サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
TGS2024
www.chugainippoh.co.jp
漫画やアニメなどある種のサブカルチャーに耽溺する「オタク」について、宗教研究の立場から議論するワークショップ「オタクにとって聖なるものとは何か」が先月、東京都文京区の日本女子大で開かれ、若手の研究者4人が登壇した。作品中に宗教性を見いだそうとする従来の研究方法に対して問題点が指摘され、彼らの生き方と信仰を結び付けるなど多様な観点から議論を深める必要性が示唆された。(甲田貴之) 行動や世界観を宗教用語で表現 女子高生が登山を楽しむアニメ『ヤマノススメ』の「聖地」となっている埼玉県飯能市の真言宗智山派観音寺。白い象の像の前にはアニメのパネルと絵馬掛所が設置されている 近藤光博・日本女子大准教授(宗教学)が中心となって活動している研究会が主催。近藤准教授は開催のきっかけについて、アニメや漫画好きの女学生の話を聞いていると作品などに対する情熱に宗教性を感じるとして、「オタク」文化が宗教と似ている背
おおたに・まさゆき氏=1972年、東京都生まれ。総合研究大学院大博士課程満期退学。著書は『角行系富士信仰 独創と盛衰の宗教』(岩田書院、2011年)、『富士講中興の祖・食行身禄伝』(岩田書院、13年)。富士信仰に関する論文・研究発表多数。 富士山が世界遺産に登録されたことで、その信仰に目が向けられるようになった。富士信仰のうち、富士講やその派生である不二道、また明治時代になって彼らが様変わりした実行教・扶桑教・丸山教といった教派神道諸教団などを、筆者は大きく「角行系富士信仰」と呼んでいる。「角行系」とは筆者の造語で、「自らの富士信仰が角行藤仏(1541~1646)という行者に由来している」と自覚する集団と個人が含まれる。「富士講」には修験道に基づく中部・近畿地方で行われるものと、主に関東で行われる角行系に属するものとがあって、二つの習俗は全く異なっているが、本稿の「富士講」はもっぱら角行系
国内外でマインドフルネスや禅の講演、指導をする藤田一照・曹洞宗国際センター所長に聞いた。 カバット・ジン氏が説くのは「信じなくても効く」というもので、心のエクササイズ。それは筋トレと同じで、初めから宗教的な文脈から切り離されているので、抵抗感なく受け入れられる。もともと仏教にヒントを得ているが別物と思った方がよい。それでも禅や仏教の要素があり有効であることは間違いない。 ただ私は二つの点で批判的にも捉えている。本来、マインドフルネス(サティ)は八正道の一つの正念で、その一つだけ取り出して実践するべきではない。八正道の初めの正念と正思が、此岸から彼岸へと向かう方向を示し、残りの八正道を方向付けている。マインドフルネスには仏教でいう“正しい”方向付けが全くない。方向性がなければ、「無心で人を殺す」などのようにかつて戦争に利用されたようなものになってしまう。企業に都合の良い企業戦士を育成するマイ
欧米で流行する仏教由来の瞑想法(心理療法)「マインドフルネス」が日本でも広まりつつある。臨床的、科学的に効果が指摘される瞑想法に魅力を感じる人が増え、その流れで坐禅会に顔を出す人も見られるようになった。いち早く注目する仏教者がいる一方で、伝統的な瞑想法と比べ否定的な意見も聞かれる。仏教界はこのブームをどのように受け止め、仏教者としてどのように対応するのか。(赤坂史人) マインドフルネス(mindfulness)とは 仏教の念(パーリ語のsati=サティ)の訳語。日本語では「注意深さ」「気付き」「心にとどめておくこと」などと訳される。仏教の八正道の一つ、正念に関する実践。 呼吸や身体の一部に注意を向ける瞑想法で、体の感覚を観察する「ボディスキャン瞑想」や「歩く瞑想」「食べる瞑想」などがあり、組み合わせて実践する。感じたことに価値判断を入れず、今あるがままの感覚、状態を受け止める方法。 「坐禅
