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    GWの過ごし方

『コトゴトの散文』

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  • 【短編小説】タワーマンションのショウコウキ - コトゴトの散文

    3 users

    www.kotogotono.com

    (出囃子) ドンドン、パン。 ドドドン、パンッ。 ドンドン、パン。 ドドドン、パンッ。 ピー。ピーヒャラリー・・・・・・。 ひょろりと背の高い男が、白髪交じりの頭を揺らしながら、ゆっくりと舞台に上がって来る。細身の体つきと和服がどうにも馴染んでいないような印象を受けるのだが、不思議なことに、一度彼が高座に置かれた平台の奥に座ると、昔から彼の事を知っているような親しみを覚える。 出囃子の音がどんどんと小さくなり最後に消えてなくなると、男は口を開いた。その声はとても穏やかでのんびりとしたものだった。 えー、くにんでございます。 「エレベーター」をテーマにした当アンソロジー、力作・名作の数々をお楽しみのところと思いますが、やはり、人間には休憩も必要でございます。そこで、この辺りで肩の力を抜いた私の小話をお楽しみいただきたく思います。 あぁ、アンソロジーはまだまだ続きますから、お手洗いに行きたい方

    • 暮らし
    • 2022/07/02 02:40
    • 小さな叙事詩 - コトゴトの散文

      3 users

      www.kotogotono.com

      東欧の冬は夜の冷え込みが厳しいだけに、朝の訪れは大きな喜びだ。 濃紺色に塗り潰されていた夜空のほんの一部、遠く彼方の地平線の上部に鮮橙色の光が現れたかと思うと、それは徐々にではあるが確実に空を明るい青色に塗り替えていった。朝日の光が石造りの家が立ち並ぶ町にもたらされると、家々の間から白い霧が立ち込め始めた。女性が寒さから身を守るために纏うショールのようなそれは、差し込んだ日光により温められた地面から立ち上る水蒸気だった。 町の一角で、綿のように白い霧の中にぼんやりとその姿の一部を現わしている石壁。それは、古くからこの土地に建ち、多くの家族を見守り続けてきた家の南壁だ。 朝日が当たり温かな黄色に染まったその壁には、しっかりとした木枠で囲まれた小窓があった。 窓の向こう側、つまり、家の内部に、小さな影が現れた。それは少年のものであった。少年は窓に近づいて来ると、カーテンを開けた。 ベッドから出

      • 暮らし
      • 2022/02/02 08:03
      • 【閑話】短編集「九月の雨はクラゲ色」を発売しました。 - コトゴトの散文

        5 users

        www.kotogotono.com

        みなさん、こんばんは。くにんです。 今冬一番の寒波が襲来しているとのこと、寒いですねぇ。 さて、今回は嬉しいお知らせです。 先日から制作をしておりました僕の初めての掌編・短編集が、秋風堂書房から文庫本として発売されました! 題名は「九月の雨はクラゲ色」。著者名は「秋野紅人」。これは「くにん」の元々の筆名です。A5の文庫本で266ページです。 主に当ブログ「コトゴトの散文」を始めた頃の作品を中心に、全20編を収録しています。 お値段は、売れば売るほど赤字が膨らむ驚きの価格で、なんと300円!(送料別) ちなみに配送はネコポスを利用しますので、配送料は全国一律370円です。 「あんしんBOOTHパック」と言う販売方法を用いますので、買い手売り手ともに相手方に個人情報を知られること無くお取引できます。 僕の初めての文庫本、下記サイトより購入可能ですので、新年の始めに是非お読みください。(#^.^

