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「ホス狂い」という言葉をご存知だろうか。 主に女性をあいてにする遊興施設であるホストクラブに通いつめ、何百万、何千万という大金を浪費して「ホスト遊び」に夢中になる女性たちを指す俗語だ。 そういった女性たちのなかには、違法な売春を行ってそのカネをホストに貢ぐ人物が少なくないことが知られており、社会問題化している。 ホス狂い ~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~(小学館新書) 作者:宇都宮直子 小学館 Amazon ホス狂い 作者:大泉りか 鉄人社 Amazon メイド喫茶で働いてお金貯めて整形してコスプレイヤーになってホス狂いしてAV女優になった話 hilia TALK 作者:高嶋 めいみ 主婦の友社 Amazon そうでなくても一般に「ホス狂い」は社会的逸脱として見られる行動であり、社会が彼女たちを見る目は冷たい。 もちろんインターネットでもそうで、ツイッターを検索すると、そのよう
ボタンをクリックするとこのブログを購読できます。よろしくお願いします。 ●はじめに――ちょっと地球をひっくり返してみませんか? ①法月綸太郎「カニバリズム小論」 ・同じ作家のオススメ短編集 ②麻耶雄嵩「遠くで瑠璃鳥の鳴く声が聞こえる」 ・同じ作家のオススメ短編集 ③乙一「華歌」 ・同じ作家のオススメ短編集 ④綾辻行人「どんどん橋、落ちた」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑤連城三紀彦「親愛なるエスくんへ」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑥川島誠「電話がなっている」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑦森博嗣「卒業文集」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑧山本周五郎「なんの花か薫る」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑨栗本薫「コギト」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑩鮎川哲也「達也が嗤う」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑪ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「男たちの知らない女」 ・同じ作家のオススメ短編集 ⑫シオド
【プロフィール】 【はじめに】 ①此ノ木よしる『進撃のえろ子さん~変なお姉さんは男子高生と仲良くなりたい~』 ②榎本あかまる『この会社に好きな人がいます』 ③もんでんあきこ『エロスの種子』 ④金田一蓮十郎『ゆうべはお楽しみでしたね』 ⑤小西明日翔『来世は他人がいい』 ⑥ハナツカシオリ『焼いてるふたり』 ⑦ふじた『ヲタクに恋は難しい』 ⑧志茂『部長と社畜の恋はもどかしい』 ⑨山田金鉄『あせとせっけん』 ⑩山田金鉄『かさねと昴』 ⑪浜田咲良『金曜日はアトリエで』 ⑫310『アラサーだけど、初恋です。』 ⑬糸川一成『今日もベランダで』 ⑭雨隠ギド『おとなりに銀河』 ⑮若木民喜『結婚するって、ほんとうですか』 ⑯ましろ『山田くんとLv999の恋をする』 ⑰秋★枝『恋は光』 ⑱ma2『私たちが恋する理由』 ⑲板倉梓『瓜を破る』 ⑳夜宵草『ReLIFE』 【プロフィール】 プロライターの海燕です。書評
