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参院選2022
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同性婚と憲法改正を絡めるのは、古い家族観に囚われた人の“為にする議論”──山添さんのことは、LGBTQ+関連のイベントや、デモなどで以前からよくお見かけしています。こうした問題に関心をもたれたきっかけは何ですか? 山添拓:2016年、東京レインボープライドに初めて行ったんですよ。ちょうど参院選への出馬を決めた頃のことで、周囲からも性的マイノリティの問題について知っておくべきだから、と勧められたのがきっかけです。それで、行ってみたらすごく楽しかった。心の壁を感じない、フラットな空間だなと思いました。パレードをしていても、渋谷の街の空気がとてもあたたかくて。
政治や社会を鋭く批評したコラムニストの小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが6月24日、病気のため死去した。65歳だった。稀代の論客の功績を所縁のある関係者が跡づける連載の第3回は、小田嶋さんのツイートをまとめた著書『災間の唄』の選者・編者をつとめたライターの武田砂鉄さんがつづる。 「ということはあれだな」小田嶋さんが死んじゃって困っている。なぜって、死んじゃうと、「辛口の社会批評、コラムニストの小田嶋隆さん死去」(読売新聞)、「小田嶋隆さんが死去、65歳 反権力の論客、コラムニスト」(東京新聞)みたいな記事のタイトルに突っ込んでくれなくなっちゃうからだ。「辛口」ってなに。「反権力」ってなに。そこに印字されている言葉を疑って、「ということはあれだな」なんて振りかぶりながら、「ってことなのかね」なんて混ぜ返してみるあの感じがないと、小田嶋さんの仕事が「辛口」で「反権力」ってところで落ち着いてしま
政治や社会を鋭く批評したコラムニストの小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが6月24日、病気のため死去した。65歳だった。稀代の論客の功績を所縁のある関係者が跡づける連載の第2回は、『GQ JAPAN』前編集長の鈴木正文さんがつづる。 「コラムは雑誌のいのちである」コラムのもとは英語のcolumnで、日本語の「コラム」は、それを翻訳というかカタカナ表記したものにすぎないのだけれど、その英語のもとにはむろん、ギリシャ語やラテン語が控えていて、たとえば古代エジプトやギリシャ、ローマなどの神殿建築を支える台付の柱のことを、「コラム」という。たいがいが装飾された円柱なのだけれど、コラムがなければ、そもそも建物は建物として成り立たない。 この「コラム」は、転じて、新聞や雑誌の、一定数の行のまとまりとしての「段」「段落」という意味にもなり、10行で1段とか20行で1段とかの決まりは媒体それぞれに紙面の都合
「鋭い批評性と親切心が同居する不思議な味わいがあった」小田嶋隆さんの訃報が届いたのは、禊祓いの行をしている途中だった。メールを読んでから道場に戻って行を続けた。小田嶋さんは、こういうのが大嫌いな人だったと思いながら、身勝手ながら供養のつもりで祝詞を上げた。 僕が最初に小田嶋さんの文章を読んだのは70年代終わりか80年代初めの、東京の情報誌『シティーロード』のコラムでだった。一読してファンになった。「若い世代からすごい人が出てきたな」とか「端倪すべからざる才能である」とか思って驚いたわけではない。ただ、「この人のものをもっと読みたい」とだけ思った。それだけ中毒性のある文章だった。それから彼の書くものを探して、むさぼるように読むようになった。 実際に拝顔の機会を得たのはそれから20年以上経ってからである。当時毎日新聞社にいた中野葉子さんが憲法9条をテーマにしたアンソロジーを編みたいというので僕