        • 学び
        • 2021/12/25 21:32
        • 【短編小説】思い込んだら命懸け - コトゴトの散文

          3 users

          www.kotogotono.com

          田舎の村。とてつもない田舎の村。 俺は新規開店を明日に控えた店の前で、地元の人たちと会話をしている。 ようやくだ。やっとここまで来たぜ。 俺の子供のころからの夢はピザ職人になることだった。だから俺は、中学を卒業すると直ぐに料理の世界に飛び込んだ。親は高校にだけは行ってくれと言って泣いたが、そんな回り道はしたくなかった。修行の為にわざと見ず知らずの他人の店で働いたんだが、シェフと言い合いになって辞めさせられることが何度もあった。どいつもこいつも「お前は思い込みが強すぎる」と言いやがった。中には「お前はいつか思い込みの強さのせいで痛い目に合う」なんていう奴もいた。何を言ってやがるんだ。思い込んだら命懸けでただひたすらに走り続けないと、目指している所には辿り着けないじゃねぇか。 それでも、何年か修行するうちにどうやら自分の腕に自信が持てるようになってきたので、俺は自分の店を持つために動き出すこと

          • 学び
          • 2021/10/01 06:25
          • 月の砂漠のかぐや姫 第213話 - コトゴトの散文

            3 users

            www.kotogotono.com

            (これまでのあらすじ) 月の巫女である竹姫と、その乳兄弟である羽磋。月の巫女としてではなく、素の自分の居場所が欲しいと頑張る竹姫に、羽磋は「輝夜」(かぐや)の名を贈り、自分が輝夜を望むところに連れて行くと約束します。それは二人だけの秘密でした。しかし、大砂嵐から身を守るために月の巫女の力を使った竹姫(輝夜姫)は、その大事な秘密を忘れてしまいます。月の巫女はその力を使った代償として自らの記憶・経験を失い、最悪の場合は、その存在が消えてしまうのです。それを知った羽磋は、輝夜姫が無事に生を全うして月に還ることができる方法を探すため、肸頓族の阿部の元へと旅立ったのでした。 ※これまでの物語は、「月の砂漠のかぐや姫」のタブでご覧になれますし、下記リンク先でもまとめて読むことができます。 www.alphapolis.co.jp 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ)【輝夜姫】(かぐやひめ) 月の巫女とも

            • 世の中
            • 2021/08/24 17:15
            • 【詩】ここにはいない貴方へ歌う唄 - コトゴトの散文

              3 users

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              タン タン タタタン タン タン タタタン 柔らかな紙を束ねたノートに文字が 光るインクで綴られていく 貴方があらわす詩にはいつも 優しい音楽が宿ってる 顔も知らないけれど 声も知らないけれど 貴方がそこに居ることで 僕はいつも救われる 貴方が今日も 笑っていられますように 貴方が今日も お腹いっぱいでありますように 貴方が今日も よく眠れますように 貴方が今日も 幸せでありますように タン タン タタタン タン タン タタタン 藍で染めたような夏の空に鯨が 白い腹を見せて昇っていく 貴方が描く絵ではいつも 爽やかな風が吹いている 顔も知らないけれど 声も知らないけれど 貴方がそこに居ることで 僕はいつも救われる 貴方が明日も 笑っていられますように 貴方が明日も お腹いっぱいでありますように 貴方が明日も よく眠れますように 貴方が明日も 幸せでありますように 世界では鳥たちが喉を震わせ

              • 暮らし
              • 2021/08/09 14:29
              • 【詩】5月の共鳴 - コトゴトの散文

                3 users

                www.kotogotono.com

                梅雨の走りの雨が止み 僕は傘を畳んで家路を急ぐ 一刻も早く黒雲を払いのけようというのか風が騒ぎ 大きく張り出した木々の枝が震える 道には大きな水たまりができていて 靴を濡らしたくない僕は 途方に暮れる すうっと傍らを通り抜けた風が木の葉から落としたのは 一粒の水滴 ぶわわわ 雲と風が押し合う空を映していた水たまりは 水滴を受け止めた個所を中心に 揺れる 揺れる それは幾重にも重なる円を描いて 広がる ぴちょん 肌にまとわりつくような湿った空気は 水滴が落ちた箇所を中心に 震える 震える それは幾重にも重なる球を描いて 広がる 円が 球が 広がり 薄れ 消えた後 水たまりに映る空は 先ほどまでより明るくなり 道を通り抜ける風は 先ほどまでより乾いている 僕は 水たまりの空を壊さぬよう 注意深く歩いて ゆっくりと家路を楽しむ

