サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ノーベル賞
wedge.ismedia.jp
日本で漁獲されるクロマグロの大物といったらどのくらいの重量のマグロを想像されるでしょうか? 日本では大型クロマグロの分類を30キロ以上としています。100キロもあれば大物と思われるのではないでしょうか。 ところが筆者が9月下旬にノルウェーの水揚げ現場で見てきたマグロは、小さくても168キロ、大きいものは396キロもありました。その時水揚げされた尾数は約160尾で平均は何と271キロ!
米共和党超保守派で知られるシンクタンクの過激政策提言が、大統領選でハリス陣営にとっての格好の攻撃材料となっている。トランプ候補自身が間を置かず「知らぬ存ぜぬ」を決め込むなど、火消しに躍起となっている。 民主党全国大会で繰り返し取り上げ 「皆さん、トランプ候補はわが国の民主主義を根本から否定するこんな危険な政策を推進しようとしています」――。 カマラ・ハリス、ティム・ウォルズ正副大統領候補が指名受諾演説を行った先の民主党全国大会(8月19~23日)では、有力民主党議員の何人かが会場を埋め尽くした5万人近くの党員を前に、この日のために特別に拡大コピーしたズシリと重い表題『Project 2025』の報告書を抱えて次々に登壇。繰り返しトランプ糾弾の演説を行い、話題をさらった。 全文920ページからなる問題の報告書は、トランプ氏と近い関係にあるシンクタンク「ヘリテージ財団」(本部ワシントン)が「次
日本のサービス業や小売業の業界では、長年カスタマーハラスメント(カスハラ)に苦しんできた。背景には、消費者は代金を払う存在だから、サービス提供者より優位に立って良いという理解が暗黙の合意としてあった。その優位性を乱用して言葉の暴力を振り回す消費者に対して、現場はひたすら耐えるしかなかったのである。 こうした傾向が改善に向かっているのは好ましい。そんな中で、横暴な消費者から従業員を守るのは企業の責務だという姿勢が広まっているのも良いことだと思う。 日本の場合は「世評を落とす」名誉毀損は罰せられるが、一対一の暴言が精神的な傷害だという点では、法整備が十分ではない。この点を改善して、いわゆるカスハラ行為については、それ自体を刑事犯罪とするだけでなく、必要な民事仲裁によって被害者を救済することも必要であると思う。 けれども、犯罪とも言える極端な事例を追放するだけでは十分ではない。人手不足の中、とも
米国の大統領選挙を報じるニュースで、再びラストベルト(さびついた工業地帯)が話題に上っている。共和党副大統領候補に指名されたJ・D・バンス上院議員の育ったオハイオ州は、ラストベルトの一角だからだ。そして大統領選挙の勝敗を左右するのが、ラストベルト諸州の動向ということもある。 オハイオ州を含む米国中西部は、かつて自動車や製鉄など重厚長大な製造業地帯だった。しかし安価な労働力を求めてメキシコなどへ工場の移転が進み、失業者が溢れた。 長く製造業に従事していた労働者は金融やIT産業といった新産業への転職もままならず、酒や薬物に溺れ、貧困のループから抜け出せなくなる。地域の治安も悪化した。そうしたルサンチマン(怨恨)が、米国社会の分断を生み出したのだろう。
歳月とともに山本さんのキーワードは「安全」から「健康」、「長寿」へと移っていった。登山客はどうしても槍や穂高、北岳などのブランド的な山にひかれがちだが、山本さんが勧めるのは日本ならどこにでもある里山だ。半日程度でいいから低い山に足繁く通えば、高齢になってもかくしゃくとする。「その機運が広がれば、日本中が生き生きとしてくる」と唱える。(以下一問一答) 自分なりの山登りへの貢献 やまもと・まさよし 1957年横須賀市生まれ。東京大学大学院修了。博士(教育学)。鹿屋体育大学名教授、および同大学のスポーツトレーニング教育研究センター長を経て、現在名誉教授。専門は運動生理学とトレーニング学。2つの体育大学で30年以上にわたり、スポーツ選手の競技力の向上や一般人の健康増進をはかるための研究と教育を続けてきた。主著の『登山の運動生理学百科』(東京新聞出版局)は韓国、台湾で翻訳されている。 ――山本さんは