ここ10年ほどのあいだに、企業の参画などによって大きくなったLGBTQ+のムーブメント。同時に、政治の世界でも重要なイシューになっている。性的マイノリティについて政治家はどう考え、どのように社会を変えようとしているのか。以前より、セクシュアリティやジェンダーをめぐる人権や、その平等の実現のために積極的に活動している前衆議院議員の辻元清美さんに、クイア・マガジン『Over』編集長の宇田川しいが話を訊いた。
映画『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督インタビュー【前編】「この物語がいったいどこに進むのか。結末を決めないまま、撮影をスタートしました」 第75回カンヌ国際映画祭2冠! 『パラサイト』のソン・ガンホをはじめ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨンと、韓国の錚々たる俳優たちが豪華共演する傑作が、6月24日(金)に公開される。是枝監督に話を訊いた。その前編。
小さき者の視点を忘れてはいけない『ククルス・ドアンの島」は、1979年に放送された、 ガンダムの原点であるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話のサブタイトルだ。『機動戦士ガンダム』は、戦争を背景にひとつの大きな物語が描かれる大河ドラマ的な作劇が特徴だが、スケジュールの遅延などの際に調整ができるよう、本筋には影響しない、1話完結のエピソードがいくつか作られていた。 「ククルス・ドアンの島」はそれを代表する1本であり、テレビアニメが劇場版として再編集された際には完全に削られてしまったエピソードだった。では、安彦はそんな物語をどうして映画化しようとしたのだろうか?
■『ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』(1992年)「とても出来が良くて、キャラは可愛らしいし、小道具に至るまで、よく考えられていて、演出のお手本のようです。クレイアニメだけどスピード感もありますし、美しい照明もあります」(湯浅) 本作を含む「ウォレスとグルミット」シリーズや、「ひつじのショーン」シリーズで世界的に愛されているイギリスのアニメーター、ニック・パーク。シリーズ第2作めになる本作は、1993年に英国アカデミー賞短編アニメ賞に選ばれている(第3作『危機一髪』も『ペンギンに気をつけろ!』の翌々年に同賞を受賞)。
軍記物の名作『平家物語』の現代語訳版を手がけた小説家・古川日出男が、それに連なる物語として、新たに生み出したのが、『平家物語 犬王の巻』(河出文庫刊)だ。南北朝から室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王の実話をもとにしたこのストーリーを、『映像研には手を出すな!』や『夜明け告げるルーのうた』などの作品で知られる湯浅政明監督がミュージカル・アニメーションとして映画化した。
映画『シン・ウルトラマン』が5月13日に公開された。『シン・ゴジラ』を大ヒットさせた庵野秀明と樋口真嗣をはじめとする製作陣は日本を代表するSF特撮ヒーロー「ウルトラマン」とどのように向き合い、そして何を描いたのか? “シン・ウルトラマン計画”のキーパーソンが明かす。
──PCとキーボードなどなど、さまざまなデバイスに四方八方が囲まれていて、まるでコックピットのようです。作曲はPCが中心なんでしょうか? V はい、PCがかなめです。ぼくがパソコンの前に立つ以外で曲を作ることはありません。音楽の制作の中心にあるのはPCだと断言できます。はじめて曲を作った中学2年生のころからかわらないやり方です。曲の全体像を見ながら、唯一作曲できるツールがPCで、たとえばギターを使ってメロディを作り出すとするじゃないですか。でも、それってじつは“ギターを弾いて作り出されたもの”であって、自分で客観視ができてないよう感じるんです。そんなによくないメロディだったとしても、ギターだから成立していたりとか。曲作りはぼくの場合、耳だけではなくて、視覚も使います。PCのモニタを見ながら、そしてできたばかりのメロディを聴きながら、手を動かせる。それが大事です。 ──PCだったらなんでもい
