話題になっている、強烈なパクリ・ネタ。もうご存じの方も多いと思うので、短く紹介しておくだけにしますが、そもそも話が盛り上がったというか、一気に広まったのは、2011年ビルボード・ミュージック・アワードでの新曲『Run The World (Girls)』のパフォーマンス。 最高にキレのいいダンスと、プロジェクションされた映像が一体となったパフォーマンスは、さすがに見事としか言いようがないのですが(冒頭、賛辞の部分が3分ぐらいあるのでご注意)・・ 番組の放映直後から、このステージがイタリアの歌手ロレッラ・クッカリーニが2010年にサンレモ音楽祭で披露していたパフォーマンスのパクリではないかという指摘が、寄せられるようになったわけです。 たしかにコンセプトはまったくそのものなんですが(ただしダンスもルックスも、ビヨンセのほうが数百倍・・)、この指摘に対してビヨンセ
『HELL』展のオープニング・パーティで、参加してくれた方から「これ、知ってます? HELLですよ〜!」と推薦され、恥ずかしながら未聴だったのでYoutubeをチェック、いきなり打ちのめされたのが『手切れ金』。歌っている大友裕子さんは、ヤマハ・ポプコン出身の歌手。1978年デビューの歌手で、「日本のジャニス」とも呼ばれ、あの『ボヘミアン』を葛城ユキの前に歌ってもいるそうですが、1982年、その『ボヘミアン』発売日に引退、いまはどこでどうされているのか・・不明という謎に満ちた歌い手です。 『手切れ金』はこんなふうに始まります・・・ あんたが出て行くのを とめる気はさらさらないよ 後追いをするほど かわいがられた覚えもないし あんたあたしの目の前で ほかのオンナ抱いて見せた あの雨の夜あたしは 傘も持たず飛び出して どこをどう歩いたのか 知らないが ずぶぬれの体のまま 道に倒れちまってさ クル
なぜかあまり広報されていないようですが、今週土曜日からラフォーレ原宿で、大規模なヘンリー・ダーガー展が開催されます。 家族も友人もなく、天涯孤独に生きたヘンリー・ダーガー。彼はその侘しい実生活を棄て、自身が夢想した物語『非現実の王国で』の中で生き、そこで起った出来事を、生涯を賭して記録しました。 ダーガーにとって『非現実の王国で』を綴り描くことは、人に見せるためでも、余暇の楽しみでもなく、生きることそのものでした。この特異な創作は、下宿先の大家夫妻によって偶然に発見され、彼の死後、人々の目に触れることになりますが、その不可思議な世界観と強烈な表現欲求は観る者を圧倒し、魅了し、心を捉えて離しません。 本展は、最新の研究成果のもと、ヘンリー・ダーガーの実人生と『非現実の王国で』を解き明かすことを試みる企画展です。会場は、ダーガーの幼少期にフォーカスをあてる[Early Days]、ダーガーが興
昨年、洋泉社から発売された『HELL 地獄の歩き方 タイランド編』でお見せした、タイの田舎に隠された驚愕の地獄彫刻庭園を、オリジナル・プリントでたっぷり味わっていただこうという企画です。 神田のZENSHIではモノクローム調の大判プリントを、以前に東京右半分でも取り上げた東上野のMUERTEでは(http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/entry/336/)、彩度バリバリのカラー・プリントを壁中にびっしり並べて、熱帯風味のエログロ宇宙を堪能していただく趣向です。 詳しくは各ギャラリーのウェブサイトをご覧ください。初日の22日には、神田と東上野の両会場でオープニング・パーティを開催します。両会場を行ったり来たりしてますので、ぜひお出でください。お会いできるのを、楽しみにしています!