                • 学び
                • 2021/05/22 21:20
                • 【小説】おかしをわがてに! - コトゴトの散文

                  3 users

                  www.kotogotono.com

                  しんあいなる、せいパウロほいくえんのどうししょくん! われわれはいま、ききにひんしている。 おかしにうえ、そして、かわいているのだ。 サクサクとしたしょっかんで、アニメを見ながらいくらでも食べることのできるスナックかし。 ふかみのあるあまさで、どろあそびやおにごっこでたまったつかれを、すっかりいやしてくれるチョコレート。 口のなかでころがすもよし。いっきにかみくだくのもよし。ひるねのあとのきぶんてんかんにさいてきなあめ玉。 これらをはじめとするおかしは、こどもをしあわせにするためにうまれてきたものだ。 しょくぶつがたいようをもとめるように、さかながみずをもとめるように、こどもはおかしをもとめるものだ。 おかしがわれわれこどもとともにあるはずなのは、しょくんらがいちばんよくしっているだろう。 しかし、しょくん! いまのじょうきょうはどうだ。 おやつのじかんなどといういみふめいなぞうごにより、

                  • 世の中
                  • 2020/06/28 01:23
                  • こんな夢を見た - コトゴトの散文

                    3 users

                    www.kotogotono.com

                    こんな夢を見た。 懐かしい小学校の教室。教室は笑い声で満たされていた。児童のみんなが笑っていた。たった一人、僕だけを除いて。 そう、笑われているのは、僕だった。 僕はさんすうの問題に自信満々で回答したのだが、その答えがまったくの見当違いだったのだ。 隣のクラスの児童がびっくりするほどの大笑いの渦の中で、僕は真っ青になって立ち尽くしていた。 「はい、注目!」 そんな僕を救ってくれたのは、先生だった。 「いい、みんな? 彼は自分の意見を言ってくれました。それはとっても勇気の要る良いことです。答えとあっているかどうかは関係ないんです。人の意見を笑っちゃダメ。意見を言ってくれたことに、拍手をしよう」 「はーい」 パチパチパチ・・・・・・。 ああ、そうだ。 正解のある問題でもそうなのだ。それなのに僕は、正解のない問題に対する人の意見を、笑っていないか。尊重しているか。 「ありがとう、先生」 僕は布団

                    • 世の中
                    • 2020/06/07 04:50
                    • 月の砂漠のかぐや姫 第130話 - コトゴトの散文

                      3 users

                      www.kotogotono.com

                      (これまでのあらすじ) 月の巫女である竹姫と、その乳兄弟である羽磋。月の巫女としてではなく、素の自分の居場所が欲しいと頑張る竹姫に、羽磋は「輝夜」(かぐや)の名を贈り、自分が輝夜を望むところに連れて行くと約束します。それは二人だけの秘密でした。しかし、大砂嵐から身を守るために月の巫女の力を使った竹姫(輝夜姫)は、その大事な秘密を忘れてしまいます。月の巫女はその力を使った代償として自らの記憶・経験を失い、最悪の場合は、その存在が消えてしまうのです。それを知った羽磋は、輝夜姫が無事に生を全うして月に還ることができる方法を探すため、肸頓族の阿部の元へと旅立ったのでした。 ※これまでの物語は、「月の砂漠のかぐや姫」のタブでご覧になれますし、下記リンク先でもまとめて読むことができます。 www.alphapolis.co.jp 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ)【輝夜姫】(かぐやひめ) 月の巫女とも

                      • 世の中
                      • 2020/01/13 03:01
                      • 【閑話】 140編のマイルストーン - コトゴトの散文