一人前の男は料理ができる?雑な言い方だが、料理本には2種類ある。とにかく実用的なものと、読み物として面白いものだ。 『スヌープ・ドッグのお料理教室 60のプラチナ極上レシピ』(晶文社、2022年)は後者である。使えない本だというわけではない。スヌープ・ドッグの本職はラッパーだが、料理の専門家マーサ・スチュワートと『マーサ&スヌープのポットラック・ディナー・パーティー』という番組を作ったくらいで、料理好きとして知られている(マーサがこの本に序文を書いている)。完成品の写真がない料理や、アメリカ風に豪快すぎて作りにくそうな料理もあったりするが、基本的にはちゃんとしたレシピ本だ。私も実際にこの本を使って料理を作ってみたが、美味しくできた。 しかしながら、たぶんこの本は実用性よりも、スヌープの話が面白いというところが売りだ。料理には「ダ・ネクスト・レヴェル・サーモン」とか、ラッパーが自慢をしている
ウォロディミル・ゼレンスキーは、世界で最も“ありえない”国家指導者であると同時に、世界で最も人気のある指導者かもしれない。大統領を演じて有名になったコメディアンが本当に大統領になり、それを超越する、という彼のシュールな人生模様は、筆者がこの記事を書いている2022年2月最後の週末の時点では、もう誰もが知っている。 映画『パディントン2』のウクライナ版でパディントンベアの声を務めた彼は、12本のコメディと1本の映画に出演した人物である。ゼレンスキーは、2019年、当時のトランプ大統領から、ウクライナへの軍事支援などと引き換えに、バイデン氏に絡む疑惑の調査を依頼されたという。これが「権力の乱用」にあたるとされ、トランプ氏は弾劾訴追を受けることにもなった。そしてゼレンスキーは今、包囲された首都・キエフの街角で、プーチンと対峙している。 ゼレンスキーという存在が世界的な反響を呼んでいるのは、彼が世
「Vaundyってアーティストがすごい!」と、筆者のまわりでよく耳にするようになったのは昨年末頃。YouTubeに続々と楽曲をドロップし、SNSで拡散させ、楽曲の力でバズを起こした正体不明のアーティストとして噂になっていた。筆者は、自粛期間中に観たフジテレビのオンデマンド放送、FODのドラマ、『東京ラブストーリー』の主題歌「灯火」で、ようやく彼の名前と曲が合致した。 「僕は、音楽活動をするために戦略的に準備をしてきたんです。YouTubeデビューした2019年の秋頃から月1でオリジナル楽曲、月2で集客のためのカバーをアップしていったんです。それを続けていたら"あの曲"がバズった」 あの曲とは、ミュージックビデオが1300万回再生以上を記録し、現在のVaundyの代表曲となった「東京フラッシュ」。この曲は、「J-WAVEに流す曲」と決めて製作を進めたという。耳なじみのよいアーバンなメロディー
『日本移民日記』 「移民者ラッパー」からの卒業──『日本移民日記』のタイトルにも入っている「移民」という言葉は、これまでもMOMENTさんの活動において、自ら「移民者ラッパー」と名乗るなど象徴的に使われてきましたが、この本では「移民」をかなり広く定義していることが印象的でした。たとえば第1回「『いない』と言われても僕はここに『いる』」では、「『移民』という言葉が英語でどんな意味なのか、法律的にどんな意味なのか、クソほども興味がありません」と断った上で、「私が言う『移民』は『違う地域・文化圏から来て今ここに住んでいる人』を意味します」「田舎に生まれ育った人が上京した場合も、その文化の違いによって深くて濃い経験をするのならば、その人は自分を移民と呼んでよいでしょう」と書いています。ここは議論を呼ぶポイントとも思ったのですが。 MOMENT JOON(以下、MJ):僕の周りの留学生たちは、みんな