2015年11月13日 13時34分 浄土真宗本願寺派は10日、宗門内外の若手僧侶らの取り組みに学ぶ「仏教プレゼン大会」を京都市下京区の宗務所で開いた。若者層への教化のアプローチを考えようと子ども・若者ご縁づくり推進室が企画し、同派の青少年教化担当者や他派からの聴講者約200人が出席した。プレゼンには20~40代の僧侶ら6人が登壇。山梨県大月市の平井裕善・本願寺派淨照寺副住職(41)は2011年から毎月、僧侶と若者らが食事を共にしながらざっくばらんに語り合う「僧職男子に癒されナイト☆」を東京・銀座で開いている。勤行や雅楽、法話などもあり、主観的には「ご法事をやっている」という感覚。「『若者向けだから』と勤行を簡略化したりはしない。そんなことをしなくても我々の話を十分聞いてもらえると実感している」「若者は仏教から離れてはいない。お寺の方が若者から離れているのではないか」と語った。(詳細は20
かとう・えつこ氏=東洋大インド哲学科卒業。東洋大仏教会会員。「祈りの文化を学ぶ会」主宰。「サンギーティの会」では草の根レベルの仏教国際交流を行い、日本在住の外国僧と日本の各宗派の僧侶を対象に、「戒律」「葬儀」「瞑想」などをテーマとして意見交換会を重ねている。「祈りの文化を学ぶ会」では、一般人を対象に日本の精神文化を紹介している。2012年、DVD「世界の般若心経を聴く」を制作。 筆者は地元の京都を基盤に、仏教国際交流の活動を行っている在家者である。国籍・宗派を問わず多くの僧侶から話を聞くことで、かえって日本仏教の魅力と特殊性に気づくようになった。日本仏教は、特に戒制度が特殊である。日本が他国での習慣をそのまま見習うべきとは思わない。しかし日本仏教における戒のあり方には、現実に即した形で、いくつか考えるべき点がある。 仏式の葬儀では、導師が故人への授戒を行うが、最近、授戒に付随する戒名が問題
仏教界で、文化財保護や地域振興、防犯といった目的で3Dプリンターによる仏像の複製を試みる寺院が増えてきた。3Dプリンターは近年、導入コストの低下や精巧な複製が手軽にできることから、医療や建築、教育など様々な分野で利用されている。「本尊盗難の被害などに遭うことを考えれば、むしろ歓迎する」という声もあり、最新技術と信仰の両立が求められている。(佐藤慎太郎) 最新技術と信仰、両立できるか 千葉県南房総市の真言宗智山派小松寺の本堂を入って右側には、大小様々な吉祥天と毘沙門天が合わせて十数体、ショーケースに並んで説明書きと共に展示されている。全て3Dプリンターで複製したもので5月から始めた。その旨を掲示していないためか、あまりの精巧さに「寺から新しく仏様が出てきた」と勘違いする檀信徒もいる。 同寺では数年前から、千葉大デザイン文化計画研究室の協力のもと、所蔵する仏像の3Dデータ化を進めてきた。中世以
「教科書で我々の宗派・宗祖はどう教えられているのか」。法然上人と親鸞聖人の師弟関係など、公教育における宗教や信仰の取り扱いが論議を呼んでいる。中外日報に、関係する論文が掲載されたこともあり、教団の議会で取り上げられ対応を探る動きが広がっている。実態把握のため、付置研究所での調査・研究も開始。宗教と教育の関係全体を見直す機運が生まれ、教化の問題と位置付ける教団もある。(佐藤慎太郎) 第一学習社の高校倫理の2015年度版教科書で、「親鸞は、師の法然の教えを継承し発展させた」との記述を、「親鸞は、師の法然の教えを継承しつつも、独自の道を歩むことになった」と、見直したことが最近明らかとなった。同社は、毎年の点検の際に従来の記述を問題視した『教科書の中の宗教』(藤原聖子著)等を参考に、執筆者との相談の上で変更した、とコメントしている。 真言宗が迷信・呪術だと思わせる記述があるとして、同宗豊山派では教
