アプリなら、コメントが見やすい!
トップへ戻る
なごみ系Wikipedia
wedge.ismedia.jp
1964年生まれ。東京大学教養学部卒業後、日本テレビに入社。科学技術庁、気象庁などの担当記者として科学報道に関わる。97年に退社し、独立。著書に、科学ジャーナリスト賞を受賞した『我々はなぜ我々だけなのか』(講談社ブルーバックス)、『ドードーをめぐる堂々めぐり』(岩波書店)、『「色のふしぎ」と不思議な社会』(筑摩書房)など多数。 2021年11月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、13年ぶりとなる宇宙飛行士候補の募集を開始した。初めて「文系の応募」を可能にし、女性の応募を促すなど、多様な人材を確保する姿勢を前面に打ち出して、前回、08年の4倍以上、4127人の応募を得た。 折しも宇宙が多くの人々に開かれつつある時代だ。米国では、民間宇宙企業が提供する旅行で、90歳以上の高齢者、障害があるがんサバイバーなどが宇宙飛行を経験した。欧州宇宙機関(ESA)では、21年、障害のある人を職業宇宙飛行士
東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』、『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。
昨今、持続可能な開発目標「SDGs」という言葉を新聞やテレビなどのメディア媒体で見ない日はない。実際、日本の全国紙、地方紙、業界紙などを網羅している新聞記事データベース「ELNET」で検索してみたところ、2021年に「SDGs」というキーワードでヒットした記事は2万3990件に上る。SDGsや環境への配慮を謳った製品やエコマークを付した製品をスーパーで探すことは、困難なことではない。 ところが、水産物になると話は別である。エコマークのついた水産物を見つけることができるスーパーのほうが、むしろ少ないだろう。こうした海のエコマークのなかでも最も有力で世界各国で製品が流通しているのが「MSC」という認証であるが、今月発表されたMSCが世界規模で実施した調査結果によると、全世界での認知度は2ポイント増の48%であった一方、日本での認知度は15%に過ぎず、しかも2年前の調査と比べて4ポイント減少して
中国の政治、経済にとって最重要課題である雇用の確保に黄信号が灯っている。特に若年層の失業率は18.4%と、調査開始以来最悪となった。習近平総書記が続投を狙う党大会が秋に控えるなか、中国は厳しい状況に追い込まれている。 中国にとって雇用確保は最大の使命 中国経済の減速が続いている。2021年全年の経済成長率は8.1%という高成長を記録したものの、四半期別で見ると第3四半期は4.9%、第4四半期は4%と急ブレーキがかかった。今年第1四半期は4.9%と回復傾向を見せたが、そこで直面したのがオミクロン株の流行だ。 上海市のロックダウンは3月末から2カ月以上にわたり続いた。現時点でも感染ゼロは達成できておらず、日常的なPCR検査の義務化や一部地区の封鎖など、日常生活を取り戻したとは言いがたい。上海市以外の地域でも感染が散発しており、強力な感染対策は経済低迷につながっている。 中国政府は今年の成長目標
米アカデミー賞作品『ザ・コーヴ』(入り江の意味)が批判的に描き、世界中から活動家が集まるようになった和歌山県太地町の反イルカ漁キャンペーンの実態が近年、大きく様変わりしている。イルカは「知的で人懐っこく可愛らしい」動物だからこそ、特別に保護すべきだと主張していたタイプの者たちが消え、数や可愛さに関係なく、全ての動物の命を救おうとする「動物の権利」(アニマルライツ)を訴える者たちが現場に集結するようになっている。
