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発表・掲載日:2025/11/12 ボールミルに最適な形状は「ボール(球)」ではなかった -100年以上使われてきた球より高効率な媒体形状を発見- ポイント 球面調和関数を使い、粉砕対象物を効率的に挟み込める形状「OPTIPSE」を設計 球形の媒体よりも約10%粉砕効率が高くなることをラボスケールで確認 ボールミル使用時の消費エネルギー削減に期待 国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)環境創生研究部門 上田 高生 主任研究員は、球面調和関数を使って、粉砕効率の高いボールミル媒体形状を設計しました。 ボールミルは、円筒状の容器内に球形の媒体を投入した粉砕装置ですが、そのエネルギー効率(投入エネルギーに対する粉砕に使われるエネルギーの比率)は1%以下と極めて低く、向上が求められています。これまでに媒体の形状を非球形に変える試みもなされましたが、十分な成果が得られず、100年
光電融合とは? 光電融合とは、光信号を扱う回路と電気信号を扱う回路を融合することです。光電融合の技術を使えば、コンピュータ(半導体)の中でやり取りしている電気信号を光信号に置き換えることができます。光は電気よりも伝送中のエネルギー損失が少ないため、信号を光に置き換えることで省エネ化や高速化を実現できます。生成AIの普及などによって、急激な増加が予想される消費電力量を、光電融合技術を使って少なくすることが期待されています。 産総研は、2025年4月に「光電融合研究センター」を発足させました。世界の半導体メーカー大手も光電融合に関する技術開発を本格化させており、いよいよ実用化の段階に入ってきたと考えられています。光電融合技術は、日本の半導体産業が世界と戦っていくための武器になると期待されています。光電融合技術の現状や課題、そして今後の展望などについて、光電融合研究センターの天野建 研究センター
発表・掲載日:2025/10/22 加齢で衰えた骨治癒機能を回復 -月齢や性別の区別なく免疫細胞マクロファージの表現型を薬剤で操作する技術を開発- ポイント マクロファージの表現型をM1からM2にスイッチングするホスファチジルセリンリポソーム(PSL)の効果を、異なる月齢・性別のマウスで実証 高齢マウスにおいて、骨形成と骨代謝のバランスを改善し、加齢で衰えた骨治癒機能を回復させる効果を確認 高齢者の骨折の治癒期間短縮や、合併症の低減につながる可能性 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)モレキュラーバイオシステム研究部門 戸井田 力 上級主任研究員と国立大学法人 徳島大学大学院医歯薬学研究部歯学域口腔科学部門口腔外科学分野 福田 直志 助教、徳島大学病院 歯科口腔外科 髙丸 菜都美 講師は、国立研究開発法人 国立循環器病研究センター研究所 姜 貞勲 室長らと共同で、リ
発表・掲載日:2025/10/17 ノコギリカメムシの“耳”と思われていたのは“共生器官”だった -後脚で培養した菌で寄生蜂から卵を守る防衛共生の発見- ポイント ノコギリカメムシのメス成虫の後脚にある特徴的な構造は“鼓膜器官”ではなく、特定の微生物を培養する“共生器官”であることを発見 低病原性の糸状菌を選択的に培養して産卵時に卵に塗布し、菌糸で覆うことにより寄生蜂から卵を守る 従来知られていなかった新たな防衛共生器官、共生菌の伝達行動、物理的な防衛共生メカニズムを解明 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)モレキュラーバイオシステム研究部門 バイオシステム多様性研究グループの森山実 主任研究員、古賀隆一 上級主任研究員、深津武馬 首席研究員(筑波大学生命環境系 連携大学院教授を兼務)は、筑波大学生命環境科学研究科(博士後期課程、研究当時)の西野貴騎 元産総研技術研
基礎研究がそうであるように、暗号理論は10年後、100年後を見据えています。実用化が待たれる量子コンピュータ、その性能をもってしても破れない安全な暗号をつくる技術。その実現のための足掛かりとして、未来の社会に役立つ効率的な方式を世界で初めて設計しました。この研究で産総研論文賞を受賞した、サイバーフィジカルセキュリティ研究部門高機能暗号研究グループ、山田翔太上級主任研究員に話を聞きました。 【この研究ここがスゴイ】 世界的に権威あるワークショップを含む国内外での招待講演に加えて、後続研究も多数進んでいます。 暗号分野のトップ会議であるEurocryptでは日本人初・現時点で唯一の賞を受賞! ──世界的な研究コミュニティから高い関心を寄せられてどう感じましたか? 山田暗号の設計に使われる代数構造には、「ドーナツ型」と「格子型」と呼ばれる物があります。「ドーナツ型」は古くから研究されていますが効