かわむら・さとふみ氏=1979年生まれ。早稲田大政治経済学部卒。ロンドン大ゴールドスミス校で修士号取得後、オーストラリア国立大で博士号取得。専門は政治・社会理論、近代日本思想史、カルチュラル・スタディーズ。共著に『ポスト代表制の政治学』など。 映画『劇場版魔法少女まどか☆マギカ―[新編]叛逆の物語―』(以下『新劇場版』)の人気がいまだ健在である。この映画は、成人を対象に2011年の深夜に放送されたアニメ番組『魔法少女まどか☆マギカ』(以下『まどマギ』)をもとにしたものである。その人気は大変高く、13年10月の公開初日観客動員数で第1位を記録し、全体的な興行収入も20億円を突破することとなった。DVDやブルーレイと言った映像ソフト版も大変好調な売れ行きである上、最近では一般人が作成したあたかも『新劇場版』の続編であるかのような動画がネット上で大変話題を呼んでいる。 この作品が興味深いのは、興
「寺離れ」「墓じまい」といわれるように一般の人たちと寺院との間に距離が広がり、寺の経営は厳しさを増している。このような中、埼玉県熊谷市の寺院で檀家制度を廃止したところ、逆に信徒が増えた。家族間の宗教の違いや子どもの代に迷惑を掛けたくないなど、様々な理由から檀家制度を敬遠する人たちが寺との新たな形のつながりを結んでいる。世間の意識との溝を前に、従来の枠組みに固執しない寺院改革が必要な時代になりつつある。(赤坂史人) 寺離れの歯止めに… 同市の曹洞宗見性院が檀家制度を廃止したのは3年前で、代わって導入した信徒制度は①旧檀家は菩提寺(見性院)に葬儀や法事を頼まなくてもよい②住職は旧檀家以外の葬儀や法事も行う③墓地を檀家以外にも(宗旨や国籍なども問わずに)分譲する④寄付、年会費、管理費などは一切ない――などが特徴だ。 見性院は市街地から南に約5キロの所にある。市街で新たに墓地を求める住民の多くは霊
韓国はアジア有数のキリスト教国として知られている。最近の統計では、カトリック・プロテスタントを合わせた比率は約30%を占め(信仰を持つと答えた人口の約半数)、日本にも多くの韓国人宣教師が存在する。 韓国現代史を振り返ると、歴代大統領の過半数はクリスチャンであり、軍事政権下における民主化運動などの先頭に立つ牧師も多く、キリスト教は韓国現代史を語る上で欠かすことのできない存在となっている。ただ、解放後の韓国のキリスト教は、冷戦構造のもと、「反共」という国是との親和性が高い「保守的な信仰(主としてプロテスタント)」が大きな勢力を有してきたのも事実である。その「保守性」が近年悪い意味で人々の耳目を集めている。その理由は彼らの性的マイノリティー(LGBT)への対応である。以下ではいくつかの関連事件のあらましを紹介しよう。 2012年9月に、韓国の公共放送KBS傘下のバラエティー専門チャンネルKBS
日蓮宗寺院を一部の法華系他宗の信者とみられる人たちが訪れ、「法論」と称して住職や寺族に過激な言葉を浴びせる事例が日蓮宗宗務院に報告されている。宗祖最大の法難とされる龍口法難の750年を2020年に控え、「法難に触発され自派の教義を押し付けようとして、こうした動きが活発化しかねない」との宗内有識者の指摘を受け、宗務院は対策に乗り出した。「対処方法シート」を4月に全寺院に配布し、はっきり「(「法論」には)応じない」と言うよう指示するとともに、今後さらに対応を検討していく。(有吉英治) 住職や寺族に“暴言” 「この寺の本尊は間違っている」「信者を地獄に落として、心が痛まないのか」「たくさんの人をだまして金をとるな」 庫裏の玄関に怒声が響く。「仏教の話を聞きたい」と訪ねてきた人たちが、次第に話題を教義に移し、激しい言葉で寺院や僧侶を侮辱し始める。このような行為を信者側は「法論」と称しているという。