                        4 users

                        www.kotogotono.com

                        みなさん、こんにちは。くにんです。 学生の方は、もうすぐ夏休みですね。いや、もう夏休み中の方もいらっしゃるのかも。社会人にはそこまでの長期休暇は無いのですが、学生さんが少なくなるこの時期は、朝の通勤電車の混雑が多少マシになるので、有難かったりします。(^-^; さて、おおよそ140編のマイルストーンです。 小説&詩の数とマイルストーンの数を合わせようと、若干、ショートシフトしております。ちょっと一休み。肩の力を抜いて、閑話です。 いつも、「月の砂漠のかぐや姫」を始めとする創作や閑話を読んでいただいて、ありがとうございます! 「月の砂漠のかぐや姫」も、もうすぐ100話になろうとしています。ここまで続けられているのは、読んでくださっている皆さんの存在があってのことです。本当にありがとうございます! また、あらたに拙ブログに遊びに来られた方も、「月の砂漠のかぐや姫」は、毎話約2000字程度、週に

                        • 学び
                        • 2019/07/07 17:17
                        • 月の砂漠のかぐや姫 第65話 - コトゴトの散文

                          4 users

                          www.kotogotono.com

                          (これまでのあらすじ) 月の巫女である竹姫と、その乳兄弟である羽磋。月の巫女としてではなく、素の自分の居場所が欲しいと頑張る竹姫に、羽磋は「輝夜」(かぐや)の名を贈り、自分が輝夜を望むところに連れて行くと約束します。それは二人だけの秘密でした。しかし、大砂嵐から身を守るために月の巫女の力を使った竹姫(輝夜姫)は、その大事な秘密を忘れてしまいます。月の巫女はその力を使った代償として自らの記憶・経験を失い、最悪の場合は、その存在が消えてしまうのです。それを知った羽磋は、輝夜姫が無事に生を全うして月に還ることができる方法を探すため、肸頓族の阿部の元へと旅立ったのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 www.alphapolis.co.jp 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ)【輝夜姫】(かぐやひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。人々からは「竹姫」と呼ばれる。羽磋に

                          • 学び
                          • 2019/02/24 18:26
                          • 月の砂漠のかぐや姫 第64話 - コトゴトの散文

                            3 users

                            www.kotogotono.com

                            (これまでのあらすじ) 月の巫女である竹姫と、その乳兄弟である羽磋。月の巫女としてではなく、素の自分の居場所が欲しいと頑張る竹姫に、羽磋は「輝夜」(かぐや)の名を贈り、自分が輝夜を望むところに連れて行くと約束します。それは二人だけの秘密でした。しかし、大砂嵐から身を守るために月の巫女の力を使った竹姫(輝夜姫)は、その大事な秘密を忘れてしまいます。月の巫女はその力を使った代償として自らの記憶・経験を失い、最悪の場合は、その存在が消えてしまうのです。それを知った羽磋は、輝夜姫が無事に生を全うして月に還ることができる方法を探すため、肸頓族の阿部の元へと旅立ったのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 www.alphapolis.co.jp 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ)【輝夜姫】(かぐやひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。人々からは「竹姫」と呼ばれる。羽磋に

                            • 学び
                            • 2019/02/22 20:19
                            • 【閑話】 100編のマイルストーン - コトゴトの散文

                              3 users

                              www.kotogotono.com

                              みなさん、こんばんは。くにんです。 寒いですね。僕の住んでいる関西はそうでもないのですが、関東や北日本では観測史上最大級の寒気が入ってきているとのこと。外出時には、お怪我などされぬよう、くれぐれもお気を付けください。 おおよそ100編のマイルストーンです。 創作全体(小説と詩)の数と合わせようとして、若干ショートシフトしております。 ちょっと一休み。肩の力を抜いて、閑話です。 「おおよそ」とは言え、「100編」とはいい区切りですね。「月の砂漠のかぐや姫」も順調に(?)進んでおります。ここまで続けていられるのは、読んでくださっている方があればこそ、です。いつもありがとうございます! 本当に、いつも励まされております!! 「月の砂漠のかぐや姫」、今、61話ですか。うーん、もうすぐ始めてから一年になりますか。良く続いてますね、我ながら。(笑) もちろん長ければ良いというわけではないんですが、途中