このようなツイートを見かけた。 「強い女」概念、しばしば「わがまま」とか「男をいじめたりアゴでこき使う」になりがちで、まあある種の願望の発露なんだろうけど、「え~、君にとっての『強い』ってそういうことなんだ…」と思ってしまう。 それってサル山のボス的な強さであり、「有害な男らしさ」に属するものじゃないかなぁ。 — 新納 (@niinow_g) 2023年10月22日 ここから「強い女」を巡るやり取りが色々と広まっていったようだ。たとえばこういう話もある。 「強い女」、個人的には、正直なところ草薙素子とかエボシ様とかそこらへんの偉大なる前例が良すぎて、そこから発展させるのがすごく難しく感じる次第です(宮崎駿とか富野由悠季とか押井守とか庵野秀明とか幾原邦彦とかが描いてきた「強い女」の引力が強すぎるんだ! 助けてくれ!!!!) — 籠原スナヲ (@suna_kago) 2023年10月23日 「
こんなツイートを見かけたので、ちょっと言及してみた。 そういえば、どうせ魔法も神も居るファンタジー異世界なら、そもそも大地が丸くないとか、宇宙とそこに浮かぶ惑星上じゃないとか、そういう異世界を見たい気もするんだけど、近年のRPGとかそれ風世界作品とかでそういうのは不思議と見ない気もしますね… — 理間 高広(COMITIA145 E35a"Strangeness") (@Rima_tk) 2023年10月3日 近年の日本の作品ではないけれど、テリー・プラチェットの『ディスクワールド』シリーズは「巨大な亀の背中に4頭の巨大な象に支えられ、ゆっくり回転する「円盤」」の上が舞台ですね。あと、タニス・リーの『平たい地球』は「地球が平らかなりし頃」の物語です。 https://t.co/w3JCwAajNP — 海燕 (@kaien) 2023年10月4日 ツイートしたあと思い出したのだが、ひかわ玲
ことばの刃は、ときとして人を刺し殺す。 『羽生結弦 孤高の原動力』(AERA特別編集) 朝日新聞出版 Amazon トップスケーターの羽生結弦さんが離婚を発表した。 ご報告がございます。 これからも前を向いて進んでいきます。 宜しくお願いいたします。 pic.twitter.com/fq3IGszBM8 — 羽生結弦official_Staff 公式 (@YUZURUofficial_) 2023年11月17日 結婚発表直後の離婚であるが、その理由はマスコミのつきまといや不審者のストーキング行為、また(おそらくはネットの匿名での)誹謗中傷にあるという。 現在、様々なメディア媒体で、一般人であるお相手、そのご親族や関係者の方々に対して、そして私の親族、関係者に対しても誹謗中傷やストーカー行為、許可のない取材や報道がなされています。生活空間においても、不審な車や人物に徘徊されることや、突然声を
【プロフィール】 【本文】 【プロフィール】 プロライターの海燕です。書評や映画評などを掲載しています。 現在、マルハン東日本さまのウェブサイト「ヲトナ基地」で定期的に記事を掲載中。 お仕事の依頼、個人的な連絡などは以下のページからどうぞ。 それでは、記事をお読みください。 【本文】 しばらくまえの話になるが、「最近のラノベ界隈が気持ち悪い」と題する匿名ダイアリーの記事が話題になった。 タイトルでは「ラノベ(ライトノベル)」と書かれているが、じっさいに読んでみると、いわゆる「なろう小説」の話であることがわかる。 異世界に転生して冒険したりハーレムを作ったり、あるいは「聖女」になったり「悪役令嬢」になったりする話のことだ。この匿名記事の書き手(いわゆる「増田」)はそういった作品が気持ち悪くてしかたない、というのである。 異世界迷宮でハーレムを(1) (角川コミックス・エース) 作者:氷樹 一
Twitterで以下のように呟いたところ、ちょっと反響があった。 でも「「厭世的で皮肉屋で怠惰に見えるが実はすごい才能をもっており、不本意ながら大活躍してしまい周囲にチヤホヤされる」キャラ」を作ってもヤン・ウェンリーにはならないんですよね。ヤンの本質的魅力ってどこにあるのかというところはぼくはいまもはっきり言語化できません。 https://t.co/IBTFekZg4A — 海燕 (@kaien) 2023年10月9日 銀河英雄伝説(1) 黎明篇 創元SF文庫/田中芳樹(著者) ノーブランド品 Amazon 銀河英雄伝説〈1〉黎明篇 (徳間文庫) 作者:田中 芳樹 徳間書店 Amazon 銀河英雄伝説〈VOL.1〉黎明篇(上) (徳間デュアル文庫) 作者:田中 芳樹 徳間書店 Amazon 以下、このように続く。 ヤンの能力は「チート」ではないけれど「才能」ともちょっと違う気がする。「才