福島県南相馬市の真宗大谷派原町別院は震災当初、揺れで壁が落ちたが、各地からボランティアが寝泊まりする拠点となった。そこに今、多くの遺骨の箱がずらりと並んで安置されている。 「院代さん」と皆に呼ばれる僧侶の木ノ下秀昭さん(77)が、行路病死者など市の「福祉葬」を震災前から引き受けていた関係で預かっている遺骨のうち十数体は、身元不明の津波犠牲者と、そして老人ホームなど施設に入っていた高齢者。 原発事故で急きょ避難を強いられ、あちこちの病院や避難施設をバスでたらい回しにされているうちに衰弱死した人たちだ。だが、親族が遠方に避難したままで、あるいは連絡さえ取れずに、4年を経ても引き取り手がない。「亡くなってさえ孤独なんです」と木ノ下さんはこぼした。 須弥壇左側に並べられた5体は、国直轄の除染事業のために全国各地から出稼ぎにやって来て死亡した作業員たちのもの。一帯や周辺町村の広大な土地を除染するため
真宗大谷派の門首後継者、大谷暢裕鍵役・開教司教(63)が22日、京都市下京区の真宗本廟で初めて記者会見した。1歳の時に南米開教区開教使の父・暢慶氏と渡伯し、ブラジル国籍の暢裕鍵役は「受けるべきか悩んだが、ブラジル人の自分が就任すれば、親鸞聖人の教えが世界に通用するという確認になる」と、後継者就任を受諾した理由を明かした。暢裕鍵役は昨年4月に門首後継者に選定され、先月末に日本に移住した。会見では「ご門徒さんと一緒に聞法し、念仏申していく生活を大事にしたい」と抱負を述べ、「真宗大谷派は皆で手を取り合う教団であってほしい」「東本願寺(真宗本廟)は誰もが集える場所に」と、「御同朋・御同行の精神」を強調した。また名門サンパウロ州立大を卒業し、国立航空技術研究所で教授などを務めた「物理学者」の立場から、「科学は人間のために必要だが、それだけでは真に豊かになることはできない。科学で宗教や、人と人の関係を
2010年6月29日付 中外日報(社説) 先日のP新聞の大阪本社版に、要旨次のような記事があった。京都や奈良を訪れる外国人観光客の増加に伴って、社寺の賽(さい)銭箱に外国のお金が投じられるようになった。大部分はコイン(硬貨)だ。紙幣なら銀行で両替できるが、コインは交換してもらえない。中には重さ百キロ以上ものコインを持て余している社寺もある――と。 京都府神社庁や、有名な拝観寺院の一部は、日本ユニセフ協会の「外国コイン募金」に寄付をして、活用しているという。 歴史は繰り返す、と思った。実は年号が昭和から平成に変わるころ、同じP新聞大阪本社版で、似たような記事を読んだことがあるからだ。そのころ、社会面に特設されていた読者相談欄に、要旨次のような投稿が寄せられた。 「近ごろ、神社の賽銭箱に外国コインが投げ込まれるようになった。宮司さん方は困っている。中にはコインを捨てている神社もあるらしい」 そ
ひらおか・さとし氏=1988年に佛教大大学院文学研究科博士課程満期退学。ミシガン大留学を経て、94年に京都文教短期大専任講師となる。2002年に学位・博士(文学)を取得。04年に京都文教大教授、11年から同大副学長。00年に第42回日本印度学仏教学会賞、03年に平成15年度浄土宗学術賞を受賞。 ブッダの成道と初転法輪によって呱々の声を上げた仏教の歴史だが、仏滅後、教祖ブッダ(仏)とその教え(法)の解釈をめぐり、仏教は多様化の道を辿ることになる。キリスト教も聖書の解釈如何で多様化する可能性もあったが、公会議という存在が解釈の多様性に歯止めをかけ、教義の一元(正統)化を図った。だが、その見返りとして、〈正統〉から外れた教義は〈異端〉の烙印を押され、表舞台からは姿を消すことになる。一方、公会議のようなシステムのない仏教の教義は多様化して統一を欠く反面、百花繚乱の思想を育んできたのも事実である。