日銀のわずか+15ベーシスポイント(bp)の利上げを契機として本邦金融市場は歴史に残る大荒れの様相を呈した。議論すべきことは沢山あるが、今回の本欄では為替市場に対する所感を示しておきたい。 突然現れた「円キャリー取引・円安バブル」説 金融市場では、今回の大混乱について「円キャリー取引を背景とする円安バブルが崩壊した」という解説が支配的になっているようだ。しかし、これについて筆者は小さくない違和感を覚えている。 「円キャリー取引を背景とする円安バブル」というのは具体的には「低金利の円を起点として世界の資産価格が支えられていた」という趣旨だが、今回の大混乱があってから急に目にするようになった説でもある。確かに、日本株については「円安ゆえに押し上げられている」という争点はかなり指摘されてきた部分であり、特に4月以降の円安・株高は日米金利差から大きく乖離した局面であったため、かなり危うさを感じるも
〈暗殺未遂後、トランプの勢いは完全ストップ?〉シミュレーション「ハリス対トランプ」2重、3重の「ガラスの天井」 野党共和党は、トランプ暗殺未遂事件と共和党全国大会で勢いがついたが、ジョー・バイデン大統領が選挙戦からの撤退を表明し、カマラ・ハリス副大統領にバトンを譲ると、その勢いは完全に止まった。それが、2024年7月の米大統領選挙を語るすべてであった。 米ABCニュースと調査会社イプソスの共同世論調査(2024年7月26~27日実施)では、前回の調査(同月19~20日実施)と比べて、ドナルド・トランプ前大統領の好感度が、40%から4ポイント下がり36%に変わった。一方、ハリス副大統領の好感度は、35%から8ポイント上昇し、43%になった。 今後、「ダブルヘイター(ジョー・バイデン大統領もトランプ前大統領も嫌い)」という言葉は消滅するかもしれない。 そこで本稿では、まずハリス副大統領が11月
インドのモディ首相が7月8日から9日にかけてロシアを訪問し、9日にはプーチン大統領との首脳会談が開催された。モディ首相による訪露は、約5年振りとなる。中国一極依存が指摘されるプーチン政権にとり、インドというもう一つの戦略的パートナーの存在は死活的に重要であり、しかもモディ首相の側が訪露してくれたことは、この上なくありがたかったことであろう。 首脳会談の中でモディ首相は、「戦場では解決策を見付けられない」と訴え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に懸念を示す場面があった。ただ、モディ首相としても、プーチン大統領にそのように迫っても、聞き届けられる可能性はないことは、ある程度承知の上だったのではないか。ましてや、モディ政権が、ウクライナでの和平を実現するために、インド自身の国益を犠牲にすることはまずなかろう。 ロシアの戦費を実質的に支えるインド ロシア・インド首脳会談を総括する共同声明には、両
毎年の夏・土用の丑の日が近くなると、ウナギの話題が出てきます。日本のウナギ・二ホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)が2014年より絶滅危惧種(IB類)に指定しています。同じカテゴリーに分類されているのが鳥でいうと「トキ」です。それだけ資源が激減してしまったため、価格の高騰が続いています。
財政規律が弛緩し、借金が急激かつ雪だるま式に膨らんでいった平成の日本。財政楽観論や減税論に惑わされず、構造的な改革を断行していくべきだ。「Wedge」2024年6月号に掲載されている「平成全史 令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史」記事の内容を一部、限定公開いたします。 日本の借金が急激かつ雪だるま式に膨らんだのは、平成の時代が始まってからである。高齢化による社会保障費などの歳出が増え続ける一方、税収はバブルが崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はいわゆる「ワニの口」のように開いた。しかも、少子化により税の担い手が減り続けているから、まさしく、「開いた口が塞がらない」という構造赤字が続いている。その穴埋めは公債の発行で賄われてきた。 さらに、平成は、リーマン・ショックや東日本大震災など、大きな危機が起こるたびに、財政依存を深めてきた。これは、令和になっても踏襲され、コロナ禍での1