                              • 学び
                              • 2019/02/11 08:59
                              • 【掌編小説】 開ける - コトゴトの散文

                                3 users

                                www.kotogotono.com

                                「た、た、探偵さん、お願いしますっ。助けてくださいっ」 分厚い樫の木でできた事務所の扉が勢いよく開かれたと思うと、大きな声を出しながら、細身の紳士が部屋の中へ飛び込んできた。同時に入り込んできた冷たい外気で、応接室の暖炉の炎が揺らいだ。 僕がこの探偵事務所の助手をするようになってから、しばらくは経つ。このような突然の来客にも、何度かお目に掛かっている。僕は、テーブルに広げていた下書きと資料をざっとひとまとめにすると、落ち着いた様子を崩さないように気を付けながら、ソファーから立ち上がった。 「ようこそいらっしゃいました。何か、お困りごとでしょうか。どうぞ、外套はそちらにおかけになって、ソファーへおかけください、今・・・・・・」 「た、探偵さん、そうなんです、困っているんです、本当に困っているんです。聞いてください、僕は。いや、そうだ、聞いてもらうだけではなくて、教えてもらわなければ。そうです

                                • 世の中
                                • 2019/01/17 16:31
                                • 月の砂漠のかぐや姫 第45話 - コトゴトの散文

                                  3 users

                                  www.kotogotono.com

                                  (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めると共に、大事な話をし始めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 月の砂漠のかぐや姫これまでの物語 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に「輝夜」の名を贈られる

                                  • 暮らし
                                  • 2018/11/21 20:12
                                  • 【掌編小説】 渦 - コトゴトの散文

                                    5 users

                                    www.kotogotono.com

                                    「ねぇ、見てよ。すごく綺麗でしょう」 嬉しさが溢れたような彼女の声に促されるまま、僕は望遠鏡を覗き込んだ。碧黒の宇宙空間を背景とした視野の中心には、とても大きな、くっきりと明るい光が、周囲に渦のような手を広げながら座っている。 「それは、M31アンドロメダ座大銀河だよ。日本から見える銀河では最大のものなんだから。あまりに大きすぎて、望遠鏡で見ると全体が入りきらないぐらい。でも、凄いよね、伸ばした渦巻きの手まで、はっきりと見えるでしょう。秋のこの時期は、アンドロメダやスバルなどの、大物の銀河や星団が目白押しなんだから。渦と言えば、ブラックホールもそう。大質量の星が収縮していった結果、とてつもない質量になって周りのものをどんどんと吸い込んでしまう。そこからは光さえも脱出できないので、直接は観測できないほどなんだから。あ、地球上にだって、渦巻きはたくさんあるんだよ。『始めに渦巻きありき』とは古代

                                    • 暮らし
                                    • 2018/11/18 08:33
                                    • 月の砂漠のかぐや姫 第42話 - コトゴトの散文

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                                      (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めると共に、大事な話をし始めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことができます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に

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                                      • 2018/11/04 19:25
                                      • 【短編小説】 どうして忘れていたんだろう - コトゴトの散文

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                                        バスの窓にもたれかかりながら、私はぼんやりと空を眺めている。アゾフ海の上には、今日も薄汚れた雲が広がっている。油田から立ち上がる煙が空を汚しているのか、いや、汚れているのは雲を見つめる私の瞳なのか。 私はいま、州都からアゾフ海沿岸の田舎町へ向かうバスに乗っているところだ。田舎町というのは私の父の実家があったところだが、父が州都の石油会社で働くようになってから私が生まれたため、その町、いや、町と言うほどの規模もないその村については、夏の長期休暇の際に滞在した思い出しかない。早くに妻、つまり私の母を亡くした父は、息子の夏の長期休暇は実家に預けることで、自分も子供の世話から解放されるようにしていたのだ。 退職後も州都で過ごし実家には戻っていなかった父が、先ごろ亡くなった。そのため、父が所有していた田舎村の家や土地などは、私に引き継がれることになった。今日は、その村の家や土地を処分するか活用するか