2015年1月30日付 中外日報(社説) 人質事件をはじめとするISIS(イスラム国)の暴力、残虐さは決して許されることではなく、世界中から非難が集中している。在日イスラーム団体「日本アハマディアムスリム協会」から「(事件に)深い悲しみを表明し、卑劣な行為を非難します。イスラームは、愛・敬意・平和を説いており、邪悪な事件はISISがイスラームや他の宗教とはほど遠いものであることを露呈しています」という声明が本紙に寄せられた。 憎悪と暴力の連鎖ではなく、背景の状況や歴史を踏まえた平和的な解決が長期的には重要だ。「イスラム勢力が過激で悪、欧米が民主的」などという浅薄な理解では到底、問題の本質から遠い。中東地域には前世紀から先進国の利権が複雑に絡んでいる。列強国が民族を無視して押し付けた直線の国境線がその象徴だし、シリアのアサド政権を欧米やイスラエルが叩けば叩くほど反政権のISISを利する。そも
10月下旬、パリの歌劇場オペラ・バスティーユで、頭髪と顔の下半分をヴェールで覆い最前列で鑑賞していたニカブ姿の女性が、公演の途中で退席させられたと報じられた。このニュースを聞いて、ライシテ(フランス独特とされる政教分離体制)の理念と国内のムスリムが対立している様子を思い描く人は少なくなかろう。 だが、女性と連れの男性は湾岸諸国からの豊かな観光客で、劇場スタッフは幕間にフランスでは法律で禁じられていることを説明、顔を見せるか退席するかを提案したところ、男性の側が女性を促して2人で静かに退席したというものだ。最前列の席は1人あたり231ユーロだが、払い戻しの要求もなかったという。そもそもこの出来事が起こってから、メディアが最初に伝えるまで半月以上が経過している。そこまで「事件性」がなかったはずのものを、「事件」として報じているようにも見えるのである。 2004年の「ヴェール禁止法」は公立校にお
しおざき・ゆうき氏=1977年生まれ。2011年、同志社大大学院神学研究科博士後期課程修了。同大神学部助教。14年、日本学術振興会特別研究員、現在に至る。主要編著書に『マイノリティ・ムスリムのイスラーム法学』(日本サウディアラビア協会、12年)など。 現代では、結婚という制度は世界中に普遍的なものとなったようにも見えますが、150年ほど前には、世界の半分以上では婚姻や家族のあり方は現代とは異なるものであったといえるでしょう。一夫一妻の結婚からつくられる家庭を基本とする結婚制度は、キリスト教世界、特に欧米から世界中に広まっていったものです。この結婚制度は日本を含めた欧米以外の多くの国で受け入れられましたが、伝統や文化、宗教的な理由から欧米式の結婚制度を受け入れなかった国もあります。現在も一夫多妻が法律的にも認められているムスリム諸国は、欧米式の結婚制度をそのままでは受け入れなかった代表的な例
弱さ認めない男の弱さ 日本を代表する女性学の理論的指導者は言う。「自分を弱いと認められないのが男の弱さです」(池田圭)(つづきは書籍『時代を生きる 宗教を語る』をご覧ください) トップ | ニュース | 社説 | 論 | 人物 | 新製品・トレンド | 新刊書籍 | 会社案内 | サイトマップ 中外日報のホームページに記載されている記事・写真の無断転載を禁じます。著作権は『中外日報社』に帰属します。 Copyright © 2018 Chugainippoh
2014年5月16日付 中外日報(社説) 膨大な量の汚染水処理をめぐる体たらく、見通しのない核燃料処理、そして廃炉。福島第1原発の事故はこの国全体に暗雲を広げ続けているが、中でも罪深いのが被災した地元の人々、全てが被害者たる国民の分断だ。 東京で開かれた東日本大震災関連のシンポジウムで、福島のキリスト者らのNPOが、風評被害に苦しむ農家らの支援のため地元産の野菜などを教会のネットワークを通じて首都圏で販売する取り組みを報告した。 ところが京都での別の脱原発研修会では、そのような動きに「危険の疑いがあるものを、特に子供に食べさせるのは大問題」と強く反発する意見が仏教者から出た。 NPOはもちろん厳しい放射能基準を決めて計測しているし、「残留農薬の方がよほど危険」と訴えるが、批判者は「基準内だから安全という保証はない」と不信感を拭えない。 同じような対立は事故直後から指摘された。政府や東京電力