発表・掲載日:2025/05/26 生成AIを用いたシステムのリスク低減と信頼性向上のために -生成AI品質マネジメントガイドライン第1版を発行- ポイント 生成AIを対象とした品質マネジメントのガイドラインを開発し、公開文書として発行 大規模言語モデル(LLM)を部品として利用して、生成AIシステムを開発・運用する企業に向けて、品質を実現するために行うべき事項を体系的に提示 LLMを利用する生成AIシステムが開発者および利用者の期待された通りに機能、高い品質を維持することに貢献 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)インテリジェントプラットフォーム研究部門、サイバーフィジカルセキュリティ研究部門、および人工知能研究センターは、生成AIを対象とした品質マネジメントのガイドラインを開発し、公開文書として発行しました。 製品やサービスにおける品質とは、製品やサービスの提供
発表・掲載日:2025/03/10 日本語音声基盤モデル「いざなみ」「くしなだ」を公開 -少量の日本語音声データで高性能な音声AIを構築可能に- ポイント 豊かな感情表現を含む6万時間の日本語音声データから2種類の日本語音声基盤モデルを構築 モデルの改良が容易な「いざなみ」と感情認識や音声認識の能力がより高い「くしなだ」を一般公開 少量データを活用した音声AIの構築・普及に貢献 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)人工知能研究センター 深山覚 研究チーム長、緒方淳 客員研究員は、高性能な音声AI構築に利用可能な2種類の日本語音声基盤モデル「いざなみ」「くしなだ」を公開しました。 音声基盤モデルとは、音声データを処理・解析するための汎用的なAIモデルで、音声認識や音声感情認識などに応用が進んでいます。音声基盤モデルの構築には、対象とする言語やそれが使われるシーンを想定
大気と真空との差圧を利用した、大気圧を駆動源とする空気加圧技術を実装 輸液バッグを挟むようなサンドイッチ型空気バッグ機構により、重力による吊り下げ点滴と同等な吐出性能を達成 無電源で動作するため災害時にも活用でき、患者の移動制限を緩和する「吊るさない点滴」が医療機器として登録 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)工学計測標準研究部門 チョン カーウィー 上級主任研究員、土井原 良次 研究グループ長、古市 紀之 研究グループ長、嶋田 隆司 副研究部門長、入江工研株式会社(以下「入江工研」という)加藤 良浩 四国事業所技術顧問、郡司 貴雄 医療機器事業部 製造業責任技術者、唐澤 ルリ子 技術グループ第1技術係は、無電源で輸液バッグを加圧可能な機構を開発しました。この技術を搭載した「吊るさない点滴」が入江工研によって製品化され、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMD
発表・掲載日:2024/10/28 「便器のふたを閉めて流してください」は衛生的か? -トイレ水洗時に生じる飛沫の見える化と飛散ウイルスの定量測定に成功- ポイント 便器のふたの開閉による違いなどを考慮し、水洗トイレ洗浄時に発生するエアロゾルの空間分布を測定 トイレを使用した後の水洗で、どの程度ウイルスが飛散するかを推定 水洗トイレ使用時の衛生管理に重要な科学的根拠に基づく知見が明らかに 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)センシングシステム研究センター 福田 隆史 総括研究主幹、安浦 雅人 主任研究員、河合 葵葉 リサーチアシスタントは、国立大学法人 金沢大学 理工研究域フロンティア工学系 微粒子システム研究グループ 瀬戸 章文 教授と共同で、水洗トイレから発生する飛沫(ひまつ)の挙動を、湿度制御下における粒径分布・空間分布といったさまざまな観点から捉え、可視化し