「上の世代のオタク差別意識が異常に感じる」という匿名記事が以前、話題になった。 上の世代と言っても私も今年30歳になったばかりなんだけど、はてなとかツイッター見てると40~60代と思しき人のオタク差別意識見るとビックリする。 オタクを人間扱いしてなかったり、どういう罵倒をしてもいいと思ってたり、最近はオタクが統一協会と関わりがあると言い出したり・・・・・正気になって、オタクってただの趣味だよ?世の中のオタクはただ同じ趣味なだけの他人だよ? https://anond.hatelabo.jp/20211003125552 ぼくは「差別される側」であるわけだが、この気持ちはよくわかる。 かつて、「オタク差別」は「あたりまえ」の感情だった。 オタクとは異常者であり、犯罪者予備軍である。そのような「異常」な偏見に満ちた意見が、ごくふつうに語られていたのだ。 ぼくはその時代をじっさいに生きて来たから
ハヤカワの傑作小説を紹介するよ。 ●海外SF グレッグ・イーガン『順列都市(上)(下)』 グレッグ・イーガン『ディアスポラ』 グレッグ・イーガン『しあわせの理由』 アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)(下)』 オーソン・スコット・カード『エンダーのゲーム』 ウィリアム・ギブスン『クローム襲撃』 アーサー・C・クラーク『宇宙のランデヴー』 アーサー・C・クラーク『太陽系最後の日』 ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ(上)(下)』 コードウェイナー・スミス『スキャナーに生きがいはない』 ダン・シモンズ『ハイペリオン』 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 テッド・チャン『あなたの人生の物語』 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』 レイ・ブラッドベリ『火星年代記』 グレッグ・ベア『鏖戦/
「暴力」について考えてみたい。 というのも、幸村誠の歴史冒険マンガ『ヴィンランド・サガ』がクライマックスに到達しているからだ。 ヴィンランド・サガ(27) (アフタヌーンコミックス) 作者:幸村誠 講談社 Amazon 戦争を嫌い、平和を求めるこの物語の主人公トルフィンの物語はかつて夢見た理想の地「ヴィンランド(アメリカ大陸)」に到達し、そこで小さな村を作り出すに至っている。 しかし、しだいにそこにも戦乱の影が忍び寄ってくる。はたしてすべての暴力を否定するトルフィンたちは戦争を止めることができるのか――と、考えるだけで胃が痛くなるような展開が続いているのである。 それではなぜ胃が痛くなるかといえば、そもそも「すべての暴力を否定する」ことはどうにも不可能なのではないかと思えるからにほかならない。 たしかに、暴力は悪だろう。殊に弱者に対する暴力は絶対に否定されるべきものでもあるだろう。 しかし
『萌えの研究』を書いた大泉実成(id:oizumi-m)はそれに続く『オタクとは何か?』の第12回で次のように書いている。 オタクとは何か? 作者:大泉 実成 草思社 Amazon 僕は前作の『萌えの研究』の中で、どうしても理解できない作品として『マリア様がみてる』をあげた。自分の目の前に立ちはだかる最大の壁、といった言い方もした。 なぜかといえば、このミッション系お嬢様学校の、「姉妹(スール)」と呼ばれる女子高生同士の恋愛の姿の、その何をどう楽しんでいいかがさっぱりわからなかったからである。そこには僕の入り込む余地がまるでないのだ。なぜなら、そこには自分の自我を託せるような男性主体が出てこないからである。 マリア様がみてる1 (集英社コバルト文庫) 作者:今野緒雪 集英社 Amazon 今日は、ここらへんの話をすることにしよう。題して「オタクは女の子になりたがっている?」。 大泉は、上記