次のアルバムでは逃げたくない──初の著作『日本移民日記』についてのインタビューとはいえ、ちょうど昨晩、ライブを観てしまったからにはこの話から始めざるを得ないかなと思います。……本当に引退してしまうんですか? MOMENT JOON(以下、MJ):そうですね。次のアルバムをつくって、それにまつわる活動が一周したら、MOMENT JOONとしての活動は止めたいと思っています。昨日のライブではスタッフにも相談せず勝手に言ってしまったので、実際に許されるのかどうかわからないんですが、僕の希望としては次のアルバムで終わりにしたい。 ──ステージでは「この引退宣言をするために今日のライブを組んでもらった」というようなことを言っていましたが、実際は衝動的な発言だったんですね。 MJ:直接お客さんに伝えるかどうか、最後の最後まで迷ったんです。ただ昨日の〈White Lies & Blue Truth〉とい
──タイトルにある「空気を読む」という言葉は、協調性を重んじる作法のように解釈されていますが、実質はその場の弱者に課せられるただの同調圧力だと私は思います。この言葉について、石川さんは今どんなふうに感じますか。 石川:「はじめに」にも書きましたが、「KY」という言葉が流行した当時、私はこの「KY」の烙印を押されないよう、自分を押し殺して必死に生きていました。そしてそれを続けるうちに、だんだん自分の本心さえわからなくなってしまった。それどころか、今思えば、当時は自分がそんなまずい状態になっていることにさえ気づけていなかったと思います。 シャツ ¥35,200、スカート ¥59,400(ともにUJOH/エム Tel.03-3498-6633)ブーツ ¥69,300(TOGA PULLA/トーガ 原宿店 Tel.03-6419-8136)イヤーカフ ¥17,600、ネックレス(太)¥165,00
“私の日常生活とフェミニズムをつなげながら伝えられるものを書きたかった”──#KuToo開始から2年、石川優実が新刊『もう空気なんて読まない』を語る アクティビストとしてではなく、一個人として自分の人生を振り返りながらフェミニズムを考えたい。そんな思いから生まれた書籍『もう空気なんて読まない』が11月22日(月)に発売された。10月のある日、著者の石川優実さんにインタビューした。その前編。 石川優実さんは現在、アクティビストや俳優、ライターとして活動している。2019年、職場で女性にのみ、足を痛める可能性の大きいハイヒールやパンプスの着用を強制することに抗議する「#KuToo(クートゥー)」運動を開始した。この運動は瞬く間に多く人々の支持を得て、石川さんは同年、BBCが選ぶ世界の人々に感動や影響を与えた「100人の女性」に選出された。そしてまた、「#KuToo」という言葉は2019年の「新
*以下、ネタバレを含みます。 ボスと元カレのいる職場風景マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作『エターナルズ』は、以前のシリーズ作品に比べるとだいぶ風変わりだ。ロケ撮影を増やしており、ヴィジュアルに関しては独特のこだわりがある。話も直線的には進まず、人類史上のさまざまな神話や古典を取り込みつつ人間ドラマを作ろうとしている。 2021年10月24日、イタリア・ローマで行われた第16回ローマ映画祭にて。左からキット・ハリントン、アンジェリーナ・ジョリー、クロエ・ジャオ、ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン。 (Photo by Alessandra Benedetti - Corbis/Corbis via Getty Images) こうした特徴は、監督がクロエ・ジャオだということに帰せられるだろう。中国生まれのジャオは、前作『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞監督賞を