湧水と大気の自然な温度差から発電できる技術を考案 電池なしで湧水の温度を計測し、無線通信で自動的なデータ収集に成功 地域資源である湧水の保全と持続可能な利用に貢献 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)物理計測標準研究部門 応用電気標準研究グループ 天谷康孝 研究グループ付、地圏資源環境研究部門 地下水研究グループ 井川怜欧 上級主任研究員、国立大学法人 茨城大学 大学院理工学研究科 一ノ瀬彩 助教は共同で、湧水と大気の温度差を利用した「湧水温度差発電」が可能なことを実証しました。発電した電力を用いることで電池なしで湧水の温度を計測し、無線通信で自動的にデータ収集することに成功しました。この技術は、固体の熱と電気の相互変換作用である熱電発電を利用するので、水車のような可動部を必要とせず、水の流れがない水路でも発電が可能となります。また、太陽光が届かない日陰や、夜間も連
みなさん、お待たせしました。ブルーバックス探検隊、ただいま帰ってまいりました!(あれ、どこか行ってたっけ? なんてツッコミはやめてください) 少しお会いしない間に世界は大変なことになってしまいましたが、また元気を出して、おもしろ研究をご紹介していきます。 新シリーズのトップバッターは、生命のサイエンスど真ん中の研究です。私たちの細胞の中にあるミトコンドリアは、大昔には独立した生物だったことはみなさんも聞いたことがあると思います。それがいつしか、ほかの生物の細胞に入り込んでしまうまでのプロセスとは、どのようなものだったのか? 私たちの祖先は何をしたのか? 生命進化の大きな謎に迫ります。 2020年7月14日掲載 取材・文 深川 峻太郎、ブルーバックス編集部 「ドメインが、1つ減るかもしれない」だって!? われわれ人類は数ヵ月前から、それはもうウンザリするほど毎日、ウイルスと向き合って暮らして
発表・掲載日:2019/08/23 能登半島北部周辺に刻まれた日本海発達の歴史 -20万分の1地質図幅「輪島」(第2版)を刊行- ポイント 国土の基本情報である「輪島」地域の20万分の1地質図幅を57年ぶりに全面改訂 最新の研究成果に基づき、海から陸に至る切れ目のないシームレスな地質情報として整備 地質情報の空白域であった浅い沿岸海域に発達する活断層を明確化 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)地質情報研究部門【研究部門長 田中 裕一郎】情報地質研究グループ 尾崎 正紀 上級主任研究員、海洋地質研究グループ 井上 卓彦 主任研究員らは、20万分の1地質図幅「輪島」を全面改訂し、57年ぶりに第2版として刊行した。 能登半島北部とその周辺海域にあたる「輪島」地域は、1993年能登半島沖地震や2007年能登半島地震などを引き起こした活断層帯が能登半島
量子ドットとは? 量子ドットとは、直径2~10ナノメートル(nm)程度のとても小さい半導体の結晶のことです。この非常に小さな半導体微粒子に紫外光を照射すると、発光します。さらにこの微粒子を大きくしたり小さくしたりすることで、発光する色を変えることができます。しかも発光が強く、色ごとに発光させることができるため、美しい画面が作れるという特徴があります。現在では液晶パネルに用いられ、テレビやパソコンのディスプレイなど表示装置に使用されています。 2023年のノーベル化学賞は「量子ドット」の発見と合成方法の発明について、アメリカのマサチューセッツ工科大学のムンジ・バヴェンディ博士、コロンビア大学のルイス・ブルース博士、ナノクリスタルズ・テクノロジー社のアレクセイ・エキモフ博士の3人に贈られました。量子ドットは、ナノスケールの半導体微粒子のことです。3人の研究者らが、この半導体微粒子がサイズごとに
発表・掲載日:2023/12/19 日本語に強い大規模言語モデル「Swallow」を公開 -英語が得意な大規模言語モデルに日本語を教える- 要点 日本語能力に優れビジネスにも安心して活用できる大規模言語モデルを公開 継続事前学習により大規模言語モデルの日本語能力を改善 高度な日本語処理が求められる多くの場面で、生成AI技術の利活用を推進 東京工業大学(以下、東工大) 情報理工学院 情報工学系の岡崎直観教授と横田理央教授らの研究チームと国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、日本語能力に優れた生成AIの基盤である大規模言語モデル「Swallow」を公開した(公開リンク)。本モデルは現在公開されている日本語に対応した大規模言語モデルとしては最大規模であり、オープンで商用利用が可能であるため、ビジネスに安心して用いることができる。 東工大と産総研の研究チームは、英語の言語理解や対