東京電力福島第一原子力発電所で処理水を海洋放出する計画について、原子力規制委員会が審査書案を了承した。意見募集(パブリックコメント)を実施した後、正式に認可する見通しだが、地元の漁業関係者の反対は強い。 背景には、放射性物質は「危険」という風評被害と、東電・政府への不信感がある。なぜ人々の不安が消えないのか紐解いていく。 日常的に浴びている量よりはるかに低い数値 福島第一原発では核燃料が溶解したデブリの発熱が続き、冷却している。そこに1日100トンを超える雨水や地下水が流れ込み、高濃度の放射性物質で汚染した水が増えている。これを汲みだして、多核種除去設備(ALPS)で処理してほとんどの放射性物質を除去している。 汚染水をALPSで処理するとルテニウムやヨウ素などほとんどの放射性物質を基準値以下に減らすことができるが、トリチウムだけは除去できない。トリチウムは放射性の水素で、大気成分と宇宙線
ロシアの欧州向け天然ガス供給抑制により、引き起こされた欧州エネルギー危機はエネルギー安全保障の状況を大きく変えた。欧州諸国は今、脱ロシア産化石燃料を急いでいる。欧州委員会(EC)は、既に8月からロシア石炭の禁輸を決め、原油・石油製品についても年内の禁輸を提案しているが、まだ正式決定はしていない。 短期間での脱ロシアが難しい天然ガスについては、ロシアからの輸入量を削減しつつ米国からの液化天然ガス(LNG)などへ供給源を広げているが、エネルギー価格の上昇を招き、欧州諸国は大きなインフレに見舞われている。今は欧州ほどの物価上昇率になっていない日本も、やがて欧州並みの7、8%のインフレ率になるかもしれない。 依存度が高い天然ガスを含め化石燃料の脱ロシアが欧州連合(EU)の大きな課題だが、ECは脱ロシアを2027年までに実現する具体案を5月18日に発表した。脱化石燃料を図り、50年温室効果ガス実質排
東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程修了。在学中に米イェール大学、ロシア人文大学、中国北京大学に留学。その後、日本学術振興会海外特別研究員、アジア経済研究所研究員を経て、21年より現職。専門は中国・旧ソ連研究。 習近平政権が発足して10年が経とうとしている。この間、中国において漢族以外の少数民族への引き締めは格段に強まった。とりわけ新疆ウイグル自治区では「反テロ人民戦争」のスローガンのもと、ウイグル族をはじめとする少数民族に対する監視が強化の一途を辿った。本来であれば「テロリスト」とは関係のない人までが、国外渡航経験がある、産児制限に違反したなどの理由で、「職業技能教育訓練センター」と呼ばれる施設に収容され、教育による〝改造〟を受けることとなった。 これには、ウイグル族、カザフ族など、新疆に住むテュルク系ムスリムが、旧ソ連、中東イスラーム世界と深いつながりを有しており、必ずし
「危ない食品添加物一覧」といった特集記事がまた週刊誌はじめメディアをにぎやかしている。これは「無添加」表示を制限する消費者庁ガイドラインへの反発だが、こうした特集は昔から、そしてこれからも繰り返され続ける。なぜなら、人が動物としての本能で「危険である」という情報を求めているからだ。 事故、犯罪、病気……。私たちはあらゆる危険に取り囲まれて暮らしている。そして、だれもがそんな危険に出会いたくないと願っている。その願望は生存本能から生まれ、すべての人が持つ。動物も同じで、ゼロリスク願望を持たない動物は、危険から逃れる努力をしないため絶滅する。 つまり、危険に出会わないため、どこにどんな危険があるのかを知ることが必要だ。そのために私たちは「危険情報」は絶対に聞き逃さない。他方、「安全情報」には無関心だ。聞き逃しても何の危険もないからである。 これが、「危ない食品添加物一覧」という特集が展開される
筆者は生協などによく講演を頼まれるのですが、除草剤グリホサートとネオニコチノイド系殺虫剤は、質問が相次ぐ2大農薬。「発がん性が……」「はちが死ぬ……」「諸外国はみんな禁止になっているのに、日本は残留基準値を上げた……」などと質問責め。残念なことに間違った情報も広がっています。 そこで、二つの農薬について解説しましょう。今回は、「発がん性疑惑農薬」などと喧伝されるグリホサートをめぐる科学的事情と海外の状況を詳しくお伝えします。非常に複雑です。でも、これが科学なのです。 登録されてから30年以上経過した除草剤 グリホサートは、米国モンサント社が開発し、日本では1980年に農薬として登録された除草剤の成分名称です。非選択性、つまりあらゆる作物、雑草の区別なく枯らす作用を持ちます。「グリホサートはベトナム戦争で使われた枯葉剤だ」という情報がネットにはありますが、これは荒唐無稽。グリホサートは枯葉剤