2013年11月21日付 中外日報(社説) 神社関係者から最近参拝者が妙に似通った作法をするようになったという声を聞く。例えば参道の真ん中を歩かず、端を歩く人がいる。鳥居の前で一礼する人が増えた。女性が音を出さずに柏手を打つということもあるようだ。 これはどうやらテレビで神社参拝の独自な作法を説くような番組が増えたことの影響らしい。女性が柏手の際に音を出してはいけないというのは、有名な女性占い師が言ったようである。さすがにここまで根拠のない話になると、神社関係者も捨てておけないような事態である。 神社への参拝は正式と略式がある。神社に昇殿して正式に参拝する場合には、どのようにすべきか、神職なり巫女なりが指示してくれる。しかし略式の参拝は、ある意味で多少の自由さを許容してなされてきた。にもかかわらず、あたかも正式な作法が決まっているかのように、しかも神社関係者ではない人がテレビで自由に発言す
2013年10月28日 15時13分 一燈園(京都市山科区)の「秋の集い」が19日に開かれ、日本ムスリム協会理事で名誉会長の樋口美作氏が講演、「イスラームのジハードは、本来苦難に耐えて努力する意味。一夫四妻は、母子家庭の子どもたちを保護するのが元来の目的だった」などと話した。 現在日本にはムスリムが約10万人いて、うち日本人は1万~1万5千人という。樋口氏自身は50年前、エジプト留学のために入信したが、「入信の動機よりも、入信後にどんな生活を送るかが重要」と説明した。 「イスラームは宗教であると同時に、生活様式でもある。いのちは唯一の創造神アッラーによって与えられたもので、バランスのある生活を心掛けるのが信者の務め」と紹介。またその世界観は「全ての存在に等しく価値を見いだし、同じものは一つもなく、互いに違いを持って関係し合っている。人間も、他との共生の絆で生かされていると考える」と述べた。
今年1月、大分県豊後大野市の山中にある臨済宗妙心寺派吉祥寺が宗教法人の任意解散を行った。不活動法人の解散や合併は珍しくないが、同寺は解散時に正住職も檀家もいた点で特殊な事例だ。だが背景に過疎地に共通する問題がはっきり浮かび上がってきた。 解散時の住職は元中学校校長の衛藤宗允氏(74)。檀家は約90軒、兼職して辛うじて寺門を護持できる状況で、先代は檀務の傍ら農業に従事した。 後継者確保の見通しはなかった。衛藤氏自身も健康状態が悪化し、寺の将来に悩んでいる中、近在の寺で相次いで後継者問題で混乱が生じたことが氏の決断を促した。平成22年11月に法類寺院に住職辞任を表明。翌年2月に檀家にも意思を伝えた。 なぜ、檀徒は任意解散へ向け突っ走ったのか。最も大きな理由は急激に過疎化が進む地域で、寺そのものの存続が厳しくなっていることだ。檀家自体も高齢化し、後継ぎもなく年金生活者がほとんど。年額1万円の寺の
2013年8月29日 16時37分 イタリア半島の北部に位置する、サンマリノ共和国で神社創建計画が進められている。マンリオ・カデロ駐日大使がこの計画の発案者。きっかけは平成19年に神武天皇や橿原神宮(奈良県橿原市)が描かれた「日本サンマリノ友好記念金貨」が同国政府により発行されたことで、金貨の収益金を使って両国の友好や東日本大震災の犠牲者の慰霊などを目的に神社を創建することになった。神社が建立されるのは緑地が広がるライアラ国立公園内で、同国政府が土地を提供する。敷地面積は500平方メートルで、神明造りの社殿を造営する。イタリア生まれで、同国在住のフランチェスコ・ブリガンテさんが「宮司」を務める。同氏は8月末に来日して出羽三山神社(山形県)で禊や鎮魂などを行う錬成行に参加した。社殿は今年12月8日に竣工する予定で、来春にお披露目する祭典を行うという。カデロ大使は「神社をサンマリノに造営するこ