                                        • 世の中
                                        • 2018/10/29 19:06
                                        • 月の砂漠のかぐや姫 第41話 - コトゴトの散文

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                                          (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めると共に、大事な話をし始めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に

                                          • 学び
                                          • 2018/10/26 10:06
                                          • 月の砂漠のかぐや姫 第39話 - コトゴトの散文

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                                            (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めると共に、大事な話をし始めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に

                                            • 世の中
                                            • 2018/10/15 05:34
                                            • 月の砂漠のかぐや姫 第37話 - コトゴトの散文

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                                              (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことが出来ます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に「輝夜」の名を贈られる。

                                              • 世の中
                                              • 2018/10/08 15:46
                                              • 月の砂漠のかぐや姫 第36話 - コトゴトの散文

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                                                (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に襲われた二人は意識を失いますが、大伴に助けられます。宿営地で目を覚ました羽は竹姫の無事を確認しますが、なんと、竹姫は大事な約束を完全に忘れているのです。淋しさと怒りで羽は竹姫に傷つける言葉を投げつけて走り去りました。その羽と行き会った大伴は、話をするために彼をゴビへ誘い、そこで「羽磋」という名を贈って成人を認めるのでした。 ※これまでの物語は、下記リンク先でまとめて読むことができます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。羽磋に「輝夜」の名を贈られる。

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                                                • 2018/10/04 04:58
                                                • 月の砂漠のかぐや姫 第35話 - コトゴトの散文

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                                                  • 2018/09/30 14:50
                                                  • 【掌編小説】 レディ・ジェーン・グレイのダンス - コトゴトの散文

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                                                    「1,2,3。1,2,3。そして、ターン」 ロンドンの中心部を流れるテムズ川。その川岸では、かつてはロンドンを外敵から守るための要塞、国王が居住する宮殿として使用され、その後、身分の高い王侯貴族の収監、処刑をする監獄としても使用されるようになったロンドン塔が、硬く冷たい石造りの姿で周囲を威圧している。 ロンドン塔に潜むワタリガラスの他は、渡り鳥でさえその周囲を飛ぶことを避けるといわれるロンドン塔の一角、ナサニエル・パートリッジズ・ハウスと呼ばれる場所では、若く美しい娘が一人、石造りの部屋の中でダンスを踊っていた。 彼女の名は、ジェーン・グレイ。16歳の少女だ。 イングランド王家に繋がる彼女は、その血統に注目したウォリック伯の政争に巻き込まれ、彼の息子と結婚することとなった。そして、イングランド王エドワード6世の死後、誰もがその後に王位に就くと考えていたヘンリー8世の娘メアリーを追い落とし、

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                                                    • 2018/09/23 18:26
                                                    • 月の砂漠のかぐや姫 第33話 - コトゴトの散文

                                                      3 users

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                                                      (これまでのあらすじ) 遊牧民族月の民の翁が竹林で拾った赤子は、美しい少女へ成長します。「月の巫女」竹姫と乳兄弟である羽は、逃げた駱駝を追って分け入った夜のバダインジャラン砂漠で、ある約束をします。しかし、砂漠で発生した大砂嵐「ハブブ」に呑み込まれた二人は、意識を失ってしまうのです。大伴に助け出され宿営地の天幕で目を覚ました羽は、竹姫の無事を確認するために天幕を飛び出すのですが、竹姫と話がすれ違い、彼女を傷つける決定的な言葉を投げつけて、彼女の前から走り去るのでした。 ※これまでの物語は下記リンク先で、まとめて読むことができます。 月の砂漠のかぐや姫 | 小説投稿サイトのアルファポリス 登場人物紹介 【竹姫】(たけひめ) 月の巫女とも呼ばれる少女。赤子の時に翁に竹林で拾われた。 【羽】(う) 竹姫の乳兄弟の少年。その身軽さから羽と呼ばれる。 【翁】(おきな) 貴霜族の讃岐村の長老。夢に導か