AIと感情 人間の表情などの情報から感情を認識、分析するAIの研究開発が進んでおり、「感情分析AI」とも呼ばれています。人間の感情を高い精度でAIがくみ取ることができるようになれば、ヘルスケアやマーケティング分野で個々人の気持ちに沿った情報提供ができ、望ましい行動を促せるようになったり、自動車などの機器が人間のコンディションに合わせたりするなど、ストレスの少ない快適な暮らしの実現につながると期待されています。 ここ10年で心理学の研究にもかなり入ってきているAI。アフェクティブ・コンピューティングというアプローチで、私たちの顔の画像や話している声から、その人がどんな感情かを分類する研究が世界で進んでいます。AIは人間の感情をどこまで理解できているのか、産総研ではどのような研究が進み、どのような活用が始まっているのか、どのような課題や未来像があるのか。人間情報インタラクション研究部門心身機能
レベル4自動運転車両の道路交通法上に基づく特定自動運行の国内で初めての許可 車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での自動運転(特定自動運行)が可能 ドライバー不足や交通弱者への対応と地域の活性化に交通手段として貢献 国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、2021年度より経済産業省および国土交通省の「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実証プロジェクト(テーマ1:2022 年度に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスの実現に向けた取組))」を幹事機関として受託し、永平寺町におけるレベル4の無人自動運転移動サービスの社会実装に向けて、ヤマハ発動機株式会社、三菱電機株式会社、株式会社ソリトンシステムズとともに研究開発を進め、福井県吉田郡永平寺町(以下、永平寺町)、まちづくり株式会
発表・掲載日:2023/04/12 わが国最大の巨大噴火の全体像が明らかに -阿蘇4火砕流の詳細な分布図と地質情報を公開- ポイント 約9万年前に発生した阿蘇4火砕流の初めてとなる詳細な分布図を公開 九州6県および山口県に及ぶ阿蘇4火砕流堆積物の分布範囲を図示 地域の防災対策や国土利用への活用に期待 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)活断層・火山研究部門大規模噴火研究グループ 下司 信夫 研究グループ長、宝田 晋治 上級主任研究員、星住 英夫 研究主幹(研究当時)らは、阿蘇4噴火により噴出した大規模火砕流の分布図を公表・出版しました。産総研 地質調査総合センターのウェブサイトからダウンロードが可能です (https://www.gsj.jp/Map/JP/lvi.html)。 従来の地質図では把握が困難であった火砕流の詳細な分布、堆積物の層厚および特徴、日本列島全
量子もつれ、この言葉をきいて「それはね…」と説明できる人は、世界中のなかでも少数派ではないでしょうか。2022年のノーベル物理学賞は「量子もつれ」を研究してきた仏サクレー大学のアラン・アスペ博士、米クラウザー研究所のジョン・クラウザー博士、オーストリア・ウィーン大学のアントン・ツァイリンガー博士の3氏に贈られました。 言葉を聞いても、どのようなものかまったく想像がつかない量子の世界。恥ずかしながら今回の受賞がどのようにすごいのか、想像すらできませんでした。そこで、受賞の大きな理由となった「量子もつれ」がどのようなものか、大学で物理学を学んだことがない人でも理解のヒントになる情報を提供することを目的に、コラムとしてご紹介します。 【注】本記事は産総研マガジン編集部が理解できた限界のところまでをコラムにしています。学術上不十分かもしれませんが、その点ご了承の上、お読みいただけますと幸いです。
講談社ブルーバックス編集部が、産総研の研究現場を訪ね、そこにどんな研究者がいるのか、どんなことが行われているのかをリポートする研究室探訪記コラボシリーズです。 いまこの瞬間、どんなサイエンスが生まれようとしているのか。論文や本となって発表される研究成果の裏側はどうなっているのか。研究に携わるあらゆる人にフォーカスを当てていきます。(※講談社ブルーバックスのHPとの同時掲載です。) 7万年前に出現して以来、さんざん地球を痛めつけてきた人類はいま、さまざまなところでしっぺ返しにあい、これまでのやり方の見直しを迫られています。現代ではなくてはならない道具となった冷蔵庫も、その1つ。もう従来の「冷やし方」は許されなくなってきているのです!そして日本には、世界に先駆けて破壊的イノベーションを起こそうと燃えている研究者がいます。 2023年2月24日掲載 取材・文 深川峻太郎, ブルーバックス編集部