問題が明るみとなったのち、大間漁協は6~9月分として計14トンの未報告分を追加報告しているが 、露見したヤミ漁獲は氷山の一角ではないかとも言われており、全容解明には至っていない。漁獲量の虚偽報告は漁業法第193条により「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑罰が規定されているが、今のところ、この問題で誰も漁業法違反に問われてはいない。大間のマグロを取り扱った回転寿司「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIESは、漁獲枠に沿ったものか確認が取れなかったとして謝罪に追い込まれた 。 漁業協同組合の全国団体、「JF全漁連」の代表理事会長が同じく会長を務める「JFしまね」では、海上保安庁が認知したアワビやサザエの密漁が2017年から21年までの5年間で計85件、103人の密漁を認知したにもかかわらず、何の罪にも問われなかったという問題も明るみとなっている 。「サザエ1個」と
ウクライナへの侵略により、欧米や日本から厳しい経済制裁を科されて暴落したロシアの通貨ルーブルが急回復している。プーチン大統領は「ロシアにパニックを起こそうとした欧米の制裁は失敗した」と豪語するが、ルーブルは制裁への対抗策や輸入の減少で無理やり上昇が〝演出〟されているのが実態だ。プーチン政権は表面上の経済不安は抑え込んでいるものの、ソ連崩壊以後で最悪レベルの国内総生産(GDP)の落ち込みや失業者の急増などが見込まれており、ロシア経済はかつてない低迷に陥りつつある。 「ロシアの市場にパニックを引き起こし、銀行システムを破壊し、物資の急減を狙った経済制裁は明らかに失敗した」「ロシアは前例がない圧力に耐えつつ、安定を維持している」。 プーチン大統領は4月中旬、経済政策協議の場でこう断じた。その根拠として示したのが、通貨ルーブルの回復だった。 事実、ルーブルは急回復している。侵攻開始直前に1ドル=8
1963年生まれ。89年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーの科学ジャーナリストに。主な著書は『踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓』(家の光協会)、『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』(日本評論社)、『効かない健康食品 危ない天然・自然』(光文社新書)など。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(同)で科学ジャーナリスト賞受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。(記事の内容は、所属する組織の見解を示すものではなく、ジャーナリスト個人としての意見に基づきます) 台湾で、日本のいちごが相次いで残留基準超過となり、輸入差し止めとなっています。台湾の通信社の記事が日本のyahooニュースで報じられると、「日本は残留基準値が世界一甘い」「農林水産省が
インドが自衛隊機の着陸を拒否した。日本政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請を受けて、ウクライナ難民のための毛布などの人道支援物資を、備蓄倉庫があるインドのムンバイとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイから、自衛隊機を使って、ポーランドとルーマニアに運ぶ計画をたてていた。 インドは、外務省レベルで一旦了承したものの、その後、自衛隊機の着陸を拒否し、民間機で運ぶことを求めてきた。自衛隊機が上空を通過することは許可するとのことだったが、着陸して積み込むことは許可しなかったのである。 本来なら、自衛隊機がインドに着陸して、人道支援物資を運ぶことには安全保障上の利点がある。平時から自衛隊とインド軍との間で、こうした協力関係が日常化すれば、手続きなどに慣れ、有事でもスムーズに支援しやすくなる。印中国境で、インドと中国が戦うことになれば、インドを支援する物資を、自衛隊機がインドに着陸して供