2014年に日本創成会議・人口減少問題検討分科会により公表されたレポートは、多くの地方都市が人口減少によって「消滅可能性」があることを指摘し、物議を醸した。その結果、消滅可能性を指摘された自治体がさまざまな人口減少対策を検討することになった。 その10年後の2024年4月に、人口戦略会議から、先のレポートの続編ともいえる「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」が公表された。各自治体の人口流出を止めるための方策が若年者を奪い合うような様相を呈していることなど、14年のレポート以後の政策的動きに対する批判的検討と近年の変化について分析された。 新しいレポートでは、人口移動が可能な場合とそうでない場合のシナリオの下で、若年女性人口の減少率の高低により、「自立持続可能性自治体」「ブラックホール型自治体」「消滅可能性自治体」「その他の自治体」への分類が行われている。 レポートでは、日本全体
非正規雇用、ロスジェネ、女性問題などを取材するジャーナリスト・小林美希氏。国際経験が豊富なジャーナリストで現在は外国人労働者問題を取材する出井康博氏。不器用に生きる人々に密着して人生の機微を描いてきたノンフィクション作家の山田清機氏。この3人に、日本の労働問題、そして、フリーランスの立場から見た日本のメディアの今について語り合ってもらった。 編集部(以下、──)皆様もわれわれも全員昭和生まれですが、平成という時代はどんな時代でしたか? 山田 のっけからこのような話題で大変恐縮なのですが、僕にとっての平成とは、「一貫してお金がない」ということです……。とにかく、この一言に尽きます。拙著『東京タクシードライバー』(朝日文庫)の「長いあとがき」にも書きましたが、僕は大学卒業後、大手メーカーに新卒で入社しました。ただ、入ってみると、配属された職場の雰囲気が息苦しかった。ある時、社員旅行のとりまとめ
2024年5月21日、山口県下関市で捕鯨船の出漁式が行われた。日本が国際捕鯨委員会(International Whaling Commission: IWC)を脱退し商業捕鯨を再開して5年が経つが、今年の出漁式は例年になく華やいだものとなった。というのも、これまで約30年にわたって操業を支えてきた捕鯨母船が老朽化により退役し、新たに建造された母船「関鯨丸」の初出漁だからである。 式には地元選出の国会議員、自治体関係者などが出席。船主で捕鯨操業会社である共同船舶の所英樹社長は「新船建造は、沖合母船式捕鯨漁業を途絶えさせないという意志だ」と操業の決意を示した。 今年の操業がこれまでと異なっている点はもう一つある。これまで捕獲対象が大型鯨類の中でも相対的に小型であるミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ3種だったところ、今年から地球最大の動物、シロナガスクジラに次いで大型のナガスクジラを新た
“「産まずして何が女性か」と上川陽子外相” “出産したくても困難な状況にある人への配慮に欠けるとの指摘が出る可能性がある”──。 2024年5月18日、共同通信から配信された記事である。上川外相が静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った際、「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べたことに対してである。報道は共同通信配信先である全国多数の地方紙にも広がり、上川外相は多くの批判を受けて発言を撤回するに至った。 既に多くの記事で批判されているが、共同通信の報じ方は上川外相の発言の一部を恣意的に切り取り、それを論拠に「懸念」を示し批判を促す自作自演の「社会問題」創出、マッチポンプ・クレイム的な性質を持っていると言える。 国際大学GLOCOM客員研究員で、フェイクニュース対策や情報リテラシーに関する情報発信を幅広く行っている小
ロシアによるウクライナへの全面軍事侵攻開始から間もない2022年4月、General SVRという有名なテレグラムチャンネルが、聞き捨てならない情報を流した。ロシア安全保障会議の席でゲラシモフ参謀総長が、ウクライナ南部に加え、モルドバ全域を占領することを提案したというのである。 その際にゲラシモフは、「モルドバは、ウクライナのような抵抗は絶対にしないので、良いオマケになる」と発言したとされた。ただし、プーチン大統領はこの提案を原則的に受け入れつつも、ドンバス全域の制圧を優先するよう指示したということだった。 実のところ、General SVRは平素から怪情報の類を流しており、くだんのモルドバについての投稿も、真偽不明である。それでも、プーチン政権がウクライナの「オマケ」としてモルドバを見ているというのが、いかにもありそうな話であることも否めなかった。 同じ22年4月には、モルドバのサンドゥ