ペロブスカイト太陽電池とは? 太陽光のエネルギーを直接電気に変換して利用する太陽電池。いまでは一般家庭にも多く導入されるまでになりました。太陽電池は原料として使われる半導体によってさまざまな種類がありますが、この10年で急速に開発が進んでいるのが、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いる「ペロブスカイト太陽電池」です。塗布や印刷技術で量産でき、ゆがみに強く軽い太陽電池の実現が期待されています。 ペロブスカイト太陽電池は、塗布や印刷技術で量産できることから低コスト化が期待できます。また、ゆがみに強く、軽量化が可能であるので、これまでシリコン太陽電池では設置できない場所に設置できることが期待されます。性能面でもすでに、シリコン太陽電池に匹敵するエネルギー変換効率を達成しており、本格的な実用化に向け世界中で研究が進んでいます。ペロブスカイト太陽電池とはどのようなものなのか、実用化に向
発表・掲載日:2023/01/18 光を99.98%以上吸収する至高の暗黒シート -触れる素材で黒さ世界一、秘密は漆に似た成分と光閉じ込め構造- ポイント 従来の暗黒シートと比べて可視光の反射率が一桁低く、レーザーポインターの光も消えて見える カシューオイル黒色樹脂の表面に微細な凹凸構造を形成し、くすみもぎらつきも少ない深い黒を実現 明るい場所でも沈む圧倒的な黒さにより、視覚表現にこれまでになく高いコントラストを提供 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)物理計測標準研究部門 応用光計測研究グループ 雨宮 邦招 研究グループ長、清水 雄平 主任研究員、光放射標準研究グループ 蔀 洋司 研究グループ長と、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下「量研」という)量子ビーム科学部門 越川 博 主幹技術員、八巻 徹也 研究企画部長は、漆類似成分のカシューオイル黒色樹脂
発表・掲載日:2022/12/21 統合失調症の脳における「意味関係の乱れ」を発見 -AI技術の応用により脳活動から思考障害のメカニズムに迫る- ポイント AI技術を使った脳活動の解析により、統合失調症患者の脳では、ものの意味関係が乱れていることを捉えることに成功しました。 統合失調症では、脳内意味ネットワーク構造が無秩序になっているために、妄想などの思考障害が生じると考えられます。 本研究結果は、統合失調症の病態理解や新規診断・治療法の開発につながることが期待されます。 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科精神行動医学分野の高橋英彦教授、松本有紀子助教、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT (エヌアイシーティー))の西田知史主任研究員、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の林隆介主任研究員、大阪大学大学院生命機能研究科の西本伸志教授、京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神
発表・掲載日:2022/10/18 全国文化財情報デジタルツインプラットフォームの構築 -デジタル技術で埋蔵文化財を記録・可視化し、歴史を未来へつなげる- ポイント 文化財デジタルデータと3次元地理空間情報を統合表示するプラットフォームを開発 地下から地表までの状況を一体的に見ることができ、街づくりと文化財保護の両立を図る ドローンLiDAR利用など調査方法の高度化により掘削以外での3次元情報を収集。調査方法の革新 地理空間の専門知識は不要、文化財データの集積を進めることで街づくり・インフラ整備に貢献
発表・掲載日:2022/09/12 紀伊半島南部の橋杭岩(はしぐいいわ)周辺で巨大津波の証拠を発見 -巨礫の移動から南海トラフ沿いの1707年宝永地震津波よりも大きな津波が来襲したことを解明- ポイント 橋杭岩周辺に散らばる巨礫は過去の巨大津波の証拠 歴史上最大の1707年宝永地震による津波を超える規模の津波が存在したと推定 南海トラフ沿いの巨大地震津波の定量的な解析に貢献 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループ 行谷 佑一 主任研究員および地質調査総合センター 連携推進室 国内連携グループ 宍倉 正展 グループ長と、法政大学 文学部 前杢 英明 教授、株式会社環境地質 越後 智雄 東京支店長による研究チームは、和歌山県串本町にある名勝橋杭岩の周辺の地質痕跡から、南海トラフ沿いで過去最大とも呼ばれる1707年宝永地震の津