ロシアによるウクライナ侵攻が始まり2カ月ほどが過ぎようとしている。何と言ってもロシアは2020年時点で世界の石油輸出の11.4%(米国、サウジアラビアに次ぐ第3位)、ガス輸出の25.3%(世界最大)を占める大資源輸出国であるため、侵攻による経済制裁の一環でロシア産資源の禁輸措置が広がる思惑から、石油・ガスはもちろん石炭まで価格が急騰することとなった。 化石燃料の急騰を受け、わが国では「化石燃料に依存していると、こうした地政学的な危機によってエネルギーの安定供給が脅かされる。国内自給できる再エネ導入が足りないのが問題で、一層再エネの導入スピードを加速するべき」というような主張をする人たちがいる。実に短絡的な視点であり、かえってわが国のエネルギー安定供給と経済性を危うくする暴論である。以下、反論していこう。 TV番組が「TVを消して」と呼びかけ 「再エネ導入の加速を」という主張は今年3月22日
前回「人権よりも自治体の縄張りが優先される生活保護制度」は、生活保護の現場で自治体の都合が優先され、人権が軽視される現実をお伝えした。問題はなぜ起きるのか、どうすれば改善できるのかを考えてみたい。 社会のルールを守らない人を救う必要はあるのか なぜ、自治体は住居喪失者に差別的な対応を取るのか。その本音に迫るのは簡単なことではない。 自治体は、公式には差別的な対応を取っていることを認めない。それが社会的批判を招き、ひいては自分たちの身を危険にさらすことを知っているからである。関係者も口が重いので、メディアや有識者会議でその実態が伝えられることも少ない。研究の蓄積もない。こうしたなかで、確定的なことをいうのは難しい。 だから、ここから話すのは、あくまで筆者の個人的体験から導き出された見解である。約20年の間、行政職員として生活保護の実態をみてきた。そのなかで直接的に、あるいは婉曲的に「社会のル
1983年に読売新聞社入社。93年から防衛問題担当。民間人として初めて防衛大学校総合安全保障研究科(修士課程)修了。解説部長、編集委員などを経て、2016年4月から現職。 手元に「キエフ 危機と平穏」という見出しが付けられた2月15日の読売新聞朝刊の記事がある。連日、北京冬季五輪で熱戦が繰り広げられる一方で、ロシア軍の侵攻が懸念されていたウクライナの首都キエフ(キーウに呼称変更)をルポした記事で、バレンタインデーを前に多くの市民で賑わうショッピングモールの様子が紹介されていた。そこにはテーブルを挟んで笑顔で語り合う親子や若者たちの姿があった。 だが、そのわずか10日後、世界はロシア軍の空爆で負傷した血まみれの女性や黒煙を噴き上げる建物の様子を報じることになる。2月24日、ロシア軍はキーウや北東部のハリコフ、南東部のマリウポリなど複数の都市をミサイル攻撃し、記事にあったキーウのショッピングモ
日本国際問題研究所主任研究員を兼任。専門は日本の外交・安全保障、日米同盟、インド太平洋の国際関係。主な共著に『アジアの国際関係―移行期の地域秩序』(春風社)など。 2月24日にロシアがウクライナに侵攻した。独立派が支配を続ける地域の「解放」を目指すだけではなく、隣国の首都の制圧をも目指すというこのようなあからさまな力による現状変更は、おそらく1990年のイラクによるクウェート侵攻以来であろう。湾岸危機では、国連安保理決議に基づいて組織された多国籍軍がイラク軍をクウェートから撤退させた。しかし、ウクライナ戦争では、拒否権を持つロシアが当事国であるため安保理が機能せず、国連の集団安全保障の限界が露呈した。 また、米国および北大西洋条約機構(NATO)加盟国はロシアとの核戦争を恐れて直接的な軍事介入の可能性を早々に否定した。ロシアによる核戦争の脅しが、米国および同盟国の介入を抑止したのである。双