「アートが震災にどう貢献できるか」みたいな議論が各地で活発化してますが、3月20日のニューヨークタイムズ日曜版に掲載された、水木しげるの書き下ろし作品には、こころが震えました。 今回の掲載を橋渡ししたPRESSPOP GALLERYという版権マネージメントやプロデュースを行う会社のブログ記事によれば(http://www.presspop.com/)、「『今回の日本を襲った地震と津波による大災害についての水木さんの個人的な考察』を絵で描いてもらえないでしょうか?」というオファーがタイムズ側から来て、水木さんがすぐに応えてできたのがこの作品ということです。詳しくは、上述のブログをお読みください。 「みんなでひとつになろうよ」とか「いまわたしたちにできること」とか、感傷的なメッセージばかりがマスメディアでは垂れ流され、ほんとうに悲惨なシーンが放映も印刷もされない状況の中で、「地獄」とは、そして
もう50年以上、東京で生活しているのに、行ったことのない町がたくさんある。入ったことのない本屋もレコード屋も、食べたことのない定食屋もたくさんある。それから、飲んだことのないスナックも! 東京はひとつの都市じゃない。イクラのつぶつぶみたいに小さな町がくっつきあった、ぐちゃぐちゃの巨大な集合体だ。 夜、知らない町に降りたって、看板の灯りに惹かれてスナック街を歩くのは、夜間飛行にちょっと似ている。眠れないままに窓の外を眺めると、真っ暗な大地にぽつんぽつんと明かりが見える。ああここにもだれかが住んでるんだな、いまなにしてるんだろう。そうして退屈なフライトが、少し楽しくなってくる。 閉ざされたドアから漏れ聞こえるカラオケの音、暗がりにしゃがんで携帯電話してるホステス、おこぼれを漁るネコ・・。東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじ
書店に山積みになっているので、もう手に取ったひとも多いでしょう。村上春樹さんの、いままで単行本に未収録だった作品、未発表の文章、ぜんぶで69編を集めた新刊です。『雑文集』なんて題名と裏腹に、小説とはまたちがう、すごく興味深い文章がたくさん収められていて、その前に出たインタビュー集『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』とあわせて読むと、なにをどう考えながら毎朝ワードプロセッサーに向き合っているのか、どうやってあんなイマジネーションを生み育んでいくのか、そういった創作の根源に少しだけ触れられるような気がしてきます。 『雑文集』には僕の本について村上さんが書いてくれた文章も2編収録されています。『珍世界紀行ヨーロッパ編』の書評『都築響一的世界のなりたち』と、『夜露死苦現代詩』について書かれた『蒐集する目と、説得する言葉』です。限られたページの中で、2編も入れてもらって嬉し涙・・・。 しかし本書
年も押し詰まった12月27日、中野サンプラザ向かいにある、なかの芸能小劇場というコミュニティ・センターで、激渋インディーズ演歌歌手の祭典が開かれました。なんたって司会からして「いか八郎」(今年77歳!)さんですから、そのアンダーグラウンド・レベルがわかろうというもの。 『演歌よ今夜も有り難う』というウェブ連載をきっかけに、この2年ほど取り組んでいるインディーズ演歌の世界を、今年の夏に単行本化するための追加取材でしたが(平凡社より刊行予定)、なかでも最注目のシンガーが「みどり○みき」さん。こちらのサイトでまだロング・インタビューがお読みいただけますが、 足立区のカラオケ喫茶をベースにしながら、毎月浅草の東洋館で歌うなど、積極的な活動を続けているベテラン・インディーズ歌手です。 みどりさんの最大のヒット曲は、平成12年に発表された『神様は泣いた』(英語版もあって『ゴットクライド』!)で、ご本人