ラッパーのドレイクやデザイナーのヴァージル・アブローがそのTシャツを着用し、オンラインを中心に密かな話題となっているブランド「NISHIMOTO IS THE MOUTH」。そのディレクターである西本克利に話を訊いた。 Hiroyuki Takenouchi身体の隅々にまで精細なトライバル・タトゥーを彫りこんでいる西本克利(ニシモトカツトシ)さんは、都内にあるオフィス兼自宅にてわれわれ取材班を出迎えてくれた。部屋にはレア・スニーカーがうず高く箱積みされ、プロレスのフィギュアや、アングラ映画やお笑いのVHS、音楽レコード、ブラックメタルのフライヤーなどがズラッと並んでいる。BGMは呪術的なサウンドのドローン・ミュージック。 「この部屋は自分の脳味噌みたいな空間ですね。ジャンルもぐちゃぐちゃなものが多いですが、居心地がいいんです」 ライフスタイル・ブランド「NISHIMOTO IS THE M
今まで会ったことのないタイプの編集者だった。何というか、勤め人のくせに会社の看板を背負っているところがなく、一匹狼の匂いがあった。それでいて反骨精神をこれ見よがしに振りかざしているわけでもなく、自然体なのである。好ましい人物だと思った。 ぼくはこの小野編集者の依頼で「鋼鉄男シリーズ」(漫画ホット 十月四日号~十二月六日号 秋田書店)というのを描いた。女に手酷く振られた醜男が電車に飛び込んで自殺を図る。男が昏睡から覚めると手術台の上だった。彼の体は鉄板を張り合わせたロボットになっていた。外科医が入って来て、 「体がグシャグシャになっていたので適当に鉄板を張り合わせておきました。身体の中はカラーテレビの部品で十分間に合いましたよ。わっはっはっ」 と笑う。鋼鉄男にされてしまった男の復讐が始まる。鋼鉄男は看護婦の首を折り、病院の職員を投げ飛ばし、駆け寄って来た両親の頭を砕き、病院を出て、走るダンプ
気鋭のシェフが丸の内にビストロを作った今年の1月、「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」のエグゼクティブシェフに英国出身のダニエル・カルバート(33歳)が就任した。 カルバートといえば香港の「Belon」を4年で「アジアのベストレストラン50」の4位にランクインさせた俊英だ。ロンドン、NY、パリ、香港でキャリアを積み、NYの3つ星店「Per Se」では最年少(23歳)のスーシェフに抜擢され腕をふるった。 そんな実力派がホテルのダイニングを盛り上げるべく来日。入念な準備を経て、カジュアルにも使えるビストロの「MAISON MARUNOUCHI(メゾン マルノウチ)」を6月1日に、特別な日にぴったりの高級フレンチ「SÉZANNE(セザン)」を7月1日にオープンした。
「長い休みがあったら海外旅行がしたいです。柔道衣をもたずに(笑)」。キュートな笑顔で明るく笑う20歳の阿部詩。どこにでもいそうな女の子がいちばん欲しいものは「誰にも負けない圧倒的強さ」。
「問いかけに答えてください」を問い続ける菅義偉首相の会見を見ていると、彼は、奇妙なところで笑みを浮かべる。ちっとも面白いところではないのに笑う。スベったとか、意図が伝わらなかったとか、ではない。強張っていた顔がほぐれるタイミングが、おおよそ奇妙なのだ。 手元に、『月刊Hanada』2021年9月号がある。「独占インタビュー 菅義偉総理大臣 国民の疑問に答えます」と題した、13ページにわたるロングインタビューが掲載されている。とにかく、「(笑)」がしょっちゅう出てくる。この「(笑)」表記というのは、どれくらいの笑いなら入れるかなど、なにかしらの基準があるわけではない。自分はしょっちゅう、編集者から送られてきたインタビュー・対談原稿にある「(笑)」を取り除いているのだが、なぜならば、その「(笑)」の受け止め方は、読み手によって異なるから、慎重になるのだ。
自然豊かな高知の田舎で生まれ育った、内気で自分に自信のない女子高校生、すず。 過去作との関連で見る、細田アニメ最新作『竜とそばかすの姫』(2021)は、2000年代以降の日本のアニメーションを代表する監督であり、世界的にも熱い注目を浴びる細田守の長編映画第7作で、3年ぶりの最新作である。 物語のおもな舞台となるのは、<U>と呼ばれる巨大なネット世界。幼いころに母を事故で亡くしたことがきっかけで心を閉ざして生きる高知の平凡な女子高校生・鈴(声:中村佳穂)が、ひょんなきっかけから「ベル」というアバターを作って<U>の世界に参加し、絶世の歌姫として世界中から熱狂的な支持を得る。そんな彼女の前に「竜」という謎めいた存在が出現する。竜は<U>の世界に混乱をもたらすが、たがいに傷ついた心をもつベルと竜はその「正体探し」の騒動に巻き込まれながらもいつしか惹かれあっていく……。ディズニーアニメでも知られる