2010年京都大学文学部卒業、2013年北京大学歴史学系大学院修了、時事通信社を経て16年よりフリージャーナリストとして活動。近著に『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(共著・技術評論社)2020年6月。 肥料価格の上昇が止まりそうにない。穀物価格やコロナ禍による輸送費の値上がり、中国による環境保護政策の強化などの要素が絡み合い、国内では2021年の夏ごろから肥料の値上げが続いてきた。肥料の三要素の一つ、塩化カリは4分の1をロシアとベラルーシから輸入していたため、ウクライナ侵略に対する両国への経済制裁により、さらなる高騰が予想される。必要以上の化学肥料を漫然と撒く過剰施肥を、いよいよ見直す時期に来ている。 経済制裁が高騰に追い打ち 「輸入先国を変更し、必要な量を確保するように商社や全農に要請している。春肥に必要な量は確保できている状況」 農林水産省技術普及
「がんの治療でロシア人の友人をスペインの病院に紹介したら、受け入れを断られた。ロシアで発行されたクレジットカードが経済制裁で使用できなくなっているため、支払い能力が危ういと判断されたためだ」 「海外の知人らと共同でビジネスを行っていたが、制裁で国境を越えた決済ができなくなり、仕事が続けられなくなった。ロシアから脱出したいが財産を捨てて逃げることもできない」 「モスクワに残した母親を外国に連れ出したいが、国営テレビばかりを見てロシアは悪くないと〝洗脳〟されてしまっている。私も怖くてロシアに帰国できない」 筆者に伝わってくるロシアやその周辺から聞こえてくる話の数々は、その経済、社会の悲惨な末路を予見して余りある。 ロシア軍によるウクライナ侵略は依然として続き、ペースは遅いもののウクライナ南東部を中心に占領地域を広げている。ロシア国内では国営テレビが政権の都合の良い報道を続け、市民が情報をやりと
米ワシントン・ポスト紙は去る22日、今回のロシアによるウクライナ侵略にからみ、著名コラムニスト、デービッド・フォン・ドレール氏による「プーチンの思想基盤」に焦点を当てた論考を掲載した。 ドレール氏は、プーチン大統領の「世界戦略観」に大きな影響を与えてきたとされるアレクサンドル・ドゥーギン元モスクワ大学学部長(60歳)のこれまでの著作に言及。旧ソ連邦崩壊後の、ロシアの国際的影響力および領土拡大を視野に入れたその長期戦略理論とプーチン外交安全保障政策との相互関係を論じている。 プーチン大統領就任とともにロシア政治で重用されていく 以前から極右地政学者、戦略家として知られたドゥーギン氏には多くの著作があるが、その中でも「大ロシア復活」論を前提にした『地政学の諸基盤―ロシアの地政学的将来』(英語タイトル“The Foundations of Geopolitics: The Geopolitica
ダニエル・グロス(欧州政策研究センターの特別フェロー)がProject Syndicateのサイトに3月7日付けで「プーチンのポチョムキン軍(Putin ' s Potemkin Military)」という論説を書いている。 「ポチョムキン軍」という言葉は、18世紀のクリミア併合を指揮したロシアの軍人・政治家、グリゴリー・ポチョムキンに由来する。彼は1787年、エカテリーナ大帝が新しく領土になったクリミアとその周辺を視察する旅行をした時に、皇帝に見せるためにニセの居住地を建設したとされている。このエピソードの史実性は疑わしいとされているが、「ポチョムキン軍」というのは、見せかけだけの軍隊の意味である。 論説は、ロシア軍が見せかけだけであると指摘し、それほど強くないこと(予想された激しいサイバー攻撃や圧倒的な空軍力による制圧が無かった)、軍を支える経済産業力が西側に比較して劣ること(EU全体
1972年東京生まれ。専門は国際政治、コーカサスを中心とした旧ソ連地域研究、紛争・平和研究。主な著作に『旧ソ連地域と紛争――石油・民族・テロをめぐる地政学』(慶應義塾大学出版会)、『強権と不安の超大国・ロシア――旧ソ連諸国から見た「光と影」』(光文社新書)、『コーカサス――国際関係の十字路』(集英社新書)【2009年アジア太平洋賞特別賞受賞】など。 ウクライナで新大統領が誕生した。コメディアンで俳優のウォロディミル・ゼレンスキー(41歳)である。彼は、選挙戦の最中から常に優勢を保ち、39人で争われた大統領選挙では30.2%の得票でトップの座を得たが、過半数に満たなかったことから、16.0%で2位だった現職ペトロ・ポロシェンコとの決選投票が行われる運びとなった。そして、4月21日の決選投票では、ゼレンスキーが73.23%の得票を獲得し、圧倒的な勝利を果たしたのだった(ただし、ロシアによるクリ