加速する「貯蓄から投資」、迎えた「金融政策転換」、景気回復の実態を伴わない「冷たいバブル」……。ここ最近、経済に関するニュースが大きな話題を呼んでいます。この身近でありながらも複雑な経済問題について、私たちはどのように向き合えば良いのでしょうか。 今回の記事では、「絶対的貧困」と「相対的貧困」について解説しています。円安、賃金の停滞、国際競争力の低下など、多くの人が日本経済の低迷を実感していますが、具体的に「貧困」とはどのような状態を指すのでしょうか。 *本記事は帝京大学経済学部教授の宿輪純一氏の著書『はじめまして、経済学 おカネの物差しを持った哲学』(ウェッジ)の一部を抜粋したものです。 貧困の定義 「貧困」(poverty)とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 貧困の定義はさまざまですが、大きく2つに分けて考えることができます。衣食住など必要最低限の生活水準が維持できない「
【いじめ自殺を防ぐ1枚の診断書に全国から殺到】現役精神科医が語る「法と医者は使いよう」、学校の対応が遅いと言われるのはなぜ? いじめ防止対策推進法は、実によくできている。眠らせておくには惜しい。いじめの防止に関わるすべての職種が、その目的のために使えばいい。 同法は、その「基本理念」として、第三条に「いじめの防止等の対策」は、「いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない」としている。医師、とりわけ、精神科医は心身の専門家である。だから、精神科医がこの法に触れてはいけない理由はない。使うべきである。 また、児童・生徒とその親御さんにおかれては、精神科医をもっと使ってほしい。「法と医者は使いよう」、それが、筆者の意見である。 本連載の2023年2月1日に記した「1枚の診断書がいじめ自殺を防ぐ 医師だからできること」は、さ
経済政策論議には、物価が上がればなんとか下げろ、円安になれば輸入物価が上がるからなんとか上げろ、国民は好景気を感じられない、富の分配が不公平になっている、というようにばらばらな政策目標の達成を求める議論が多い。政府もそれに呼応して、石油元売会社に補助金(燃料油価格激変緩和補助金)をばらまいてガソリン・軽油価格をある程度抑え込んだ。ここで日頃ばらまきはいけないという財政学者の発言は聞かれない。 また、政府は、円安に対しても介入するぞと発言している。市場に任すべき金利を押さえつける日銀はけしからんという一部金融学者も円安に介入して円高にすることには発言がない。 取材しないで書く記事をコタツ記事、コタツにいて書ける記事というそうだが、経済理論にもデータにも依拠しないコタツ経済評論が多いのではないか。 経済政策を個別に考えては矛盾する コタツ経済評論が蔓延するのは、最終的に経済政策の目標を明示せず
〈iPhoneでも、テスラのEVでも〉世界のハッキング大会で次々に発覚、プログラムの脆弱性を見つけられない日本は蚊帳の外 3月20から23日にかけて、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーでハッカーが腕を競う「ポーンバンクーバー(Pwn2Own Vancouver) 2024」が開催された。Windows11やテスラ自動車などのゼロデイの脆弱性(未知の脆弱性)が発表され、賞金73万2500ドル(約1億1200万円)とテスラモデル3が授与されている。 ゼロデイの脆弱性とは、パソコンやスマートフォンに内蔵されたソフトウェアや機器を制御するファームウェアなどのプログラムの瑕疵(脆弱性)について、製品提供者(ベンダー)がその脆弱性の存在に気付いていない状態をいう。修正プログラムが配布されていないため、インターネット上の「ダークウェブ」などで高値で取引され、サイバー攻撃に利用される。 日本で