70年代にもっとも影響を与えた日本のグラフィック・デザインというと、まず横尾忠則をあげる人が多い。それは当然だが、彼と同じくらい、一般のレベルではもしかしたら横尾さん以上に強い影響を日本中に振りまいたのが水森亜土、通称亜土ちゃん(亜土たんと呼んでいた人もたくさんいた)だろう。 ジャズ・シンガーであり、レビュー・クイーンであり、イラストレーターであり、油彩画家でもある亜土ちゃんは、そのあまりにマルチな活動ぶりに、かえって過小評価されてきたきらいがある。 テレビでおなじみだった、あの歌いながら透明ボードに両手でササッとかわいい絵を描いていくパフォーマンスは、まるでマイケル・ジャクソンのムーンウォークのように、当時の日本中の子供たちをプチ亜土ちゃん化したものだった。いま考えると、あれが日本のグラフィティの、もっともパワフルなオールドスクールだったような気がする。そこらの商店街の壁とかに、アメリカ
いまエディトリアル・デザインでは最前線、というか極北を突っ走ってると思われる小悪魔ageha。今月号でまたもやってくれました! ブックインブックというか、センターに挟み込まれている小特集の「あのコのアイメイク 360度立体解剖図!」。 「この目尻の描き方、横からも見えたらいいのに・・・という要望にお応えし、あのコの目の作り方をいろんな方向からお見せします。実物を見るよりわかりやすくしました!」とイントロにあるとおり、「目を作る」タイプの女の子にはたしかに大助かりの特集でしょう。しかしすごい。このままいったらこの雑誌、いったいどうなっちゃうんでしょう。ドキドキします。デザイン学校の教科書にしてほしいです。ま、先生方はご存じないでしょうけど。
中央画壇とはまったく没交渉のまま、業界のトレンドとも無関係のまま、地方でひっそり、自分だけの絵を描き続ける画家が、この国にはたくさんいます。美術雑誌やインターネットではなくて、地方をめぐる旅行のおりに出会うことがほとんどなのですが、そうした孤独なアーティストたちを訪ね歩き、いつか一冊の本にまとめたいと願いつつ、怠惰なせいで実現できずにいます。 山口県の小野田という小さな町に、田上允克(たがみ・まさかつ)さんという画家がいます。農家のような古びた一軒家に、かわいらしい奥さんとふたりで住み、畑で野菜を育てながら、驚異的な量の作品を作りつづける毎日。できあがった作品は納屋に無造作に積まれ、ほこりをかぶってぐちゃぐちゃになっていますが、片づける時間があったら、そのぶん制作をしていたい、と本人はあまり気に留めていません。 田上さんを僕に紹介してくれた、新宿御苑脇にラミュゼという素晴らしいギャラリーを
この取り組みは、常に誰かに見つめられているという緊張感によって仕事の効率をあげるとともに、利用者を具体的にイメージすることでサービスの向上をはかる「ペルソナ」という手法を取り入れて京都府が始めたもの というもの。しかし「ペルソナ」なんて手法、知ってました? 京都府の広報サイトによれば(http://www.pref.kyoto.jp/news/press/2010/8/1281437529886.html)、この手法は「ペルソナ(具体的なユーザー像)を想定し、実際に造り上げ、活用することで、職員間で一貫したユーザー像を共有できる効果が期待できます」そうです・・・。
今回は単なる画集ではなく、DVD+画集のボックス・セット。それも1985年からおよそ3年間、ほとんど知られることもないままに彼が撮りためてきた、8ミリフィルムの映像を完全DVD化、それに詳細な制作ノートをセットした、ファン垂涎の豪華版ボックスです。
僕らがワールドカップに熱狂していた29日、ニューヨークの片隅でラメルジーがひっそり息を引き取りました(現地時間28日)。死因はまだわかっていませんが、臨終にはお母さんがつきそったそう。お母さんっ子だったラメルには、せめてもの慰めだったかもしれません。 ご存じの方がどれくらいいらっしゃるでしょうか。ラメルジー(Rammellzee)はニューヨークで活動してきたグラフィティ・アーティストであり、ラップ・ミュージシャンであり、パフォーマンス・アーティストでありました。イタリア人と黒人の混血でありながら、1980年代、創生期のニューヨーク・ヒップホップ・シーンに決定的な影響を与えた、最重要人物のひとりです。近年は何度か来日していたので(いずれも体調不良で短いパフォーマンスでしたが)、生前のステージを体験できたひともいるでしょう。 1980年代の末、もういまから20年も前のことですが、僕は京都に住ん