2月24日、戦争が始まった。事態はウクライナとロシアに限らず、日本や国際社会も当事者となった。欧州は劇的に安全保障戦略を転換し、制裁強化を主導している。その中で日本は何をすべきか。「Wedge」2022年4月号に掲載されたWEDGE OPINIONでは、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が2022年2月24日、ついに始まってしまった。本稿を執筆している3月8日時点でも戦況は刻一刻と変化し、停戦協議の行方も不透明である。そうした中で、この戦争は、もはや「ロシアVSウクライナ」という枠では捉えられなくなっている。対立の構図は、「国際社会VSプーチン」になりつつある。日本も完全に当事者だ。 この戦争により最も劇的に変化したのはドイ
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。 「サッカーの英プレミアリーグ、ロシアのウクライナ侵攻を受けて中継中止に」 2022年3月5日、このニュースが中国サッカーファンに衝撃を与えた。 ロシアによるウクライナ侵略後、多くの企業がロシアでのビジネスを中止しているのは広く知られるところだ。日本企業もトヨタの事業停止やユニクロの販売中止などが報じられている。この動きは米動画配信サイトのネットフリックスなどエンターテイメント企業にまで広がっており、サッカーとして例外ではない。 ならば、なぜ冒頭のニュースが中国サッカーファンに衝撃を与えたのか。実は3月5日に発表された中継中止のニュースはロシアではなく、中国での話だからだ。英プレミアリー
3月8日は国際女性デーだった。1908年に米ニューヨークで参政権のない女性労働者が労働条件の改善を要求してデモを行なったことを記念して、1975年、国連はこの日を国際女性デーと定めた。女性の「十全かつ平等な社会参加の環境」を整備するように呼びかける日になっている。 この日、日本経済新聞は日本の男女の賃金格差が大きく、それが経済成長を阻む要因になっていることを第一面で取り上げた。特集記事では持続可能な未来をつくるためには、女性リーダーの育成とジェンダー平等が必要であることを強く訴えた。 報道各社も、世界経済フォーラム(WEF)が発表するジェンダー・ギャップ指数をめぐって、日本の順位が格段に低く、対象となった156カ国の中120位と先進国の中で最も女性の地位が低いことを伝えた。 所得格差の拡大にもつながっている 日本のジェンダー不平等の大きさ、すなわち女性の地位の低さは、経済成長だけではなく、
ロシアはウクライナ侵略でシリア人傭兵部隊を投入するなど、戦争は一段と複雑な様相を見せ始めた。この裏では、プーチン・ロシア大統領の私兵軍団とも呼ばれる民間警備会社「ワグネル」の暗躍が取り沙汰されているが、外国人傭兵の参戦は「ロシア軍の損害が予想以上に甚大である証拠」との見方が強い。 報酬3000ドルで募集 米紙ワシントン・ポストなどによると、プーチン氏は3月11日のショイグ国防相とのオンライン会談で、義勇兵をウクライナに送り込むことを承認した。同氏は「手弁当でウクライナ東部ドンバス地方の(ロシア系)住民を助けたいという人々がいる。彼らを戦闘地域に移動させなければならない」と述べる一方で、ウクライナが国際法を侵犯し、公然と外国人傭兵を募っていると非難した。 国防相によると、世界中から多くの義勇兵が「ウクライナ自由運動」に合流したいとして、ロシア当局に申請書を提出しており、その人数はこれまでに1
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『WEDGE Infinity(ウェッジ)』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く