近年、世界中で「キャンセル・カルチャー(コールアウト・カルチャー)」が盛んになっている。先進国を中心にポリティカル・コレクトネスが声高に叫ばれて久しい中、それに反する言動は、社会から強く非難されるようになった。政治的に「誤った」人物や企業、作品といった対象は、SNSなどを中心にたびたび炎上し、ボイコットや不買運動によって謝罪や撤去に追い込まれたり、社会的な地位や仕事を失うなど次々と「キャンセル」された。 こうした「キャンセル」の動きは、すでに日本でも珍しくない。たとえば昨年も、KADOKAWAから出版予定であった本『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』が出版中止に追い込まれる事件もあった。 無論、差別などの不当な扱いは社会から強く否定されるべきものだ。それを訴える手段の一つとして、「キャンセル・カルチャー(コールアウト・カルチャー)」には一定の合理性も正
フェイクニュースによく使われるトピックの一つに、農薬がある。旧モンサント社が開発したグリホサート(製品名:ラウンドアップ)の発がん性が指摘されると、米国で訴訟が頻発した。それはまさに「フェイクニュース・ビジネス」とも言えるほどの広がりを見せ、巨額の賠償金の支払いが命じられた。日本にとってもこの訴訟は非常に重要な示唆となる。『フェイクを見抜く』(唐木英明・小島正美、ウェッジ)ではその舞台裏を詳細に記している。その一部を編集してお届けする。 日本では考えられない訴訟経緯 WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)による発がん性分類は、あまり一般に理解されているとは言い難い。2023年には甘味料のアスパルテームがグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性あり)に分類され、話題となったことを覚えている人も多いだろう。ここではその詳細には触れないが、この「発がん性」を巧み
米国・サンフランシスコは、ゴールデンブリッジやチャイナタウン、ケーブルカーで日本人には馴染みのある観光地だが、最近は治安の悪化が盛んに報道されている。そこで、年末から年始にかけて現地を踏査してみた。 ダウンタウンでは、明らかに治安が悪くて足を踏み入れないほうがよいと思われる通りと、市民や観光客が普通に行きかっている通りとに分かれる。市内周辺部では、良好に管理運営されている地域もある。通りや地域によって明暗が分かれるのはなぜだろうか。 高いオフィス空床率と物価 サンフランシスコに行くと誰でも最初に訪れるのがダウンタウンにあるケーブルカーの出発点だろう。ここは今日でも世界各地からの観光客であふれ、明るく華やかな雰囲気である。 しかしその近くではデパートやフーズマーケットが閉店し、シャッターが閉められている。ちらほらと開店している店もあるが、閉店した小売店も多い。 シリコンバレー銀行の倒産はあっ
サバが不漁に喘いでいる。「漁業情報サービスセンター」の統計によると、2023年のマサバ・ゴマサバ水揚量は21万トンと、19年の41万トンからほぼ半減した(図1)。昨年まで12年連続水揚げ日本一だった銚子漁港は、その座を釧路に明け渡した。イワシとともに水揚げの主力であるサバの水揚げが昨年の3万トンから1万7千トンへの半減したことがその要因だ。 青森県八戸市に本拠を有する水産加工業者も、今年早々青森地裁に自己破産を申請している。負債額は約2億1600万円。コロナ禍による受注減とともに八戸港でのサバの水揚げ不振が引き金になったという。各地の漁業者から「サバが獲れない」との声が聞こえる。 サバ資源への楽観的な評価 これまでわが国で実施されてきたサバに対する資源評価は楽観的なものだった。水産基本法第15条は「国は、水産資源の適切な保存及び管理に資するため、水産資源に関する調査及び研究その他必要な施策
2024年1月13日、台湾で総統選挙および立法委員選挙の投開票が行われ、頼清徳・現副総統および蕭美琴・前駐米代表の正副総統候補が総統選を制し、民進党としては異例の政権3期目に突入する。他方、立法院では国民党が議席を大きく伸ばし、第一党に返り咲いた。しかし、二大政党がともに立法院の過半数を構成しない中、キャスティングボードを握ったのは、若年層の支持を得て、躍進した民衆党である。決定的な勝者も敗者もなき結果だった。 この結果は、中国にとって「最悪」ではないにせよ、「最良」でもなかった。なぜなら、中国は明らかに反頼清徳・反民進党の立場で台湾選挙に干渉したからだ。 23年末、習近平国家主席は「祖国統一は歴史の必然」と強調し、国務院台湾事務弁公室は頼候補を「頑固な台湾独立工作者」「戦争メーカー」と批判した。その姿勢は言葉だけに終わらず、野党系支持者の投票先の分散を防ぐため、有権者の約5%の票を有する