リニューアルした『コモンズ・スコラ』の第1弾『vol.18 ピアノへの旅』の刊行を記念して、総合監修を務める音楽家・坂本龍一と、同書の全編に登場するゲストの音楽学者・伊東信宏との対談をお届けする。 坂本龍一がもっとも長く深く親しんできた楽器、ピアノをテーマに選んだリニューアル第1弾『ピアノへの旅』は、2021年7月24日にアルテスパブリッシングより発売される(定価:本体2000円+税)。 クラシック/非クラシックを問わず、世界中の様々な音楽をテーマに取り上げ、各界の専門家とともに厳選した楽曲を収録したCDと、重厚な解説ブックレットが一体化した『コモンズ・スコラ』は、2008年のVol.1『J. S. バッハ』以降、2018年『ロマン派音楽』まで全17巻をリリースしている。そんな『コモンズ・スコラ』が18巻からは書籍としてリニューアル。書籍内で取り上げる楽曲はSpotifyやApple Mu
「(こころの)密で勝つ」コミュニティ:グラスルーツ・メディアは倒れない──2つ目は、東京・渋谷のDOMMUNE コロナ禍の1年、他の人との「距離」の取りかたを、だれもが意識するようになった。会話をする、顔と顔を向かい合わせる、人間のナマな存在のオーラを感じる、相手の呼吸と共振する、などなどの全身を駆使したコミュニケーションに、意識的な「距離」が介在することに否応なく慣れて、ともすれば社会性を喪失しつつある僕たちにとって、連帯の場としての「コミュニティ」(共同体)は、いまどこにあるのか? それはどうつくられていくのか? 多様なカルチャーを発信し、人々をコネクトする2つのコミュニティを紹介する。
映画『アメリカン・ユートピア』──デイヴィッド・バーン×スパイク・リー! 分断と差別の時代に「見えないつながり」を問いかける大傑作 元トーキング・ヘッズのフロントマン、デイヴィッド・バーンによる伝説のショーを映画化! 実際にブロードウェイでショーを体験したことのあるライター、松永良平がレヴューを寄せた。“さかさまのユートピア”が意味するものとは? ツアーから舞台に、そして映画へ2018年3月、デイヴィッド・バーン10枚目のソロ・アルバムとして『AMERICAN UTOPIA』はリリースされた。そのツアーでバーンが採用したのが、ステージ上にはマイクも楽器もアンプもケーブルもスピーカーも置かず、プレイヤー全員が動きながら演奏するという画期的なアイデアだった。普通なら不可能と思われるドラムさえ、複数のパーカッショニストたちの連携によって再現してしまう。バーンも含めた12人のミュージシャンたちは、
“ストーンウォールの反乱”をめぐって1969年6月28日未明。その日もいつものように、警官がニューヨークのゲイバー、ストーンウォール・インに踏み込んでいた。酒類販売管理法違反の捜査という名目で、店員だけでなく客の性的少数者たちも店の外に連れ出される。店員が警官にお目こぼしの賄賂を支払って騒動はおさまるように思えたが、その夜はいつもと違った。最後に店から連れ出された客がこう叫ぶ。「お前ら、なにかしろよ(Why don’t you guys do something?)」。その声に呼応し、溜まっていた鬱憤が一気に暴発するかのように、性的少数者たちがいっせいに警官に反撃をくわえはじめる。 その暴動は3日間続いた。これが「ストーンウォールの反乱」と呼ばれるできごとである。1960年代後半に生まれた、多数派の同情を求めるのではないタイプの同性愛者の社会運動をゲイ解放運動(Gay Liberation
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