理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター微生物材料開発室の加藤真悟上級研究員、大熊盛也室長、産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門地圏微生物研究グループの金子雅紀研究グループ付らの共同研究グループは、好気条件で容易に培養可能な、数百ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)サイズの絶対寄生性ナノアーキア(古細菌)[1]のリソース化に成功しました。 本研究成果は、「微生物ダークマター」(機能未知の未培養微生物群の総称)の代表格である、寄生もしくは共生性ナノアーキアのさらなる培養・リソース化への足がかりになるだけでなく、ナノアーキアの謎に包まれた生態学的役割や、初期生命の進化過程の解明にも貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、国内の酸性温泉から、細胞サイズが数百nmのナノアーキアを培養することに成功しました。このナノアーキアは、宿主となるアーキアの細胞表面に付着し、
全固体電池とは? 電池は、正極(+)と負極(-)の異なる二つの活物質と、その両方に接している電解質から構成されています。これまで電解質といえば液体でしたが、それを固体にして、すべて固体で構成した電池を「全固体電池」と呼びます。安全性、寿命、出力など多くの点で、電解液を用いた電池を上回る性能を持つことに大きな期待が寄せられていますが、実用化についてはまだ開発途上です。しかし近年は特に電気自動車(EV)の電源として注目を集め、自動車メーカー、電池メーカーをはじめ、多くの企業が開発に取り組んでいます。 自動車がガソリン車から電気自動車(EV)へと転換していくのに伴い、脚光を浴び始めたのが電池です。中でも期待が大きいのは全固体電池。従来のリチウムイオン二次電池(LIB)に比べ、全固体LIBは、温度変化に強い、発火リスクが小さいといった安全面に加え、EVの充電1回当たりの走行距離が長い、ガソリン車の
実験室で大腸菌を昆虫共生細菌に進化させることに成功 大腸菌が単一突然変異でカメムシの生存を支える必須共生細菌になる 常識を覆し、共生進化が迅速かつ容易に起こりうることを示す 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)生物プロセス研究部門生物共生進化機構研究グループ 古賀 隆一 研究グループ長、森山 実 主任研究員、深津 武馬 首席研究員 兼 ERATO深津共生進化機構プロジェクト 研究総括は、国立大学法人 東京大学 大学院理学系研究科 古澤 力 教授、国立大学法人 東京大学 大学院総合文化研究科 若本 祐一 教授らと共同で、共生細菌なしでは生きられないチャバネアオカメムシから共生細菌を除去し、かわりに高速進化大腸菌を感染させて実験室で継続的に飼育維持することにより、数ヶ月から1年ほどの短期間のうちに、広域転写制御系に生じた単一突然変異により、大腸菌が宿主カメムシの生存を支
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発表・掲載日:2022/06/30 複数のAIを活用し、複雑な材料データからさまざまな機能を予測する技術を開発 -配合条件の選定から成形加工・評価までの材料開発を大幅に加速- NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」で産業技術総合研究所、先端素材高速開発技術研究組合、日本ゼオン(株)は、複数の人工知能(AI)を用いることで複雑な構造を持つ材料のデータを処理し、高速・高精度にさまざまな機能を予測する技術を開発しました。 今回開発したマルチモーダルAI技術は、母材・添加剤・充填剤といったさまざまな配合を持つ材料(複雑材料系)に対して、深層学習(ディープラーニング)を適用する新しい技術です。画像や分光スペクトルといった異なる複数のデータを計測・統合することで、従来のAI技術を適用できなかった複雑材料系も、2万分の1以下の時間で高精度に異なる複数の特性の予測が可能になります。これは、
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