ただ、これ、読み終えたからいえるのですが、なろう小説はあまり関係ないんじゃないかなあ。 最初から最後まで舞台は現代社会だし、「転生」という概念をキーに物語が進むことはたしかであるものの、逆にいうとそれだけのことでしかなく、「なろう小説らしさ」はほとんどない。 なろう的なものからインスパイアされていることはたしかだとしても、とくになろうに対するパロディ性とか批評性も感じない。いちおうネタバレを避けたうえでいうなら、SFとしてもそこまですごい作品ではないと思う。 ただ、それなら箸にも棒にも掛からぬ駄作なのかといえばそこまででもない感じではあるので、ぼくの感想は「うーん、普通?」というどうにも煮え切らないものになってしまう。 しょうじき、「読む前は見下していたけれど、思わぬ傑作でした!」とか「あまりのつまらなさに大草原不可避wwwwwwwwww」みたいなことを書けたら良いと思うのだが、どうもそう
中国のBL事情がわかってめちゃくちゃ興味深いと同時に、どんなに規制されてもありとあらゆる手でBLを読もう、観よう、聴こうとする中華腐女子の皆さんの熱意に感動さえ覚える一冊なのであった。すごいなあ。 さて、日本の影響で「耽美(ダンメイ)」と呼ばれる中国のボーイズ・ラブだが、基本的に同性愛を認めない共産党政権の統治下にある中国では、その存在そのものが認められていない(ただし、中国は歴史的にはわりあい同性愛に対して寛容であるともいう。ただ、もちろん、それは「男性」同性愛の話であって、女性の場合はどうなのかわからない)。 しかし、その厳重な規制のもとでも現実にBLは描かれ、さらにはヒットしているのである。この本では、中国の作家たちがどうやって規制をくぐり抜けているのか、それが具体的な例を出しながらくわしく説明されている。 結論からいうと、恋愛や性愛の描写をどうにかごまかしながら出しているらしい。見
先日の『情熱大陸』の一場面が話題になっている。 このテレビ番組は毎回、各界の著名人の「情熱的な」人生のひとコマを切り取って見せてくれるのだが、前回、取り上げられたのは人気テレビゲーム『ファイナルファンタジー16』の開発者・吉田直樹だった。 FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16) - PS5 スクウェア・エニックス Amazon 話題になったのは、吉田が『FF16』の開発途中でかれ個人に対する誹謗中傷を確認している場面だ。 「見たことも会ったことも話したこともない人たちから罵声を浴びつづけているんですよ」とかれはいう。 そして、そういった「罵声」や「中傷」の大半は日本からのものだというナレーションが入る。 これに関連して、日本のインターネットでの誹謗中傷の激しさについてさまざまな議論が巻き起こった。 日本の誹謗中傷はひどすぎるとか、いや、海外のほうがもっとひどいとか
〈アニメ療法〉をご存知でしょうか? ちょっと目にした耳にしたことがあるという方はいらっしゃるかもしれませんが、くわしく知っているという人は少ないでしょう。 それは精神医療の臨床にアニメをもちいる方法論のことで(この場合「アニメ」とは日本製のアニメやマンガ、ゲームなど広い範囲を指す)、イタリア人精神科医のパントー・フランチェスコさんという人物が考案しました。 アニメを精神的な病気の治療に使うというと、いかにも奇異な、いってしまえば色物的な印象を受けてしまうところですが、じっさいには医療的な伝統にのっとったものであり、また、それなりのエビデンスも蓄積されてきているのだとか。 となると、一アニメオタクとして非常に気になるわけで、そのアニメ療法の「理論編」の『アニメ療法』(968円)と、「実践編」であるところの『実践アニメ療法』(3740円!)を、先日、Amazonで、断崖から飛び降りるような気持