もりもと・あんり氏=1956年、神奈川県生まれ。プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、国際基督教大教養学部教授・学務副学長。著書に『アジア神学講義―グローバル化するコンテクストの神学』『アメリカ・キリスト教史―理念によって建てられた国の軌跡』『アメリカ的理念の身体―寛容と良心・政教分離・信教の自由をめぐる歴史的実験の軌跡』、訳書にジェフリー・サイカー編『キリスト教は同性愛を受け入れられるか』など。 アメリカ連邦最高裁判所は6月26日、婚姻を男女間に限るとした「結婚防衛法」に違憲判決を出した。日本の主要新聞でも1面で取り上げられるなど関心を呼んだが、一部では「同性婚の禁止は違憲」という見出しなどから誤解も生じたようなので、少し整理してお伝えしたい。 アメリカの法体系は州と連邦の二重構造になっているが、結婚など私法の秩序に関する事柄は基本的に州法の領域にある。同性間の婚姻は、
2012年10月20日 17時25分 曹洞宗は16日、公式サイトで掲載を中断していた、過去の宗門の戦争協力を反省する声明「懺謝文」(1992年発表)を35日ぶりに復活した。一方、懺謝文を刻んだ石碑が韓国・群山の旧曹洞宗寺院「東国寺」(戦後に韓国曹渓宗に所属)の境内に立ち、曹洞宗が著作権法違反だとして撤去を求めている問題で、石碑を同寺に寄贈した一戸彰晃・雲祥寺住職は12日、撤去要求を拒絶する文書を佐々木孝一・宗務総長宛てに送付した。 同宗はサイトへの再掲載に際して、経緯を振り返る文章を同時に添えた。これによると、懺謝文への非難や撤回要求の中に「危険な兆候を発見」したといい、掲載休止は「悪意と敵意だけのアクセスや無責任な煽動」を防ぐ緊急的な措置だったと説明。 「歴史文書」である懺謝文の精神を継承し、撤回や修正は一切しないとする一方、「不断の検討を加えていくことは当然」「金科玉条に固定しておいて
ぬでしま・じろう氏=昭和35年、横浜市生まれ。東京大大学院修了、社会学博士。三菱化学生命科学研究所室長などを経て平成19年より現職。専門は生命科学・医学の研究倫理の考察。著書に『先端医療のルール』『生命の研究はどこまで自由か』『精神を切る手術』など。 2012年度ノーベル医学生理学賞が、京都大学の山中伸弥教授によるiPS細胞研究に授与され、日本中が沸いた。いったん皮膚などに分化した細胞を、元の未分化の状態に戻せたという生物学的発見の意義を認められての受賞だが、世間では再生医療に役立つとの期待を後押しする授与だと受けとめられている。 本稿では、命の始まりを扱う医科学研究が社会で評価される際に、倫理と宗教がどう絡むか、ノーベル賞という国際的なイベントから窺える様相について考えてみたい。 山中教授らが人のiPS細胞樹立に成功したとの論文を発表したのは2007年11月だったが、それは当初から、医学
世界が日本を見つめている(1/2ページ) 国際日本文化研究センター准教授 磯前順一氏 2013年1月3日付 中外日報(論・談) 2012年は、筆者にとって海外での研究活動をおこなう機会に恵まれた年であった。 スイス・チューリヒ大学でのアジアとヨーロッパの比較思想のプロジェクトに始まり、アラブ首長国連邦の会議「アラブから見た日本の近代」、ドイツ・ボッフム大学での宗教研究所での集中講義「ポスト世俗主義を考える―ヨーロッパからアジアへ」、合衆国のペンシルベニア大学での講演「フクシマ以降の日本社会―公共性と排除」、ソウルでの比較文学会での基調報告「植民地朝鮮における神道」など、欧米や東アジアと交差する歴史のなかで、日本社会の抱える問題を国際社会が共有すべき課題として読み解こうとする比較史的な企画が多かった。 それは自分の研究が日本に関心のない人々にどれだけ通用するかという意味でよい経験であった。相
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『宗教と文化の専門新聞 中外日報ホームページ:中外日報』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く