2023年の年末カニ商戦は好調でした。これはカニの輸入価格が大幅に下がったことにあります。大幅に下がった理由は、米国が2023年6月下旬からロシアのウクライナ侵攻の制裁として、ロシア産水産物の輸入禁止に踏み切ったためです。 このため、ヒートしていた国際買付け競争が落ち着き、タラバガニも含めカニの輸入価格が大きく下がったのです。しかし、現在の状況は一時的に過ぎません。 このままでは需要増加による買付け競争再開で、価格は再び上昇傾向になるでしょう。そこで、ポテンシャルはあるものの、とてももったいない国産ズワイガニの資源管理の話をしましょう。
筆者は「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済にとって最大のリスクではないかと考えてきた。昨年11月には本コラムへの寄稿『経常収支黒字でも進む円売り 資産運用立国で加速するか』でも取り扱った経緯がある。周知の通り、年初から盛り上がりを見せる円安・株高の背景として新たな少額投資非課税制度(以下、新NISA)の稼働を契機として変化する家計の運用行動があるとの論調が目立っている。 実際のところ、こうした議論は正しいのか。現在入手可能な情報から判断する限り、新NISAによる家計行動の変化は円安には直接的な影響がある一方、日本株上昇には間接的な影響があると言えそうである。以下で簡単に現状を把握してみたい。 日本株高水準の正体 先に日本株上昇について触れておくと1月18日に東京証券取引所が発表した1月第2週(9〜12日)の投資部門別株式売買動向によると、個人投資家は年末を挟んで5週連続で売り越しだ
コロンボ港近くのビーチ沿いに林立する高層ホテル。35年前には筆者が逗留した3階建ての英国コロニアル様式のホテルがポツンと一軒家だった。まさに隔世の感あり スリランカは経済不振から国家財政が破綻。2022年4月に対外債務不履行(デフォルト)となった。そして、同年7月には経済的困窮を訴える民衆が大規模デモを行い、大統領公邸を占拠した。大統領一族は国外逃亡。それから約1年半後の時期に筆者は1カ月半スリランカを周遊したことになる。 怠け者の筆者は、事前に訪問国について調べることは一切しない。『地球の歩き方』(Gakken)ですらビザの取得方法と電気のプラグ型式以外は見ない。お陰様で訪問期間はスリランカが雨期であることも、現地到着後1週間経ってからやっと気づいた次第。さすがにスリランカが中国の債務の罠によりデフォルトに陥ったことはニュース等でぼんやりと知っていたが。 筆者は二十数年前にエリツイン政権
昨年末、2024年度予算が閣議決定した。うち水産予算は前年度補正を併せて3169億円と、過去最高だった前年の3208億円(前年度補正含む)をやや下回るものの、3100億円台を維持した。18年度まで水産予算は2300~2400億円程度であったが、同年末に国会を通過した漁業法の改正に歩調を合わせ、予算は一気に増額した。 漁業法の改正で目指されたのは、科学的な資源管理に基づく水産資源の回復と水産業の持続的な発展であると言える。これまで国が資源評価対象としていたのは計50魚種で、漁獲総枠(「漁獲可能量(Total Allowable Catch: TAC)」と呼ばれる)を決めて管理を行っていたのは8種に過ぎなかった。 水産庁によると、資源評価対象を23年度までには200種程度に拡大(22年3月現在192種)するとともに、資源評価方法についても過去数十年のトレンドから「高位」・「中位」・「低位」と分
時間外労働の上限時間が制限されることによって発生するとされる「2024年問題」が目前に迫っています。「Wedge」2023年9月号に掲載されている「きしむ日本の建設業 これでは国土が守れない」記事の内容を一部、限定公開いたします。 片山淳一さん(仮名)50代・大工 私が建設業界に入ったのは、学生時代のアルバイトがきっかけです。当時はバブル景気の真っ只中で、今と同じように職人が不足していた。学生バイトにも1日1万2000円を支払ってくれたほど。現場にはいい人が多くてね。だから一般企業には就職せず、大工の道に進むことにしました。昔も今も大卒の職人なんて珍しいです。今となってみれば、人生を間違ったのかもしれません(苦笑)。 大工をやって30年以上経つので、現場の職長を任され、若い人を教える機会も増えています。でも日当は1万8000円です。残業すると少しは増えますが、学生バイトの30年前とそんなに
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く