テレビアニメ『無職転生』の第二期を見ている。 第一期はハイレベルの作画と何とも「わかっている」演出で「小説家になろう」発の異世界転生もののなかでも傑作と名高かったが、この第二期も面白い。 いや、フィッツ先輩、最初から正体を明かしてしまうのね。まあ、原作でもバレバレだったけれど……。 第0話 守護術師フィッツ 内山夕実 Amazon とにかくいわゆる「なろうアニメ」のなかでは出色の出来なので、原作を読んでおられない方もぜひ見てみてほしい。オススメ。 原作もマンガも読んでいるので一応は筋立てを知っているのだが、それにしても不思議なストーリーだよなあと思うのだ。 長いあいだ「なろう」でランキングトップを維持していたくらいで面白いことはまちがいないのだが、この作品の魅力がどこにあるのか、明確に言語化することはむずかしい。 ただ、何といっても興味深いのは主人公であるルーデウスのキャラクターだろう。ル
誰だってちょっと落ちこぼれ スヌーピーたちに学ぶ知恵 作者:河合隼雄 講談社 Amazon この本はタイトルからわかるように、スヌーピーの登場する漫画『ピーナッツ』を通じて人生の知恵を学ぼう、という趣旨です。 『ピーナッツ』は実に奥深い漫画で、そこで見られる悩みの深さはちょっとアメリカ人が書いているとは信じがたいくらい(偏見)。 アポロ10号が建造されたとき、司令船と月面着陸船が「チャーリー・ブラウン」および「スヌーピー」と名づけられたことをご存知の方も多いでしょう。アメリカ人にとってはそれくらいメジャーな作品なのです。 さて、この作品にはライナスという有名な少年が登場します。非常に頭がいい少年で、たぶん『ピーナッツ』の全登場人物中、いちばん聡明かもしれない。聖書をすらすらと暗唱したり、哲学的な警句を吐いたりと、その非凡な知性は行動にあらわれます。 ところが、その反面、幼い頃からもっている
①「オタク文化と宗教のアフィニティ(親和性)」 たとえば、そう、何気なく眺めていた報道番組で、何の罪もない子供が亡くなる事件が放送されていたとき。ふと、何ともいえず哀しく、薄ら寒い気持ちにならないでしょうか。 その子は大人から虐待を受けていたのかもしれませんし、純粋に不幸な事故で落命しただけかもしれません。いずれにしろ、かれ/彼女は、一見して平和で安全なこの社会に開いた「虚無の穴」へ墜落してしまったのです。 「虚無」は社会の至るところに穴を開けています。そのとき、あなたも、その報道を通しその深淵をほんの少しのぞき込んだといって良いでしょう。 戦慄の体験。 とはいえ、あなたはあまり長い間その記憶を引きずらないに違いありません。その出来事はきわめて痛ましいけれど、あくまで見知らぬ子供のことに過ぎませんし、いつまでも気にかけるには人生はあまりに忙しないこともたしか。ひとまずは、そういえるでしょう
【日本のアニメやマンガはなぜこんなに元気なのか?】 【ひと握りの傑作は「泥中之蓮」と考える】 【日本のアニメやマンガはなぜこんなに元気なのか?】 「きれいはきたない、きたないはきれい。」シェイクスピア『マクベス』 マクベス(新潮文庫) 作者:ウィリアム・シェイクスピア 新潮社 Amazon 『アニメビジネス完全ガイド 制作委員会は悪なのか?』という本を読んだ。 製作委員会は悪なのか? アニメビジネス完全ガイド (星海社 e-SHINSHO) 作者:増田弘道 講談社 Amazon 「第四次アニメブーム」を迎えてたくさんのアニメ作品が制作された2018年に刊行された一冊で、世間でいわれるアニメ業界に対する誤解を否定したりもしつつ、その時点での業界のさまざまな長所や短所を検証している。 面白いのは、2024年の視点から著者の業界に関する予想をチェックできることだ。この時点では、コロナウィルス・パ
はたして若い男性を主要なターゲットとする「少年漫画」は「女性読者」を励まし勇気づけることが可能なのでしょうか? 『少年ジャンプ』の「ジェンダー描写」について、『鬼滅の刃』を中心に語りたいと思います。 鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:吾峠呼世晴 集英社 Amazon 『少年ジャンプ』とジェンダー。 『鬼滅の刃』と『バガボンド』。 「強さへのフェティシズム」の魅力と限界。 『鬼滅の刃』の「ガールズエンパワーメント」。 甘露寺蜜璃の過剰なガーリッシュ。 「欧米型のフェミニズム」とは異質な方法論。 『ONE PIECE FILM RED』という「女の子の物語」。 配信サイト一覧 お仕事のお願い 自作の宣伝 『少年ジャンプ』とジェンダー。 『ジャンプ』はしばしば特にフェミニズムの視点から、「ジェンダーの描写に問題がある」と指摘されてきました。 その指摘の成否については意見が