先週のブログで、神戸ファッション美術館に現代美術作家・岡本光博が出品した『バッタもん』が、ルイヴィトン・ジャパンの抗議によって展覧会から、会期中にもかかわらず撤収されてしまった事件について書きましたが(せっかく作ったカタログも販売中止になったそう・・)、読者の方から「こんなこともあった!」と報告メールをいただいたので、それもここでお知らせしておきましょう。 メールしてくれたのは宮城県仙台市を拠点に活動する現代美術作家・タノタイガさん。木彫をベースとする作品を制作しているタノタイガさんは、2005〜2006年にかけて『モノグラムラインシリーズ』と題した、一連の作品を制作しています。これはルイヴィトンのうちでも、もっとも知られている「LV]の文字を組み合わせたモノグラムの商品群を、そのままそっくり木彫で作ってしまおうというもの。なんだか須田悦弘の冗談&皮肉版みたいな感じですが、しかし細部へのコ
昼間もひどいけど、夜ともなればさらに騒々しい若者に占拠され、オトナにはなかなか近寄りがたい最近の渋谷界隈。駅から青山方向に宮益坂をあがったすぐ裏手に、古びたスナック・ビルが隠れていることを知るひとは少ない。そのビルの3階、正確に言えば3階と4階のあいだの踊り場に入口がある、まこと知る人ぞ知る存在の店、それが<パブ・スコーネ>である。 「SKÅNE」と書いて「スコーネ」と読ませるこの店は、スウェーデン直送のチーズをつまみに、スウェーデンを代表する蒸留酒であるアクアヴィットを飲む、スウェーデンのスコーネ地方そのままの店。しかも店内のインテリアは完璧に北欧デザイン。しかもお酒を注いだり、チーズを削ってくれるのは北欧美人。しかも営業スタイルはカラオケ・スナック! 渋谷でスウェーデンでカラオケで、というワケのわからないミックスが、異様に居心地いい隠れ名店だ。 「なんでもシンプルで合理的なのが好きなの
先週のブログでお知らせしたとおり、こないだの日曜日、六甲アイランドの神戸ファッション美術館で、トークをやらせてもらいました。ウィルス攻撃にあったとかで、美術館公式サイトもブログも5月頭から全部閉鎖中(!)という異常事態にもかかわらず、過去最高という150名ものお客さんが来てくれました。どうもありがとう! そしてもちろん、前日の土曜日、福岡市美術館のトークに来てくださった方々も。 ところで今回、神戸の『ファッション奇譚』と銘打たれた展覧会。「服飾に属する危険な小選集」なる、ちょっとスキャンダラスなサブタイトルがついていますが、実はほんとにちょっとスキャンダラスな事件が起こってしまっていました。どこの地元メディアも、美術メディアもぜんぜん取り上げてませんが。 今回の展覧会は、過去から現代まで、ファッションにおけるエキセントリックな面をいろいろな角度から取り上げた、なかなか野心的なグループ展です
一部新聞や週刊誌などにも取り上げられて、知られるようになった『許されざる者』。クリント・イーストウッドの名作ではなくて、なんと福岡県警が暴力団追放のために自主制作した、啓発短編映画なんですね! 福岡といえば、いままで数々のヤクザ映画の舞台にもなった、血気盛んなお土地柄。なんとかせねばという福岡県警の意気込みが、いまから4年前の2006年、この啓発DVDの制作につながりました。報道によれば制作費は30万円。2ヶ月の期間をかけて、撮影から編集まですべて手作りでつくられたそう。出演者30人も、全員が現役の警察官と警察職員だとのこと。 4年前に制作されたときは、おもに市内の中学校、高校などで上映しようとしたらしいのですが、「あまりにリアルで刺激が強い」と敬遠され、あまり広まらなかったのだとか。こんなの見せられたら、組員の息子がイジメに遭うと、地元の武闘派・工藤會が市教育委員会に上映中止を申し入れた
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