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                                                      • 2018/09/21 20:48
                                                      • 【掌編小説】 夏 青空 そして 花火

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                                                        ドーン、ドドーン‥‥‥。 宵の口とはいえ、酷暑が日常となった昨今は、じっと縁側に腰を掛けていても背中に汗が流れるほど暑い。 家中の窓や雨戸をすべて開け放ち、部屋の中を通り抜ける風に当たりながら、僕は花火を眺めていた。 僕の住む古い家は、港に面した山の中腹の台地に、作業場と併設して建てられている。火薬を取り扱う生業の関係上、人里から離れているのだ。家業は「花火師」。今晩は港で花火大会が行われるため、家人や従業員はすべて出払っていた。ずいぶん前に家業を息子に譲った僕は、一人、家で留守を守っているというわけだ。 現場から退いた当初は寂しい気持ちもあったが、今では立派な花火師となった息子を頼もしく思っている。我が息子ながら「世界で二番目の花火師」と言っていいほど、良い花火を創るのだ。 ドン、ドン、ド、ドド、ドドーン。パチパチパチパチ・・・・・・。 連発の大玉が次々と花を咲かせ、その周囲に光がはじけ

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                                                        • 2018/07/29 13:21
                                                        • 【閑話】 30編のマイルストーン - コトゴトの散文

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                                                          みなさん、こんばんはです。いつも、ご訪問やコメントいただき、ありがとうございます。 おおよそ30編のマイルストーンです。あんまりカウントが正確ではないのですが、このマイルストーンは。(笑) 直近は「月の砂漠のかぐや姫」ばかりの投稿になっておりますが、毎話お読みいただき、コメントまでいただいて、本当にありがとうございます。読んでくれる方がいるというのは本当に幸せで、「さぁ書くか」と重い腰を上げるのに、大きな力になっております。 連載に当たって、一話完結にならないのはもちろんのことなのですが、毎話毎話が盛り上がりのある話にならなくても仕方がない、と割り切りました。新聞連載のイメージでやろうと。極端な話、ずーと風景描写の話があっても仕方がないと。 その中で、毎話コメントをいただける有難さ。(>_<) あ、いや、コメント、疲れたらお休みいただいても、まったく大丈夫ですよ。(^-^; もう、読んでい

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                                                          • 2018/06/09 22:07
                                                          • 【掌編小説】 自主製作映画「ライフ・ボート」 - コトゴトの散文

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                                                            地方都市の駅前にあるその商店街は、郊外型大型店舗が近くに出店した影響を受けて営業している店の方が少ないような状態だった。ましてや、夜の9時ともなれば、シャッターを開けている店など一軒もなかった。 司慎吾は、申し訳程度に残っている街灯の明かりを頼りに最近廃業した映画館を探して、商店街の中をさまよっていた。なにかよからぬ計画を立てているわけではない。先日、飲み屋のトイレに置かれていたフライヤーを見て興味を持った、「自主製作映画 ライフ・ボート」の上映場所を探しているのだ。 「自主製作映画 ライフ・ボート   全ての生命のために」 という簡素極まりない煽り文句が客船を背景にして印刷されたそのフライヤーの裏面には、「製作者:ライフ・ボート製作委員会」、「入場料:千円」、上映日時が記載されたほか、上映場所として、商店街の中の廃業したはずの映画館が記されていた。 小劇団の上演場所や自主製作映画の上映場

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                                                            このページはまだ
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