なぜ、わたしたちは人を差別するのでしょうか? ネットの俗語に「かわいそうランキング」という言葉があります。 元々は「白饅頭」こと御田寺圭さんがネットで提唱した言葉で、かれの著書『矛盾社会序説』でもその概念が説明されています。 矛盾社会序説 作者:御田寺圭 イースト・プレス Amazon つまり、この社会における弱者にはわりあいに「かわいそう」と感じられる人とそうでない人がいて、人はつい「かわいそう」と感じられる人(かわいそうランキングの高い人)にだけ同情してしまうという話です。 それはこの社会に「共感困難な弱者」がいるという話へつながり、そこからいわゆる「弱者男性論」が展開していきます。 世の中には色々な弱者がいるが、「かわいそうランキング」が上の弱者たちは援助や救済を受けることができる。その意味で「かわいそうランキング」が下の弱者男性たちこそがほんとうの弱者だというわけです。 御田寺さん
◆無料で読める「ピッコマ」のマンガを楽しもう。 「ピッコマ」をご存知でしょうか。 あなたがマンガ好きならきっと名前くらいは知っていることでしょう。何百万人も会員がいる大手マンガアプリです。 日本のマンガも読めるのですが、ぼくのオススメは韓国のマンガ。 あまり大きく作者の名前が書かれていないし、題材も異世界ファンタジーだったりするので、うっかり「これ、日本のマンガなのかな?」と思いかねないところなのですが、掲載作品の多くは韓国のマンガを翻訳したものであるようです。 そのクオリティはおおむね高く、内容も統一感があるので(悪くいえばマンネリですが)、その系統のものを好きな人は安心して読めます。 また、「待てば0円」というシステムがあり、1話につき23時間待つと無料で続きを読むことができます。 つまり、毎日更新されるブログを読むような感覚で読み進められるわけで、おそらくいくつものマンガを並行して無
KADOKAWAの傑作小説を紹介してみる。 ●時代小説 冲方丁『天地明察』 山田風太郎『柳生忍法帖』 山田風太郎『魔界転生』 山田風太郎『八犬伝』 ●SF 池上永一『シャングリ・ラ』 小松左京『復活の日』 小松左京『日本沈没』 小松左京『果しなき流れの果に』 半村良『太陽の世界』 光瀬龍『宇宙年代記【合本版】』 森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』 山田正紀『神狩り』 山本弘『神は沈黙せず(上)(下)』 ●ミステリ 青崎有吾『地雷グリコ』 赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』 綾辻行人『Anotehr』 綾辻行人『殺人鬼』 綾辻行人『霧越邸殺人事件』 乙一『GOTH』 馳星周『不夜城』 初野晴『ハルチカシリーズ』 横溝正史『本陣殺人事件』 横溝正史『獄門島』 米澤穂信『古典部シリーズ』 ●ファンタジー 荻原規子『西の善き魔女』 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン『【合本版】ドラゴンラン
話題の一冊『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を読んでいる。 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット) 作者:小野寺 拓也,田野 大輔 岩波書店 Amazon 「ナチスは「良いこと」もした」という俗論を専門家の視点から批判的に検証した本で、とても面白いし、勉強になる。 本書では「ナチスは「良いこと」もした」という一種のまぜっかえし的な理屈が取り上げられ、それが歴史学的には端的に「まちがい」といってしまえることを詳細に検証していく。 そうはいってもナチスも「良いこと」もしているのではないかと漠然と考えているような人にとっては刺激的な内容といえるだろう。 歴史一般やいわゆる「歴史修正主義(リヴィジョニズム)」について知りたい方には文句なしにオススメできる一冊だ。 もっとも、「文句なし」というのは少し過言であるかもしれない。 ぼくはナチスやドイツ史について何ら専門的な知
いまに始まったことではないが、大谷翔平が大活躍だ。 9月29日現在で一試合を残してホームラン50本、盗塁50回の歴史的な記録を達成、なおかつ三冠王の可能性もあるという途方もない数字を記録していて、MVPの呼び声も高い。 これで「本業」はピッチャーだというのだから、とんでもないヤツとしかいいようがない。世界野球史上、否、あらゆるスポーツの歴史上でも指折りの才能といっても過言ではないだろう。 さて、そんな大谷の偉業は、しばしば「マンガ」と比較されることがある。ワールド・ベースボール・クラシックのあまりにもドラマティックな活躍もあって、その人生を仮にマンガにしたら成立しないというのだ。 「大谷はマンガを超えた」とか「フィクションを超えてしまった」という人も、プロの漫画家を含めてたくさんいる。あまりにもすごすぎて仮にマンガに描いたらリアリティを感じられないということだろう。 https://new
よくいわれることだが、ここ数年、Twitterなどのソーシャルメディアにおける言論の過激化が凄まじい勢いで加熱しているように見える。 Twitterなんていつでもそういうものだろ、と思われるかもしれないが、10年前はたしかにもう少し落ち着いた場所だったはずだ。 それが、いつのまにか日本の分裂と対立を象徴するような過激な言論空間になってしまった。 もはやTwitterにおけるツイートが単なる「つぶやき」にしか過ぎないことなど、だれも記憶していないようだ。 その結果、タイムラインを見ているとココロが痛むのでほとんど利用しなくなってしまったのだが、たまにそこを見ているとひとつ思うことがある。 フィクションはしょせん人の心を涵養しないのだろうか、ということだ。もっとはっきりいってしまうなら、多数の素晴らしい内容のフィクションに日夜触れているはずのオタクや読書人が、まったく素晴らしい人間になっていな
このブログを読むような人にはいまさら説明をする必要もないかもしれないが、『Fate』シリーズに登場する剣の英霊セイバーことアルトリア・ペンドラゴンはとても人気のあるキャラクターだ。 Fate/Grand Order セイバー/アルトリア・ペンドラゴン[第二再臨] 1/4スケール PVC製 塗装済み完成品フィギュア フリーイング(FREEing) Amazon 彼女の正体は少女でありながら男性としてアーサー王と呼ばれた人物であり、『Fate/Zero』、『Fate/Grand Order』などの姉妹編にもくり返し登場すること、また、彼女からさまざまな「アルトリア顔」のキャラクターが派生していったことからもその人気の高さはわかることだろう。 劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編 Wandering; Agateram 宮野真守 Amazon Fate/Z
今日も今日とてTwitterを見ていたら(何、X? 知らないな)、なぜか水野良の『ロードス島戦記』がトレンド入りしていました。どうやらブックウォーカーでセールをやっているおかげらしい。 あるいはこのツイートが原因なのかもしれないけれど、よくわからない。 このキャラの名前と、登場するアニメの名前を知っている方いるかなぁ。 pic.twitter.com/eQTGYdLa1G — 賢龍帝 (@koutei007) 2023年8月2日 いまとなってはファンタジー小説の古典というか、「過去の名作」の位置づけで、あらたに読もうという人もそれほど多くはないと思うけれど、ぼくにとっては青春の一作です。 ぼくがこのシリーズを追いかけていたのはじつに30年以上前、小学生(!)の頃ですが、いまでもパーン、ディードリット、ギム、エト、スレイン、ウッド・チャックらのことは良く記憶していますね。 まあ、それだけ印象
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